PAX (BLUE NOTE)

ANDREW HILL (1975)

PAX


【パーソネル】

FREDDIE HUBBARD (tp) JOE HENDERSON (ts) ANDREW HILL (p)
RICHARD DAVIS (b) JOE CHAMBERS (ds)

【収録曲】

(01-03) ERIS / PAX / CALLIOPE
(04-05) EUTERPE / ERATO
(06-07) ROOTS 'N' HERBS / EUTERPE (alt-take)

【解説】 (2009年05月31日更新)

 前回 に引き続き、鈴鹿サーキットのお話です。 日曜日、前座レースの “FCJ” と、 “Fポン” のフリー走行に続いて、 “シビックレース” というのが行なわれたんですが、はっきり言ってこれは、別にどうだっていいです。 シビックのレースだって、それなりにアレなんじゃないか?…という期待感を持っていたんですが、前日の予選を見た時点で、それは幻想だと判明しました。所詮はシビックなので、排気音もめっちゃ静かだし、何だかまったく迫力がないんですよねー。 ま、直線でのスピードはかなりのものだったりして、シビックはシビックなりに頑張っているとは思うんですが、いかんせん、今ひとつ盛り上がりません。 大会関係者もその点は重々承知しているようで、場内アナウンスのおっさんは何とか場の空気を盛り上げようと、やっきになっておりました。 「実はこのシビックレースがいちばん面白いという人もいるんですよねー。」 とか、 「いつもオートバックスでオイルを交換しているから、オートバックスのチームを応援してみようとか、そういう見方をすると盛り上がるんですよねー。」 とか。 そんなこと言われても、オートバックスでオイルを交換したことなど一度も無いし、シビックよりも尿瓶 (しびん) のほうが好きなので、やはり個人的にはあまり盛り上がりませんでした。 とまあそういうことで、この時間を有効活用して、S字コーナーからグランドスタンドに戻って、早めの昼食を食うことにしました。

 昼食の詳しい内容に関しては、あまり多くは語りません。 ただ、某テイクアウトショップで買った松阪牛丼と松阪牛コロッケが、ちょっとアレだったなぁ。…と不満を述べるに留めておきますが、牛丼は 980円もしたのに肉の質は極めて普通で、肉の量は極めて些少。コロッケのほうは 250円というお値段で、ま、コロッケとしては普通に美味しかったんですが、これのどこが松阪牛なんや?…という点では、かなり疑問が残りました。松阪牛がどうのと言うより、いや、肉そのものがほとんど見当たりませんでしたからね。これなら “コロちゃんのコロッケ” で十分に代役が務まりそうなんですが、いや、潰れちゃいましたけどね、コロちゃん。 とまあそんなことで、昼食の詳しい内容に関しては、あまり多くを語りたくないので、以上です。

<ピットウォーク> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 11時25分、 “ピットウォーク” 開始〜。 これはどういうものなのかと言うと、レーシングマシンをもっと間近で見たい!マシンやキャンペーンギャルを撮影したい!お昼のインターバルに実施するピットウォークにぜひご参加ください。…というものなんですが、それは是非とも参加したいと思って、別料金 2,000円を払って、チケットを購入してみました。 結論から言ってしまうと、まあまあ、そこそこのイベントだったと思うんですが、確かにレーシングマシンは間近で見れたし、マシンの撮影だって出来たんですけどね。 ただ、キャンペーンギャルにはオッサンが多数たかっていて、あまり撮影出来なかったし、お気に入りのレーサーのサインを貰いたいとか、レーサーと一緒に写真を撮りたいとか、そういう意図がまるでなかった僕としては、やや暇な一時でありましたな。 唯一、ちょっと応援してもいいかな?…と思っていた松田次生クンは、予選の結果が悪くてイジけていたのか、姿を見せなかったし、松田次生クンを応援しているらしい某テイクアウトショップの松阪牛丼は肉の量が極めて些少だったし、ま、唯一の救いはこの時間、まだ雨が降ってなかったことくらいでしょうか?

