ANGEL EYES (COLUMBIA)

DAVE BRUBECK (1962/7/2,1965/2/15)

ANGEL EYES


【パーソネル】

PAUL DESMOND (as) DAVE BRUBECK (p) GENE WRIGHT (b) JOE MORELLO (ds)
【収録曲】

(01-03) LET'S GET AWAY FROM IT ALL / VIOLETS FOR YOUR FURS / ANGEL EYES
(04-05) WILL YOU STILL BE MINE? / EVERYTHING HAPPENS TO ME
(06-07) LITTLE MAN WITH A CANDY CIGAR / THE NIGHT WE CALLED IT A DAY

【解説】 (2009年03月29日更新)

 春ですなぁ。あちこちから桜の頼りも聞かれるようになりましたが、桜が咲くと桜の写真を撮ったり、桜餅を食べたり、さくらと一郎の 「昭和枯れすすき」 を歌ったり…と、何かと忙しくなります。 ま、歌うにしろ、どうせ僕は一郎役だし、どうせ一緒に歌ってくれる “さくら役” もいないので、桜とはあまり関係なかったりするんですが、それも何だか悔しいので、 “さくら役” をサクラで雇いますかね? ま、そこまでするほど、僕はこの歌に思い入れがあるわけではないので、桜井クンくらいで妥協しておこうと思うんですが、小学生の頃、同級生にいたんですよね、桜井クン。遠足のおやつ300円分がすべて明治ドロップだったという、かなり偏った趣向の持ち主だったんですが、とまあそんなことで、桜が咲き始めると何かと忙しくなります。 そこで、桜が本格的に咲き出す前に、これまで撮り溜めた “お花の写真” の在庫処分セールをやっておこうと思うんですが、ということで今回はネタに困った時の切り札、 one finger snap お花編 の出張版ということで、ひとつヨロシク!

<南濃梅園 (その1)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 花見好きの人にとって、桜に先駆けて花を咲かせる “梅” という木は、かなり有り難い存在だったりします。 ただ、梅の花が咲く時期というのは、杉の花粉の飛散と重なるので、せっかくの楽しいお花見も、お鼻水を垂らしながらということになってしまうんですが、今年は暖冬の影響か、梅の花がほころび始めるのが早かったですな。2月の頭にはもう、梅の便りが聞かれましたもんね。 僕はいつも梅の花見というと 安八百梅園いなべ梅林公園 かの、どちらかに行ってたんですが、毎年ということになると、さすがにちょっと飽きて来ました。 梅林公園写真コンテスト の賞品、 “いなべづくし(市特産品詰合)” にはちょっとソソられるものがあるんですが、ところで、いなべ市の特産品って、いったい何があるんですかね? 桑名市の特産品なら時雨蛤とか、かぶら煎餅とか、安永餅とか、アイスまんじゅうとか、旧・多度町を含めるなら多度豆とか紅梅焼きとか、いろいろあるんですが、特に紅梅焼きなんてのは梅の写真のコンテストの賞品としては最適ですよね。もっとも、僕はこの紅梅焼きというのがあまり好きではなくて、下手に当選して紅梅焼き1年分とか貰っても困るだけなので、絶対に入選しないような駄作を応募するしかないんですが、いなべ市の特産品には何があるんですかね? ざっと調べてみた限り、黒米や赤米から造った酒、梅ジュース。 ま、そういったものではないかと思われるんですが、調べてみたらさほどソソられるものでもなかったので、コンテストは別にどうでもいいような気がしてきました。

