INVENTIONS & DIMENSIONS (BLUE NOTE)

HERBIE HANCOCK (1963/8/30)

INVENTIONS & DIMENSIONS


【パーソネル】

HERBIE HANCOCK (p) PAUL CHAMBERS (b) WILLIE BOBO (ds,tinbales)
OSVALDO "CHIHUAHUA" MARTINEZ (conga,bongo)
【収録曲】

(01-03) SUCCOTASH / TRIANGLE / JACK RABBIT
(04-05) MIMOSA / A JUMP AHEAD

【解説】 (2009年05月10日更新)

  前回 に引き続き、長野お花見旅のお話です。2泊3日の日程で、今回が最終日ということになるんですが、事前の天気予報によると土日は文句なしの晴れで、月曜日からは天気が崩れるとの事でありました。崩れると言っても長野のあたり、雨が降る心配は無さそうなんですが、白馬・信濃大町・安曇野のあたりで天気が今ひとつだったりすると、北アルプスが見えないじゃないか!…と文句を言いたくなってしまいますよね。 ま、3日のうち2日が晴れなら上出来と言えるんですが、日曜日は思ってたほどいい天気にはならなくて、空は白く霞んでおりました。 ま、3日目が思ったほど天気が悪くなくて、山も薄っすらと見えていたので、差し引きすればトントンと言えるかも知れませんけど。 2日は ここ に泊まっていたんですが、とりあえず手近なところを押えておきますかね?

<烏川渓谷緑地> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 宿の近くの アルプスあづみの公園 には以前に一度行ったことがあり、今回も覗いてみる予定なんですが、まだ開園時間には早過ぎるので、隣接する 烏川渓谷緑地 というところに行ってみることにしました。何だかオフィシャルサイトを見るからに地味そうで、あまり期待は持てそうにありませんが、こんなところにこんな渓谷があったんですな。ちっとも知りませんでした。 よしもと新喜劇の烏川耕一と同じ字なので “うかわ渓谷” なのかと思ったらそうではなく、 “からすがわ渓谷” と読むのが正解のようですが、緑地の真ん中あたりにクルマを10台ほど止めれそうなスペースがあったので、そこに駐車して付近を散策してみることにしました。 わりと立派な吊り橋があって、その下の流れはちょっとしたダムみたいになってて、向こうのほうには北アルプスの姿も見えて、ぜんぜん期待が持てなかったわりには、意外といい景色でありますなー。 プチ上高地って感じぃ? それはちょっと褒め過ぎかも知れませんが、少なくともプチ並高地には認定してもいいような気がします。 上高地との違いは、河童がいるかどうかだと言えるかも知れませんが、この吊り橋のすぐ上流のところで2つの沢が合流しているようで、複雑に入り組んだ流れとなっております。 当初、僕はカメラに35mmの単焦点レンズを付けていたんですが、とても全貌を写し切れなかったので、クルマに戻って魚眼レンズに付け替えました。 (写真・上から2番目) が魚眼レンズによる作例なんですが、烏川に住んでいるサカナが岸に上がって景色を眺めると、こういうふうに見えているに違いありません。 いや、岸に上がった時点で息苦しくなって、とても景色を眺める余裕など無い かも知れませんけど。

 吊り橋を渡った先、上流側の道はこの地点で行き止まりです。 下流側はアルプスあづみの公園まで続いているようですが、上流側は対岸のほうに遊歩道が延びている模様です。再度、吊り橋を渡って、そっち方面を散策。ちなみにこの吊り橋はあまりにも立派すぎて、ぜんぜん揺れないので、マニアには物足りないと思うんですが、烏川の上流側はですね、とっても川でした。 (写真・ちょうど真ん中) のように、いかにも渓流っぽくなっているところもあって、ここだけ見てるとプチ奥入瀬渓流って感じぃ? それはちょっと褒め過ぎかも知れませんが、少なくとも 長島温泉・湯あみの島 の女風呂には匹敵すると言っていいのではなかろうかと。個人的には昔の千人風呂のほうが、覗きスポットとしては隙がありそうで好きだったんですが、あとはえーと、ところどころビオトープなども作られておりました。4月の時点では単なる水溜りのようなものでありましたが、シーズンになればここにヤゴが涌いたり、ヤゴゲルゲが出没したりするのでありましょう。 超人バロムワンに出てきましたよね、 「ヤゴゲルゲの子守唄」 。

