THE GOLDEN FLUTE (IMPULSE)

YUSEF LATEEF (1966/6/15,16)

THE GOLDEN FLUTE


【パーソネル】

YUSEF LATEEF (ts,fl,oboe) HUGH LAWSON (p)
HERMAN WRIGHT (b) ROY BROOKS (ds)

【収録曲】

(01-03) ROAD RUNNER / STRAGHTEN UP AND FLY RIGHT / OASIS
(04-05) (I DON'T STAND) A GHOST OF A CHANCE WITH YOU / EXACTLY LIKE YOU
(06-07) THE GOLDEN FLUTE / ROSETTA
(08-09) HEAD HUNTERS / THE SMART SET
【解説】 ( 2012年05月06日更新 / 連載 1,030回 )

 ゴールデンウィークも終わっちゃいましたなぁ。 いや、これを書いているのは前半の3連休と後半の4連休に挟まれた、仕事など、まるっきりヤル気がしない2日間の平日だったりするんですが、5月3日から3泊4日の行程で遊びに行くことになっているので、今のうちに何とかしなければいけません。 来週からは広島と宮島と岩国のネタで、3回か4回は食いつなげると思うので、気分的には楽なんですが、で、そうこうしているうちに、5月21日がやってきますよね。 連休が終わってしまったら、当面の楽しみは “金環日食” くらいしか無いんですが、みんな、どこで見る予定をしてるかな? ちなみに、中心線に近い市町村は こうなって いるようです。 首都圏、めっちゃ条件いいじゃん! こんな都心のど真ん中を通ることが許されるのか? あまり贅沢すると、首都直下地震の引き金になっちゃうんじゃないか? そんな余計な心配をしてしまうんですが、千葉県浦安市って、ディ○ニーのネズミに異変が生じるかも知れませんな。 千葉県鎌ケ谷市って、びっくりして大仏が立ち上がっちゃうかも知れないしー。 ま、高さ1.8mの大仏が立ち上がったところで、せいぜい倍の3.6mになるだけなので、あまり影響はないと思うんですけど。 それより、神奈川県箱根町あたりで爆発が起こるのが怖いですな。 箱根山の大噴火は無いかも知れませんが、黒卵を電子レンジで作ろうとして、爆発しちゃうとか。 ま、そんな余計なことをしなければいいだけの話だし、そもそも金環日食とは何の関係もないんですが、で、観測地点に関しては以前、このコーナーでも検証したことがありますよね。 ここ です。 まん丸い、バランスのいいキンカンに拘らなければ、かなり広い範囲で観測することが出来るんですが、部分日食で我慢するなら、日本全国、ほぼ、どこでも大丈夫。 そうなってくると、気になるのはお天気なんですが、こればかりは人間の力ではどうにもなりませんからね。 金環日食を見れないエリアの住民が、嫌がらせで雨乞いの儀式を行なったりするかも知れず、そういった人間の邪悪な力にも打ち勝たなければならないんですが、いくら中心線付近でも、天気が悪くて見えなければまったく無意味。 ちょっと形がいびつでも、晴れそうなところに行ったほうがいいような気がするんですが、ということで、徹底分析!5月21日の天気はどうなるか!? さ、頑張りましょう。

 この時期、沖縄や奄美地方を除けば、まだ梅雨入りしてないので、そんなに雨の降ることは無いんじゃないっスかね? ということで、徹底分析、終了。 いやあ、これで一安心ですな。 あとは雨乞いの邪悪なパワーに負けないよう、てるてる坊主をたくさん作ればいいだけなんですが、ちなみに全国の月別降雨量は こう なっております。 5月の数字が小さいところほど、安泰。 そう考えていいと思うんですが、やはり沖縄とか奄美地方は駄目っすな。屋久島とか、問題外。 九州の南半分とか高知あたりは金環日食が見られる帯の中に入っているんですが、5月の降水量は200oオーバーで、天気は期待薄。 逆に雨が少ないのは北海道なんですが、こちらはシケた部分日食どまり。 この辺りの住民が嫌がらせの雨乞い行動に走りかねないので、注意して見守らなければなりませんが、あと、長野、前橋、甲府といった内陸部も雨は少なめ。 それに比べると、静岡や東京といったあたりは、ちょっぴり多め。 ただ、雨が降らないから、すなわち、晴れる。 そういうワケでもないですからね。中途半端に曇る。 何となく、そういう結果に終わっちゃう確率が高いような気がするんですが、となると、他の指標に着目したほうがいいかも知れませんな。