 となると、津の 結城神社 あたりが候補に挙がってくるんですが、何でもいいけど津のマスコット・キャラの シロモチくん って、ひこにゃんをネコからモチに変えただけっぽくないですかね? にもかかわらず、それなりに人気もあるようで、桑名人の僕としては何だか悔しいので津に行くのはヤメにして、そういえば秋になるとよく彼岸花を見に行く、岐阜の海津の南濃の津屋川の堤防のところに、ナントカ梅園という看板が出てたっけ?…ということを思い出したので、とりあえずそこに行ってみることにしました。2月7日のことであります。 場所はえーと、 ここ の彼岸花のところを参照して下さい。彼岸花は川の左岸のほうによく咲いているんですが、右岸のほうがちょっとした梅園になっております。 ここ、正式には 南濃梅園 という名前なんだそうで、囲いも何も無いので今まで気付かなかったんですが、中日本氷糖(株)の私有地だったんですな。 砂糖屋がどうして梅園なんか経営しているのかというと、恐らく、梅酒を浸けるには氷砂糖が付き物だからなんだと思うんですが、梅園→梅の花→梅の実→梅酒→氷砂糖という連想から、売り上げが増えると踏んだんでしょうな。風が吹けば桶屋が儲かる…というのに比べれば、随分とシンプルで分かりやすい戦略なんですが、梅園→梅の花→梅の実→梅酒と来て、ウメッシュが売れるだけというオチも考えられるんですけど。 で、肝心の梅の花はというと、おお、咲いてる、咲いてる♪ 満開とまではいかないんですが、半開…にも、まだ達してしませんな。 “咲き初め” といったところでしょうか? “咲きはじめ” ではなく “咲きそめ” と発音するところが、何だか “さきイカ” と “イカソーメン” みたいで何とも風情があるんですが、ここで梅の花の写真を撮る場合のポイントとしては、いかにして養老山地をバックに配するかというところにありますか。今回、撮影に使用したレンズは tamron SP AF90mm F/2.8 なんですが、花をマクロで撮るのはいいとして、35mm判換算で135mm相当という画角は、周囲の風景も合わせて写し取るには、ちょっと不向きでありましたなぁ。。。


<南濃梅園 (その2)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、新しいマクロレンズを買いましたー。先週、鼻マスクの撮影のところでも登場した AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED であります。以前、SIGMAの50mmマクロを持っていたんですが、オートフォーカスの動作がおかしくなって、難有り品としてオークションで売っ払ってしまったので、コイツを買いましたー。 新しいレンズを買うと、とりあえずシシャモでも何でもいいから試写したくなるというのが人情というものでありまして、ミサイルというのも、開発したらとりあえず試射したくなっちゃうものなんでしょうな。その意味で、北朝鮮の気持ちも分からんではないんですが、とまあそんなことで、1週間後にまた南濃梅園に行ってみることにしました。 Nikon の D90 に新しい Micro NIKKOR 60mm を付けて、もう1台の D40 には Ai AF Nikkor 35mm F2D を付けることにして、で、肝心の梅の花はというと、おお、咲いてる、咲いてる♪ 1週間で、見事に満開っ♪ 空も、まるで Capture NX 2 で補正したかのように不自然に青く、いや、いちばん上の写真はともかくとして、上から2番目あたりは silkypix でRAW現像しただけなので、あながちインチキとも言えないんですけど。整形ではなく、ケバめの化粧といったところでしょうか? で、やはり35mm判換算で 52.5mmのレンズのほうが、風景を撮るには便利でありますな。マクロだと基本的に花しか写ってなくて、これならわざわざ南濃梅園までいかなくても、スーパー一号館の近くのシケたお寺の梅で十分だったような気がします。何でもいいけどスーパー一号館って、延ばす記号の “ー” と、漢数字の “一” とが隣に並んで、文章にした場合、見た目があまり綺麗ではありませんな。スーパー二号館にしろって!…と、社長に忠告しておこうと思います。 で、今回、養老山地を背景にするだけでなく、せっかく横に川が流れているんだから、川べりっぽい作品にも挑戦してみたんですが、川べりにはあまり梅の木が植えられてなく、あったとしてもあまり咲いてなかったので、ま、ぼちぼちでありましたなぁ。。。


