みんな、鼻の穴に鼻紙を詰めているかな?僕はですね、今日もバンバンです。鼻の穴に鼻紙を詰めるというのは、見た目にも格好のいいものではないし、織田無道にだって叱られちゃうんですが、鼻の穴に鼻紙を詰めたコドモの後ろに稲川淳二みたいな顔の霊が写っている心霊写真を見て、そのコドモに説教してましたからね。死人のするようなことを真似して遊んではいけないと。鼻血が出た時とか、花粉症の人の立場とか、考えたことがあるのか?…と思わずにはいられませんが、決して遊んでいるわけではなくて、やむにやまれぬ事情があって、みっともないのは承知の上で、鼻の穴に鼻紙を詰めているわけですからね。 ま、心霊写真のコドモの場合は遊び半分だったのかも知れませんが、鼻の穴に鼻紙を詰めるというのは鼻水の滴下を防止するには抜群の効果がある反面、副作用があるのも確かであります。 いや、霊が出るとか、そういうことではなくて、鼻に詰められた鼻紙によって行き場を無くした鼻水がですね、喉のほうに落ちていっちゃうんですよね。鼻水が喉に落ちるとどうなるかというと、猛烈に喉が痛くなっちゃいます。花粉症による鼻水の場合はさほどでもないんですが、風邪による鼻水の場合は効果てきめんです。 あまりにも鼻水が垂れるので、夜、鼻の穴に鼻紙を詰めて寝たりすると、翌朝、猛烈な喉の痛みに襲われることになります。おそらく、鼻水の中に含まれるバイキンが喉に落ちて、そこで炎症を起こすんでしょうな。その場凌ぎの浅はかな考えで鼻の穴に鼻紙を詰めたばかりに、風邪の症状が悪化しちゃったわけで、やめておけばよかった!…と、いつも激しく自分を責めることになるんですが、鼻水としてもバイキンを外に排出したいという、ちゃんとした理由があって垂れているわけなので、それを無理に垂れないようにするのは間違っているのかも知れません。
とは言っても、今夜もまた鼻は垂れてくるのでありまして、それをそのまま見過ごすわけにも行きません。鼻水ごときに屈していては人間としての尊厳を守ることは出来ず、ここはひとつ意を決して、敢然と鼻水に立ち向かわなければなりませんが、鼻の穴に鼻紙を詰めるのではなく、何とか他の手段で鼻水の流出を食い止める事は出来ないものでしょうか? …と思って調べていたら、いいものを発見しました。 ピットストッパー ♪ 姉妹品の “ノーズマスクピット” のほうは以前から愛用しているんですが、鼻水を止める鼻栓タイプのものもあったんですなー。 ちょうどノーズマスクの在庫が切れ掛かっていて、そろそろ新しいのを買わなければならないと思っていたところなんですが、今回は試しにストッパーのほうを買ってみることにしました。 僕の知らないうちにノーズマスクのほうも “ノーズマスク2” に進化していたようで、従来品と比べてどこがどのように進化したのか、その点も踏まえて使用感をレポートしてみたいと思います。
まず、2つの製品のパッケージを比べてみましょう。
左が古いピット、右が新しいピットです。従来品は台紙の色が水色っぽくて、 “Pit” というロゴもセンスにかなり問題があったんですが、新しいピットは黒をベースに黄色を配したシャープなデザインになっていて、かなりカッコよくなりました。格段の進歩であると高く評価していいでしょう。 で、続いては収納ケースなんですが、