 日照時間。 日出から日没までの間に、太陽が雲や霧あるいは、高層建築などにさえぎられないで実際に地上を照らした時間を言う。 おお、これこれ。 これこそ、僕は求めていた数値であります。 降水量なんか最初からいらんかったんや! ということで、早速ググってみたんですが、都道府県別に月別の日照時間をまとめてみた資料って、もしかして、無さげ? 年間の数字ならいくらでも出てくるんですけどねー。 気象庁のデータ を地道に1個ずつチェックしてまとめてやれば、立派な資料が完成するかも知れませんが、僕にはそんな意欲はありません。熱意もありません。ヤル気もありません。 とりあえず東京。とりあえず去年。それくらいなら、何とかやってやれないことはないんですが、ということで、調べてみました。 146.3時間。 ほぉ、意外と少ないんですなー。 五月と言えば、五月みどり。 …は、どうでもいいとして、五月と言えば、五月晴れ。 そんなイメージがあったんですが、いちばん長いのは1月の243.9時間。 冬場は昼間の時間が短いにも関わらず、日照時間は2月を除いて 187.6〜243.9時間となっていて、晴れる日の多さを物語る結果となっております。 2月は148.9時間と冬の中では極端に少ないんですが、この月は閏年以外は28日しかなかったりするので、累計で不利なのはやむを得ないところかと。 きっちり31日まであって、おまけに昼間の時間がぐーんと長くなる5月の日照時間が2月と同じくらいというのは、ちょっと意外でありましたな。 ただ、去年の5月は例外的に天気が悪かったという可能性もあるので、これだけで早急に結論を出すことは出来ないんですが、あ、よく見たら年度別の月ごとの値のデータ、ちゃんとあるじゃん! しかも 「日照率」 という、昼間の長さに関係なくて、おまけに2月が不利になったりしない便利な指標もあるじゃん! 日照時間なんか最初からいらんかったんや!

 ということで、東京のデータは これ っす。 基本的には梅雨時の6月の日照率がいちばん低くて、納得の結果だったりするんですが、5月も決して褒められた数字ではありませんな。 50%を下回っている年が多く、ということは、晴れる確率も50%以下だったりするとか? そういえば 「梅雨のパシリ」 という言葉があったりしますよね。 いや、そんなチェリオを買いにいかされるようなのではなくて、 「梅雨のはしり」 っすか。 梅雨入り前の5月に、梅雨によく似たぐずついた天気が続くことを、そう呼んでいるみたいです。 五月晴れというのは本来、旧暦の5月 (=今の6月) に見られる梅雨の合間の晴れのことなんだそうで、5月 = 天気がいい。 そんなイメージとはぜんぜん関係ないものだったんですなー。 とにかくまあ、5月に東京で金環日食を見られる確率は50%以下。 そう思っておいていいのではなかろうかと。 というか、よく調べたらもっと手頃なデータがありました。 これ です。 各地の晴天率、ちゃんと書いてあるやん! これを見ると5月21日の東京の晴天率は63.3%になってますな。 僕の推測よりも高い数値になっていて、何だかちょっと悔しいんですが、ま、僕の場合は月単位で考えてましたからね。 実際のところ、前後の日の晴天率は40%くらいなので、平均すれば50%以下。 僕の計算に寸分の間違いもありません。 おまけに今年は閏年ですからね。今年の5月21日は、平年で言うところの5月20日だと思ったほうがいいに違いなくて、36.7%でありましょうな、こりゃ。