<寺町掘の河津桜> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 梅の花も悪くないんだけど、やっぱり、桜の花が咲くまでの代替品という感じがしちゃいますよね。 でも、まだ桜の花は咲かないしぃ。 …とお嘆きの貴兄に、朗報があります。桜は何もソメイヨシノだけが桜というわけではなくて、世の中にはちゃんと早咲きの桜というのもあります。そんなに早く咲いたら、ただの梅じゃないか。…という気もするんですが、梅と桜では、やっぱり違いますからね。横峯さくらと、ど根性ガエルの梅さんくらい、違います。 で、早咲きの桜と言えば河津桜が有名なんですが、今年の春は本場の河津まで、河津桜を見に行く?…とか思っていたんですが、諸般の事情により果たすことが出来ず、諸般の事情というのは、ショパン猪狩の 「レッドスネーク、カモーン!」 を見てたら時間が無くなったとか、そういう事情なんですけど。 で、仕方なく、桑名の 寺町商店街 の横のところに咲いている河津桜を見に行くことにしました。ここの商店街は “うなぎセンター” があることで有名なんですが、河津桜もあるんですよね。ドブ川みたいになっていた桑名城の掘のひとつである寺町堀を小綺麗に取り繕う工事を行なった際、とりあえず25本くらい植えたみたいです。どうせなら25万本くらい植えておけば、もうちょっとちゃんとした名所になったんでしょうが、ケチりましたなぁ。 で、今回は Micro NIKKOR 60mm だけを持っていったんですが、生活感を出すために、わざと民家とかを構図に入れてみました。個人的には “困ります、犬のフン。” の看板の作品がけっこうお気に入りなんですが、森永カルダスの牛乳受けもありますな。どうせなら明治のホモ牛乳のほうがよかったような気もするんですが、場所からして牛乳受けを設置したのは森永牛乳・倉知販売店の仕業ですかね? 僕は高校生の頃、この牛乳屋の娘と同じ塾に通っていたんですが、ちょっと好きだったんですよねー。 偶然の出会いを期待して、よく牛乳屋の前の自販機でピクニックを買って飲んでたものでありますが、そんな僕もこの春、めでたく41歳になりましたー♪ 天才バカボンのパパと同い年でありますなー。 人工鼻毛もしっかり装着して、これでいいのだ。 で、河津桜は普通のソメイヨシノよりもピンク色が濃くて、とっても綺麗なのでありましたー。

    

<鳩吹山のカタクリ> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 どうしてもナマで見てみたい花というのがいくつかあります。ミズバショウなんてのがその筆頭だったんですが、実際にナマで見てみたら、ふーんという感じだったんですけど。所詮はサトイモ科ですからな、ありゃ。 となると、残された憧れのお花の筆頭は、カタクリということになりますか。カタクリそのものは非常に身近な存在でありまして、個人的には “下痢の友” として認識しております。子供の頃、下痢になってヘビーなものが食べられなくなると、その日の夕食は決まって、 “おかゆ” か “かたくり” だったんですよね。 で、僕は断然、カタクリのほうが好きでした。カタクリを湯で溶いて砂糖を入れただけの食い物なんですが、砂糖のほどよい甘さがなんとも言えずに美味しかったと記憶しております。またカタクリを食べられるなら、下痢になってもいいな♪…と思ったほどなんですが、片栗粉というのはカタクリという植物から作るものだったんですな。ちっとも知りませんでした。もっとも、僕が子供だった頃から既に、片栗粉と称して大森屋 (親戚のヒロシ君が経営していた八百屋) で売られていたものは、ジャガイモを材料にした澱粉だったと思うんですけど。たまに 「本物。」 と称して、葛粉でカタクリが作られることもあったんですが、カタクリで作られた片栗粉というのは、恐らく食べたことが無いものと思われます。一度でいいから本物の片栗粉を食べてみたいものですなぁ。そのためには、相当酷い下痢にならないと駄目でしょうな。ちょっと酷い程度の下痢だったら、葛のカタクリで我慢しろ!…とか言われそうですもんね。

