THE PRESTIDIGITATOR (EAST-WEST)

GEORGE WALLINGTON (1957/4/4,5,6)

THE PRESTIDIGITATOR


【パーソネル】

J.R.MONTEROSE (ts) <except #6> JERRY LLOYD (b-tp) <#2,4,5,6>
GEORGE WALLINGTON (p) TEDDY KOTICK (b) NICK STABULAS (ds)
【収録曲】

(01-03) IN SALAH / COMPOSIN' AT THE COMPOSER / JOUONS
(04-05) RURAL ROUTE / PROMISED LAND
(06-07) AUGUST MOON / THE PRESTIDIGITATOR
【解説】 ( 2012年12月23日更新 / 連載 1,058回 )

 2012年12月23日更新。 もし、これを普通に読んでる人がいるとするなら、人類は滅亡しなかったと思っていいんでしょうか? ちなみに、今これを書いているのは12月22日の午前9時17分で、マヤ暦で人類滅亡の日とされている12月21日は既にクリアしたんですが、まだ油断はなりません。 日本とマヤとでは15時間くらい時差があるらしいですからね。 現地ではまだ21日の真っ最中。 最中 (もなか) を食って、お茶でも啜りながら終末の時を待っているのではないかと思われますが、余裕っすな、現地のマヤたん。 あるいは諦めの境地なのかも知れませんが、小林旭と今井メロも 「あきら」 「めろ」 と言ってたしー。 が、旭はともかくとして、今井メロにそんなことを言われるのも何だかムカつくので、意地でも諦めずに何とかしなければなりませんが、とまあ、そんなことで買ってみました、ムー増刊 『2012年大予言』 。 買ったのは今年の5月頃なんですが、ぱらぱらっと見て、あまり大したことは書かれていなかったので、そのまま放置しておりました。 で、その存在すら、すっかり忘れて平穏な日々を過ごしておりました。 が、つい先日、何気なく棚を整理していたら、見つかったんだな、これが。 棚と 「〜だな」 とで韻を踏ませるために、敢えて文体も変えてみたんですが、人類滅亡の日とされる12月21日の直前にこの本が発掘されたという事実に、僕は 「人類を救え!」 という神の啓示を受けたような気はまったくしなかったんですが、とりあえず鈴木啓示は草魂であるな。 …と、そんな気はしたので、とりあえず取り上げてみようかな? …と。 ちょうど、他に何のネタもないことだしー。 あまり大したことが書かれてなかったのは明らかなので、明くんがどこまでやってくれるのかは未知数なんですが、旭くんならきっと何とかしてくれるに違いなくて、乞うご期待!

 とまあそんなことで、2012年12月22日。この日は、古代マヤ文明で使われていた独特の暦がはじきだした 「ひとつの時代の終わり」 を告げる日である。 そんなふうに書かれていたりします。 え、12月21日ちゃうん? …と思ってしまったんですが、21日〜23日くらいまでの範囲で誤差というか、諸説というか、いろいろあったりするみたいですな。 ノストラダムスの大予言もそうでしたよね。 1999年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる! そんな触れ込みだったので、試しに太陽系の惑星やら星座やらの位置をシミュレートしたところ、7の月には何も無さげであったと。 が、誤差ということも考えられるので、試しに8の月に関しても調べてみたところ、8月18日に グランドクロス が起こるやんっ! アカンやんっ! ヤバいやんっ! そう、五島勉がひとりで騒いでおりました。 “グランド黒酢” なら、ちょっぴり高品質の黒い酢っぽくていい感じなんですが、グランドクロスが起こるとどうなるのかというと、よくは分からないと。 で、結局は何も起こらなかったと。 そういう事の顛末だったりするんですが、恐怖の大王どころか、つけ麺大王すら降っては来ませんでした。 つけ麺大王でも、降ってきたら辺りが “つけ汁” まるけになって迷惑なので、降らずに済んで何よりなんですが、で、この終末には何が降ってくる予定だったんですかね? 今のところ、桑名では雨が降っているんですが、雪ではなくて、何より。 そんな平穏な週末だったりするんですが、で、この本ではマヤの暦についても、けっこう詳しく書かれていたりします。 マヤたんは2つの暦を組み合わせて使っていたそうですが、そのひとつが

