INCEPTION (IMPULSE)

McCOY TYNER (1962/1/10)

INCEPTION


【パーソネル】

McCOY TYNER (p) ART DAVIS (b) ELVIN JONES (ds)

【収録曲】

(01-03) INCEPTION / THERE IS NO GREATER LOVE / BLUES FOR GWIN
(04-06) SUNSET / EFFENDI / SPEAK LOW

【解説】 (2009年05月24日更新)

 鈴鹿サーキット に行って来ました。鈴鹿サーキットというのはアレですよね。よく小学生が遠足に行ったりする遊園地です。桑名からクルマで50分くらいの距離で、わりと近いので小学生の頃に1回くらい行ったことがあるような気がします。 が、もっと近いところに ナガシマスパーランド があるので、オトナになってからは一度も行ったことがありません。乗り物ではナガシマのほうが遥かに充実していますからね。 が、よくよく調べてみると、鈴鹿サーキットには遊園地のほかに、にサーキットなんかもあるらしいんですよね。 たまに、わりと小マシなレースとかも開催されているようなんですが、例えばF1の日本グランプリだとか。 2007年と2008年は 富士スピードウェイ に取られちゃったんですが、今年はまた復活するみたいです。 となるとこれはもう、行ってみなければなりません。 モータースポーツにはさほど興味が無いんですが、写真を撮ってこなければなりません。これまで僕はお花とか、風景とか、水族館のオサカナとか、野球とか、航空祭とか、ウマとか、色んなジャンルの撮影にチャレンジしてきたんですが、あ、 「ミス桑名と七福神を写す会」というのにも行きましたなー。 ポートレートはモデルになってくれるギャルがいないので諦めるとして、となると残されたジャンルはモータースポーツとか、鉄道とか、あるいはパンチラや露天風呂盗撮に走るか、それくらいしかなかったりするんですが、あ、 “鳥撮り” というのもありますか。  “猫撮り” もあるやん!…というのをすっかり忘れておりましたが、写真にハマり出した頃は既に、うちのクロコは天国に逝っちゃってたし、今のところモデルになってくれる猫と言えば “ひこにゃん” くらいしか思いつかないので、とりあず自動車レース、行ってみましょうかー。

 “鈴鹿サーキット場内MAP” へ ( ← Click Here!! )

 F1、行ってみるぅ?…と考えたりもしたんですが、調べてみたらチケット、高かったです。めっちゃ高かったです。いい席だと、そこそこいいレンズが1本買えるくらいの値段だし、さほどよくない席でも、さほどよくない中古のレンズをヤフオクで落とせるくらいの費用は掛かってしまいます。 僕はレースそのものにはあまり興味がなく、ただ写真を撮りたいだけなので、別にF1でなくても、普通にクルマが走っていてくれさえすれば、それでいいんですよね。 噂によるとF1というのはとにかくめっちゃ混むそうなんですが、めっちゃ混んでいると写真を撮りにくいに違いないので、出来れば空いているほうが嬉しいです。 もっと地味そうなレースはないのか?…と思って調べてみたら、この5月に フォーミュラ・ニッポン というのが開催されることが分かりました。 節分の日に多度大社で豆を撒いていた桑名出身の松田次生クンが出ているヤツでありました。 松田クンはどうやら立教小学校の出身らしく、となると中学校は恐らく陽和であるものと思われ、となると、サバくんの後輩ということになりますな。これはもう、応援するしかありません。 ということで、サバ兄とその息子のコウイチくん (仮名) の分を含めて、 “前売観戦券 ファミ得チケット” というのを買ったんですが、どうして息子の仮名がコウイチくんなのかというと、今年の4月で高1になったからなんですけどね。 16,000円というお値段だったんですが、V2・V1エリアセット (2日通し券・エリア席は決勝日のみ有効) 大人2名+子ども1名 (3歳〜高校生) ゆうえんちモートピアパスポート付 チララのフラワーワゴンにも乗れるよ!…ということなので、わりとお値打ちであると言えるのではないでしょうか。乗りませんでしたけどね、チララのフラワーワゴン。