 シーズンになれば、緑地にはそれなりにお花も咲くようなんですが、4月の時点で確認出来たのは、まずはえーと、 (写真・下から2番目) でありますか。 いかにもシソ科っぽい花が咲いていて、ラショウモンカズラか?…と思っていたんですが、先ほど調べたら、どうやらカキドオシというお花のようです。 カキドオシ。漢字で書くと、牡蠣通し。生牡蠣はあたると恐いので、湯通しをして食べたほうが安心だねっ♪…という、そういう教訓が込められたネーミングなのではないかと思っていたんですが、ぜんぜん違いました。 “カキ” というのは貝類の牡蠣ではなく、果物の柿でもなく、下のほうに記してある下記でも、夏の期間の夏期でもなく、垣根の “垣” 。 この植物は花が散った後、茎が蔓状に延びて蔓延 (はびこ) って、隣家との境界の垣根をも通り越して延びていくので、垣通し。そういうことなんだそうです。それだけ聞くと何だか近所迷惑な雑草のように思えるんですが、漢方薬として活用され、コドモの疳(かん)に効果があるそうです。宇津救命丸みたいなものなんですかね? コドモだけでなく、胆道結石、腎臓結石、膀胱結石などで会社を欠席しているオッサンにも効果があるようで、また糖尿病の治療薬にも応用されているんだとか。そんな役に立つ植物であるなら、どんどん蔓延って貰いたいところですよね。

 で、樹木系のお花としては、(写真・いちばん下) のような、ちょっぴり地味なヤツが咲いておりました。名前の書かれたプレートが付けられていたので、素性は判明しております。 アブラチャンなんですな、こりゃ。 アブラチャン。 何だか脂ぎったアグネス・チャンみたいで、可愛いようなそうでもないような、ちょっと微妙な名前なんですが、漢字で書くと、油瀝青。 “瀝青” というのはコールタールみたいな油の一種 (中国語?) らしく、トータルすると “油・コールタールみたいな油の一種” ということになるんですが、とにかくまあ、アブラギッシュな樹木であるようです。油が多いので薪炭にしたり、油をしぼって灯油にしたりしたそうなんですが、何とも地味な花が咲くものなんですな。 とまあそんなことで、それなりに有意義な時間を過ごすことが出来たのでありました。


<大町山岳博物館> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 烏川渓谷散策の後は、アルプスあづみの公園を覗く。 → そこで飯を食う。 → 午後は、その時になったらまた考える。…といった漠然としたプランが頭にあったんですが、思ってたよりも天気がマシそうだったので、 大町山岳博物館 というところに行ってみることにしました。何だかオフィシャルサイトを見るからに地味そうで、あまり期待が持てそうにありませんが、博物館の前のところが公園になっていて、北アルプスをバックに桜が咲いている様子が、なかなかよさそうだったんですよね。 「桜の名所800」 にも入ってるみたいだしー。 出来れば、空が白く霞んでいるとは言え、予報では晴れということになっていた日曜日のうちに行っておきたかったんですが、道がちょっと狭いらしい。駐車場も50台分くらいしかないらしい。…というので、混雑を恐れて、断念していたんですよね。 が、この日は平日です。さほど混んではいないと思われるので、チャレンジしてみることにしました。 結果、アクセスルートは思ったほど狭くは無かったし、駐車場にも余裕で止めることが出来て、月曜日に有給休暇を取って、大正解♪…という感じだったんですが、公園そのものは、んー、まあまあ? 思ったより、こじんまりとした公園で、桜の数も思ったほど多くはなかったんですよね。 駐車場で、おっさんとおばさんのペアに声を掛けられて、

