BROKEN SHADOWS (COLUMBIA)

ORNETTE COLEMAN (1971〜72)

BROKEN SHADOWS


【パーソネル】

ORNETTE COLEMAN (as)
DON CHERRY (pocket-tp) BOBBY BRADFORD (tp) DEWEY REDMAN (ts)
CHARLIE HADEN (b) ED BLACKWELL (ds) BILLY HIGGINS (ds)
CEDAR WALTON (p) JIM HALL (g) WEBSTER ARMSTRONG (vo)

【収録曲】

(01-03) HAPPY HOUSE / ELIZABETH / SCHOOL WAORK
(04-06) COUNTRY TOWN BLUES / BROKEN SHADOWS / RUBBER GLOVES
(07-08) GOOD GIRL BLUES / IS IT FOREVER

【解説】 (2010年04月18日更新)

 朝起きたら、ドン曇りでした。 あ、「埼玉お花見の旅」 の2日目なんですが、ま、事前の予報でも “曇り時々雨” だったので、午前中、傘を差さずにすめば上出来?…くらいに思っていたんですけどね。 念の為にテレビを付けて天気予報をチェックしたら、ん? 雨のち曇り? アカンやん!悪化してるやん! 僕は何も悪いことをしてないのに、どうして悪化しちゃったんすかね? もしかして、ウイリアム・アッカーマンの陰謀?  そっちがその気なら、天気を好転させる為にコールテンのズボンを履くだけの覚悟は出来ているんですが、オッサン臭いから嫌なんですけどね、コールテン。 聞いた話によると、ヤングな若者はコーデュロイとか言ってるみたいだしぃ。 とまあそんなことで、コールテンのズボンを履くのはヤメにしたんですが、おかげで天気はまったく好転せず、宿を出る頃には小雨が降り始めました。ああん。。。 が、当初の予定通り、とりあえず “長瀞” に行ってやるぅ! ま、行くだけ無駄なような気もするんですが、お昼には熊谷の “小山食堂” でフライを食べることになってますからね。 かんぽの宿・寄居 から熊谷に直行したところで、「熊谷次郎直実の銅像鑑賞」 で、昼まで時間が潰せるとは思えないしー。


<長瀞散策> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、秩父鉄道に乗って “長瀞” に行ってきました。 いいですよね、長瀞。 すくなくとも “長縄” よりはいいよな?…という気がするんですが、いや “長縄” というのは特定の人物の名字ではなくて、文字通り 「長い縄」 のことなんですけど。 ただ長いだけの縄やん!…としか思えなくて、ちっともよくないですもんね、長縄。 じゃ、 “長瀞” と “長靴” ではどっちがいいかと言われると、ちょっと悩んでしまうんですが、少なくとも雨の日は “長靴” のほうがいいような気がしますよね。靴下がべちゃべちゃにならないしぃ。 が、長靴は桑名のミスタートンカチとかでも見ることが出来ますからね。 一方、長瀞は埼玉でしか見れないので、今回はこっちを選ぶことにしたんですが、予報によると長野のほうは天気がいいみたいですしね。 寄居町に比べれば長瀞のほうが微妙に長野に近いような気がするし、長野と長瀞なら 「長」 の字も被っているので、きっと大丈夫なのではなかろうかと。

 ということで、到着しました。 小雨が降ってました。  「長」 の字が被っていたところで、何がどうなるものでもない。 そういう現実を目の前に突き付けられたワケでありますが、ああああ〜、長瀞は〜、今日も雨だった〜ぁぁぁ♪ ま、傘を差さなくても何とかならないでもない程度の小雨だったので、まだよかったんですけど。 とまあそんなことで、手始めに 「岩畳」 に行ってみました。 岩畳とその周辺では、かつて荒川の流れで出来た甌穴をはじめ、断層や褶曲(しゅうきょく)、節理(せつり)、片理(へんり)などが見られます。…とのことなんですが、なるほど、言われてみれば確かになかなかの片理っぷりでありまして、アーニー・ヘンリー好きの僕も、すっかり満足。 ただ “甌穴” のほうはどこにあるのかよく分からず、おまけに何と読むのかもよく分からなくて、ちょっぴり無念。 字面を見る限り何となく穴場っぽくて、よさそうな感じなんですけどねー。 で、この時期の岩畳にはユキヤナギが咲いていて、斉藤由貴と柳ジョージ好きの僕も、すっかり満足。 出てくる名前がどうにも昭和っぽいんですが、ま、長瀞そのものが、あまり平成っぽくない観光地ですからねー。 で、この辺りの荒川はさほど荒くはなくて、静かな 流れの荒川静香。…といった風情なんですが、何となく水が緑っぽく見えるのは雨降りだからですかね? 対岸の森も雨に煙って、柳ジョージ&レイニーウッドなんですが、ま、川面に近づいてみたら、それなりに水は綺麗だったんですけど。 で、こんな日は 「ライン下り」 も開店休業状態でしょうなぁ。 船頭も暇なあまり、千堂あきほの物真似とかをしてるに違いありません。