<グランドスタンド “V2席”(予選) > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 フォーミュラニッポンの決勝は日曜日なんですが、前日の予選もタダで見れるようなので、とりあえず様子見に行ってみることにしました。土曜日は朝から雨。 予報によると次の日も雨みたいで、最悪の天気ですなぁ。。。桑名を11時過ぎに出て、国道23号線を走って、12時10分頃に到着〜。そんな遅い時間で大丈夫なのか、ちょっと心配だったんですが、道路はぜんぜん渋滞してなかったし、駐車場も遊園地の端っこのほうに余裕で止めることが出来ました。 とりあえずコースまで歩いていく途中にあった “あじさい” という和食レストランで昼食〜。 GPSのデーターロガを持っていったんですが、駐車場からここまで 450m、徒歩 6分20秒というところですか。 そこからサーキットのグランドスタンドまで、まだかなりの距離があるんですが、途中、遊園地内のステージで、妙にテンションの高いオネーサンが “ASIMO” と一緒にノリノリで踊りまくっている場面に遭遇したので、しばし鑑賞〜。 とりあえず動画を撮影してみたので、覗いてやって下さい。

 『 “ASIMO”くん、ノリノリ♪ 』 へ ( ← Click Here!! )

 果たして、うまく動画が見れるかどうか、甚だ疑問だったりするんですが、少なくともマックでは駄目なような気がします。とりあえず、マックで “wmv” を見れるようになる気がしないでもないアプリケーションへのリンクを貼っておいたんですが、英語だし、マック持ってないし、どうなんだかよく分かりません。 ま、見れたところでさほど大した出来でもないので、軽くスルーして貰っても、ぜんぜん大丈夫なんですけど。 それにしてもアシモくん、名古屋電気通信工学院ロボット制御研究科の卒業研究で 自動ホッチキス しか作ることが出来なかった僕としては、日本のロボット工学の技術はここまで進歩したのか!…と、感慨もひとしおでありますなー。 ということで、グランドスタンドに到着〜。 レストランからここまで 710m、徒歩 8分50秒 (“ASIMO” 鑑賞時間を除く。) だったので、駐車場からトータルすると、歩いて15分といったところでしょうか。 グランドスタンドの1階部分が “V1席” 、2階部分が “V2席” ということになるんですが、今回のチケットは日曜日のみ有効なエリア指定券 (席は自由) となっています。 V2席の後ろのほうの2/3くらいは屋根がついているので雨の日でも安心♪ それ以外の席だと雨の日は悲惨。。。 幸い、この日はこんな遅い時間でもV2の屋根付きの席が余裕で空いておりました。ちなみにこのエリア、F1グランプリだと大人でも子供でも問答無用で、お一人様 72,000円 もぼったくられてしまいます。 高っ!めっちゃ高っ! しかも恐らく座席指定であるものと思われ、屋根がなくて、やーね。…といった席でも文句を言えなくて、嫌ですよね。  いやあ、 “Fポン” にしておいて正解でした。

 で、この席、上に屋根があるのはいいんですが、目の前に網があるのはいけません。 網が邪魔臭くていちばん上の席に陣取ったんですが、それでも手前のほうを走るクルマは完全に被ってしまいます。純粋にレースを楽しむなら特等席なんでしょうが、写真を撮るには駄目ですな、こりゃ。。。 仕方なく、いちばん端っこに移動して、最終コーナーを曲がってくるところを狙うことにしたんですが、300mmのレンズでもクルマが小さくしか撮れず、ソレっぽい仕上がりにしようと思ったら、かなりのトリミングを余儀なくされてしまいます。今回より写真ページに詳しい撮影データも入れてみることにしたんですが、トリミングの欄に “×2.66” とあるのは、4288×2848のデータをトリミングして 1612×1070の範囲だけ切り抜いたので、4288÷1612=2.66 …という計算であります。パソコンの画面で 2.67cmくらいの幅で写っていたクルマを 7.10cmまで引き伸ばした形になります。最終的には 750×498に縮小して掲載しているんですが、かなり無理がありますなぁ。 さほど観客も多くなかったので、後ろから2番目の席で立って撮影に励んでいたんですが、すると右斜め後方の席に座っていたオッサンがつかつかと近付いてきて、 「座ってくれん?見えやんで!」 と文句を言われてしまいました。 ま、確かに非は僕のほうにあるんですが、所詮はまだ予選なんだから、そんなにムキになることもないと思うんですけどねぇ。。。