(おっさん) 「山をバックに桜がばーっと並木になってるところって、どこですかね?」
(さばくん) 「ここなんじゃないですかー?」
(おばさん) 「何かこう、イメージと違ったからぁ。」

 と言われてしまったんですが、そんなこと、僕に言われても知らんっ!文句があるなら、大町市に言え!…と思わずにはいられませんでした。 事前の調査によると、近くに 観光道路 というのもあるらしく、中年2人組のイメージはそちらのほうが近いような気もしたので、 「あっちのほうに “観光道路” というのもあるらしいですよ。」 というアバウトな情報を教えてあげて、いや、僕ってとっても親切ですよね。正しい場所を把握していたわけではないので、自分では行かなかったんですけど。 おそらく、あの2人組は道に迷って目的地には到達出来なかったものと思われますが、そういうリスクを犯すのって、嫌だしー。 、あ。大町公園も思ったほどでは無かったんですが、それなりに桜も咲いていたし、ちょっとした山の上にあるから下界の眺めもいいし、爺ヶ岳とかも何とか見えていたので、思いきりレタッチしたらそれなりに見れる写真を撮ることが出来ました。

 が、思ったより、こじんまりとした公園だったので、すぐに散策が終わってしまって暇を持て余し、仕方ないので博物館でも覗いてやりますかね?…と思ったら、休館日でありました。月曜日に有給休暇を取ると、こういうこともあるんだよね。…という一例でありますな。 ま、さほどソソられる博物館でも無かったので、別にいいんですけど。 というかむしろ、休んでくれててよかったと思ったほどなんですが、今ひとつ入りにくい雰囲気だったので、どうしようか迷っていたんですよね。 幸いなことに併設の動物園のほうは入園無料ということもあって普通に営業しておりまして、というか、入口とか門とか、そういうものがどこにも無くて、勝手に見て回れるようになっていたので、暇つぶしに覗いてみることにしたんですが、さすが入場無料なだけあって、動物園と呼べるようなレベルのものではありませんでした。 しょぼいとか、そういう次元を超越していて、いっそ清々しいほどだったんですが、お亡くなりになってしまったホンドダヌキの檻のところに 「忌中」 の張り紙が出ていたのはタヌキに対する深い愛が感じられて、思わずウルっとしてしまいました。 ここ を読んだら、赤ちゃんの時から飼育員がミルクをあげて育てていたんですな。そりゃ、情も移りますわいな。読んでて思わず大泣きしてしまったんですが、今頃、コタロウはタヌキの天国で元気に暮らしていることでしょう。心よりご冥福をお祈りします。


<安曇野ちひろ美術館> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 思ったよりも時間が潰れなかったので、 安曇野ちひろ美術館 を覗いてみることにしたんですが、以前からちょっとだけ気にはなっていたんですよね。 が、おっさん一人で覗くには、ちょっと浮くかな?…という気がしたので、今まで自重していたんですが、周囲はちょっとした公園になっているみたいなので、美術館に入る入らないは別にして、様子を窺ってみるというのは悪くないかも知れません。 ということで、行ってみました。 すると何だか小綺麗でお洒落な感じの美術館だったので、思い切って入ってみることにしました。この時期、まだヒノキの花粉が飛散していてマスクを装着していたので、半分しか顔を見られる心配も無いしー。 結果、展示はなかなか充実していたし、売店で “ちひろグッズ” も買うことが出来たので、覗いてみて大正解♪…だったんですが、何だか、純真だった子供時代に戻れるような空間でありましたな。 珠算や習字に通っているふりをしながら勝手に自主退学して、月謝をちょろまかして遊んでましたからね、子供時代の僕。