奥が従来品、手前が改良品なんですが、こちらのほうは格段に退化しました。 今までは凄く丈夫なスライド開閉式のプラケースに入っていたんですが、そこまでケチるか?…と言いたくなるほどチープな質感のケースに落ちぶれてしまいました。今までなら中の鼻マスクが空になっても、容器だけ再利用することが可能だったんですが、今度のは中身が無くなったらただのゴミですな、こりゃ。 もっとも、従来型のケースも再利用が可能とは言っても、すごく特殊な形状をしていて、他に何の使い道もなくて結局はゴミとして捨てるしか無かったので、容器代をケチることによって全体の価格が下がるのであれば、歓迎すべき事ではあるんですけど。 ただ、いくら使い道が無いとはいっても、立派なハードケースは持っていることの喜びを感じさせてくれるものであったので、簡略化されたのは寂しいような気もします。 で、新パッケージなんですが、お徳用の14個入りを買ったということもあって、何だかめっちゃいっぱい入っていて、お得感は抜群でありますな。これだけあれば一生困らないような気がします。もっとも、この鼻マスクは1日限りの使い切りが原則らしいので、実際には2週間で無くなることになって、2週間後に死なない限りは一生困らないということにはならないんですけど。 で、パッケージが安っぽくなったのは、エコという世の中の流れからして諦めるしかないとして、ケースから鼻マスクが飛び出さないようにする為の仕掛けが、細くて白いテープだけというのはちょっと頂けませんな。取り出すたびに、いちいちテープを剥がして、また元に戻さなければならなくて、かなり面倒です。 “ノーズピット3” を販売する際には、この点だけは何とかして欲しいところです。
で、最後に肝心の中身のほうはというと、まずはこちらが従来品。
お花の写真を撮るために新調した AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED というレンズを使ってみたんですが、お花だけでなく、お鼻マスクの撮影にも、わりと使えるみたいです。左の写真の真ん中の金色の棒のようなものは鼻マスクを直立させるために使ったドライバーの軸なので、あまり気にしないで貰いたいんですが、で、このマスクはですね、特に断面の写真を見れよく分かるんですが、意外と毛がケバケバと毛羽立っていたりするんですよねー。このケバケバが鼻の粘膜を刺激するのか、鼻の穴に入れると何だか無性にこそばゆくて、くしゃみが出ます。 もう、必ず出ます。花粉が飛んでない時だって出ます。そこのところがちょっとした欠点だったりするんですが、果たして、新製品になってケバケバは解消されたんでしょうか? 夏休みが終わったら急にケバくなっていた女子生徒のように、事態が悪いほうに向かっているようなことは無いと思うんですが、せめてケバケバだったギャルが心を入れ替えて、 “ちょいケバ” くらいに落ち着いていてくれると嬉しいんですけどー。
いや、思った以上に変わっちゃいましたね。今回、僕が買ったのは鼻水ストッパータイプなので、単純に比較することは出来ないんですが、鼻水をストップさせない “ノーズマスク2” のほうも、写真で見る限りは同じような構造になっているみたいです。 で、気になるケバ具合なんですが、ピットストッパーを見る限りでは、かなり改善されておりますな。 この商品は鼻水を止めるという役割上、ノーズマスクでは平たい円盤状になっている鼻マスク本体が、鼻紙を丸めた固まりのような部材になっているんですが、マクロレンズで撮影しても毛の飛び出しは認められません。ノーズマスクでも同じ素材が使われているのかどうか定かではありませんが、とりあえず従来品では2枚重ねのダブル構造になっていたのが、新製品はシングルになったみたいです。1枚だけでも十分に花粉を食い止められるという、メーカーの自信の程が窺われます。このノーズマスクも1日限りの使い捨てなんですが、決して安いものでは無く、もったいないので僕はいつも出来る限り捨てるのを先延ばしにしているんですが、最終的にはいつも2枚あるマスクのうち、外側のマスクが取れてしまって、駄目になっちゃいます。新製品ではこの部分の耐久性が増していることに期待したいんですが、新たに登場した濃紺の薄いゴム板のようなものと、水色のイソギンチャクの足みたいな部材との間にマスク部分が挟まれるような構造になったので、そう簡単に外れる事は無いような気もします。