 おかげで僕のテンションはガクっと下がって、以後、かなりイジけた気分で撮影することになってしまったんですが、しばらくすると、僕の左斜め後方の席にいたオッサンが立ち上がって、バシャバシャと写真を撮り始めました。 怒られるでぇ。…と思いながら様子を窺っていたんですが、距離が少し離れていたからなのか特に文句を言われることもなく、おかしいやん!そんなん、えこ贔屓やん! しばらくすると今度は、僕のすぐ後ろ席のオッサンが立ち上がって写真を撮り始めたんですが、今度はきちんと 「座ってくれん?見えやんで!」 と叱られて、そうそう、そうこなくっちゃ♪ そんなに真剣にレースを見たいんだったら、もっと前の席に座ればエエやん!…と思わずにはいられませんでしたが、いや、僕はオトナなので、その場で逆ギレしたりはしませんでしたけど。 この場を借りて、おっさん、ウゼぇ!!…と罵倒するに留めておきたいと思います。 とまあそんなことで、席に座ったまま目の前を通り過ぎるクルマを撮影するしか手立てがなかったんですが、いや、難しいですな、モータースポーツの撮影は。 競馬場でウマを撮った時はわりとウマくいったので、クルマも似たようなものだと思っていたら、スピードがまったく違っておりました。 よくよく考えたらフォーミュラニッポンで走っているクルマのパワーは 600馬力オーバーらしいですからね。 ウマの場合、普通に走れば、ま、おそらく、1馬力といったところ。人一倍…というか、馬一倍頑張って走ってみたところで、馬の1倍だから、やっぱり1馬力。 馬二倍頑張って、ようやく2馬力ですからね。ウマとクルマでは馬力に違いがあり過ぎます。 特にグランドスタンド前のストレートはいちばんスピードの出るところなので、時速は恐らく300キロに迫るものがあるでしょう。 そんなもん、写真に撮れと言われても、無理に決まってます。

 さて、我らが期待の松田クンでありますが、ノックダウン方式で行なわれる予選の第2ラウンドで落っこちてしまって、最終ラウンドに残れませんでした。ああん! ノックダウン方式の予選というのがどういうものなのか、詳しい説明は省きますが、というか、僕には今ひとつよくシステムが把握出来なかったんですが、とにかくまあ、参加13人中、9位という成績で翌日の決勝に臨むことにまりました。 松田クン同様、僕の写真の成績のほうも惨憺たるものでありまして、 (写真・上から2番目) のような問答無用の失敗作を含め、ピンぼけやら、被写体ブレやら、そもそも被写体そのものがフレームに入らなかったものまで、駄作・凡作のオンパレード。 目の前のネットが邪魔くさいものの、何とか見れる作品だけを掲載しておいたので、初めてにしては上出来?…と言えなくもないんですが、600枚以上撮って、使えるのがこの程度だったので、成功率は1%程度でありました。