  ハアブ暦 : 20日=1ヶ月 18ヶ月=1年  ∴ 1年=360日

 ∴ (ゆえに) なんて記号、久しぶりに使いましたな。 これを逆さまにした前田敦子みたいなやつ ∵ は 「なんとなれば」 っすよね。 そんな数学的でない、文学的な読み方で本当にいいのか? …と心配になるんですが、その読み方でちゃんと記号に変換してくれるので、大丈夫かと。 で、マヤたんは天体観測に秀でていて、1年ってだいたい365.2420日くらいだよね? …というのを把握していたので、とりあえず5を足して1年=365日と定めたようなんですが、こいつら、めっちゃ頭ええやんっ! で、それと同時に

  ツォルキン暦 : 20日=1ヶ月 13ヶ月=1年  ∴ 1年=260日

   という、今ひとつ意図がよく分からん暦も平行して使っていたようですが、こいつら、めっちゃアホやんっ! 暦を2種類も作っちゃったら混乱するのは必至だし、そもそもツォルキンって言い難いし、ローマ字カナ変換もしにくいので、出来ればやめて欲しかったんですが、で、365日周期のハアブ歴と260日周期のツォルキン歴の組み合わせが1周するには、365と260の最小公倍数である18980日を要する…と。 懐かしいっすな、最小公倍数。 苦手なんですよね、公倍数。 紅梅 (こうばい) 焼きという多度の食い物 ( ← ここ 参照 ) もあまり購買意欲をソソられるものではなくて、多度なら断然、多度豆やろ? そう思わずにはいられませんが、参照したところにも書いてあるように、山椒の風味が嫌なんっすよね。 固焼きの歯ごたえも固すぎて苦痛だしー。 で、今の世の中にはこんな 便利なサイト があったりするので、苦手でも何とかなっちゃうんですが、2つの数字を入力して 「計算」 をクリックすると、答え一発、18,980。 ほぉ、合ってますなぁ。 ムーに書いてあることは 89.8%くらいが嘘では無いかと思われるんですが、こんなところで運を使い果たしてしまったら、この先、真実はひとつも無くなってしまうんじゃないかと心配になるレベル。 で、この18,980日というのはハアブ歴で言うと52年に相当するんですが、人生50年。 ま、大体いい線いってるんじゃないっすか? それだと、僕の人生はあと6年くらいで終わっちゃうことになるんですけど。

 あと6年くらいって、あと数時間で人類が滅亡するかも知れないというのに、暢気なことを。 そう思われるかも知れませんが、そもそもこの人類滅亡説の根拠というのは、ここまでの話とはあまり関係のない、別の系統の長期暦によるんだそうで。 関係ないんかいっ! わざわざ最小公倍数まで計算したのにー。 ま、僕のやったことと言えば、数字の入力とクリックだけなので、被害を最小限に押さえることが出来たと言えるかも知れませんが、20日=1週間、18週間=360日。これをマヤでは1トゥンと呼んで、20トゥンを1カトゥンと呼ぶ。 そういう取り決めがあるんだそうです。 誰がカトゥンを決めたのかというと、加藤クンのオトン。 いや、多分。 で、20カトゥンを1バトゥンと呼ぶと。 誰がバトゥンを決めたのかというと、馬頭観音のオトンかと。 で、このバトゥンを13回繰り返すと、20日×18週×20×20×13=1,872,000日。 これがマヤ暦における長期歴の区切りなんだそうです。 20進数で行くと決めたのなら、ずっと20で押し通せばいいのに、最後に13などという半端な数字が出てくるところがアレなんですが、この13という数字はツォルキン暦のところにも出てきましたよね。 ツォルキンにも華を持たせたということでしょうか? 加藤と馬頭のオトンの好きにはさせねーぞ! …みたいな。 で、1,872,000日が区切りなのはいいとして、じゃ、元旦はいつなんだよ? …というのが大きな問題になってくるんですが、20世紀最大のマヤ学者と呼ばれるJ・エリック・S・トンプソンは、マヤで使われていた各種の暦の日付を手がかりに、現在の大周期の始まりは紀元前3114年8月13日だったことを計算で弾き出した。 えー、前世紀の学者が言い出したことが根拠なんかよー? 20世紀には、敷地面積が日本最大級! …とか言われていたマイカル桑名 (現・イオン桑名SC) も、今では25位くらいまで落ちぶれちゃってるし、20世紀最大のマヤ学者って、21世紀の今となっては、単なる雑魚キャラだったりするんじゃ? このオッサンの言い分だけでは、どうにも信用ならんのですが、でも大丈夫。 紀元前3114年8月13日が元旦だった説を裏付ける、れっきとした物的証拠も発見されております。 運命の日を警告する石碑 “ステラC” というのがそれなんですが、ちょっとだけ “チョコラBB” に似ているので、口内炎・肌荒れ・疲れなんかには効きそうっすよね、 “ステラC” 。 素晴らしさという点では “スバラC” には、ちょっと負けちゃうような気もするんですけど。