進歩しましたなー。 ちなみにこのイソギンチャクは何なのかと思ったら、どうやら鼻毛と同じ役割を担うものであるようなんですが、新開発 “人工鼻毛” 搭載♪…ということになるんでしょうか? で、もうひとつ、少し気付きにくいところではあるんですが、2つのマスクをつなぐ樹脂製ワイヤーがですね、新製品ではかなり細くなっております。これは地味ながら、かなり大きな進歩であると評価していいのではないでしょうか。
装着している事がほとんど分からないというのがこの鼻マスクの売りなんですが、従来品では、わりとよく見破られたんですよね。少なくとも僕は過去2年間で少なくとも2回は人から指摘されました。まず最初は関市の浄化センターに勤務する手前田クン (仮名) なんですが、 「あれ?鼻に入れてるんですかぁ?」 と言われてしまいました。彼も花粉症に悩まされているようで、テレビで鼻マスクというのがあるのを見たんですが、どこにも売ってなくて。どこで買われましたか?…と。 この手前田クン(仮名)はまだ若いんですが、言葉遣いが丁寧でありまして、僕も快く、ネットの通販で手に入れたことを教えてあげたんですが、問題は輪之内町役場に勤務する岩津クン (本名) でありまして、あ、奥と手前のような適当な仮名を思いつかなかったので本名になってしまいましたが、この人は花粉症ではないようで、花粉症の辛さをまったく理解出来ないようなんですよね。この岩津クンはまだ若いんですが、若いだけあって言葉遣いがあまり丁寧ではなくて、僕の鼻の穴に何か怪しいものが詰められているのを発見して、 「あれ?鼻の穴に何か詰めとるの?」 と、何だか小馬鹿にしたような態度で聞いてきて、僕のガラスのような心は大いに傷付いてしまいました。鼻マスクの上から普通のマスクを装着するという、意味ないやん!…と言われそうなスタイルでしか外に出られなくなってしまったんですが、ワイヤーが細くなった分、それだけ人に気付かれにくくなるわけでありまして、この改良は大いに評価していいと思います。出来ることならワイヤーの部分など無くして、マスクだけ鼻の穴に直接入れるようにすれば、まず人から気付かれることは無いんでしょうが、穴の奥に引っ掛かって。一生取れなくなったりしても嫌ですからね。 “ノーズピット3” を販売する際は、せめてこのワイヤーを肌色にして貰えたら嬉しいと思います。
とまあそんなことで、ピットストッパーを装着♪ ノーズマスクのほうはそのまま鼻の穴に入れればいいんですが、鼻水ストッパーは水に浸けて湿らせてから装着しなければなりません。そこのところがちょっと面倒なんですが、それで鼻水がピタッと止まるのであれば、僕はとやかく文句は言いません。 僕の部屋は2階にあるんですが、便所以外に水道がないので便所の水に浸けて、よく絞ってから鼻の穴に挿入してやると…、ん、こ、これは!? めっちゃ違和感がありますな、こりゃ。 異物感というか、鼻の穴にめっちゃ余計なものが詰っている感じというか。特に新製品から新たに導入された濃紺の薄いゴム板と人工鼻毛が、邪魔っ!めっちゃ邪魔っ! 鼻の穴に入れた途端、ムズムズしてきて、立て続けにくしゃみを4回ほど連発してしまいました。 花粉はさほど飛んでいなかったらしく、鼻マスクを入れるまでは全然、大丈夫だったのにぃ。。。 で、くしゃみの後、とても鼻栓ごときでは止め切れない大量の鼻水が流出して、僕の顔面は人間としての矜持を保てないような悲惨な状況になってしまいました。お徳用14個入りを2ケースも買ってしまった僕は、焦ってその後も何度かチャレンジしてみたんですが、どうしても駄目です。鼻の穴に入れた瞬間、くしゃみと鼻水が止まらなくなってしまいます。鼻水製造機か、こりゃ!?