 お目当てのマシン撮影のほうも、止まっているのを撮ったところで、さほど嬉しくもないし、ま、スタンドで撮影していると、いつも似たような構図ばかりになってしまうので、変化を付けるという点ではそれなりに有意義だったんですけどね。 ということで、 (写真・いちばん上) 。 ピット側からグランドスタンドを撮影してみました。 数時間後にフォーミュラ・ニッポンの決勝レースが始まるとは思えないような閑散とした様子が見て取れようかと。 ちなみに前日はこの写真で言うと、左の橋に近いほうの、上から2番目の席に座っておりました。 どうして座っていたのかと言うと、立つと近くのオッサンから文句を言われるからなんですが、その時の印象があまりに悪かったので、この日はなるべくそこから離れた向って右側の席をキープしておきました。 で、続いては (写真・上から2番目) 。 この日は歴代F1マシンのデモンストレーション走行というイベントが行なわれていたんですが、その様子を撮影したものであります。 ピット側から、ネットの隙間にレンズを突っ込んでの撮影。こういうアングルはスタンド側からでは絶対に撮れないので、これだけでも 2,000円を出した価値はあったな♪…と、自分の気持ちを納得させるしかありませんが、この黄色いのは恐らく、中嶋悟クンが乗っていたものだと思われます。 モータースポーツに疎い僕でもナカジマくんの名前くらいは知っているんですが、確か、カツオの親友なんですよね?…って、もしかしたらそれは、まったく間違った知識なのかも知れませんが、それはそうと、こうして見ると昔のF1マシンって、何だかえらく野暮ったいですなぁ。これならまだ、今のシビックのほうがマシ?…という気がしてしまいます。

 その他、適当にそのへんに止まっていたマシンを撮って、キャンギャル関係も一応、1枚くらいは押えておいて、ま、僕のパソコンの画面で見て24行くらいは費やすことが出来たので、それだけでも 2,000円を出した価値はあったな♪…と、心の底から思っている次第であります。 もう2度と参加することはないと思うし、松阪牛丼も2度と買うことはないと思うんですけどー。


<ヘアピンコーナー “I 席” > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 モータースポーツの写真を撮るのは初めてだったので、ネットで事前にテクニックの勉強をしたんですが、どこを見ても決まって書かれていたのは、“ヘアピン” がいい♪…ということでありました。 何でもヘアピンではマシンの速度が遅くなるので、撮影が楽だとのことでありまして、例えば ここ のところにもそんな話が出てくるんですけど。 なるほど、確かにグランドスタンド前の直線ではあまりにもスピードが速すぎて、駄作・凡作のオンパレードでしたからね。 生憎、前日はかなり強い雨が降っていたので、ヘアピンでの撮影を試してみることが出来なかったんですが、この日は今のところまだ雨は落ちてきておりません。 ということで、行ってみました。

 “鈴鹿サーキット場内MAP” へ ( ← Click Here!! )

 遠かったです。メインスタンドから 1450m、徒歩 21分15秒。 何かこう、歩く以外の移動手段を設置して貰えないものですかね? チューチュートレインを走らせるとか。 あるいはベロタクシーでも走らせれば、1回 500円でも利用する人は多いと思うんですが、僕が勝手に無許可で営業しますかね? 自分でケッタを漕ぐのは大変なので、近所の子供を1回100円で雇って、働かせるとかして。 この事業が軌道にのるまでは、とりあえず自分の足で移動するしかないんですが、もはやサーキットの中とは思えないようなうらぶれた道を歩いて、よくやくヘアピンに到着〜。 ちなみにこの “I 席”、F1グランプリでは 35,000円となります。 この時間帯に行なわれていたのは “F3” というレースだったんですが、朝やってた “FCJ” がビートルズ日本公演の前座のドリフターズだとすれば、こっちは “ずうとるび” といった感じでしょうか? パチモンには違いないんですが、見た目的には本物といい勝負で、なかなか迫力のあるレースが繰り広げられておりました。

 しかし何ですなー。ヘアピンに入るとマシンは、思った以上にガクンとスピードを落とすものなんですなー。 一瞬、止まったようにも見えるほどでありまして、なるほど、これなら写真を撮るのも簡単ですな。 が、速度が遅くなりすぎて、今ひとつ迫力に欠けるんですよねー。 カーブ直前まで凄い速度で突っ込んで来て、急ブレーキ。カーブを過ぎて、一転して急加速。 緩急の差があって、ただ無駄に球が速いだけのピッチャーよりも打ちにくそうなんですが、何だかせっかくのスピード感がスポイルされてしまって、どうもいけません。誰が悪いと言って、こんな急なカーブを作ったヤツが悪いに決まっているんですが、ドライバーたちも恐らく、ここを通る度に 「運転しにくいじゃないか!」 …と憤慨しているに違いありません。ただちに土建屋を呼んで、改修工事を進めたほうがいいのではないかと思います。 どれくらい減速するのかを実感してもらう為に、動画を載せてみたんですが、