<第1〜第2コーナー “B2席” > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、日曜日です。初日はガラガラだったものの、腐ってもフォーミュラ・ニッポンの決勝ですからね。かなりの混雑が予想されるので、朝の7時に桑名を出発することにしました。ゲートのオープンが7時半なので、それでも遅いのではないか?…と懸念されたんですが、道路はガラガラ、駐車場も前日とほぼ同じところを確保することが出来ました。 V1・V2席はエリア指定券があるので、座れないことは無いと思うんですが、天気予報は雨時々曇。何とか屋根のある席を確保しなければなりません。 到着後、ただちにグランドスタンドに向ったんですが、その行為が空しくなってしまうほど、めっちゃ空いておりました。 結果から言うと、昼過ぎに到着したとしても、後ろのほうがいいとか、近くにウザいオッサンがいるところはヤだ!…とか、そういう贅沢さえ言わなければ、余裕で屋根付きの席を確保出来る状況でしたな。 が、このグランドスタンドは写真撮影には不向きであることが判明しているし、幸い、朝の時点ではまだ雨は降っていなかったので、とりあえず座席だけ確保しておりて、自由席である “B2” のほうに移動してみることにしました。

 グランドスタンドから 850m、徒歩 9分50秒で到着〜。 ちなみにこの席はF1グランプリでは 57,000円 ということになっております。 1階部分の “B1” は “B2” スタンドの下になるので雨の心配は無いんですが、目の前のネットが邪魔になるので、2階のいちばん上の確保〜。 こちらのほうは、もしかして豚インフルエンザの影響でレースが中止になったのかと思ってしまうような人の入り…というか、人の入ってない状態でありまして、この日は天気が今ひとつだったからこうなのか、それとも、今ひとつ不人気であると言われている “Fポン” では、いつもこの程度なのか。 初体験である僕には何とも判断が付かないんですが、朝8時半に “FCJ” というレースが始まりました。 これはどういうものなのかと言うと、ビートルズ日本公演の前座に出てきたドリフターズのようなものではないかと思うんですが、この席、コースまでの距離は遠いんですが、ネットが邪魔にならないので、写真撮影にはいいですなー。 前座だし、第1コーナーと第2コーナーが連続する場所なので、さほどスピードも速くないしー。 今回はレンズの焦点距離が 1.5倍になるケンコーの テレプラス を装着したので、かなりの防衛撮影だって可能です。 ただ、このテレプラスを使うと僕の持ってるレンズではオートフォーカスが効かなくなるので、マニュアルでピントを合わせなければならないんですけどね。 いわゆる “置きピン” というヤツでありまして、個人的には置きピンよりもガチャピンのほうが好きなんですが、やむを得ません。

 レースのほうは、スタートしていきなり、1台のクルマがスピンしてリタイアするという、なかなかエキサイティングな展開だったんですが、とりあえずその様子を撮ってみたのが (写真・いちばん上) であります。 置きピンと言われても、どこにピントを置けばいいのか分からず、今ひとつピントが合っておりませんな。 ま、レース撮影はこれで2回目というド素人なので、少々のことは大目に見てやってください。 で、続いては (写真・上から2枚目) 。 お、わりとピント合ってるぢゃん♪…と思ったら、スピンして止まってしまったマシンでありますな、こりゃ。 止まったクルマを撮るというのは、さほど難易度は高くありません。  (写真・ちょうど真ん中) は、ちゃんと走っているところを撮影したものなんですが、後ろのクルマは、ややピンぼけ。 前のクルマは、もうさっぱり。 ま、素人ですからね、こんなものでしょう。 さほどスピードも速くないしぃ。…と言いつつ、ちっともマトモな写真が撮れておりませんが、何度もしつこく回ってくるクルマを追いかけているうちに、少しずつ流し撮りのコツもつかめてきて、終盤はわりとソレっぽいのが撮れるようになりました。