 そもそもステラというのは石碑のことらしいんですが、771年にカック・ティリウ王という人が建立した石碑に、マヤ暦の始まりは紀元前3114年8月13日である。そういう記述があるそうです。 その石碑の画像というのが ここ にあるんですが、ムー編集室からクレームが付いておりますな。 もしかして、うちもヤバかったりするとか? でもまあ、どうせ人類は滅亡しちゃうんだから、著作権とはそういう細かい話は大目に見て貰えるんじゃないかと思うんですが、とまあそんなことで、ずんずん引用しちゃいましょう。 2012年12月22日に人類が目にする世界とは!? そうそう、それがいちばん気になるんですよね。 ここまで書いた時点で15時54分になってしまって、12月21日説を採用するなら、時差を考慮しても陰謀論者は 「ゴメンなさい」 しないといけない領域に入っているんですが、ムーはあくまでも12月22日説を採る立場ですからね。 まだまだ油断はなりません。 マヤの末裔であり、秘儀を受け継ぐ最高神官ドン・アレハンドロくんは2008年に来日して、「現在の周期の終わりには数時間の暗闇があり、そのあとで新たな太陽の時代が始まる。」 そう語ったそうなんですが、マジかよ!? 最高神官の言うことだけに、最高に震撼させる発言なんですが、夜が来て、やがて太陽が昇って、新しい1日が始まる。 そういうことを言ってるんっすよね? 当たってるやんっ! 少なくとも21日は夕方を過ぎた頃からだんだんと暗闇になって、で、今日の朝、新しい太陽の時代が始まったんすよね。 朝から雨だったので新しい太陽の時代が始まったという実感はないんですが、少なくとも暗闇からは解放されたので、まあまあかな? …と。 いずれにしろ、終末っぽい絶望感がみじんも感じられなかったりするんですが、とまあそんなことで、次。

 世界の終わりを見た予言者たち。 増刊号で1冊仕立てようとすると、マヤたん以外のネタでもページ数を稼がなければならなくて大変なんですが、予言者の筆頭として取り上げられているのは、あのノストラダムスっすかぁ。 コイツは20世紀末の時点で社会的に抹殺された筈なんですが、そもそもノストラダムスは1999年7の月に人類が滅亡するなどとは言ってない。 単なる解釈の間違いやったんちゃう? そんなことが書かれていたりします。 全ての責任を五島勉に押しつけようという、そんな魂胆のようであります。 1958年から1998年の間に、日本は大きく海に沈没する。 そんな予言を残したエドガー・ケイシーに関しても、彼はその時期にそれが実現するのではなく、 「兆候が明らかになる」 としている点を無視することは出来ない。 そのように擁護されていたりします。 兆候すら明らかにならなかったような気もするんですが、強いていえば東日本大震災の超巨大な津波が大きく海に沈没する兆候と言えなくもありませんが、2011年と1998年。 クソ長い宇宙の歴史から見れば、13年くらいはほんの誤差の範囲だしー。 で、オマケ扱いとして、ジュセリーノ・ノーブレガ・ダ・ルース。 そんな覚えにくいフルネームよりも、ガセリーノという通称のほうが分かりやすいかと思うんですが、2012年に起こることで、どんな予言をしているかについては、巻末のとじ込み付録 「戦慄の未来シナリオ」 を参照してほしい。 そんなふうに、もったいが付けられているので、ま、乞うご期待! …ということで。