 というのが (写真1枚目〜4枚目) の概要なんですが、いや、船頭の物真似は写ってないんですけど。 で、その後 “北桜通り” というところに行ってみました。 相撲取りの北桜が豪快に塩を巻き散らしながら闊歩しているのか?…と思ったら、歩いてなかったんですが、引退しちゃいましたからなー。 ちなみに趣味はビーズ編みらしいんですけどね、北桜。 で、桜のほうは3〜5分咲きといったところでしょうか? 満開だったら観光ポスターみたいな見事な 「桜のトンネル」 が楽しめると思うんですが、3分咲きでは、ま、3分も眺めれば飽きちゃいますな。…というのが (写真5枚目) の状況です。


<長瀞かたくりの郷> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 で、続いて 長瀞かたくりの郷 に行ってきました。 子供の頃、下痢をした時のお食事は 「おかゆ」 か 「かたくり」 と決まっていたんですが、僕は断然、カタクリのほうが好きでした。 その思い出は ここ に書かれているので、詳しくはそっちを見て貰うとして、あ、 <鳩吹山のカタクリ> というところにありますので、梅のところは読まなくてもいいです。 で、この “かたくりの郷” 、本来なら前日に訪問する予定だったんですが、諸般の事情により、翌日に延期になりました。 その事情に関しては ここ を見て貰うとして、ま、要は電車に乗り遅れたというだけの話なので、わざわざ前回分を読み直すまでもないんですけど。 で、翌日になったら小雨だったのでガックリなんですが、カタクリたんって天気がよくないと、花弁をガバっと御開帳してくれないんですよねぇ。。。 でもまあ、岩畳のところに貼られたポスターには 「見頃です!」 と書いてあるし、オフィシャルサイトには、長瀞かたくりの郷には、かたくりの花以外にも多くの花が咲きます。…と書いてあるし、北桜通りでは思ったほど時間が潰せずに、熊谷のフライにはまだ時間があったので、とりあえず覗いてみることにしました。

 北桜通りに無料シャトルバスの出発所があったんですが、平日で、朝早くて、雨降りだからなのか、まったくヤル気が感じられなかったので、秩父鉄道に乗って樋口という駅まで行って、そこから15分ほど歩くことにしました。 駅を降りてしばらくして白鳥橋というのを渡ることになるんですが、ここから見る荒川は、なかなか荒川長太郎合名会社っぽくて、悪くないですな。今では株式会社アラクスという、つまらん名前になっちゃいましたけどね、ノーシンの会社。 …というのが (写真・いちばん上) です。  で、橋を渡り終えて交差点を左に曲がると、桜が綺麗に咲いている寺が見えてくるんですが、その道路を挟んだ向かい側が “かたくりの郷” の駐車場のようです。 で、その奥にあるテントが、どうやら受付のようです。 こんな日は誰も来ないに違いないと思ったら、クルマが1台やってきて、中からオバチャンが2人降りてきました。 で、何を思ったのか、受付に向かって歩いていた僕のほうにに近付いてきて、 「カタクリが咲いてるところって、どこですかぁ?」 と声を掛けられました。 そこそこ!そこが受付やろ!?…と思わずにはいられませんでしたが、どう考えてもテントの中のオッサンに聞いたほうが話が早いと思うんですけどね。 オバチャンの思考回路や行動パターンというのは、いつの時代にも不可解です。