 昔はその辺の里山にいくらでも生えていたカタクリも、近年では土地開発や乱獲・盗掘がタタって、絶滅危惧種になっておりまして、そんな中、カタクリの自生地は観光名所になってたりしております。綺麗ですからね、カタクリの花。 僕も一度、どうしてもナマで見たくて、岐阜県の山県市 (旧・高富町) に行ったことがあるんですが、 このような結果 に終わってしまいました。無念です。その後、 ひるがの湿原植物園 で無事、生のカタクリを見ることに成功したんですが、植物園に咲いているヤツはどうも何だか養殖っぽくて、あまり感動がありません。やはり自生していてくれないと、辞世の句を読むにはちょっと役不足ですよねー。

 ということで、行ってきました、カタクリの自生地。 いや、別にまだ辞世の句を読む気はないんですが、不況の風が吹き荒れるこのご時世、自生するカタクリたんを眺めて、少しでも心を慰めようと思いまして。 で、どこに行ったのかと言うと、岐阜県の可児市というところなんですが、いや、意外なところに自生しているものなんですな。可児市というところは決して都会では無いんですが、かと言ってド田舎というわけでもなくて、あまりカタクリが生えていそうな雰囲気は感じられないんですが、ちゃんと生えてました。しかも国道41号線のすぐそばという、かなり交通の便がいいところに生えてました。どの辺に生えていたのかと言うと、 Spa Resort 湯の華アイランド の近くに生えておりました。3月21日に行ったんですが、誰かがどこかに、カタクリというのは5月頃に咲くのが普通であって、4月のこの時期に 「終わりました。」 というのは、何とも怪しい。…などと書いておりましたが、3月中旬のこの時点で、ちょうど見頃を迎えておりました。 カタクリの自生地としてはわりと有名らしく、しかも駐車場のキャパがさほど大きくないので、渋滞していることが懸念されたんですが、案の定、湯の華アイランドへ入るところの交差点を曲がったところからクルマの列が出来ていて、ガードマンのおっさんまで立ってたりしております。でも、大丈夫。 僕はこの辺りに仕事で来ることがあるので土地勘があるんですが、温泉に入るような振りをして、こっそり湯の華アイランドの駐車場にクルマを止める。…というのはさすがにちょっと気がひけるので、花木を買うような振りをして、こっそり日本ライン花木センターの駐車場にクルマを止めるという作戦を立てておりました。ここからなら歩いて10分も掛からない筈なんですよね。 が、誰でも考える事は同じなのか、あるいは純粋に花木を買い求める人たちなのか、わりと大きめの花木センターの駐車場はすでに満車でありまして、仕方が無いので僕は名鉄の可児川駅まで行くことにしたんですが、事前の調査により、駅前に駐車場があることが判明していたんですよね。 で、行ってみると、こちらのほうは係のおっさんがちょっと可哀想に思えてくるほど、ガラ空きでありましたー。

 ここからカタクリの自生地までは歩いて片道20分ちょっと。歩いて歩けないことは無いんですが、出来ることならあまり歩きたくない距離ですな。花木センターの横を通ると、満車だった筈の駐車場にちらほら空きスペースが。空いてるやんっ! どうやら花木だけ買って帰る人が多いようで、回転はかなり早いようなんですよね。すぐに見切りをつけるのではなく、もう少しじっくりと様子を見るべきでしたなぁ。。。ここは花木だけでなく、イカ焼きとかも売ってたりするので、それを買えばさほど良心の呵責を感じなくて済むしぃ。 ま、イカ焼きは次回の教訓としてイカすことにして、で、カタクリの自生地はですね、花木センターとは国道41号を渡った反対側になります。かなり大きな国道で横断歩道がないので、花木センターからちょっと南に下ったところで、道路の下を潜って反対側に出ます。そこから更に南に下って可児川に掛かる橋を渡って、湯の華アイランドの案内看板に従って交差点を右折。その先、カタクリ自生地だかカタクリ群生地だかの案内看板に従って歩いていけば大丈夫です。 “可児 カタクリ” というキーワードでこのページに辿り着いた人の為に地図を載せておくと、

