MERRY GO ROUND (BLUE NOTE)

ELVIN JONES (1971/2/12,12/16)

MERRY GO ROUND


【パーソネル】

ELVIN JONES (ds)
JOE FARRELL (fl,piccolo,ss,ts) <#1,2,4,6-7> DAVE LIEBMAN (ss,ts) <#1,2,6-8> STEVE GROSSMAN (ss,ts) <#1,2,6,7>
PEPPER ADAMS (bs) <#7> FRANK FOSTER (a-cl) <#8> 増尾好秋 (g) <#1,4>
JAN HAMMER (p,el-p,glockenspiel) <#1-3,5,7> CHICK COREA (p,el-p) <#4-6>
GENE PERLA (b,el-b) <#1,6,8> DON ALIAS (conga,prc) <#1,2,5,6>

【収録曲】

(01-03) 'ROUND TOWN / BRITE PIECE / LUNGS
(04-06) A TIME FOR LOVE / TERGIVERSATION / LA FIESTA
(07-08) THE CHILDREN'S MERRY-GO-ROUND MARCH / WHO'S AFRAID...
【解説】 ( 2011年07月31日更新 / 連載 991回 )

 別所温泉に行って来ました。 詳しくは、ま、 この辺り を見て貰うとして、志賀高原を2時前に出発して、3時半過ぎに上田駅に到着〜。 そこから上田電鉄・別所線に乗って、4時過ぎに温泉に到着〜。 当初の予定ではこの日は宿に直行して、翌日に付近を散策することになっていたんですが、思ったよりもちょっとだけ早く着いたので、とりあえず 「北向観音」 だけ片付けておくことにしました。 それだけでは間が持たないので、写真のほうは翌日分も含めておきましたので、ヨロシク☆


< 別所温泉散策 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、まずは 北向観音 です。 いいですよね、北向き。 ひたむきな感じがします。 が、日当たりは悪そうな気がします。 普通、南向きか東向きに建てるんですよね、本堂。 それをどうして北向きにしちゃったのかというと、「北斗七星が世界の依怙 (よりどころ) となるように、我も又一切衆生のために常に依怙となって済度をなさん」という観音の誓願によるものといわれている。 そういう事なんだそうです。 いいですよね、依怙 (よりどころ) 。 依怙地 (いこじ) で、依怙贔屓 (えこひいき) をしそうなところがいいです。 南向きに建っている善光寺とは、ちょうど向かい合わせになってるみたいですな。 地理的にも本当にそうなっているのかどうかは定かでありませんが、どちらかだけお参りするのは「片詣り」と言われます。 '54年の大ヒット映画 「愛染かつら」 で有名になったカツラの大木もあります。 そういうスポットだったりするようです。 「愛染かつら」 って、かつらをかぶったアイゼンハワー大統領のイメージしか浮かんでこないんですが、樹齢千二百年の雄の桂の大木で、北向観音の霊木である。近くの愛染堂と結び付けられ 「愛染桂」 と呼ばれるようになり、縁結びの霊木として親しまれている。 そういうものなんだそうです。 境内そのものはそんなに広くなくて、10分もあればザクっと見て回れそうなんですが、 「プチ清水の舞台」 みたいなのもあったりして、何気に見所が多い、そんな観音でありました。 参道の雰囲気のよさも、多くの人の賛同が得られるのではないかと思われます。