 あとは、えーと…、特に書きたいこともないので、巻末のとじ込み付録 「戦慄の未来シナリオ」 まで話を進めようと思うんですが、わざわざ巻末にとじ込む必要性が感じられないような、見開き2ページのチャラい企画でありますな、こりゃ。 で、そこにはこれからの地球に起こるであろう 「予言」 が年表形式で書かれているんですが、2012年から始まって、最後は3989年っ! あと数時間で人類は滅亡するんとちゃったんかい!? あと1977年も続くんかいっ! ちなみにジュセくんの予言によると、2012年9月24日、フィリピンのマニラでM7.2の地震が発生。死者1万人以上、被災者4万人以上。 予言の的中率は90%以上だと言われているようですが、100%ではないので、たまには外すこともありますよね。 マニラの人に犠牲が出なくて、よかったじゃないっすかー。 で、今後の予定としてはですね、2013年8月23日、香川、岡山、広島でM5.4〜M7.9の地震がたてつづけに起こる。 直下型のM7.9だと怖いんですが、香川でM5.4程度なら恐らく、平気でうどんを啜ってるレベル。 用心するに超したことはないんですが、とりあえず死者の数が書かれていないのは安心材料かと。 で、恐ろしいのがこれ。 2018年6月21日、東海地方でM10.6の地震が発生。死者1000人以上。 マグニチュード10超えって、ヤベぇぇぇぇ! マグニチュード12で地球が割れると言われているので、それに比べればまだ余裕がありそうなんですが、地震規模のわりには、死者、少なっ! ま、1000万人がお亡くなりになったとしても1000人以上には違いないので、まったく油断はならんのですが、もし僕が選ばれし1000人以上の中に含まれるとするなら、人生、ちょうど50年。 ま、区切りがいいと言えば、いいんですけど。 とか思っていたら、今日になっていきなり、マヤ暦が予言する人類滅亡は2012年ではなく2015年だった! そんな話が降って沸いてきましたな。 マジかよ!? どうやら、計算間違いしてたぁ。てへっ♪ そういう事みたいなんですが、また3年後にムーの増刊を売り付けようという、そういう魂胆っすか? その手は食わない桑名人を舐めるなっ! そう思わずにはいられませんが、その際にはまたネタにさせて貰おうと思うので、読者のみんなと、ムー編集室の人、ヨロシク☆

 ということで、今日はジョージ・ウォーリントンっす。 山本譲二、島木譲二と並ぶ “世界3大ジョージ” のひとりでありますが、それに 「昼下がりの情事」 を加えると “ジョージ四天王” になりますな。 常時接続を足して “ジョージ・5(ファイブ)” にするとか。 で、今日はそんなジョージの 『ザ・プレスティディジテーター(?)』 とか言うアルバムを紹介したいと思うんですが、プレスティディジテーター(?)って発音しにくいし、ローマ字カナ変換しにくいし、出来ればやめて欲しかったところっすよね。 そんな思いがCDを出した人にもあったのか、 『手品師』 などという日本名が付けられておりましたが、手品師って、マジシャンとかじゃ無かったんっすな。 類語として illusionist, conjurer, conjuror なんかもあったりするようですが、マリックがマジックて、マギー司郎がプレスティなんとかで、プリンセス天功がイリュージョン? 法律用語の 「遺留分」 という言葉を耳にすると、頭の中には天功が浮かんできたりするんですが、で、アルバム・ジャケットの手品師は、どうやら箱の中からウサギを出そうとしている模様でありますな。 種、バレバレ。 で、箱の中には男児も一緒に入っていたりもするんですが、幼児虐待で通報されるレベルでありますな。 女児ならともかく、こんな箱にあまり手を突っ込みたくはありませんなぁ。。。 で、これ、今ひとつ素性がよく分からない作品だったりするんですが、J.R.モンテローズが参加しているというのはポイントが高いっすな。 フロントにはもうひとり、バス・トランペットなどという地味な楽器を吹くジェリー・ロイドという人もいるんですが、これは別にどうでもいいっすな。 大人になって、ジェリー派から断然トム派に転じた僕だったりするので、ジェリーとか別に、どうでもいいっす。 プリンよりも断然ゼリー派なので、この人がもしゼリー・ロイドという名前だったら、もうちょっと構ってあげてもよかったんですけどね。 とまあそんなこんなで、じゃ、演奏を聴いてみましょうかぁ。