 『 “F3” 決勝@ヘアピンコーナー 』 へ ( ← Click Here!! )

 ちゃんと見れてますか? 少なくとも、前回のアシモが見れなくて、その後、何の努力もしなかった人は駄目だと思うんですが、今回も所詮は “ヘアピン動画” ですからね。 “アヘアヘ動画” とか “ビンビン動画” だったら、もうちょっと頑張ってみようという意欲も湧くんでしょうが、興味のない人は軽くスルーしてもらって結構です。 で、この席はですね、コースまでの距離がかなり近かったです。ケンコーのテレプラス、いらんやん!…みたいな。ということで、撤去しました。 いや多分、このタイミングで撤去したのではないかと記憶しているんですが、あるいは前回のS字のところで外したのかも知れません。もはや覚えがないので、添付の exif情報はあまり参考にならないものとして、参考程度に見ておいてください。 そういえば僕の持ってるテレコンは、装着しても絞り値が exifに反映されないという噂があるので、前回のテレコン到着時のデータは、絞り値が実際より1段分小さくなっている恐れはあります。 以上、マニア以外にはどうでもいい話でしたが、スピードが遅すぎて迫力がないと文句を言ったわりには、出来上がった写真は微妙にピンぼけしてたのが多かったです。縮小して、ソフトで輪郭強調したらかなりマシになりましたが、大口を叩くわりには、大したことない。そういうキャラであると思って頂いて、結構です。 いろいろと調べた結果、モータースポーツの流し撮りはシャッタースピード 1/125秒が基本!…と判断しても、あながち大きな間違いではなさそうな情報が得られたので、基本、その設定で撮っております。 もう少し遅めにしたほうがスピード感が出るんですが、するとボケたりブレたりしやすくなるので、そこのところの兼ね合いが難しいところです。


<グランドスタンド “V2席”(決勝)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 とまあそんなことで、いよいよ “Fポン” の決勝です。 予報どおり昼過ぎから雨が降り始め、写真撮影には不向きなので今ひとつ気が進まなかったんですが、やむを得ず屋根のあるグランドスタンドに移動。 朝イチで後ろから2番目の席をキープしておいたので安心なんですが、前日に座っていた最終コーナーに近いほうの席はヘンなオッサンがいて印象が最悪に近かったので、今回はメインストレートの真ん中あたりに陣取ることにしました。 そこに座って気が付いたんですが、最終コーナーに近いあたりは、ネットが1段高くなっているんですな。どうしてなんですかね?嫌がらせ? 存在自体が嫌がらせとしかおもえないオッサンもいたし、なるべくなら近寄らないほうが賢明なエリアであると言えそうです。 実際、決勝レースが始まっても、その辺りだけは空いてたしー。 で、今回の席はですね、クルマが内側を走ってくれれば、何とかネットに邪魔されずに撮影出来そうな感じでありまして、ただレーサーの嫌がらせなのか、クルマは大抵、外側のほうばかりを走ってくれるんですけど。 変なオッサンもいなくてよかったんですが、ただ前の席に座っているガキが、ピットウォークの際に無料配布された “PIAA” の小旗をやたらめったら振り回すので、写真には旗ばかりが写って、とっても迷惑でした。旗だけに、傍迷惑って感じ? こういう時こそ変なオッサンに、 「旗を振らんでくれん?見えやんで!」 と注意して貰いたいところなんですが、いや、自分で注意するのは嫌です。お父さん、ちょっと恐そうなタイプだったしー。