かくして僕は、今日も鼻の穴に鼻紙をバンバン詰めているのでありました。おしまい♪
ということで今日はザ・スリー・サウンズなんですが、それはそうと、何だか悔しいですな、ピットストッパー。 悔しくて、何だか暢気にJAZZを聴く気分にはなれないので、もうちょっと何とかしてみようと思うんですが、どうも僕は人口鼻毛が余計であるように思えるんですよね。コイツが異物感の根源なのでは無いかという気がするので、験しに鼻毛の部分だけ毟り取って鼻の穴に挿入してみたんですが、あまり状況に変化はありませんでした。となると、円盤か? 確かにこの濃紺の野郎がいちばん邪魔になりそうですもんね。どういう意図でこんなものを付けることにしたのか、その真意がまったく不明なんですが、この部分も指でちぎってやりました。
見た目的にもかなりスッキリしましたよね。従来品のノーズマスクに近く、しかも毛羽立ってないタイプって感じぃ? もしかしてこれは理想的な出来なのではないかと期待されたんですが、装着感は相変わらず今ひとつでありました。 もしかして、邪魔なのは円盤のほうだけで、鼻毛のほうはむしろ装着時の違和感を緩和する役割があったりするとか?
ということで、続いては鼻毛だけを残したタイプを作ってみました。何だか見た目が “乳” みたいになってしまって、鼻水が止まったとしても、あるいは興奮して鼻血が出ちゃうかも知れませんが、結果、鼻毛に装着時の違和感を緩和するような役割はまったく無かったようで、鼻に入れた時の感じは先ほどの両方無しタイプと大差ありませんでした。 となると、諸悪の根源はマスク本体なのか!?
ということで、今度は人口鼻毛だけタイプを作ってみました。おおっ、これは! 違和感がほとんど無いっ! 息苦しさもまったく無いっ! ただ、違和感や息苦しさがない替わりに、意味もまったく無いのではないか?…という気がしないでもないんですが、自分としては納得のいく仕上がりだったので、ということで、ザ・スリー・サウンズにいってみたいと思います。 このグループの場合、ジーン・ハリス、アンドリュー・シンプキンス、ビル・ドゥディという3人のメンバーの立場は対等ということになっているので、ジャケットにも3人が仲良く並んで写っているのが基本となってます。そこのところが僕はどうも気に食わないんですが、面倒なんですよね、ジャケ絵を書くのが。 そこで、3人が仲良く並んでいるのではないアルバムは無いものか?…と思って捜してみたところ、ありましたー。 『ムーズ』 です。モデルになってるこのギャルはブルーノートのプロデューサ、アルフレッド・ライオンの奥さんなんだそうですが、そういう公私混同はちょっとどうかという気がして、今まで敬遠しておりました。このギャル、さほど僕のタイプでも無いしー。 が、この際、背に腹は変えられません。今までウナギを背開きにしていた関東風の鰻屋が、急に関西風の腹開きにしようと思っても、そう簡単にはいかないし、 『ムーズ』 、いいじゃないっすかぁ♪
ということで、1曲目です。 「ラブ・フォー・セイル」 。 名前の通り、愛を売るというか、春を売るというか、そういう商売に携わるギャルをテーマにした作品なんですが、エロ系=ラテンというイメージがアメリカ人にはあるのか、そっちのリズムで演奏するというのが定番となっております。ここでのザ・スリー・サウンズ3人組もやはり、軽めのラテン・リズムを用いているんですが、ピアノとドラムスが同じメロディ・パターンをしつこく繰り返す中、ベースがピチカートでソロを取るという冒頭のアレンジはかなり斬新であまして、ただ有名なスタンダードをお気楽に弾いてるだけやん。…といったイメージを持たれがちな彼らが、実はいろいろ考えているという事が分かって、何よりだと思います。アメリカではけっこう人気があるというのも、こういう地味な努力の賜なのかも知れません。日本での人気はさっぱりだったりするんですけど。 で、さんざん気を持たせたあげく、待ち構えていたかのように飛び出してきたジーン・ハリスが、わずかにラテン風味を漂わせたリズムに乗ってオクターブ奏法でメロディーを提示する。