 まずは1曲目。  「イン・サラー」 は陰毛図系のピアニストであるモーズ・アリソンのオリジナルで、ジョージくんは1ヶ月前に吹き込まれた 『ニューヨーク・シーン』 でも取り上げていた模様です。 これと同じく冒頭で演っているんですな。 世界3大ジョージとか、今回とまったく同じネタが書かれていて、正直、リンクを貼るんじゃなかったと後悔しているところなんですが、前回、島木譲二は省かれましたかぁ。大阪人以外にはマイナーですもんね。常時接続のほうがまだマシだったりするレベルなんですが、で、曲のほうはアレです。 正統派のハード・バップといった仕上がりでありまして、J.Rのワイルドな吹きっぷりが何とも言えずに旧国鉄。 ちなみにバス・トランペットの人はお休みしていて、テナーのワンホーン・カルテットという編成になります。 ソロ・パートはテナー3小節にピアノ3小節という順列と配分なんですが、どちらも甲乙つけがたく、とりあえずは 「つけ麺大王」 のつけ汁にでもつけておこうかと。 で、終盤は ts→ds→ts→ds の4バースで大いに盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 種も仕掛けもない純粋無垢なハード・バップに仕上がっていて、いやあ、よかったっす。

 で、次。 ジョージ君のオリジナルで、 「コンポージン・アット・ザ・コンポーザー」 。 コンポージンって、何かを梱包するのが商売の人みたいんですが、タイトルを翻訳してみたら 「COMPOSIN 構成者で」 って、何か中途半端。 造語なんすかね、コンポー人。 で、この曲ではジェリーの人も参加して2管クインテットになっているんですが、バス・トランペットという楽器が何だかダサくて、埼玉っぽい雰囲気が全体に広がっちゃってます。 トロンボーンと同じような音色なんですが、だったら普通にボントロでいいぢゃん。 …みたいな。 そんな2管のハモリによってテーマが演奏された後、ウォーリントンのソロが登場するんですが、シドニー・ウェリントン市場っぽい弾きっぷりで、ま、普通の出来かと。 途中でちょっぴりテンポが速くなったりするところは、ちょっとイケてるんですけどね。 で、続いてバストラの息苦しい感じのソロがフィーチャーされて、最後の締めはJRモンテ。 悪くないと思います。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 余計な楽器を入れちゃったのが災いして、個人的にはあまりよくなかったと思います。

 ということで、3曲目。 モンテくんのオリジナルで、 「ジャウオンス」 。 CDの日本語表記はそうなっているんですが、 “JOUONS” は漢字にすると 「正恩 (ジョンウン) っす」 。 そんなふうに書けるような気もします。 正男クンと比べると印象が薄いかと懸念していたんですが、意外とキャラ立ちしてますよね、金正恩。 で、曲のほうはと言うと、正統的なハード・バップ風。 余計なジェリーが参加を自粛してくれたお陰で、演奏のほうもいい感じにカッコよく仕上がっておりますな。 ソロはテナー4小節にピアノ4小節というアレなんですが、リーダーの弾きっぷりは、やや印象が薄い気がしないでもありません。黒さが足りないというか。 ま、白人だからやむを得ないところではあるんですが、34%くらい黒くなればパンダっぽくなっていいと思うんですけど。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 終盤は4バースで盛り上げようか? …とか、そういった外連 (けれん) は一切排除されていて、清々しい限りでありますが、とまあそんなことで、次。  「ルーラル・ルート」 は陰毛図クンの作。 タイトルの意味するところは、アメリカの地方配送事業で使われている 「各家庭のポストを回って郵便物を集配する経路」 のこと。そのように日本語ライナーで後藤誠クンが書いておりますが、なかなか博識でありますな、後藤クン。五島勉クンよりは使えそうな感じですが、ホレス・シルヴァーの作風を模したゴスペル・ソングだ。 そんな解説もあるんですが、聞いてみたら、なるほど。 ホレス・シルヴァーの作風を模したゴスペル・ソングでありますな、こりゃ。 …と、適当に同意してお茶を濁そうと思っていたんですが、聞いてみたらさほどシルヴァーっぽくはありませんでした。 オマケ参加のバス・トランペットの人も、ここではさほど邪魔臭くはなく、ほのぼのとした空気をもたらせてくれていて、まあまあかな?…と。 ソロ・パートはJRモンテ、ジェリ・ロイ、ジョー・ウォーという順で、リーダーのピアノが地味ながらも滋味に溢れた展開となっていて、まあまあかな?…と。 でもって、微妙にベースがフィーチャーされるパートを絡めたりしながら、テーマに戻って、おしまい。総体的に見て、まあまあでありました。