  やや広域図  やや適当な詳細図

 …ということになりましょうか? やや適当なんですが詳細なので、ある程度は役に立つのではなかろうかと。 で、肝心のカタクリの花はというと、おお、咲いてる、咲いてる♪見事に満開っ♪ ただカタクリの群生地というのは広角レンズで全体像を撮ってみても、さほど華やかではありませんなー。やはりこのお花はマクロレンズで撮るというのが正解でしょう。どれくらいの距離で撮ることが出来るのかよく分からなかったので 60mm と 90mm 、2本のマクロレンズを用意したんですが、 60mm だとやや短過ぎだったので、 90mm あるいは持っているなら 150mm というのが正解かも知れませんな。 (APS-Cサイズのデジカメ場合。) カタクリの花というのは花びらが反り返っているところがポイントなんですが、正午少し前という時間が悪かったのか、あるいは時期や天候の問題なのか、綺麗な反り返り具合のお花というのは、さほど多くはありませんでした。 で、カタクリの花というのは地面スレスレに咲いているので、通常の姿勢で撮影するのはなかなか困難です。気合の入ったおっさん、おばさん、おねえさん、みんな地面に這いつくばっておりました。汚れてもいいように、 “よそいきの服” とかはヤメたほうがいいかも知れません。ミニスカートも後ろからおっさんにパンツを覗かれるおそれがあるので、お薦め…いや、避けたほうがいいのではなかろうかと。 で、僕はこんなこともあろうかと思って、 アングルファインダー を用意してたんですが、おかげでいいパンチラ写真が…いやいや、いいカタクリ写真が撮れましたー。 カタクリたん、可愛いですにゃ♪ 花びらの中心に桜の花みたいな模様のあるところが、もうたまらんっ♪

 カタクリという植物は発芽してから何年もの間、葉っぱ1枚だけの姿で過ごして、そして7〜8年してようやく花を咲かせるんだそうで。 その花もすぐに枯れてしまい、また葉っぱだけの姿に戻って、そして6月頃になるとその葉も枯れて、地中の球根だけになって、そのまま越冬するんだそうで。こういう植物のことを、えーと、 “スプリングなんとか” と言うんですよね。何でしたっけ? スプリング・フェラなんとか? あ、違いました。スプリング・エフェメラルでした。美人薄命という言葉が浮かんでくるような、何とも儚い植物なんですなぁ、カタクリって。 花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき。 もし、酷い下痢になったとしても、カタクリの片栗粉を食べるのはやめよう!ジャガイモの片栗粉で我慢しよう! そう心に誓った41歳の春なのでありました。おしまい♪

 ということで、今日はデイブ・ブルーベックなんですが、意外にも本コーナー、初登場です。 いや、意外ですな。ムール貝とムラサキイガイとが同じ貝だというのと同じくらい意外なんですが、やはり、 「テイク・ファイブ」 が諸悪の根源なんでしょうか? 僕が生まれて初めて買ったマトモな外人のジャズのアルバムはウイントン・ケリーの 『ケリー・ブルー』 なんですが、あまりマトモではない外人のジャズのアルバムということなら、既にマンハッタン・ジャズ・クインテットのCDを何枚か持っていたんですけど。僕の中では既に 「無かったこと」 になっている汚点なので、それを除くと、デイブ・ブルーベックの 『タイム・アウト』 は2枚目か3枚目か4枚目か、あるいは5枚目あたりに買った外人ジャズということになる筈なんですが、アリナミンVのコマーシャルで使われて、めっちゃメジャーになりましたからね、 「テイク・ファイブ」 。 あと、イーディ・ゴーメの 『ギフト』 も買いました。 おかげで “ブルーベック=素人向け” みたいな認識が僕の中に生まれてしまって、ここまで冷遇されて来たのではないかと思うんですが、いけません。ジャズに卑賤は無いですからね。僕は間違っておりました。心から反省して、この際、じっくりブルーベックと向き合いたいと思うんですが、今日は前半のネタがちょっと長くなり過ぎました。最近の目安としている20KBを既に越えているので、ということで、今日のところは以上です。…と、終わりにしちゃってもいいくらいで、とまあそんなことで、後は軽く流すことにしましょうか。 ということで、今日は 『エンジェル・アイズ』 なんですが、前回の 『ムーズ』 に続いて、ギャル系ジャケット・シリーズということで、このアルバムをチョイスしてみました。好みで言うと、こっちのギャルのほうが断然にタイプなんですが、なんと言うか、典型的なヤンキー娘ですよね。 グレてウンコ座りするほうのヤンキーではなく、本来の “アメリカ人” という意味でのヤンキーなんですが、何だかアメフトの試合でチアガールをやっていそうな感じですな。 で、 「エンジェル・アイズ」 というタイトルに因んでなのか、お目目が必要以上にパッチリしてるんですが、天使の瞳というより、ネコ目系ですよね。ちなみに僕はネコ目系が好きなので、ネコ目ギャルの寝込みを襲うのはヤブサカでなかったりするんですが、とまあそんなことで、では1曲目から、いってみましょうかぁ。