 美術館の中は撮影可能なのかどうか定かではありませんが、恐らく駄目だと思われるので自粛しました。 よって今回の写真は外の公園だけなんですが、このエリアだけなら勝手に入り込んでも無料だし、いわさきちひろに何の興味もない人も、話のタネに一度立ち寄ってみるといいのではなかろうかと。綺麗な花壇があるし、ちょっとした人口池や人口せせらぎもあるし、“パツォウスカーの庭” というのもあって、ま、5分くらいなら時間を潰せるのではなかろうかと。 ちなみにパツォウスカーというのはチェコの絵本作家なんだそうですが、発音しにくいし、キーボードから入力しにくいし、この先、死ぬまで名前を覚えられそうにもないので、あまり深く気にしないほうが得策かも知れません。とにかくまあ、数字と鏡を組み合わせたオブジェのようなものがある庭だと思っておいて下さい。 で、この公園のすぐ隣には “乳川” というのが流れておりますので、乳フェチの人にもお薦め♪…でありますな。


 美術館から豊科方面に向う途中、乳川に掛かる “乳房大橋” というのを渡ったりしたんですが、それがどうした?…といった感じの、ごく普通の橋でありましたので、乳フェチの人に特にお薦めはしません。 というか、乳川そのものも名前以外に乳フェチを喜ばせる要素はどこにもなかったので、お薦めした前言は撤回しようと思うんですが、ちなみに “ちちがわ” ではなく、 “ちがわ” と読むようです。 とまあそんなことで、アルプスあづみの公園に到着ー。 この時期、地味ながらもそれなりに何らかのお花は咲いているだろうし、適当に1時間ほど散策して、中のレストランで “あづみの豚肉丼” でも食おうかと思っていたんですが、ゲートの前まで行ってみると、ん?休園日!? ガーン。。。 “月曜日に有給休暇を取ると、こういうこともあるんだよね Part2” でありますな。 僕は美味しいものは後に取っておくタイプなので、休みを取るなら断然、金曜日よりも月曜日派なんですが、月曜休みの施設って、わりと多いんですな。自分のポリシーを少し見直さなければならないかも知れませんが、いやあ、すっかり予定が狂ってしまいましたなぁ。 とりあえず 大王レストラン に行って昼飯を食うことにしたんですが、平日だと言うのに、わざび農場はけっこうな賑わいであります。 ちょうどお昼時だったので、レストランの前にもオバチャンの軍団が列を成していたんですが、ここは自販機で食券を買って、セルフサービスでカウンターまで食い物を取りにいくというシステムになっておりました。 大王の癖に、えらく庶民的なんですな。 わさび農場らしいランチということで、僕は “大王名物!本わさび丼” というのを注文することにしたんですが、このメニューは大人気で、僕の前に並んでいた7人くらいのオバチャン軍団も、すべてこの食券を買っておりました。 どうして他人の注文内容まで分かったのかと言うと、オバサン達というのは、 「私、この “わさび丼” にするわ。」 とか、 「私もそうするわ。」 とか、 「私は “わさび丼” にしよかな?」 とか、いちいち口に出しながら食券を買うので、後ろの人にも丸わかりなんですよね。 結局、全員が同じものを食うのなら、最初から7枚分まとめ買いすればいいと思うんですが、オバサン達にそういう機転を求めてはいけません。 1枚、2枚、2枚、1枚、1枚…と、何だかよく分からない買い方をしてバラバラにカウンターに出して、整理券を貰ってテーブルに散っていったんですが、整理券の番号を座席の指定だと思っているオバサンもいたりして、いやあ、何とも傍迷惑でありましたな。

 ということで、 “大王名物!本わさび丼” 到着ー。 というか、自分でカウンターまで取りに行かなければならないんですが、これはアレでした。 要は “ねこまんま” にワサビがついたものだと思えば、そんなに大きくは間違っていない食べ物でありました。 これで味噌汁付700円というのは、ぼったくりではないか?…とか、そういう野暮な事を言ってはいけません。大王さまが決めたことに逆らうなど、もってのほかです。 自分で生のワサビをすりおろすという、貴重な体験が出来るだけでもありがたいと思わなければなりませんが、これがまた、けっこう面倒だったりするんですけどね。 が、 「美味しんぼ」 だと恐らく、これが究極のワサビの食べ方だ!…ということになるに違いなく、何ともありがたいお食事を堪能することが出来たのでありました。 大王、万歳!!