 じゃ、他の場所ではどうなのかと言うと、中心線にわりと近い茨城県水戸市。 過去の日照率はですね、 こうなって おります。 5月の平均値は、んーと、40%くらい? 東京よりも駄目っぽい気が。 じゃ、静岡市はどうなのかというと、 こう 。 結構ばらつきがあるんですが、ま、45%っすかね? キンカンのまん丸具合さえ我慢すれば、天候的には甲府あたりがよさそうなんですが、日照率はというと、 こんな感じ 。 やっぱり45%っすな。 結論。 どこで見ても一緒や! 晴れる確率が似たようなものなら、なるべく中心線に近いところで見たくなるのが人情ですよね。 ただ、金環日食を見られる範囲に住んでいるんだけど、中心線までは遠い。むしろ端っこのほうに近い。 そういう人はですね、発想を転換したほうがいいかも知れません。中心線は諦めて、逆に北限を目指す。 そういう手もあります。 どうして北限なのか?南限では駄目なのか? そう思った人がいるに違いありませんが、今回の場合、南限は海の上ですからね。 わざわざ苦労してまで目指す必然性が無いんですが、で、北にしろ南にしろ、 「限」 まで行くと、何かいいことがあるのかというと、そこはそれ。 カステラなんかだと中心よりもむしろ、端っこのほうが美味しかったりしますよね。 金環日食だって恐らく、そういう端っこならではの楽しみがあるに違いないんですが、調べてみたらどうやら、ベイリービーズというのが見られるみたいですな。 それは一体どういうものなのかと言うと、 これ 。 何というか、福砂屋のカステラの端っこに付いてる “ざらめ” のようなものだと思えばいいんっすかね? 美味しいんですよね、アレ。 で、このベイリービーズは金環日食が見られるところならどこでも、第2接触と第3接触の瞬間に観察出来る可能性があるんですが、完全にキンカン化する地点では、ちょっとオサワリしただけですぐに離れちゃうので、結構シビア。 そこへ行くと北限の地点では、ぎりぎりのオサワリ状況がわりと長く続くので、観察しやすくなるみたいです。 写真で見る限りでは、そんなにたいして綺麗でもなくて、カステラの端っこに張り付いている紙。 あの程度の価値しか無さそうな気もするんですが、そもそも金環日食をカステラに例えたのが間違いだったのかも知れません。 スイカのようなもので、真ん中あたりが一番甘くて美味しくて、端っこのほうにいくほど、カス。 そう考えたほうがいいような気がしてきました。

 で、ベイリービーズというのはアレですな。 本来ならゴミにしかならないスイカの皮なんだけど、でも、カブトムシの餌には使えるかも? そういう余禄のようなものだと思ったほうがいいかも知れません。 ちなみに、金環日食の北限界線については、 ここ を参照して下さい。 桑名から近いところだと、岐阜県大野町あたりが北限っぽいんですが、わざわざ大野くんだりまで行ったのに、何にも見えなくて、オーノー! そんな事態になっても嫌なので、おとなしく地元で見ようかと思います。 ここ を見ると、桑名市は金環食の中心食線から離れており、偏ったリングになります。とはいえ平日の朝で遠出が難しいことを考えれば、まずまずの条件と言えるでしょう。 そんなふうに書いてあるしー。 それにしても、どうして月曜日にしちゃったんですかね? どうせなら土日とか祝日とか、ついでに言えば、晴れの特異日である11月3日の 「文化の日」 にして貰えればよかったのにー。 今回の日食を企画した人の見識を疑わずにはいられませんが、とりあえず5月21日は半休を取ろうと思いますので、会社の人、もしここを見ているようでしたら、そこんとこ、ヨロシク☆

 ということで、今週から “その他の楽器 (その他編) ” をお届けしたいと思うんですが、ここまで “その他の楽器” として、バリトンサックス、トロンボーン、フルート、ドラムス、ベース、ヴァイブラフォン、ギター、オルガン。 そういった楽器をリーダーの人が吹いたり、叩いたり、弾いたりしているアルバムを紹介してきました。 で、 (その他編) では、それらに該当しない超マイナーな楽器をリーダーの人が吹いたり、叩いたり、弾いたりしているアルバムを紹介するというのが本筋なんですが、そうでないものも取り上げてみたいと思います。 そうでもないものというのは、リーダーが複数の楽器を吹いたり (以下略) していて、楽器別の分類が難しいものとか、双頭コンボで、どっちに入れていいのか判別に苦しむものとか、特定のリーダーの名前を冠しないコンボで、どうしていいのか分からないものとか。 その他、1人で楽器を3本咥えて吹いちゃう奴とかもいるし、ついでにビッグバンド物とヴォーカル物もこのカテゴリーで紹介しようと思うんですが、とまあそんなことで、今日はユセフ・ラティーフです。 先程の分類で言うと、リーダーが複数の楽器を吹いていて、楽器別の分類が難しいもの。 そういうジャンルに分類されることになります。テナーとフルートとオーボエを吹くんですよね、このハゲ。 例えばエリック・ドルフィーなんかもアルトとフルートとバスクラを吹くんだけど、アルト編で取り上げていたじゃん! なら、ラティーフもテナー編とかでいいじゃん! 一貫性がないじゃん! 駄目じゃん! そんなふうに責められるとちょっと困るんですが、ま、そんなに厳密にやってるわけではないので、細かいところはどうか、おめこぼしの程を。 「おめこぼし」 って、関西では放送禁止じゃん! 駄目じゃん! そんなふうに責められると、またしても困ってしまうんですが、そう言えば子供の頃、よくやりましたよねー。 「 “COMECON” の最初と最後を取ると?」 っていう遊び。 オトナになった今でも “米粉” とか、いいのか? …と思ってしまったりするんですが、とまあそんなことで今日は 『ザ・ゴールデン・フルート』 というアルバムを紹介したいと思います。 ゴールデンウィークの最後を飾るに相応しいチョイスでありますな。タイトルとジャケットを見るとフルートしか吹いてなさげな雰囲気で、じゃ、フルート編で取り上げればいいじゃん。 そう思われるかも知れませんが、でも大丈夫。 ちゃんとテナーとかオーボエなんかも吹いていて、特にこのオーボエという楽器に (その他編) の要素が色濃く感じられるので、まったく問題はないのではなかろうかと。 とまあ、そんなこんなで、では1曲目。