…と、原文ライナーに書いてある通りの展開になるんですが、 “パウエル派、命!” の日本人にとって、このオクターブによるテーマ演奏というのがどうもあまりピンとこなくて、結果的に不人気の要因になってしまっているんですが、ピアノ弾きとしては王道とも言えるスタイルなんですけどね。 が、王道とか、黄土色とか、そういうものを好まない人も少なく無く、結果的に、ただ有名なスタンダードをお気楽に弾いてるだけという印象を持たれることになってしまうんですが、でもって、ソロ先発はジーン・ハリスでありますか。時折、テーマの断片を引用したりして、終始リラックスした雰囲気なんですが、そういうところがまた、だらだらピアノ弾いてんじゃねえ!…と思われたりして、どうも損な役回りなんですよね、この人達。 とまあそんなことで、テーマに戻って、最後に 「マンテカ」 っぽいメロディが出たりして、おしまい。
2曲目はマーサー・エリントンの有名なナンバー、 「シングス・エイント・ホワット・ゼイ・ユーズド・トゥ・ビー」 。翻訳サイトに掛けると 「ものは昔のものではありません」 などという、あまり詩的ではない訳語が出てきたりするんですが、そこはもっとポエトリーに 「昔はよかったね」 と訳すのが決まりになっております。 ま、この訳語も何だかめっちゃジジィ臭くて、個人的にはあまり好きではないんですけど。 スリー・サウンズの御一行はノスタルジックな世界を表現したかったからなのか、息の詰まるような超スローテンポでこれを演奏しているんですが、あまりのアーシーさは評価の分かれるところではないかと思われます。少なくとも僕は嫌いです。どれくらい嫌いかというと、粒ウニくらいですかね? 基本的に僕は海産物と珍味がダメなんですが、珍味でイケるものと言えば “全珍のイカの姿フライ” くらいのもので。 が、ここまでクサくやられると、むしろ清々しく思えて来たりするのが不思議なんですが、日本語ライナーで原田和典クンが書いている “タリレロタリレロというジーン・ハリスお得意の高カロリー・フレーズ” も堪能することが出来て、ま、これはこれでいいんじゃないでしょうか。
3曲目、 「グリーン・ドルフィン・ストリート」 。何でもいいけどジャズ・ピアニストって、この曲が好きですよね。ここ最近だけでも、このコーナーでこの曲を取り上げるのはホレス・パーラン、ドド・マーマローサに続いて3度目なんですが、仏の顔も三度というか、三度目の正直というか、マツナガのしるこサンドというか、正直、僕はこの曲にちょっと飽きております。パーランやドドと似たような演奏だったら、この曲はスルーして、次に進むことにしようかと思ったんですが、さすがそこはザ・スリー・サウンズ。 ハリスはこの曲においても、イントロを引き延ばすという手法を用いている。( by 原文ライナー) ということで、ま、1曲目と同じようなパターンではあるんですが、それなりに工夫が凝らされている点は評価してもいいのではなかろうかと。 テーマのバックでベースがモード奏法っぽい動きをするというのは定番中の定番で、和音を多様するメロディの持って行き方はハリスくんの十八番。いわば、すべて予定調和に則って粛々と演奏が進められていくんですが、アドリブ・パートに入ってからのジーン・ハリスは、意外にもホレス・パーランとウイントン・ケリとレッド・ガーランドを足して3で割って2割引したみたいな感じだったりして、なかなかよかったと思います。
4曲目の 「ルーズ・ウォーク」 は、クリフォード・ブラウンが 「ザ・ブルース・ウォーク」 という名前で演奏していた、例のアレです。ルー・ドナルドソンの 「ブルース・ウォーク」 とはまた別物で、作曲したのはソニー・スティットなんですが、いかにもスティットらしい、あまりひねりのないストレートなブルース・ナンバーとなっております。単純な分だけノリもよく、テーマ部が例によって和音で弾かれるところはちょっとアレなんですが、全体としては概ね良好です。 5曲目、 「リル・ダーリン」 。 「昔はよかったね」 よりも更にスローなテンポで演奏されておりまして、南佳孝の 「スローなブギにしてくれ」 だって、これほどまでスローでは無かったですからね。かなり思い切ったことをしてくれたものですが、この試みは成功だったと思います。少なくとも、いとうせいこうの 「テレビ見仏記」 よりは成功していると思います。