 ということで、翌日です。 安楽寺 。 とっても有名な “八角三重塔” があるところですな。 ぶっちゃけ、北向観音みたいな建物は南を向いていてもいいのなら全国どこにでもありそうなんですが、八角形の三重塔が見られるのはここだけ。 超珍しいので国宝になってるし、下から見ると椎茸みたい♪ …というので、世間の人気も上々。 別所温泉観光では絶対に外せないスポットなので、ということで、行ってみました。 椎茸塔、見れませんでした。 屋根の葺き替え工事 、やってるやん! いや、事前に観光協会のHPを見て知っていたし、茸っぽいから葺き替えが必要なのも分かるんですが、正直、ガックシ。 去年、小浜の明通寺に行った時も、似たような工事をしていたんですよね。 その時はたまたま工事見学会をやっていたので、むしろ貴重な体験が出来たんですけど。 その時の話は ここ にあるんですが、相変わらずの “キノコねた” で、1年経ってもまったく進歩しておりませんな、僕。 で、別所温泉にはもうひとつ、安楽寺と紛らわしい常楽寺というのもあって、ここはどうやら北向観音とは同族経営らしいんですが、諸般の事情 (←後述) により、ほんの一瞬で立ち去ることにしました。 ここの売りは 多宝塔 らしいんですが、こんな地味なのを見ても心が華やがないしー。 とりあえず 本堂らしき建物の写真 だけアップしておいて、とまあそんなことで、温泉街の散策はおしまい。


< 岳の幟 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 話は前後しますが、この日の別所温泉のメインイベントは 「岳の幟」 でありました。 これを狙っていたワケではなく、何となく宿泊日と宿泊地を決めたら、たまたまお祭りと重なって、ラッキーでありました。 朝の9時ごろ、宿のすぐ近くの石湯の前で 「ささら踊り」 が披露されるんだそうで、時間的にもぴったりですな。 ちなみにこれ、長野オリンピック閉会式でも披露されたそうですが、こんなのやってましたっけ? 「WAになっておどろう」 と、国辱的な欽ちゃんくらいしか印象に残っていないんですが、開会式では諏訪大社の御柱祭をやってましたよね。 もし桑名オリンピックが開催されることになったら、開会式は石取祭り、閉会式は金魚みこし&七福神祭りのコラボで決定でしょうが、とまあそんなことで、始まりました。 温泉街の端っこの山のほうから、竹竿に反物をくくりつけた 長さ約6mの「幟 (のぼり) 」 を掲げた集団が降りてきます。その数、約60本。 で、石湯の前までやってくると幟を駐車場に適当に放置して、終了〜。 うん、何ともシンプルなお祭りでありますな。 で、しばらくすると地元の女児による 「ささら踊り」 が始まります。 花笠姿がめっちゃ可愛い〜♪

  (;´Д`)ハァハァ

合法的に幼女にカメラを向けることが出来るイベントとして、マニアの間では人気が高そうなんですが、わざわざ幼女に声を掛けて ニヤニヤしながら撮ってるキモいオッサンとかもいたりして、人間、年をとってもあんなふうにはなりたくないものですなぁ。 シャイな僕は端っこのほうからこっそり盗撮するに留めておいたんですが、で、その後、三頭獅子の獅子舞というのが披露されました。 1匹の雌獅子と2匹の雄獅子とが絡み合う3Pライクな獅子舞でありまして、獅子フェチには何ともたまらん出し物なんでしょうが、個人的には 「ふーん」 といった感じ。 ま、クソ暑い中、一生懸命に演じてくれている獅子の立場を慮って、1枚くらいは写真を載せておいてあげようかと思うんですが、ということで、 これ 。 ささら踊りと獅子舞で、合わせて30分くらいの出し物でありまして、それが終わると各自、放置してあった幟を手にゾロゾロと温泉街を歩いて、次の会場へと移動することになります。なかなか壮観な眺めでありますな。 ただ、電線がめっちゃ邪魔くさそうなんですよね。写真を撮っても目障りだしー。 竹竿をグラフファイバー製にして “ネオ・岳の幟” に進化させたりすると、感電者が多発しちゃいそうなんですが、景観の上でも労働災害防止の観点からも、電線の地中化を早く進めたほうがいいと思います。 ちなみに北向観音の参道 (約60m) は工事が完了したみたいですが、事業費が 2180万円ほど掛かったみたいです。うーん。。。 予算の都合で地中化が難しいなら、せめて地中海化くらいは頑張って欲しいですよね。 パエリア屋さんをいっぱい作るとか。 いや。まったく意味がないような気もするんですが、とまあそんなことで、お祭りの鑑賞は、おしまい。