 まずはラティーフのオリジナルで、 「ロード・ランナー」 。 そんなゲームがありましたよね。 銃みたいなので地面に穴を掘って、敵を落として生き埋めにしちゃうヤツ。 どうして直接、その銃で敵を撃たんのや!? …と、あまりの主人公の頭の悪さに、いつも忸怩たる思いを抱いたものでありますが、ま、悪くはないんですけどね、忸怩たる思い。 何だかこう、ジクジクのイチジクが好きな熟女みたいで。 イチジクと熟女は、熟れてナンボという気がするんですが、で、曲のほうはアレです。 いかにもロード・ランナーらしい “道走り感” のある仕上がりでありまして、ボサノバ風の軽快なリズムに思わず網走あたりを小走りしたくなっちゃいます。 ま、網走はクソ遠いので、須走 (すばしり) を小走りくらいで妥協しておいたほうがいいかも知れませんが、ここでのラティーフくんはテナーを吹いておりますな。 テーマの後、そのままアドリブへと流れていくんですが、フレーズ的には何となくソニー・ロリンズを彷彿させるところがあるような気がしないでもなく、普通にいい感じに歌心に溢れていたりして、ちょっと意外。 この人、油断するとすぐに変な東洋趣味に走ったりして、そういうところが東洋人から嫌われる要因になっているんですが、ここでは極めてオーソドックスな、ごく普通のハード・バップに徹していて、とっても安心で安全。 で、続いて登場するヒュー・ロウソンのピアノも、ローソンで “からあげクン” 買って、ひゅーひゅー♪ そんな悦びに満ち溢れております。 癖のない素直な弾きっぷりが耳に心地よく、バックで聞かれる洗濯板っぽい楽器のリズムも、いい感じに洗濯屋ケンちゃん。 でもって、テーマに戻って、おしまい。 正直、ラティーフにはあまり多くは期待していなかったんですが、いやあ、よかったっす。 普通によかったっす。

 で、続いては歌物ナンバーと思しき 「ストレイトン・アップ・アンド・フライ・ライト」 。 翻訳サイトに掛けてみたら、 「真っすぐになり、ちょうど飛びます」 。 そんな訳語が出て来たんですが、真っ直ぐにならずに途中で曲がったりすると、ちょうど飛ばなくなっちゃいますからね。 なかなかいい線をついていると思うんですが、で、演奏のほうはアレです。 この上なくデクスター・ゴードンっぽい仕上がり。 何だかこう、こんなに素直にスイングするユセフ・ラティーフって、ちょっとオカシクないっすかぁ? テーマの後、テナーとピアノのソロが出て、テーマに戻って、おしまい。 3分26秒の、ほんのちょっとした小さな小品なんですが、いやあ、よかったっす。 普通によかったっす。 で、続いてはラティーフのオリジナルで、 「オアシス」 。 そんな運動がありましたよね。ここでいう運動というのはスポーツの運動ではなく、文化的、政治的な目標を達成するための活動。 そっちのほうのアレなんですが、 “オアシス運動” というのはどういう運動なのかというと、おはようございます。ありがとうございます。失礼します。すみません。 そんなふうに、みんなで大きな声で挨拶しよう! そういうアレだったりするんですが、ま、要するに 「あいさつの魔法」 の元祖のようなものというか。 で、岐阜市内にこのオアシス運動を看板に掲げている美容院があるんですが、 「おはようございます」 と 「ありがとうございます」 はいいとして、残りの2つはかなり微妙。 「失礼します」 「すみません」 って、いつも失礼なことをして、謝ってばかりいる店なんかい!? その看板を見るたびに、心の中でツッコミを入れていたんですが、店主もその事に気付いたのか、ある日を境に後ろの2つが 「しっかり技術で」 「素敵な何とか」 とか、そんなのに変わっておりました。 その店の前を通る楽しみがなくなってしまって、無念の限りでありますが、で、演奏のほうはというと、ここで初めてフルートが登場します。 エキゾチックな味と香りを持った、哀愁のマイナー・チューン。 そんな感じの仕上がりだったりして、なかなかやってくれますなぁ、このハゲ。 激しいだけが、ハゲじゃない。 そんな事実に気付かされるんですが、テーマの後、フルートとピアノのソロがあって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 4分23秒の、ほんのちょっとした小品なんですが、よかったっす。