 演奏はマット・デニス作の 「レッツ・ゲット・アウェイ・フロム・イット・オール」 で幕を開けることになるんですが、あ、このアルバムはマット・デニスの曲ばかりを集めた、いわゆる企画物なんですな。言われてみれば 「エンジェル・アイズ」 もマット・デニスだし、マット運動は大の苦手でも、マット・プレイは好きな僕としては、ちょっぴり複雑な心境なんですが、この 「それのすべてから逃げましょう」 という曲はですね、なかなか洒脱な仕上がりとなっております。 これ、パーソネルも何も見ないで、ジャケットのギャルの目だけを見て買っちゃったんですが、ポール・デスモンドジーン・ライトジョー・モレロというお馴染みのメンバーなんですな。ブルーベックのアルバムって、リーダーのピアノを聞くというより、デスモンド目当てという人のほうが多いような気がして、かく言う僕もそのクチなんですが、適当に買ったアルバムがデスモンド入りだったのはラッキーでした。 イントロ無しでいきなりテーマが始まるんですが、ABA形式で、Aの部分はアルト入り、Bのところがピアノ・トリオという感じでしょうか? とか言ってるうちに、すぐデスモンドのソロが始まるんですが、いかにもウエスト・コーストらしいスタイルの持ち主ですよね、この人。 続くブルーベックのソロは前半こそ普通なんですが、後半は結構ワヤでありまして、終盤は何故かラテン風になって、ま、それなりに盛り上がっていて、何よりだと思います。 で、テーマに戻らず、おしまい。 やや意表をつかれたエンディングでありました。

 2曲目、 「バイオレット・フォー・ユア・ファース」 。  「コートにすみれを」 という邦題のほうがピンと来るかも知れませんが、このネーミング・センスはちょっとどうか?…という気がします。 “すみれ” と言うとどうしても、 『おーい!はに丸』 のマドンナ役、すみれちゃんの顔が浮かんできちゃうんですよね。幼児向け番組のおねえさんとしては珍しく、ややケバ系のキャラだったんですが、曲のほうはわりと清楚な感じのバラードだったりします。ピアノの無伴奏ソロによってテーマのメロディが演奏され、ベースとリズムが入ってミディアム・テンポに転じて、アドリブ・パートに入って、デスモンドが登場。…という算段なんですが、ま、なかなかよく考えられているとは思います。 で、アルトのソロはともかく、続くブルーベックのプレイは、パウエル派のスタイルに慣れきった耳にはやや違和感を覚えてしまうんですが、こういう人なんだと思って、諦めるしかありません。 ということで、今度もやや唐突な感じで、おしまい。 次、アルバム・タイトル曲の 「エンジェル・アイズ」 。 いかにもデスモンドのアルトに合いそうなナンバーなんですが、出だしの部分はピアノの無伴奏ソロでありますな。 パターンとしては2曲目とほぼ同等でありまして、2回目までならまだ何とか許せるんですが、アルトが出てきた瞬間、ぐっと空気が変わるような気がします。空気が急にクリアになったような、杉花粉も黄砂も空気洗浄器で洗浄されちゃったような、やや扇情的な扇状地のような、そんな感じでありますな。やはりデスモンドあってこそのブルーベック・カルテットだと思います。 というか、ピアノは違う人のほうがよかったような気もするんですが、とまあそんなことで、おしまい。 今回もエンディングは、やや唐突でした。