 とまあそんなことで、帰宅ー。 時間に余裕があったので、途中、園原の “花桃の里” に寄ってみたんですが、その話は ここ を見て貰うとして、ということで、長野お花見旅は、おしまい♪

 ということで、今日はハービー・ハンコックなんですが、 『インベンションズ&ディメンションズ』 です。ブルーノートのハービーのリーダー作の中では、かなり地味な部類なんですが、ジャケットのセンスはいいですよね。ハービー、身長が6階建てのビルくらいあって、めっちゃ、でけぇ! が、今回、先行してジャケ絵を書いてみたら、めっちゃ不出来になってしまいました。この大きさ…というか小ささの顔を本物に似せて書くというのは至難の業なんですが、それにしてもあまりに酷すぎます。僕のプライドが許さないので顔面にモザイクを入れておきましたが、うん。このほうがよっぽどマシですな。 が、下手にモザイク入れられると、通販でモザイク除去装置を買ってでも除去したくなるのが人情でありまして、読者に余計な出費を強いるというのも本意ではないので、今回、特別に無修正版も公開しておきましょう。 これ です。公開したことを自分で後悔することになるかと思ったんですが、最初にハードルを下げておいたので、思ったほど酷くはなかったですね。 ま、決して褒められたものではないんですけど。 で、ジャケットはともかく、このアルバムはタイトルが秀逸なんですが、 『インベンションズ&ディメンションズ』 。いい感じに韻を踏んでます。 『発明と特性』 。  日本語にしても何だかインテリっぽくて、いいです。 ハービーという人はジャズマンには珍しく、理系を感じさせるキャラだったりするんですが、で、これ、ハービーには珍しい準ピアノ・トリオ作品だったりします。 年とってからはともかく、ヤングだった頃は大抵、ホーンとか入れてますからね。“準” としたのはベースとドラムス以外にコンガとボンゴが入っているんですが、何でもいいけどこのラテン・パーカッション担当の OSVALDO "CHIHUAHUA" MARTINEZ って、真ん中のあだ名の部分は何と読むんですかね?チフアハウ? 僕が持ってるCDは輸入盤なので、正しい片仮名表記が分からないんですが、裏のパーソネルのほうは "CHIHUAHUA" なんですが、ジャケットを見ると "CHIHUAHAU" になってるし、恐らくアメリカ人もあまりよく分かってないんでしょうな。村上“ポンタ”秀一ならともかく、ワケわからんのを真ん中に入れるな!…と思わずにはいられませんが、とまあそんなことで、では演奏にいってみましょうか。

 1曲目、 「サコタッシュ」 。 このタイトルはいったい何を意味しているんでしょうね? ロス疑惑の日米合同捜査を指揮した ロス市警の刑事?…って、それは、ジミー佐古田っしょ。 そんなオッサン、よほどのマニアでなければ覚えていないと思うんですが、三浦和義が自殺した時にもちょっとだけ名前が出てきましたけどね。ジミー佐古田より、アホの坂田のほうが有名かも知れません。 で、曲のほうはアレです。ザクっと即興で仕上げたようなシンプルな作りになっておりまして、ピアノのバックに聞こえるパーカッションが、何とも言えず軽快です。コンガとボンゴ以外に、ドラムス担当のウィリー・ボボ (九州地方では放送禁止) がティンバレスを叩いている旨のクレジットがあるんですが、ザルの中で豆を転がすようなザザザっという音は何なんですかね? 洗濯板を棒でこするヤツでしょうか? 英語で書かれた原文ライナーを解読したところ、ウィリー・ボボのブラシが “サコタッシュ、サコタッシュ” と聞こえるみたいな記載があったので、あるいは普通にドラムスをブラシでこすっているだけなのかも知れませんが、これがなかなかいい味を出しております。 ジミー佐古田ではごまかしきれなくなってきたので、この時点で “succotash” の意味を調べてみたんですが、ん? サッコタシ? それが正しい発音なんすかね? リマ豆とトウモロコシ、時にトマトを加えて煮た料理なんだそうですが、日本で煮た料理を見つけるのはちょっと難しいかも知れません。強いて言うなら、大豆の五目煮のようなものなんでしょうか? いずれにしろ、 “サッコタシ、サッコタシ” と聞こえるリズムをバックに、ハービーの軽快なソロが繰り広げられておりまして、モーダルでリリカルで知的でクールな彼のピアノを嫌というほど堪能することが出来ます。 中間部ではドラムのソロもフィーチャーされるんですが、やはりブラシとは別に、豆っぽい音も聞こえております。 で、最後に再びピアノのソロが出て来て、流れるようにテーマに突入して、でもって、おしまい。 いや、なかなか快調な滑り出しでありました。