 で、続いては歌物ナンバーの 「アイ・ドント・スタンド・ア・ゴースト・オブ・ア・チャンス・ウィズ・ユー」 。 “COMECON” 同様、最初と最後を省略して 「ゴースト・オブ・ア・チャンス」 という短縮形で呼ばれることが多いんですが、 その昔、 「ときどき出る幽霊」 と訳されたことがあった。 そんな話を昔、何度となく書いたことがある気がするんですが、ときどき出てナンボですからね、幽霊って。 あまり頻繁に出られると、見ているほうとしては慣れちゃうし、飽きちゃうしで、価値が下がっちゃいますよね。 で、演奏のほうはというと、ヒュー・ロウソンのピアノのイントロが、至極。 で、その後、ラティーフが出て来てテナーでしみじみとテーマを奏でます。心に染みる珠玉のバラードっすな。 で、その後、主旋律を軽くフェイクする感じのテナー・ソロがあって、でもって、おしまい。 正直、ちょっぴり単調な丹頂鶴。 そんな感じがしないでもない展開だったりするんですが、ま、悪くはなかったので、その点はよかったと思います。 ということで、5曲目。 歌物が続いて、 「エグザクトリー・ライク・ユー」 。 ここでもロウソンのピアノによるイントロが至極なんですが、続いて出てくるラティーフはオーボエを吹いておりますな。 負け犬のオーボエ。 ボエ〜〜♪(AA略) 正直、僕はこの楽器の音色があまり好きではないんですが、ま、ソプラノサックスの変種のようなものだと思えば、我慢出来ないこともないんですけど。 ミディアム・ファストの軽快な仕上がりで、ソロの出来そのものは決して悪いわけではないので、その点はよかったと思います。 で、その後、ヒュー・ロウソンの玉を転がすようなタッチのピアノ・ソロがあって、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。 アルバム・タイトル曲の 「ザ・ゴールデン・フルート」 。 ラティーフのオリジナルなんですが、ラフテーのような味わいがあって、悪くないっす。沖縄料理の中では唯一まともだったりしますからね、ラフテー。 豚足では満足出来ないんですが、足以外の部位であれば、ぜんぜん大丈夫。 いや、ブタの耳はちょっと嫌なんっすけど。 ミミガーでしたっけ? ミミガーって、耳がどうしたんや!? …と言いたくなって、 「わきが」 と同じくらいスッキリしないものがあるんですが、ハーマン・ライトのベースが極東ムードを高めてくれて、で、そこに絡んでくるラティーフのフルートが、とっても島豆腐。 沖縄料理の中では無難なところではあるんですが、変に極東に流れたりしないロウソンのピアノが孤高の味わいで、とまあそんなことで、おしまい。 正直、タイトル曲のわりにはややインパクトが弱かったような気もするんですが、ということで、次。  「ロゼッタ」 。 何か、そんな石がありましたよね。 ロゼッタ・ストーンは (中略) である。 ほほー、なるほど。 真ん中を省略し過ぎて、あまりよく分からなかった人もいるかも知れませんが、要はアレです。ロゼッタで発見された石。そのようなものだと思っていただければいいんですが、で、曲のほうはアレです。ミディアム・ファストのスインギーな仕上がり。 そのようなものだと思っていただければいいんですが、ラティーフがテナーで真っ直ぐに吹いていて、とってもストレートで、気持ちがいいっす。 2曲目の 「真っすぐになり、ちょうど飛びます」 同様、デクスター・ゴードンを彷彿させる吹きっぷりだったりするんですが、で、その後、ロウソンが出て来ていい感じのソロを取って、でもって、テーマに戻って、おしまい。 基本、この人は “その他の楽器” を捨てて、テナー1本、もしくはフルートを加えた2本で勝負を賭けたほうがいいんじゃなイカ? そんな気がしないでもないんですが、ま、そこは本人が自分で考えることなので、他人である僕はあまり余計な口を挟まないことにして。