みうらじゅんとの絡みで面白いかと思ったら、さほどでもなかったですからね。そもそも仏像なんてのは、子供の頃によくやってた 「仏像。」 と言われて、 「銅像。」 と答えると、ぶたれる。…という遊びからして、あまり面白いとは思わなかったんですが、それならまだ、 「ねえ、ちゃんと風呂入った?」 と聞かれて、 「入った。」 と答えると、「姉ちゃんと風呂に入ったんや〜。」 と言われる遊びのほうが、まだマシですよね。姉ちゃんと風呂、めっちゃ楽しそうやん♪ …とか言ってるうちに、めっちゃ遅いテンポの曲もさすがに終わりかけておりますが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。
6曲目、 「アイム・ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト」 。 原田和典クンには、手拍子が何ともおまぬけでついついなごんでしまう…などと書かれておりますが、そっかー? 僕は十分にカッコいいと思うんですが、少なくとも 「握手してください。」 と言われて、間違えて拍手しちゃうよりは、カッコ悪くないと思います。 ま、確かにまったくノリノリでない、投げやりな感じの手拍子ではあるんですが、そういうところが何とも言えずに宴会っぽくて、やはり心がなごんでしまいますな。僕は名古屋銘菓の 「なごやん」 というお菓子を食べると心がなごむんですが、それに匹敵する仕上がりでありますな。 で、次。 「タミーズ・ブリーズ」 。 本作で唯一のジーン・ハリスのオリジナルでありまして、タイトルにある “タミー” というのは彼の末娘の名前なんだそうです。 娘なのに男物のパンツを吐いているんですかね?…って、 「タミーズ・ブリーフ」 では無いので、きっと違うと思うんですが、タミーではなくて民子だったりしたら、ブリーフを穿いててもさほど違和感は無かったりするんですけど。水前寺清子の本名ですよね、民子。 チータの “タ” は、民子の“タ”です。 で、曲のほうはと言うと、 「アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー」 が、ちょっぴりボサノヴァっぽくなったような、なかなかの佳曲でありまして、ジーン・ハリスの作曲にしておくのが勿体ないくらいオシャレな仕上がりとなっております。ハリスによれば、その若いご婦人の極めて個性的な美しさをヒントにして、ラテン・リズムを取り入れたこのエキゾチックな作品を書き上げたのだという。…などと原文ライナーに書いてありますが、 「365歩のマーチ」 みたいなのにならなくて、本当によかったと思います。父親から捧げられた曲がチータみたいだったりしたら、タミーちゃんは恐らく、夏休みが終わったら急にケバくなっていたことでしょう。
ということで、ラストです。 「サンデュ」 。 クリフォード・ブラウンのオリジナルなんですが、最後の最後に何だか地味なのを持ってきましたな。 曲そのものはいかにもブラウニーらしい、天真爛漫で陰のないブルースでありまして、ま、スリー・サウンズにはよく合うタイプではあるんですけど。 ズン・チャン・チャン♪ というリズムをうまく活かしたピアノ・ソロがなかなかに楽しくて、さりげない剃り毛。…といった仕上がりは彼らならではでありまして、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 ということで、今日のところは以上です。
【総合評価】
期待度としては、寿司ネタに喩えればイカ程度のものだったんですが、食べてみたら意外とイカすイカだった。 ま、そういった感じでしょうか? お馴染みのスタンダード・ナンバーがほとんどなんですが、料理法がそれなりに工夫されていて、意外と飽きません。 あきまへんな。…と否定的な意見を述べる関西人もいるかも知れませんが、個人的には思ったよりも楽しめました。今まで見た目だけで馬鹿にしていて、悪かった!…と、心の底から謝りたいと思いますが、それにしてもこの 『魅惑のムード歌謡』 みたいなジャケットは、やはりもうちょっと何とかして欲しかったところです。 と言って、スリー・サウンズの3人の顔を出されても困るんですけどー。