<S字コーナー “D席” > (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 続いて、S字コーナー付近の “D席” に移動〜。 “B席” からは 660m、徒歩 11分20秒ほど掛かります。距離のわりに時間が掛かり過ぎているような気もするんですが、スタンドの狭い通路を歩いたり、階段を上ったり降りたり、やや障害の多いコースなので、そういうことになったのかも知れません。 ちなみに今回、グランドスタンドから時計回りに移動したんですが、最初から “D席” を目指すなら、コース下の通路を潜って反時計回りに歩いたほうが早いです。 その場合、グランドスタンドから 700m、徒歩 10分00秒となります。 ちなみにこの席はF1グランプリでは 37,000円 なんですが、これくらいだと何だか、お値打ちに思えてきますな。 で、今回の被写体はフォーミュラ・ニッポンのフリー走行なんですが、やはり “Fポン” のクルマとなると、前座レースに比べると、エキゾーストノイズも桁違いで、迫力満点で、カッコええ♪めっちゃカッコええ♪ 撮影のほうもかなり手馴れてきて、成功率も10%くらいまで急上昇して、ということで、ここで昼飯タイムということになったので、この続きはまた、次回♪

 ということで、今日はマッコイ・タイナーです。コルトレーン・カルテットでの気合の入ったプレイと、顔の恐さには定評があるんですが、あとはえーと…、特にそれ以外に特徴はありません。 特に特徴はないので、さっそく本題に入ろうと思うんですが、今日はインパルスの 『インセプション』 という1枚を紹介したいと思います。初めとか、発端とか、そういった意味のようなんですが、ほったん。堀田クンだと、たまにそう呼ばれることがありますよね。水谷クンだと “みったん” 。 ほったんとみったんが、血痰を吐いた。病院行けよ!…とか、日常の会話でもよく用いられるんですが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょうか。

 まずはアルバム・タイトル曲の 「インセプション」 。 まったんのオリジナルです。マッコイ・タイナーは “まったん” と呼ぶべきなのか、 “たいたん” と呼んだほうがいいのか、意見の別れるところかと思うんですが、 “たいたん” だと何だか土星の衛星みたいだったり、 「おかゆ炊いたん?」 みたいだったりするので、まったん。僕はこっちで行こうと思うんですが、典型的なモード曲。 ま、そう言ってしまっても、さほど大きな間違いは無いものと思われます。非常にシンプルな作りで、とっても単純なんですが、アドリブの出発点としては、こういうのがいいんでしょうな。 事実、ソロ・パートに入ってからのマッコイは実に生き生きとしておりまして、でまた、アート・デイビスエルヴィン・ジョーンズのサポートぶりも、この上なく巧みで、絶妙です。この3人の相性は、群を抜いて抜群でありますな。 あとはえーと…、特に書くことが無いので先に進みますが、ということで、テーマに戻って、おしまい。