 ま、そのうち、ガキも飽きて旗を振らなくなったのでよかったんですが、43周くらいしますからね。子供でなくても飽きてきます。 ちなみにレースのほうはと言うと、7周目くらいで松田次生クンがコースアウトして、第1戦に続いて、早々とリタイア。ああん。。。 で、中盤、2位のクルマが1位のクルマを抜いて、観客は大いに盛り上がりました。 グランドスタンドだとサーキットビジョンも見えるし、レースの流れがよくわかって、いいですな。 それ以外のところだと写真を撮るにはいいんですが、いったい何がどうなっているんだか、さっぱり分かりませんからね。 場内放送は聞こえてくるんですが、いつの間にかクルマが走り出して、練習?本番?…とか思っているうちに、いつの間にかクルマが走ってこなくなって、気が付いた時には終わっていたりしますからね。 純粋にレースを楽しむなら、F1グランプリで 72,000円の出費もやむを得ないところかも知れませんなぁ。 全速力で駆け抜けるから、スピード感も桁違いだしー。 どれくらい速いのかを実感してもらう為に、動画を載せてみたんですが、

 『 “Fポン” 決勝@グランドスタンド (映像) 』 へ ( ← Click Here!! )

 ぜんぜん追い切れてないやん!…みたいな。 クソ重い望遠レンズを付けた一眼レフのライブビューで動画を撮るのは、はっきりいって無理です。 すばやくパンした時に思いきり動体歪みが出ていて、笑えますな。いわゆる “コンニャク” というヤツですよね。 「コンニャク、いつ食う?」 「今夜 (こんにゃ) 食う。」 みたいな。 まったく何の関係もない小噺でしたが、動画のほうはさっぱりでも、静止画のほうは健闘しました。いくらスピードが速くても、40周も同じところを回ってくれれば、そのうちに慣れてくるんですよね。 最初のうちはバシャバシャと連写して、数撃ちゃ当たる方式で臨んでいたんですが、そのうちに一発必中方式でも大丈夫になってきました。 カメラをすーっと右から左に流しながら、真ん中あたりで、バシャ! それで、オーケー。 百発百中とまではいかないまでも、十三発四中くらいはなんとかなって、要はアレですな。慣れだけの問題ですな、こりゃ。 ただ、さすがにこのスピードだと 1/125秒では無理で、 1/200秒というのがベストな選択だと思います。 レースのほうは雨のせいもあって、13台中、完走したのは 8台くらいという結果でありまして、路面が乾燥してたら完走車も増えたのにぃ。…というのが僕の感想でありました。上位3位までをガイジンが独占してしまって、こんなん、フォーミュラ・ニッポンちゃうやん!フォーミュラ・外国やん!

 ということで、鈴鹿サーキットのお話はおしまい。 今回は動画なども取り入れてみたんですが、画面は小さいし、音声はモノラルだし、何より、全然まともに撮れていないので、あまり臨場感が伝わらなかったかも知れません。 今回、ボイスレコーダーで音も拾ってありますので、最後にそれを公開したいと思います。安物なんですがバイノーラル録音もどきが出来るというので、試してみました。ヘッドフォンで聴くと、より臨場感が出ると思います。 では、ボリュームを大きめにしておいて、

 『 “Fポン” 決勝@グランドスタンド (音声) 』 へ ( ← Click Here!! )

 ということで、アンドリュー・ヒルです。 ブルーノート盤の 『パッシング・シップ』 というアルバムが目に付いたので、それを紹介してみようかと思ったんですが、やっぱりやめておきます。 何故かと言うと、前にも これ 、やってるやん!…という事実が発覚したからなんですが、八角親方 (元・北勝海) もびっくりですよね。 いやあ、危ないところでした。パーソネルと収録曲のところまで書いてましたからね。早まってジャケ絵まで書いたりしないで、本当によかったと思うんですが、いつも事前に重複チェックをするのに、今回はぼーっとしてて、忘れていたんですよね。 人間、バカボンのパパの同い年ともなると、色んなところでバカになっちゃうようなんですが、で、それに変るアルバムを探してみたところ、この 『パックス』 というのが目に付いたので、今日はもう、これにしちゃおうかと。 中身のほうはまったく記憶にないんですが、ジャケ絵を書くのもそんなに面倒では無さそうだし、これが駄目だと言う理由は、特には思いあたりませんからね。 『パックス』。 名前もシンプルで、いいじゃないっすかー♪ で、よくよく見てみると、サイドマンが凄いですよね。フレディ・ハバードジョー・ヘンダーソンという、いかにもブルーノートの新主流派なフロントに加えて、ベースがリチャ・デビ、タイコはジョー・チェン。 これはむしろ、積極的に取り上げるべき1枚であるような気がしてきたんですが、とまあそんなことで、期待を持って演奏に耳を傾けてみることにしましょう。 ちなみに収録曲はすべて、ヒルのオリジナルとなっております。