< 塩田平散策 > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 今回、別所温泉の道の狭さに恐れをなして、上田駅前に車を止めて電車で来ちゃったヘタレな僕でありますが、でもまあ、その選択は正解だったのではなかろうかと。 幟軍団に行く手を阻まれて、身動きが取れなさそうですもんね、ありゃ。 が、そのお陰で今回の行動に制約が生じたのも確かであります。 上田との間を往復して温泉付近をうろつくだけなら、電車の本数がそれなりに確保されているので大丈夫なんですが、 「塩田平」 というところにも行ってみたかったんですよね。 そこに行くと何があるのかと言うと、幾ばくかの神社仏閣だとか、地味な美術館みたいなのとか。 ググってみたら、 ここ がそれなりに分かりやすいですな。 塩田町駅下車と書かれておりますが、そこから歩いていくにはちょっと遠いみたいです。何とかなりませんかね? そう思っていたら、上田バスが何とかしてくれました。 信州の鎌倉シャトルバス。 いいですよね、 「信州の鎌倉」 。 「含羞のキャバクラ」 ほどはソソられるものがないんですが、観光地としては、そこそこ何とかしてくれそう? しかも あじさい小径 なんてのもあって、今の時期がちょうど見頃みたいなんですよね。 これはもう、行ってみるしかありません。

 ということで、行ってみました。 バスの便が限られているので、綿密にプランを練る必要があるんですが、9時半頃まで 「岳の幟」 を見て、北向観音→安楽寺→常楽寺と回って、別所温泉駅を 11時20分に出るバスに乗る。 当初はそんなふうに考えていたんですが、観音は前日のうちに片付けておいたし、うまく行けば1本前に乗れるかも? ということで、大急ぎで観光を済ませた結果、 10時10分発のバス、ぎりぎりセーフ。 三連休の真ん中だし、この辺りではかなりメジャーな観光地だし、超大人気で立ち席だったりするかも? そのような事態を覚悟していたんですが、さっぱりでした。 地元民らしい婆ちゃん2人と、観光民らしい中年夫婦が1組。 僕は当初、紫陽花と 「前山寺」 だけでいいかぁ。 そのように考えていたんですが、僕の前に乗り込んだオバチャンの 「中禅寺から前山寺までって、歩いていけますよね?」 という問い掛けに対し、運転手が「そうですね。5分くらいですかね?」 と答えているのを聞いて、とりあえず中禅寺前でバスを降りて、そこから歩いていくことにしました。

 ということで、到着〜。 中禅寺薬師堂。平安未か鎌倉初期の建立と見られ、関東・中部では最も古い建造物なんだそうです。 とっても貴重なので、国の重要文化財に認定。 歴史的に見ればとっても立派なんでしょうが、モノの価値が分からない僕の目からすると、超地味〜。 これで 200円も取るかー? オバチャンにつられて、こんなところでバスを降りてしまった自分を叱り付けたい気分になってしまいましたが、その隣にあった塩野神社というのが意外といい感じだったので、ま、よかったな…と。 小さな川には屋根付きの立派な橋が架かっていたし、本殿や拝殿なんかも珍しい構造をしておりました。 武田信玄や真田昌幸、信之らも信仰を寄せたそうです。 最初から期待度がゼロだったので、思わぬ拾い物といった感じでありましたが、そこから前山寺までが遠かったですな。 ちっとも 「徒歩5分」 ちゃうやん! 運ちゃんの嘘つき〜! 運ちゃんにウンコぶつけるぅ! そう、心の中で呪いながら歩いたんですが、途中からは 「あじさい小径」 になっていて、とっても綺麗にお花が咲いていたので、ま、よあ¥かったのではなかろうかと。 紫陽花の写真に関しては、また別の機会に紹介するとして、とまあそんなことで、 前山寺 に到着〜。

