- 【アルバム名】
- THE NEW YORK SCENE (NEW JAZZ)
- 【リーダー名】
- GEORGE WALLINGTON (1957/3/1)
- 【パーソネル】
- DONALD BYRD (tp) PHIL WOODS (as)
- GEORGE WALLINGTON (p) TEDDY KOTICK (b) NICK STABULAS (ds)
- 【収 録 曲】
- IN SALAH / UP TOHICKON CREEK / GRADUATION DAY /
- INDIAN SUMMER / 'DIS MORNIN' / SOL'S OLLIE
- 【内 容】
- ここにオーストラリアで買ってきた1冊の本があります。題して「Pocket
Guides JAPAN」。つまり、オーストラリア人が日本に旅行する時に使う
観光ガイドですね。これは前に紹介した「日本語会話集」と違って最初から最後までぜ
ーんぶ英語で書いてあるので、なかなか解読が難しいです。でも「コラム」みたいなコ
ーナーになかなか興味深い話が載っていたので、頑張って訳してみましょう。
-
- 『現代的なナンセンス』:(前略)東京の主な買い物町である「ギンザ」では、若
い男性と女性は手と手をつないで歩く勇気がある「モダン・ボーイ&モダン・ガール」
、または短く「モバ&モガ」として知られている。彼女は煙草を吸い、彼はアメリカの
コミカルな映画「ハロルド・ロイド」に霊感を受けた、はやりのべっ甲製の縁のついた
眼鏡を身につけている。保守的な人々はそのような不作法なふるまいを「エロ」「グロ
」「ナンセンス」〜「エロチック」「グロテスク」「ナンセンス」だと、激しく咎めて
いる。
-
- うーん、なかなか鋭いところを見ているなぁ、オーストラリア人。確かに銀座には
「モバ」と「モガ」がたくさんいるもんなぁ。男はみんな「はやりのべっ甲製の縁のつ
いた眼鏡を身につけている」しぃ。(←ロイド眼鏡というのか?コレは。)しかしです
ね、日本の若者がみんな「手と手をつないで歩く」というような「エロ」なことをして
いるわけではありません。大多数は清く正しい「塩サバ青年」なんですよねー。そこん
ところを誤解しないでくださいね、オーストラリア人。ということで、日本の風俗を鋭
くえぐりだしているこの本のハナシ、明日に続きます。
-
- @ さて、今回はジョージ・ウォーリントンです。ジョージと言えばジョージ・
ウォーリントン、昼下がりの情事、山本譲二が世界3大ジョージとして知られています
。ジョージ・ウォーリントンと言えば『ライブ・アット・カフェ・ボヘミア』、山本譲
二と言えば「みちのくひとり旅」というのが定番ですが、世の中「定番」だけで満足し
ていてもイイものだろうか。山本譲二には「旅の終りはお前」もあれば「君の歌になろ
う」もあるじゃないか。そんな歌、あったのか?というわけで『ザ・ニューヨーク・シ
ーン』であります。
-
- 確かにメンバー的にはバード、マクリーン、チェンバース、アート・テイラーの
『カフェ・ボヘミア』に比べると見劣りしますが、情熱のアルト中年、フィル・ウッズ
のプレイもマクリーンに負けず劣らずイイもんです。試しに1曲目を聴いてみましょう
。「イン・サラ」。アップテンポで元気があってよろしいです。特にテーマ・ユニゾン
に続いて飛び出してくるウッズのソロ、たまらんっす。譲二のピアノは白人のせいか、
トーンがちょっぴり硬質ですね。2曲目の「アップ・トヒッコン・クリーク」はウッズ
の曲。バップっぽい複雑なメロディの曲です。ソロ1番手は常時。フレージングはパウ
エルなのかなぁ、やっぱり。ソロ2番手はバード。ちょっと「うわずった」ようなフレ
ージングが彼の特徴です。ここでもウッズが好調。ちょっとトーンがマクリーンに似て
ると思うのは私だけだろうか。そうかもしんない。
-
- 3曲目の「グラデュエイション・デイ」はホーン抜きのトリオ演奏。情事のピア
ノをじっくり堪能しましょう。この感じ、誰かに似てるんだけどな。誰だったかなー?
少なくとも山本譲二じゃないな。ここで一緒に死ねたらいいと〜♪やっぱり違うな。と
にかく、しみじみと聴けるなかなかのバラード演奏でした。4曲目「インディアン・サ
マー」。インドの夏、キンチョーの夏。やっぱり、かき氷にカレーかけて食べるんだろ
うな、インドの夏。あ、そういえばオーストラリアにも渦巻きの蚊取り線香が売ってま
した。お土産に買ってこればよかったなぁ。この曲のピアノのイントロはちょっとパウ
エルっぽいです。
- 「ディス・モーニン」はアーシーな感じの曲。丈二のピアノも精一杯頑張って、
黒っぽさを演じています。ちょっぴりソニー・クラークみたいな感じもありますね。短
いフレーズを重ねて盛り上げていくバード、朗々とした吹きっぷりのウッズ、強力なテ
ディ・コティックのウォーキング・ベースと聴きどころもたっぷり。この演奏を本アル
バムの「ぴかいち」と認定しましょう。
- ラストの「ソルズ・オリー」もなかなかです。以上、これからもたまにはジョー
ジとウッズを聴いてみようと、いう気になった1枚でした。
- 教訓:白人を馬鹿にしちゃいかん。
-
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