 まずは「エリス」という曲です。 エロいのエロスで、碧い瞳なのがエリスで、よく走るのがメロス。 間違えやすいので気をつけなければなりませんが、カラオケで 「碧い瞳のエリス」 を歌うヤツって、たまにいますよね。盛り上がらないこと以外に特に害があるわけでもないので、ヒトが何を歌おうと大きなお世話なんですが、このヒル君の 「エリス」 を聴くと、まだ安全地帯のほうがマシだったな。…という気分になってしまいました。変態系のビ・バップとでも言いましょうか、ちょっぴりドルフィーの 「ミス・アン」 に似た感じの曲なんですが、2管のユニゾンによるテーマ演奏はかなり適当で、続くジョー・ヘンのソロはワイルドそのもので、聴いてるだけで、どうしようもなく疲れがたまってしまいます。続くハバードのソロはまだマシなんですが、かなりハードであるのは間違いなく、いや、これぞまさしく “男のジャズ” でありますなぁ。僕は基本的に男があまり好きではないので、こういうのはツライです。 続くヒルの思索的なプレイがまだ分かりやすく思えてしまうほどなんですが、ま、それも出だしの部分だけで、すぐに精神的苦痛を伴うものへと変貌を遂げて、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 アルバムの選択ミス。そう思わずにはいられない滑り出しでありました。

 2曲目、アルバムタイトル曲の 「パックス」 。 どういう意味かと思って電子辞書で調べてみたら、 [カトリ]接吻(せっぷん)板 と書いてあったんですが、激しく意味不明ですな。 “2ちゃんねる” にそういうスレがあるんでしょうか? (ミサでの) 親睦の接吻 という解説もあるので、カトリというのは蚊取り線香のことではなく、カトリックの略語なのかも知れませんが、それにしても最後の “板” というのがよく分かりません。 英学生語で “友人” 、 (けんかの中止・遊びの中断を要求する) 待った!タイム!…という意味もあるようなんですが、ここはやはり “接吻板” と解釈したいところですな。意味はよく分からんのですけど。 で、曲のほうはと言うと、わりと静かなバラード調だったので、とりあえずは一安心なんですが、ミステリアスなムードもあって、まずまずだと思います。 ソロ先発はジョー・ヘンダーソン。 スピリチュアルな精神世界が接吻板を彷彿させ、なかなか奥が深いんですが、何とか我慢出来ないこともないレベルの前衛さなので、耐えるしかありません。続くハバードの演奏は、うーんと贔屓目に見れば、というか、贔屓耳に聴けば、ハービーの 「処女航海」 でのプレイを彷彿させると言えないこともなくて、ま、ホントに言えなくもないというレベルの話ではあるんですけど。 言えねーよ!…と言われれば、それまでです。 で、続いてヒル君のピアノが登場するんですが、巷間よく言われるように、この人の持っているタイム感覚というのは独特ですよね。ハイチの血というか、略して “ハイ血” とでもいうのか、日本人ではありえないリズムの乗りなんですが、巷間よく言われるように、股間というのは股の間だと思います。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 いや、1曲目よりはマシでしたな。…という程度にはよかったと思います。

 続いては 「カリオペ」 でありますか。正式に何と発音するのか、難しいことはよく分かりませんが、ヒルにしてはまだ分かりやすいほうの曲だと思います。2管のユニゾンによるテーマに続いて、ヒルのピアノ・ソロが登場するですが、いかにもこの人らしい小難しさが蔓延していて、秀逸です。続くジョー・ヘンのソロも 『ブラック・ファイアー』 に耐えられるだけの精神力があれば、十分にやっていけるレベルです。 で、ソロ3番手はフレディ・ハバードです。とっても元気にラッパを吹いてて、何より。 その後、リチャード・デイビスのベース・ソロまでフィーチャーされるというサービスぶりでありまして、これがまた、嫌がらせとしか思えないほど、たっぷりと時間が取られているんですが、ということで、テーマに戻って、おしまい。