 で、次。 「ヘッド・ハンターズ」 。 ハービー・ハンコックがアフロ化しちゃった超有名盤と同じタイトルなんですが、それとはまったく関係がないようで、作曲者のところには H.Lawson と B.Harris の名前がクレジットされてます。 前者はヒュー・ロウソンで間違いないと思うんですが、後者はバリー・ハリスっすかね? 馬場ハリスという名前の日系人だったり、ビビンバ・ハリスという名前の韓系人だったりする可能性もゼロとは言い切れないので、何とも言えないところなんですが、で、この曲ではですね、ユセフ・ラティーフがオミットされます。 リーダーなのに、出番無し。 サイドマンに花を持たせる。そういう偽善的な行為って、何だか鼻持ちならないよね。 そんなふうに考える厨二病バリバリ全開のヤツもいるかも知れませんが、気分転換になって、個人的には悪くないと思います。 ま、悪ぶるのが厨二病の神髄なので、悪くないのは許せないのかも知れませんけど。 男の子って、少し悪いほうがいいのぉ♪ …とか、小泉今日子が 「渚のはいから人魚」 で余計なことを歌ってくれたばっかりに、真面目な僕が割を食ってしまって、何だかムカツクんですが、何でもいいけど “ATOK” で 「むかつく」 をカタカナ変換しようとしたら出てきた 「向津具」 って、いったい何なんすかね? …と思ってググってみたら、向津具小学校とか、向津具中学校とか、そういうムカツク学校があるみたいなんですが、で、演奏のほうはというと、いや、いいっすな、こりゃ。 ちょっぴりラテンなリズムが耳に心地よく、小粋でスインギーなヒュー・ロウソンのピアノを心ゆくまで堪能することが出来ます。 ラティーフを仲間はずれにして、大正解♪ …とか、意地悪なことは言わずに、ラストの 「ザ・スマート・セット」 では、再び4人が仲良く顔を揃えることになるんですが、ちなみにこれ、ドラマーとして参加しているロイ・ブルックスのオリジナルのようです。 基本はシンプルなリフ系なんですが、ま、悪くは無い出来だと思います。 テーマに続いて登場するラティーフのテナー・ソロは、ブッカー・アービンを彷彿させるクドさがあって、ちょっとアレなんですが、続いて出てくるブルックスのソロは、マックス・ローチを彷彿させるメロディアスな仕上がりで、悪くないっす。 作曲者特権とは言え、ちょっぴりフィーチャーされ過ぎのような気がしないでもないんですが、我慢出来ないこともなくて、とまあそんなことで、テーマに戻って、今日は以上っす。

【総合評価】

 プロデューサーの意向なのか、あまりユセフ・ラティーフっぽくないし、その他の楽器っぽくもない仕上がりだったんですが、ま、これはこれで、アリかも? “自作:3+サイドマン作:2+歌物:4” という選曲も、バランスがいいっす。概して日本人には評判の悪いラティーフのオリジナルも、今回ばかりは大丈夫。 1曲あたりの演奏時間が短めで、ちょっぴり物足りない感はあるんですが、ま、腹八分目とでもいうのか、まだ食えそうなくらいでヤメておくのが正解なのかも? ヒュー・ロウソン以下、脇役たちのサポートも盤石だし、超コアなラティーフ・フェチの人には駄作であると切り捨てられるかも知れませんが、そういう人種はある意味、社会人としては終わってますからね。 普通の健全な常識人なら、普通のハード・バップとして、普通に楽しめるに違いなく、今まで、毛の無さ具合で毛嫌いしたり、けなしたりしていた人にもオススメしたい、そんな1枚なのでありました。


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