 あっちで桜の花を見てたら、こっちにカタクリが咲いてるところがあると聞いて、とりあえず来てみたそうなんですが、そうですかぁ。それはいい事を教えて貰いましたなぁ。 で、他に誰もいなかったら、そのままバックレようかとも思ったんですが、力強い援軍が得られたので、思い切って 380円払って入場することにしました。 念のため、受付のオッサンに 「こんな天気では咲いてないっすよね?」 と聞いてみたら、やはり 「そうですねぇ。」 という返事だったんですが、それでも 380円はしっかり徴収するんですな。 埼玉県民、がめついです。 念のため、「他には何か咲いてますか?」 と聞いてみたら、 「ニリンソウが咲いてます。」 という回答だったんですが、とりあえず仮設トイレで用を足していると、その間にオバチャンたちは既に入場を果たした模様です。 その後をつけるように歩いていたら、いきなりこっちを振り返って 「この白い花はなんですかぁ?ヒトリシズカぁ?」 と質問を投げ掛けられたんですが、そんなもん、知らんっ! 首から一眼レフをぶら下げて歩いていると、 「お花の名前に詳しいヒト」 だと判断されるのか、たまに質問してくるんですよね、オッサンとか、オバサン。 迷惑です。 迷惑なので、つれない態度で 「知りませーん!」 と答えておいたら、愛想の悪い兄ちゃんであると理解したようで、以来、声を掛けられることはなかったんですが、で、先を歩いていた関係者らしいオッサンに、 「この白い花はなんですかぁ?ヒトリシズカぁ?」 と、同じ質問をぶつけておりました。 どうやらソレが “ニリンソウ” らしいと、3人のやりとりから判断することが出来たんですが、咲いているというより、咲いてないとは言えないような気がしないでもない。…といった程度の咲きっぷりでありましたので、写真のほうは割愛させて頂きたいと思います。

 で、肝心のカタクリたんはどうかと言うと、やっぱりぜんぜん開いていませんなぁ。。。 思ったよりも立派な群生地で、斜面一面がもう、カタクリまるけっ♪…といった感じで、これでもし天気がよかったりしたら壮観であるに違いなくて、それだけに天候だけが残念でありますなぁ。。。 散策路はけっこうワイルドでアップダウンも激しく、オバチャン達にはちょっとハードだったようで、途中で追いついてしまったんですが、「天気がよかったら、もっと綺麗なんですかぁ?」 と聞かれたので、 「ほら、晴れてたら綺麗やと思いますよぉ。」 と、カタクリ好きを代表して、弁明させて頂きました。 「こんな日はお金を取ったら駄目よねぇ。」 とか、 「逆にお金を貰いたいくらいよねぇ。」 とか、 「こんなところで転んだら大変だしぃ。」 とか、 「おじさんも、ちゃんと言ってくれないと駄目よねぇ。」 とか、散々ぶーたれておりましたが、あっちの桜のところで余計なことを教えられて、とんだ傍迷惑だったことでしょう。 「どこから来たのぉ?」 と聞かれたので、 「もう、遥か遠くです。三重県っす。」 と答えたら、かなりビビってましたが、そんな遠い所から、何て物好きな。…と思われたに違いありません。 ま、確かに収穫としてはゼロに近かったんですけどね。 唯一、 (写真・いちばん下) の “コスミレ” が、まるで秘部をさらけ出すように激写することが出来たので、よかったのではないかと思います。


 ということで、熊谷に戻って、小山食堂で 「フライ」 を食べました。 お好み焼きとクレープの中間のような食べ物。…という説明を聞いても、まったくピンと来なかったんですが、実際に食ってみて、その意味が分かりました。 お好み焼きのように小麦粉に “具” を混ぜて焼くのではなく、小麦粉で具なしの“プレーンお好み焼き”のようなものを作るんですな。 で、その片面にソースを塗って、半分に折り畳むと。 で、その真ん中に “具” を挟むと。 具は豚肉とネギでありました。 豚肉はけっこう量があって、おいちい♪ で、余計な桜エビが入ってないところが、個人的には、うれちい♪ が、皮の部分は単なる小麦粉の団子のようなもので、正直、微妙。。。 「焼きそばと小フライのセット」 を頼んだんですが、フライの単品にしなくて正解でした。 ノーマルサイズのフライだったら、持て余したに違いありません。 ま、話のタネに1回食っておけば、いっかぁ。 そんな気がしないでもありません。 個人的な熊谷のお薦めはフライより断然、 「ちーず大福」 でありますなー。