 で、次。 「エウターペ」 。正式に何と発音するのか、難しいことはよく分かりませんが、 [ギ神] エウテルペ ( 音楽・叙情詩の女神 ; the Muses の1人 ) でありますか。 “ネ申” というのはよく目にするんですが、 “ギ神” というのは初めてみました。 ギンギンな神様でしょうか? ま、普通にギリシャ神話やろな。…って、答を言ってしまうと面白くもなんともないんですが、ドライビングでスピーディでスヌーピーでドルーピーな、変則ハード・バップといった感じの作品に仕上がっております。いいですよね、ドルーピー。玉川良一の声がベスト・マッチだったんですが、ちなみに声優で言うと、 ジェリー = 一休さん = キテレツなんですな。言われてみれば確かに同じ声なんですが、僕はずっとジェリーの声はジェリー藤尾だとばかり思っていました。…って、ウソをついてはいけませんね。 で、演奏のほうはと言うと、適当なようで、よく聴くと意外とよく練られているテーマに続いて、ハバードのソロが勢いよく飛び出してきます。 で、続いてヒルのピアノが出ます。 こいつ、いつも似たようなソロしか弾かねーな。…とか、そういうことを言ってはいけません。誰もが心の中で思っているんですが、一人の人間の人格に関わる問題ですからね。いつも素敵な演奏をありがとう♪…と、気付かないフリをするのが大人というものだと思います。 毎回違った独創的なアドリブをありがとう♪…とか、そういうのは嫌みにしか聞こえないので駄目です。大人になるというのはなかなか難しいものなんですが、バカボンのパパと同い年になれば分かるものなので、そう心配することもありません。 で、どの曲でも同じにしか聞こえないヒル君に続いて、以下、リチャード・デイビス、ジョー・ハンダーソンと出てきて、最後にゴチャゴチャと色んな人が出てきて、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 ということで、5曲目です。 「エラート」 。 何だか似たようなタイトルが多いんですが、 [ギ神] エラトー ( 叙情詩・恋愛詩など学芸をつかさどる女神 ; the Muses の1人 ) でありますか。なるほど、シリーズ物なんですな。統一したコンセプトであると評価することも出来るし、ネタに困って女神シリーズでごまかしたと捉えることも出来るんですが、いずれも叙情詩が担当分野であるようです。叙情詩というと恐らく 「叙情詩の狸囃子」 とか、そういうものだと思うんですが、…って、女神のお笑いのセンスもあまり大したものではありませんなぁ。 で、これ、トリオ演奏なんですね。 テナーの雄叫びもトランペットの咆哮も、正直、かなりツライものがあったので、この方針は大歓迎なんですが、いつも同じように聞こえるヒル君のピアノもトリオだとちょっぴり新鮮だしー♪ いかにも叙情詩担当の女神らしいリリカルな作風でありまして、陰にこもった内省的なプレイが、内気な僕の心を激しく揺さぶります。 3分59秒と、演奏時間わりと短めなので、飽きが来る前に終わってくれて、何よりでありました。

 ということで、残り2曲。 こいつらはCDのオマケなので、簡単に片付けておきましょう。 そもそもこのアルバム自体、長らくお蔵入りになっていたものではないかと思われるんですが、オマケの2つは “BNLAシリーズ” でも世の中に出されることはなく、モザイクのボックスセットでようやく日の目を見ることになったみたいです。世間で俗に “モザイク入り” と呼ばれているヤツなんですが、まずは 「ルーツ・ン・ハーブス」 。トリオによる演奏です。ヒルらしいプレイを聴くことが出来ます。 で、ラスト。 「エウテルペ」 。別テイクなので基本的にどうだっていいです。違う曲でも同じように聞こえるというのに、同じ曲なら尚更ですからね。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 1曲目が始まった時点で、こりゃ、書くこと無いな。…と思ってしまったんですが、終わってみれば、それなりに健闘したと言えるかも知れません。ジョー・ヘンとフレディ・ハバードの妥協なきプレイは圧巻でありまして、とってもよく頑張っていると思うんですが、圧巻なのは、アカン。…という人にはちょっとツライものがあるかも知れません。マゾ向けですな、こりゃ。 いや、マジで。


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