 ここにはですね、「未完成の完成塔」 と呼ばれる三重塔 (←国の重要文化財) があります。 この搭の特徴は、第二層三層に普通ある縁や手すりがなく、貫が突き出た形となっています。 …ということで、未完成。 なるほど、言われてみれば確かに、2階と3階のところに中途半端に伸びた板のようなものが突き出しておりますな。 1階にはある窓や扉も上のほうにはなくて、何とも中途半端。 が、言われてみなければぜんぜん気付かないほど、立派で端正な姿をしているので、未完成の完成塔。 そういうことなんだそうです。 どうしてこうなったのか定かではありませんが、住職は以下のように言っているようです。

 「未完といわれるこの塔を見ていると己の未完を感じる。どんな人にも可能性があること、生涯学び続けることの大切さを教えています。」

 人は一生学び続ける大切さということを伝えているのですね。深い意味のある三重塔です。

 そんな戯言が ここ に書かれておりますな。 ここまで作った段階で既に完成の域に達していることを悟り、 「これでいいのだ。」 とか言って、敢えて未完成のままにした。 そういう説もあるようですが、ま、作ってる途中で、お金が無くなっちゃったというのが実情なんでしょう。よくある話です。足利義政も本当は銀閣を銀ピカにしたかったんだろうしー。 そういう意味では諸行無常を感じさせる建造物であると言えそうです。 とまあそんなことで、別所温泉と塩田平の旅、国宝の八角三重塔は見れませんでしたが、重文の未完三重塔は見れたので、十分でありました。 ということで、おしまい♪

 ということで今日はエルビン・ジョーンズなんですが、あ、信州の旅はまだまだ続きます。 当初は1泊2日の予定だったんですが、プランを練っているうちに何となく物足りなく思えて来て、もう1泊追加することにしたんですよね。 よってこのシリーズはもう1回だけ、お付き合い願うことになるんですが、とまあそんなことで、エルビンです。 エルビンと言えば昔、ナルビーという小刀みたいなのがありましたな。 エルビーから、ちょっとひねってのネタ展開なんですが、ナルビーというのはメーカー名で、一般名称はボンナイフというみたいです。 今でも潰れずに頑張っているみたいですな、ナルビー。 商品名はカラーナイフなんですね。 昔はこんなカラフルではなくて、透明のなプラスチックに地味な柄が入っていたような気がします。 ツメが飛ばない安全なツメ切りの (チラーヌ付) というのに素晴らしいセンスを感じてしまいますが、とまあそんなことで、今日は 『メリー・ゴー・ラウンド』 というアルバムを紹介したいと思います。 前回 はシェリー・マンとラス・フリーマンだったんですが、今度はデイブ・リーブマンスティーブ・グロスマン。 同じマンとマンでも、極限までクドそうなんですが、その他、曲によってジョー・ファレルペッパー・アダムスフランク・フォスターなんかが入ったり、入らなかったり。 マスオさんの名前もありますな。 ピアノはヤン・ハマーもしくはチック・コリア。 エレピやエレベの起用を、邪道だと否定的に捉える人もいるかも知れませんが、とりあえずまあ、聞いてみることにしましょう。

 まずはベーシストとして参加しているジーン・パーラのオリジナルで、 「ラウンド・タウン」 。 リーブとグロスの両マンのテナーのユニゾンでテーマが演奏されるんですが、バックではヤン・ハマーのエレピとマスオさんのギターが目立ちまくっていて、何やらポップな雰囲気が漂っておりますな。 曲そのものは、前半はシンプルでいい感じなんだけど、後半が何だか地味にクドい。 そういった感じのメロディーを2回ほど繰り返します。 で、その後、どちらかのマンのテナー・ソロがフィーチャーされるんですが、警戒していたほど前衛的過ぎてワケワカメというわけでもなく、普通にオーソドックスなアメリカンドック。 そういった吹きっぷりでありまして、ちょっぴりケチャップ風味。 その後、もう一人のマンが出てきて、短いながらもそれなりに気合いの入ったプレイを聞かせてくれて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 何だかえらくあっさりしていて、ちょっぴり拍子抜けしないでもないんですが、ま、そこそこの滑り出しだったのではなかろうかと。