<鉄道博物館> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 で、最後に大宮の 鉄道博物館 に行ってきました。 話によると、半日でも時間が足らないほど充実した設備のようで、もう、雨だったら2日目はずっと “鉄博” でもいっかぁ。…と思っていたんですが、長瀞とカタクリとフライの誘惑に負けて、結局、僕に残された時間は2時間弱。 それで入場料 1,000円はちょっと勿体ないような気もするんですが、ま、雨の日に他に行くようなところもないしぃ。 で、結論から先に言っちゃいます。 まあまあ楽しかったです。 が、所要時間は1時間弱で大丈夫でした。 そもそも僕はさほど熱心な鉄ヲタではないですからね。 運転シミュレータとかを体験しようとすれば半日では時間が足りないでしょうが、ざっと見るだけなら、ま、そんなもんで大丈夫かと。 いかにも昭和っぽいボンネット型の特急が見れて、よかったな♪ 乗客には女子高生もいて、よかったな♪ でも、髪型があまりにも残念過ぎるな。 ふだん見ることが出来ないパンタグラフをじっくり観察することが出来たのは収穫だったし、2回から全体を見下ろすと、車両も人も、まるでミニチュアのように見えるところが面白かったな♪ …とまあ、総括すると、そういった感じです。 ちなみに (写真・下から2枚目) の“特急あずさ” (←2号はどうかは不明) は、建物の外にありました。他にも何両か展示されたんですが、中に入りたい放題♪ シートにも座りたい放題♪ 売店で駅弁を買って、この中で食べれば、 埼玉にいながらにして、プチ旅行気分が味わえるという、そういう趣向であります。

 とまあそんなことで、 “サイタマ旅” のお話は以上なんですが、いやあ、よかったです、長瀞。 少なくとも、スカトロよりはよかったです。 …というのが今回の結論です。 おしまい♪

 ということで今日はオーネット・コールマンなんですが、いいですよね、オーネット。 いかにもこう、結婚相談所の老舗やな!…といった感じで。 一方、コールマンのほうもアウトドア用品の老舗っぽくて悪くないんですが、一時期、意味もなくアウトドアにはまりそうになった頃、憧れの的だったんですよね、コールマンのランタン。 当時はちょっと貧乏だったので、ミスタートンカチで売ってた電池式のランタンしか買えなかったんですけど。 そのうち、アウトドアなど別にどうでもよくなったので、無駄な買い物をしなくて済んで何よりだったんですが、ま、プリムスのバーナーとか、ドーム型テントとか、タープテントとか、寝袋とか、テーブルとか、椅子とか、バーベキューコンロとか、食器セットとか、まな板とか、チャコールブリックとか、着火剤とか、それ以外には嫌というほど無駄なものを買っちゃったんですけど。 最近ではハーブ・ゲラーの 『ジプシー』 とか、ピート・ブラウンの 『フロム・ザ・ハート』 とか、ここで取り上げる為に買ったCDが無駄な浪費に終わってしまいましたが、今回は大丈夫。 オーネットなら手持ちのネタで何とか賄うことが出来ます。 さほど好きではないんですが、それなりに大物なので、一応の枚数は確保しているんですよね、この人のアルバム。 とまあそんなことで、今日は 『ブロークン・シャドウズ』 というのを取り上げてみようと思うんですが、フリー・ジャズの寵児、オーネット・コールマンが1971〜1972年にかけて録音した代表的名盤。彼の良き理解者であるドン・チェリーや、シダー・ウォルトンなどの大御所を迎えて、斬新なアドリブを繰り広げる。…って、何とも適当でありますな、 『CDジャーナル』 のデータベース。 どうやらこれ、 『サイエンス・フィクション』 というアルバムの余り曲+オマケで構成された寄せ集め作品のようなんですが、大御所のシダー・ウォルトンが参加しているのはオマケの数曲のみ。 こんなの、とても代表的名盤とは思えないんですが、ま、とりあえず聴いてみることにしましょうか。