 最近、どうも後半が手抜きでいけませんが、2曲目は歌物ナンバーの 「ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラブ」 。 グレーター・ラブというと僕はどうしても、 「グレた愛」 みたいなイメージが頭に浮かんでしまうんですが、ヤンキー兄ちゃんとスケバンが不純異性交遊に走ってるような。グレたもの同士で気が合うんでしょうな。 ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラブ。 こんなグレた愛は他にはないぜ。夜露死苦! ま、そういった感じの歌なんだと思うんですが、テーマ部でのマッコイとアート・デイビスとの絡みが絶妙でありまして、エルヴィンのブラッシュ・ワークも、この上なく巧みであります。いやあ、この3人の相性は、群を抜いて抜群でありますなぁ。…って、毎回、書いてることがまったく同じなんですが、見た目の恐さと、そこから紡ぎ出されるサウンドのラブリーさとのギャップがマッコイの持ち味でありまして、特に自分のリーダー作になると、その傾向が顕著ですよね。コルトレーンとやっている時とは違った自分を出したかったのぉ♪…と、マッコイ自らが語っていたような気がするんですが、小気味のいいキュートさに溢れたピアノ・ソロに続いて、アート・デイビスのピチカート・ソロがフィーチャーされております。 ベースのソロがというのは概ね、忍耐を要するものであるのが常なんですが、これはいいですな。よく歌ってます。 で、最後、短くマッコイとエルヴィンとの絡みがあって、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 3曲目、 「ブルース・フォー・ジーウィン」 。 “GWEN” というのはどうやら、マッコイの11歳上のお姉ちゃんの名前らしいんですが、いや、ずいぶんトシが離れているんですな。11歳下の妹なら、ちょっと考えないでもないんですが、マッコイ・タイナー、1938年生まれ。 このアルバムは1962年の録音なので、当時24歳。 ということは、ジーウィンちゃん、35歳。ぜんぜん大丈夫やん♪ 無論、13歳の妹のほうも悪くはないんですが、激しく法に触れる恐れがあるので、35歳のほうにしておこうかと。 ただ、顔が激しくマッコイ似だったりしたら、ちょっと考えてしまうんですが、曲のほうはアレです。わりとキビキビした、きび団子好きの姉ちゃん。そういったキャラを彷彿させる仕上がりとなっておりまして、根がブルースなので、さほど色気は感じられませんな。 ま、ブルースと言っても泥臭さはなく、いかにも新主流派的なんですが、で、演奏のほうはですね、まあまあだと思います。 ということで、次。 これまた、まっちゃんオリジナルで、 「サンセット」 。 マッコイの妻、アイシャによる命名らしいんですが、自然の印象を彼女の心にもたらしました、そして、それが反射的なバラードであったので、日没は論理的なタイトルに見えました。…と、マッコイ本人が原文ライナーの中で述べております。 「こんな曲を作ってみたんだけど、まだタイトルが付いてないんだ。」 「じゃ、私が考えてあげるぅ。んーと、キラキラした感じだから、日没っ!」 「おお、いいねぇ。アイちゃん、センスあるぅ♪」 「てへっ♪」 みたいな会話が交わされたのではないかと思うんですが、いいですな、夫婦円満で。マッコイくん、顔は恐いんだけど、根は優しいんだと思うんですよね。演奏を聴いているとそれが伝わってくるんですが、この 「サンセット」 も、いかにも日没らしい、ハート・ウォーミングなバラードに仕上がっているのでありました。マッくん、素敵っ♪

 5曲目、 「エフェンディ」 。 マッコイの曲、略してマッ曲なんですが、ちょっぴり 「スピーク・ロウ」 をパクっちゃったような、そんな感じのメロディだったりします。いつもの調子でピアノのソロが繰り広げられ、正直なところ、聴いているほうとしては、やや飽きてきた感もあるんですが、中盤、アート・デイビスのアートなベース・ソロが出てきて、気分転換にはもってこい。 それに触発されたのか、マッコイのプレイは後半に入ると、より熱っぽいものへと変貌を遂げているんですが、いやあ、かなり熱っぽいですなぁ。発熱外来に行ったほうがいいかも知れませんが、最後はエルヴィンがきっちり締めて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ということで、ラストです。 「スピーク・ロウ」 。 あらかじめ似たようなオリジナルを聴かせておいて、ここで本家を持ってくるとは、なかなか憎い演出でありますが、やはり本家のほうがより本物らしいですな。 定番どおりラテンっぽいリズムを導入して、テンポをかなり速めに設定して、スインギー&スリリングな演奏に終始するという方針のようなんですが、正直なところ、聴いているほうとしては、やや飽きてきました。…などと言わせない、息をつく暇もない激しいプレイが展開されております。 息をつくとしたら、終盤のベースの無伴奏ソロのところなんですが、一息ついたと思ったら、また疾走感のあるサウンドに戻って、そしてそのままテーマ、そしてエンディングへと駆け抜けて、とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 マッコイ入門にはインパルスのトリオ物だねっ♪…と、僕は思っているんですが、マッコイ入門としては2番目くらいにお薦め出来る1枚であると言えましょう。 1番のお薦めはやはり、超定番の 『バラードとブルースの夜』 ということになるんですが、僕の持っている輸入盤のCDはこの2枚がカップリングされていて、とってもお得♪ 囚人顔ピアニストのキュートなプレイを、心ゆくまで堪能してください。


INDEX
BACK NEXT