僕は結婚指輪をしていません。時々「どうして？」と意地悪そうな目で女性から聞かれますが、実は元々持っていないのですから、どうしてもこうしてもありません。妻も僕も指輪に限らず体に何か身につけるのが嫌いなものですから、結婚の時に指輪を買わなかったのです（なにせ妻は婚約指輪もいらないと言った強者ですから）。お互いの蓄えもなく結婚したものですから、予算的に削れるものはなんでも削ろうということで、あっさりと指輪をやめてしまったのですが、そう言うと驚く人が結構います。

　単にはめる気がなかったから買わなかった、というだけなのですが、既婚男性が結婚指輪をしているかしていないかを、独身女性は気にする人が多いようです。曰く「指輪をはめていないなんて不誠実な感じがする」「なにか浮気願望がありそうでイヤ」なんて、大抵の場合は不評。中には「結婚相手を探しているんだから紛らわしい真似をしないで」という人もいますが、僕のようなオジサンを見て独身だと思う方が変だと思います←自分で言っていてちょっと哀しい。たまに「気障っぽい」「嫌いな人がしていたから、はめていない人の方がいい」と言ってくれる女性もいますが、やっぱり少数派であることは否定できません。

　しかし、指輪をはめているかどうかだけで「誠実」「優しそう」なんて思うのは、あまりにも人間を見る目が浅薄だと思います。僕の知り合いには「指輪をしている方がモテるから」という理由だけで指輪をはめている男がいます。「優しくて誠実な男性」というイメージをうまく逆利用しているわけです。そんな誠実なダンナだったら浮気なんかしないだろう、と言う突っ込みを入れたくなるのですが、所詮指輪だけで判断するような愚かしい女性には言うだけ無駄というものです。

　ところで既婚女性に聞くと、実はそれほど指輪をはめているとかいないとかは気にしていないようなんですよね。なにせ自分自身が「面倒だから」「なくしてしまった」「縛られているみたいでイヤ」なんて思っているくらいですから、それほど指輪ごときを神格化していないのです。ま、これは結婚という制度自体に対するスタンスと同じですよね。独身者はいろいろ夢見ているようですが、実際に結婚してみると、結局のところ現実がどこまでも続いていくだけです。それでも夢見てもらわなければ人類発展のためには困るのかも知れませんけど。

　

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