 1曲目、「ハッピー・ハウス」。 ハッピーなハウスというのは恐らく、法被 (はっぴ) がいっぱい飾ってある家のことではないかと思うんですが、いいですなぁ、毎日がお祭り気分で。 演奏のほうも4人の管楽器奏者のほか、1人のベース弾きと2人のタイコ叩きが入り乱れて、まさにお祭り騒ぎ状態なんですが、曲そのものはアレです。 いかにもオーネットが書きそうなフリー系のネオ・バップっぽいものだったりします。 フリー・ジャズの寵児などというものだから、どれだけ酷いのかと思って身構えていると、思ったよりも意外とストレートだったりするんですよね、この人の作風って。 が、直球だと思ってバットを振ったら、ストンと落ちたりするところは、さすがフリー・ジャズの村田兆治といった感じなんですが、集団で喚き散らしてテーマを奏でた後は、1ベース&2ドラムスをバックにひとりずつ大人しくソロ廻しをしたりして、保守派の僕でも、ぎりぎり何とか我慢出来ないこともない程度のフリーさに踏みとどまってくれております。 特にデューイ・レッドマン(ts)やボビー・ブラッドフォード(tp)のソロは、ちょっといいかも?…と思ってしまったほどなんですが、オーネットやドンチェリだって、この時点ならまだ大丈夫。 僕にだって1曲くらいなら耐える力が備わってます。 で、最後はタイコの2人が大いに頑張って、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。 「エリザベス」 。 エリザベスと言うと、エリザベス女王やエリザベス・テイラーより、エリザベスカラーのほうが先に頭に浮かんでしまうですが、アレを装着した猫って、ちょっと可愛いっすよね。 これ とか。 何だかもう、エリザベス・クロコぉぉ♪…と、人様のネコを勝手なフルネームで呼びたくなってしまうんですが、曲のほうはアレです。 スピリチュアルなムードを持った、なかなか荘厳タイプなソレだったりしております。 4管のハモリ具合がなんともいえずに山川鱧。…といった感じなんですが、山川豊のそっくりさんなら、芸名はやっぱりコレがいちばんだと思うんですよね、山川鱧(はも)。 で、演奏のほうはアレです。 アドリブに入ってからもずっとハモリっぱなしで、いわゆるコレクティブ・インプロヴィゼーション (集団即興演奏) が繰り広げられることになるんですが、個人的にはこういうのって、ちょっとキツイっす。。。 ま、テンポが遅めなので、無駄に喧しいというワケではないんですが、かと言って聞いてて楽しいわけでもなく、ということで、次。 3曲目、 「スクール・ワーク」 。 「学校の仕事」 というと、文化祭に笑福亭学光を呼んだりとか、そういう仕事の事だと思うんですが、 「学光よりもガッキーのほうがいいっ!」 と生徒から文句を言われたりして、何かと大変ですよね。 で、これはアレです。違った名前が付けられておりますが、 『ダンシング・イン・ユア・ヘッド』 で演奏されていた 「テーマ・フロム・ア・シンフォニー」 。 それと同じです。童謡調の韻を刻むメロディ…と、ジェイムス・アイザックが書いた原文ライナー (対訳:藤沢睦美) にあるんですが、睦美ちゃんも対訳という大役を任されて、お疲れさまでありました。ちなみに今年の僕は大厄の後厄だったりするんですが、それはそうと予期せずに知ってる曲が出てきたので、ちょっぴり嬉しいですな。 編成のほうもドラマー1人とドン・チェリーが抜けて、幾分スッキリしているしアドリブ・パートも無駄に集団で喚き散らしたりせず、きっちり一人ずつ順番にフィーチャーされているし、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いやあ、普通にオーソドックスで、よかったっす。