 続いてはリーブのほうのマンのオリジナルで、 「ブライト・ピース」 。 バラードっぽい感じで始まって、すぐにテンポが速くなってヤン・ハマーのピアノが登場し、で、ソプラノ・サックス2本の絡みによるテーマが出てくるんですが、バックでもう1人、テナー(?)を吹いている人がいるっぽいですな。それは誰かというと、ジョー・ファレルだじょー。 いや、多分。 この人、さっきの曲にも入っていたみたいなので、あるいはどちらかのソロはこの人によるものだったのかも知れませんが、よく分かりません。 ま、済んだことなのであまり気にしないことにして話を進めると、エルビンの叩き出す激しいリズムに煽動されて、参加者各位が激しく燃える。 そういった演奏でありますな。 で、ソロ先発のヤン・ハマーが、めっちゃええやん。 ハービー・ハンコックっぽい雰囲気も感じられたりして、知的にしてハード。 そういったプレイを聞かせてくれます。 で、続く誰かのソプラノ・ソロもけっこう前衛風だったりするんですが、苦痛を覚えるほどではないので、大丈夫。 終盤はちょっぴり集団即興演奏っぽくなって、バックの打楽器もチャカポコと盛り上がって、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いや、決して長い演奏ではないんですが、なかなか充実しておりました。

 3曲目はヤン・ハマーのオリジナル、 「ラングス」 。 この人、名前だけは聞いたことがあるんですが、どういう人でしたっけ? ちょっと気になったので、ググってみました。 チェコスロバキア出身のキーボーディスト、作曲家。プラハ出身。10代よりジャズ・ピアノを始める。1968年にソ連によるプラハ侵攻(プラハの春)が起きた事がきっかけとなってアメリカに渡航し、バークリー音楽院に留学した。 なるほど。 で、その後、ジョン・マクラフリンのマハヴィシュヌ・オーケストラに入ったりしたようなんですが、チェコ人というのは 「ヤン」 という名前が多いんでしたっけ? マダムヤンとか。 いや、あれは思いきり中華ですか。 で、この 「ラングス」 はトリオによる演奏でありまして、ちょっぴりマッコイ・タイナーっぽかったりするところがアレだと思います。 ピアノ・ベース・ドラムスの三位一体感が半端でなく、まるで三頭獅子の舞を見ているようでありますが、とまあそんなことで、おしまい。 2分22秒という短い演奏でありましたが、ということで、次。 ジョー・ファレルのオリジナル、 「ア・タイム・フォー・ラブ」 。 作曲者のフルートをフィーチャーした美しいバラードでありまして、マスオさんのギターもそこそこ目立ってますおさん。 で、あまり目立ってはおりませんが、ピアノはチック・コリアなんですな。 しみじみとした愛のための時間であるな。 そういう感慨を抱かせる作品でありますが、とまあそんなことで、おしまい。