 続く 「プロミスト・ランド」 もアリソンの作品。 後藤クンいわく、コール&レスポンスの形式はファンキー・ジャズやゴスペルの影響が感じられるとの事なんですが、聞いてみたら、なるほど、コール&レスポンスの形式はファンキー・ジャズやゴスペルの影響が感じられますな。 こういう曲調だとバストラの参加が活きてくるんですが、テーマ部のアレンジとか、なかなか凝った作りのパンナコッタ。 そんな仕上がりだったりします。 いいっすよね、パンナコッタ。 ゼリー好きの僕としては、ナタデココのほうが評価が高かったりするんですけど。 ソロ先発はモンテローズなんですが、モンペとズロースという戦前チックな名前とは裏腹に、けっこうモダンでイケてる感じだったりするこの人のテナーが、僕はけっこう好きっ♪ いや、モンペとズロースも嫌いではないんですけど。 で、以下、ジェリー、ジョージとソロが続くんですが、ピアノはシルヴァー風のフレーズを連発。 そう後藤クンが書いているんですが、確かにそんな感じだったりします。 とまあそんなことで、ちょっぴりベースをフィーチャーしたりもするコール&レスポンなナテーマに戻って、おしまい。 都会的な作風ではないので、アーバンなギャルの受けはよくなさそうなんですが、ノーパンなギャルには好意的に受け入れてもらえそうで、ま、いいんじゃないっすか?

 ということで、次。  「オーガスト・ムーン」 はたぶん、歌物ナンバーではなかろうかと。モンテローズの抜けたバストラのワンホーンというので、あまり多くは期待していなかったんですが、ほのぼのとした空気が漂っていて、意外と悪くありませんなー。 テーマからそのままジェリーくんのアドリブへと流れていくんですが、トロンボーンよりも若干流暢に思えるのはバス・トランペットという楽器のなせる技か、あるいはナセル大統領のなせる技か。 続くピアノのソロもいい感じで、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 終盤の息抜き用途としては、十分だった。そんな気のする1曲でありました。 とまあそんなことで、ラスト。 アルバム・タイトル曲の 「手品師」 。 原題のカタカナ表記は省略。 モンテローズの作だが、演奏の後半のバース・チェンジで正体不明の一流ドラマーの神業が明らかになる。 …って、後藤クンは何のことを言ってるのかと思ったら、なお資料の裏付けはないが、前半4曲と後半3曲で、ドラマーが交代しているようだ。うまいのは後半のドラマーで、どうも黒人のバッパーに聞こえる。 そういうことらしいんですよね。 正式にクレジットされているのはニック・スタビュラスだけなんですが、後半はアート・テイラーが叩いてるんじゃないか? そのように踏んでいる模様です。 で、曲のほうはというと、真っ直ぐで素直な純正ビ・バップといった感じで、手品師のわりには種も仕掛けも無かったりするんですが、テナーのワンホーン・カルテットで、楽器編成もシンプル。 テーマの後、モンテローズのブツ切れながらもドライビングな独特のソロが披露されて、ジョージくんのオーソドックスなバップ風のソロが続いて、で、その後、問題のバース・チェンジが登場します。 バッキングでも抜群の切れ味を感じさせてくれていたんですが、なるほど、 ts→ds→ts→ds→p→ds→p→ds の4バースでは、神業と言っても過言ではないジュゴン。 そんな水棲哺乳動物を髣髴させる出来だったりするんですが、ただ、アート・テイラーと言い切るには、ちょっと派手過ぎるような? 個人的な判断は保留しておこうと思うんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、ちょっと唐突な感じで、おしまい。 ということで、今日は以上っす。

【総合評価】

 2曲目の印象が今ひとつよろしくなかったので、どうか? …という気がしたんですが、それ以外はぜんぜん大丈夫でした。 全編でモンテローズの活躍が光るし、リーダーの人もそこそこ頑張ってるし、ジェリーの人も途中からはそんなに気にならなくなるし、後半に登場するとさせる謎のドラマーの正体を暴くというのも御一興。 『手品師』 という名前はダサ過ぎるし、ジャケットのセンスもどうかと思うんですが、見た目よりも中身系、名より実を取る派であれば、活路は開けます。 さ、今日から君も正恩(ジョンウン)っす☆


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