 4曲目、 「ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン?」  アメリカの歌って、疑問文のタイトルがさほど珍しくなかったりするんですか? …って、ここで質問されても困ると思うんですが、 「あなたはまだ私のものですか?」 という意味ですか? 「うまい棒」 を作っているのはリスカですか? どうも販売元の “やおきん” のほうのイメージが強いんですが、で、曲のほうはというと、こちらはレッド・ガーランドの 『グルーヴィ』 のバージョンがすぐ頭に浮かんできます。 ガーランドのスインギーさにどこまで肉薄しているのか、興味深いところでありますが、イントロ無しでいきなりデスモンドがメロディを吹いて始まり、そしてそのままソロ・パートへと突入します。軽やかです。うまい棒のサラダ味のような口当たりでありまして、ま、個人的にはサラダ味よりも、クドくて下品なサラミ味のほうが好きだったりするんですけど。 続くブルーベックのソロは意外とスイング感があって、このオッサンにしては上出来だと思うんですが、これはジョー・モレロの軽快なブラッシュ・ワークの賜物であると言えるかも知れません。ちょっぴり尿漏れしちゃってるような名前なんですが、キレは抜群なんですよね、ジョー・モレロ。 後テーマはモレロとブルーベックの絡みで大いに盛り上がって、とまあそんなことで、おしまい。 いや、なかなかよかったんじゃないでしょうか。

 ということで、次。  「エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー」 。 個人的にマット・デニスの曲の中では、これがいちばん好きかも知れませんが、これまたポール・デスモンドのスタイルにはぴったりのような気がします。 案の定、ピアノの無伴奏ソロによるイントロはちょっと今ひとつだったりするんですが、アルトが出てきてテーマを吹き始めると、もう、最高っ♪ …と思ったら、期待したほどではなくて、中の上レベルだったりしたんですが、続くピアノのソロは変に技巧に走ることもなく、わりと淡々とした感じで、悪くないです。かなり地味なんですけどー。 で、続いては6曲目。 「リトル・マン・ウィズ・ア・キャンディ・シガー」 。 マット・デニスの作品の中ではかなり地味な部類なんですが、タイトルは 「キャンディ煙草を持った、ちっさいおっさん」 ですかね? 池乃めだかの顔が浮かんで来てしまうんですが、シガレットチョコは食べたことがあっても、キャンディー・シガーというのは初めて聞きました。ちなみに翻訳サイトに掛けたら 「キャンディ葉巻で少ししか、やれやれ」 という訳語が出てきて、やれやれなんですが、いかにも歌モノっぽい、なかなか小洒落た感じのナンバーだったりします。トリオでテーマが演奏されて、アドリブ・パートに入るとアルトが出てくるというパターンなんですが、ということで、テーマに戻って、おしまい。 3分33秒という、ほんのちょっとした小品でありました。 で、アルバムの最後を飾るのは 「ザ・ナイト・ウィ・コールド・イット・ア・デイ」 。 「私たちが今日の仕事はここまでにして切り上げた夜」 といった意味であるようなんですが、通常はもっとシンプルに 「夜に生きる」 などという邦題が付けられていたりします。スインギーに演奏されることが多いナンバーなんですが、ここではデスモンドの資質を活かして、しっとりとした作品に仕上げられております。今日も仕事が終わって、やれやれ。…といった安堵感が漂ってくる安藤忠雄。 ま、そういった感じの演奏なんですが、とりあえず僕も何とか今日も原稿を書き終えることが出来て、やれやれです。 とまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 ポール・デスモンドマット・デニスは偉かった。 そう感じさせてくれる1枚でありました。個人的に企画モノというのはあまり好きでないんですが、このアルバムに関しては、企画の勝利!…と言えましょう。ブルーベックのピアノに関しては、あまり深く考えなくてもいいと思います。


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