 で、4曲目。 「カントリー・タウン・ブルース」 。 いかにも田舎町らしい牧歌的な旋律を持った、戦慄のフリー系ブルースといった感じの作品でありまして、オーネット、ドン・チェリー、チャーリー・ヘイデン、ビリー・ヒギンズの4人で演奏されております。 だんだん参加人数が少なくなっていくんですが、その先鋭性は決して損なわれることがありません。 というか、ドン・チェリーが無駄に頑張ってくれているお陰で、個人的にはかなり辛いものがあったりするんですが、ここではヘイデンのピチカート・ソロも大きくフィーチャーされていて、ちょっぴり気分が変わるという点では、それなりに評価していいかも知れません。 いいですよね、ヘイデン。 少なくとも、閉店よりはヘイデンのほうがいいよな?…という気がするんですが、店が閉まっていては、何も始まりませんからね。 とまあそんなことで、続いてはアルバム・タイトル曲の 「ブロークン・シャドウズ」 なんですが、ブロークンと聞くと何となく、イカクン (←イカの燻製) とミカンの缶詰が食べたくなってきますな。 ブロークンとイカクンは、韻を踏んでいるから何となく分かるとして、どうしてミカンの缶詰なのかというと、その昔、形の崩れちゃったミカンはブロークンという名前で缶に詰められていたんですよね。今でもあるのかも知れませんが、ブロークしている分、お値段のほうもお値打ちになっていて、さば家ではもっぱらブロークンが愛用されておりました。 というか、世の中には形が崩れていないミカンの缶詰もあったんや!…という事を知ったのは、わりとオトナになってからのような気もするんですが、で、演奏のほうはアレですな。そしてまさに耽美としかいいようのない…と、原文ライナーでは賞賛されているんですが、個人的には耽美というよりも “痰つぼ” といった感じで、いや、決して汚いというわけではないんですが、聴いて楽しい音楽とは、とても思えません。 基本、4管のうちの3管がハモリ担当で、残りの1人が順次、ソロで暴れるというフォーメーションなんですが、後方支援部隊の吹きっぷりがやや単調な気がしないでもなくて、探鳥会で丹頂鶴を探すような楽しさは、僕には見出せませんでした。

 ということで、6曲目。 「ラバー・グローブズ」 。 いかにもゴム手袋らしい曲調の作品でありまして、いかにもオーネットらしい演奏を堪能することが出来ます。 ドン・チェリー抜きで、デューイ・レッドマン入りなところは個人的に評価出来るんですが、それ以外はさほど評価すべき点はありません。 とまあ、この調子では、個人的には大ハズレになっちゃうところだったんですが、ここから盛り返しました。 7曲目、 「グッド・ガール・ブルース」 。 「いい少女のブルース」 ですか。タイトルからしても期待が持てそうなんですが、ま、欲を言うなら 「いい少女のズロース」 のほうが、もっとよかったとは思うんですけど。 で、これ、最初のほうにもかいたように、シダー・ウォルトンが参加したりしております。 ここまでの評価が辛口だった要因のひとつとして、ピアノが入ってなくて、寂しい。…という点が挙げられるんですが、個人的にはどうも好きになれんのですよね、ピアノレス。 スタイル的に見て、相性という点ではちょっと不安があるんですが、とりあえずシダーの参加は嬉しい限りでありまして、でもって、更にはジム・ホールのギターまで入っております。 個人的にギターというのは、どちらかというと排除したいタイプの楽器だったりするんですが、ま、今回は特別に許すことにして。 それだけに留まらず、ウエブスター・アームストロングという、ベン・ウエブスターの腕を強力にしたような名前のオッサンのボーカルまで入っていたりして、何とも意表を突かれてしまいましたな、こりゃ。 歌そのものはオーソドックスなブルース風だったりするので、フリーな伴奏とのコントラストが、何とも言えずにシュールだったりします。 で、続く 「イズ・イット・フォーエヴァー」 も、以下同文。 こっちのほうはジム・ホールもギターがより目立つような作りだったりするんですが、ちょっぴり 「ロンリー・ウーマン」 を思わせるところもある、心に染みる深い演奏であると評価していいと思います。 ちっとも不快ではなくて、いいです。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 オーネット・コールマンなのに、普通に聴いて楽しい演奏だったりすると、それはそれで、何だかちょっと楽しくないような気がするので、やや苦痛を感じるくらいで、ちょうどいいのではなかろうかと。 ラストの2曲がなかったら 「やや苦痛」 くらいでは済まなくて駄目だったと思うんですが、異色のボーカル曲が、何だか不思議と、よかったっす。…といった1枚ではなかったかと。 とまあそんなことで、 “jazz giant vol.31” は、おしまい♪


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