 何だかこのところ、解説の手抜き感が半端無いんですが、気にせずに先に進みましょう。 5曲目、 「ターギヴァーゼイション」 。 作者としてジーン・パーラとアート・ウィギンズの名前がクレジットされておりますが、チック・コリアのエレピをフィーチャーしたナンバーでありますな。 個人的にエレピの音色って、大須ういろの 「ねいろ」 ほどにも好きになれないんですが、ん? これ を見ると、いつの間にか 「ねいろ」 って、無くなっちゃってる? その代わりに 「みいろ」 なんてのが出ているんですな。 そんなに好きじゃ無かったのにぃ、ねいろ。 ま、そんなに好きでは無かったので、消えてもらっても一向に構わないんですが、それにすら劣るというのだから、僕の中では相当に評価が低いんですよね、エレピの音色。 よって、この曲もあまり楽しくはないんじゃないかという懸念が持たれたんですが、でも大丈夫。 エルビンくんのブラッシュワークが半端なく凄くて、それだけで 3分26秒くらいは持ちこたえることが出来ます。 日本語ライナーに原田和典クンが 「うなり声を交えながらブラッシュ・ワークの至芸を聴かせる」 などと書いておりますが、まさしく至芸、凄ぇ! そう言いたくなるようなキレっぷりです。 もう、ビンビンだぜ、エルビン! 電気ピアノの人もそれなりに頑張っているんですが、チック好きの人にとっては、続く 「ラ・フィエスタ」 が気になるところでありましょう。 僕はチック・コリアやキース・ジャレットといった、何となくギャルのウケがよさそうな奴らを意図的に避けて今までの人生を生きてきたので、あまりよく知らんのですが、 『リターン・トゥ・フォーエヴァー』 というアルバムに入っている曲なんですな。 で、このエルビン版は、それに先立つこと3ヶ月前の吹き込みなんだそうで、歴史的に見て貴重なんだとか。 僕としては、意図的に聞くのはこれが始めてということになろうかと思うんですが、んーと、何となくコルトレーンの 「オレ」 っぽい? いや、アレよりも複雑なメロディでありますな。 普通に悪くないじゃん。 そう評価するにヤブサカでないんですが、チックくんの生ピアノとサックスとの複雑な絡み具合が、とってもラ・フェスタ。 誰かのソプラノ・ソロも、チックのピアノ・ソロも、共に大いに頑張っていて、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 本アルバムのピークであったな。 そんな感慨を抱かせる熱い仕上がりでありました。

 で、次、エルビンの日本人塚妻、ケイコたんが作った 「ザ・チルドレンズ・メリー・ゴー・ラウンド・マーチ」 。 何すか、こりゃ? 原田クンは 「はなさかじいさん」 のようなテーマ・メロディと書いておりますが、あまりの童謡っぽさに動揺を押さえることが出来ない自分がいます。 こんな変な曲を書いてよこしたケイコ婦人には、即刻離縁を申し出るべきだと思うんですが、でまた、ジョー・ファレルの吹くピッコロが間抜けですなー。 この楽器、どんなに頑張ってもシリアスな展開にはならないので、ジャズで使うのは禁止したほうがいいように思うんですが、ま、いかにもお子様の回転木馬っぽい無邪気さはいい感じに表現されていると思うんですけど。 ルララ〜リロ〜、回転木馬〜 ルララ〜リロ〜、思い出乗せて〜、回る〜♪ 「回転木馬」 by 松本ちえこ。 あれに匹敵する程度のレベルには達していると思います。 で、演奏のほうはというと、あまりにも牧歌的なテーマとは対照的なエルビンのアグレッシブなタイコの叩きっぷりが、秀逸。 が、全体としては、ふざけておりますな。 そう言えばパーソネルのヤン・ハマーのところに 「グロッケンシュピール」 なる謎の楽器の名前が記載されていたんですが、後ろのほうから聞こえてくる鉄琴みたいな奴がソレみたいです。 これ 。 うーん、普通に鉄琴ですな。

 ということで、ラスト。 フランク・フォスターのオリジナル、 「フーズ・アフレイド」 。 これ1曲だけ録音日が違っていて、 『ジェネシス』 というアルバムのセッションからの回し者のようですが、何も無理して回してくれなくてもよかったのにー。 ま、最後の締めがあんな変なマーチじゃ、やだ。 そういう気持ちは分からんでもないんですけどね。 作曲者がアルト・クラリネットなる地味な楽器を引っさげて演奏にも参加しているんですが、その低音楽器とソプラノ・サックスとの対比は、なかなかイケてます。 全般的にけっこうハードで、先程来のお遊戯ムードは完膚なきまでに吹き飛んで、厳しいオトナの世界が展開されております。 両極端なんじゃ! そう思わずにはいられませんが、とまあそんなことで、おしまい。

【総合評価】

 バラエティに富んだ作品でありましたな。 「ラ・フィエスタ」 以外は 2分22秒〜 4分48秒と、どれも短めの演奏になっていて、ちょっぴり物足りない気がしないでもないんですが、それなりに密度は感じられれるので、悪くはないです。 ということで、よかったっす。


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