幹事クリタのコーカイ日誌2000

 
 2月19日 ● プレステ2に見る夢はなにか。

 インターネットで予約受付をするというソニーのプレステ2が、18日午前0時の受付開始1分後にパンクしたとか。これだけ注目を集めている新型ゲーム機なんだから、インターネットだけではこうなることは素人考えでもわかりそうなものです。もっとも実は話題を煽るためにソニーがわざとやったのなら、なかなか巧みなプロモーション戦術ですが。

 インベーダー以前からのゲームマニアであり、大学生から結婚する頃まではゲーマーとして名を馳せた(と言っても会社や友人たちの間のことですが)僕も、スーパーファミコン登場あたりから徐々にゲーム熱が冷めてきました。家庭用ゲーム機で最後にまともにプレーしたゲームは「ドラクエ6」というのですから、もう何年も前のことです。今では子ども達に付き合って、時々対戦ゲームをするくらいで、すっかり腕前も錆びついてしまいました。

 僕がゲーム離れするきっかけとなったのは、実はゲーム機の高性能化にありました。それまでの8ビット機が16ビット機、32ビット機へと進化し、グラフィックが格段に美しく滑らかになるにつれて、僕の中では何かが確実に取り残されていきました。

 新しいゲーム機では、キャラクターたちはリアルに動き、背景はただ美しいだけではなく、より緻密に現実に近くなりました。光や影が巧みに表現され、従来機とは格段に差がある立体感と奥行き。ゲーム雑誌はこぞってその進化を伝え喜び興奮していましたが、その興奮ぶりとは裏腹に、僕はどんどん夢から醒めていきました。リアルになった分だけ、より現実との違いを感じずにはいられなかったからです。近づけば近づくほど、その差が明らかになり「なんだ、所詮は作り物か」と感じてしまったのです。

 かつてのスーパーマリオやファミスタやゼルダの伝説やドラクエは、どう見ても粗いちゃちなドット画でしかありませんでした。しかし、だからこそプレーヤーは想像力という自らの能力をフルに使って、ゲームが提示する世界に飛び込んでいくことができました。ゴルフゲームに全く立体感はなく、芝目は記号で示されていましたが、その記号の芝を読むのが楽しかったのです。みんな同じスタイルのドラクエのキャラクターたちが、戦士は逞しく、僧侶はスマートに、魔法使いは小柄に感じられました。左右だけで高低差のないファミスタで、なぜか真ん中高めとかアウトローとか意識できるところが、人間の凄さと素晴らしさだと思います。

 ゲームの面白さは想像力を生かした「見立て」の楽しさです。例え棒きれ1本、石ころ1個でも、それを何かに見立ててゲームの世界を作れば楽しむことができます。トランプなんてその典型例で、エースとかジョーカーなんて言っても、所詮は単なる模様付きの紙片なのです。それが時になんと頼もしく見えたり恐ろしげに感じられたりすることでしょう。

 逆にリアルなゲームはリアルゆえに現実との差を測られやすくチャチに感じられるし、そもそも想像力を駆使する楽しみを奪ってしまいます。プレステ2に対しても、これまでの新しいゲーム機登場時と同じようにグラフィックの美しさばかりが喧伝されていますが、僕にはその魅力はわかりません。プレステ2の魅力を感じられるとしたら、グラフィックよりも他の付加機能の方です。まだ良くわかっていない新しい機能の中に、想像力を駆使できる新しい何かが埋まっているような気がします。それが具体的に何なのかは、プレステ2を使ってみてからでないと、多分わかりませんが。

 
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