 ということで、2曲目です。 「トライアングル」 。 きっちりした4ビートに乗せた、わりとオーソドックスな仕上がりでありまして、演奏時間が10分59秒もあるので、ハービーのピアノを嫌というほど堪能することが出来ます。事実、聴いていて途中で嫌になってきてしまったんですが、とまあそんなことで、あまり深入りするのはヤメにして、おしまい。 続いては 「ジャック・ラビット」 という曲であります。 「王子うさぎ」 ?…と思ったらそうではなく、「野うさぎ」 のようでありますな。 そもそもトランプのジャックって、キングが王様、クイーンが女王だから、ジャックは王子なんだろうと勝手に思い込んでいたんですが、普通に兵士だったりするみたいなんですよね。 で、翻訳サイトを信用するなら、“jack rabbit” で野うさぎになるようなんですが、ま、確かに野うさぎっぽい、ぴょんぴょん跳びはねるような曲調ではあるんですけどね。なかなか軽快でジャンプフルなサウンドなんですが、正直、途中でちょっぴり飽きました。じっくり聴けば、かなり美味しいフレーズもあったりするんですが、軽く聞き流すにはややヘビーでありまして、とまあそんなことで、途中、コンガだかボンゴだかティンバレスだかのソロを挟んで、終盤、かなりアウトな感じのピアノ・ソロがあって、テーマに戻らずに、おしまい。

 4曲目、 「ミモザ」 。 何曲めかぶりに聴きやすいのが出て来て、ほっと一安心なんですが、コンカカッカ、コンカッカ♪…というベタなラテン・リズムをバックに、ゆったりとしたテンポでハービーのリリカルなソロが展開されるという、ま、そういった仕上がりになっております。 で、途中、ベースのソロがフィーチャーされるんですが、これ、ポール・チェンバース なんですね。ハービーとチェンバースの組み合わせというのはちょっと珍しいような気もするんですが、別段、古臭い感じがするわけではなく、お得意のアルコに走ったりするでもなく、淡々とした仕上がりになっていて、可もなく不可もなく、ま、無難なところでありました。 とまあそんなことで、最後にもう一度ピアノが出て来て、テーマに戻らずに、おしまい。

 ということで、ラストです。今回はジャケ絵ともども、曲解説のほうもかなり手を抜いたので、あっと言う間でありましたが、 「ア・ジャンプ・アヘッド」 。 ミディアム・ファストのジャンピーなナンバーでありまして、ピアノの合間に聴かれるチェンバースのベースが、なかなかモーダルです。保守系なのかと思ったら、意外とこういうのもイケる口だったんですな、チェンバース。 下手にロン・カーターとか使わずに正解だったかも知れませんが、ピアノとベースの対話で演奏が進められ、とまあそんなことで、今日は以上です。

【総合評価】

 近年にない適当な後半でありましたが、正直、1曲目以外、個人的にはあまり楽しめない作品でありました。 下手に、じっくり演奏に耳を傾けようなどと思わず、造花作りの内職でもしながら、軽くBGMとして聞き流すと、意外と悪くなかったりするんですけど。


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