JAZZ ARGENTINO (COLUMBIA)

RUBEN LOPEZ FURST (1967)

JAZZ ARGENTINO


【パーソネル】

RUBEN LOPEZ FURST (p) JORGE GONZALEZ (b) NESTOR ASTARITA (ds)
【収録曲】

(01-03) ISRAEL / LOS VIEJOS / MY BONNIE
(04-06) ABEJA DURMIENTE / SOMETIME AGO / AL ESTE DEL SOL
(07-08) CARTAS DE AMOR / HOMBRE AMAESTRADO

【解説】 (2009年04月12日更新)

 ご当地グルメがブームですな。 “B−1グランプリ” なんてのもあって、それなりに盛り上がっている模様です。 “Fー1” の “F” は “フォーミュラ” の “F” 。 フォーミュラというのは何かと思ったら “規格” という意味なんだそうで、車輪とドライバーがむき出しになっているという規格で作られたクルマのことをフォーミュラカーと呼ぶんだそうです。日本語にすると “規格車” ですか。何だかあまり速そうな感じがしませんな。 で、一方、 “K−1” の “K” は何の略なのかと言うと、何なんですかね?  空手家?カラスミ?烏天狗? 調べてみたらどうやら、空手、キックボクシング、カンフー、拳法、格闘技と、いろんな “K” で始まる言葉の意味が込められているようなんですが、なるほど。よく考えたらボラの卵巣を塩漬けにした珍味とか、くちばしがカラスみたいに尖がってる天狗とか、あまり関係ないですからね。そういう意味が込められていないのは当然なのかも知れません。 漫才のグランプリは “M−1” 、ピン芸人を対象にしたものは “R−1” 、これは何の略なのかと思ったら “落語” なんだそうで。 “R−1” の出場者にあまり落語家はいないような気がするんですが、落語に代表される一人芸を “R” の一文字に込めたんでしょう。ちょっと違和感を覚えたりもするんですが、ピン芸人のグランプリは “R−1”っ! …と決まってしまった以上、今さらどうすることも出来ません。

 で、 “Bー1” の “B” は何なのかと言うと、これは “B級グルメ” の “B” なんだそうで、B級ご当地グルメの日本一を決める大会として、2006年から毎年1回開催されているようです。 ご当地グルメの中にはA級のものもあれば、C級、D級、あるいはそれよりもっと下のQ級グルメなんてのもあるかも知れませんが、参加資格はB級に限定されている模様です。 B級ご当地グルメと言うと、まず最初に “富士宮やきそば” が頭に浮かぶんですが、有名ですよね。あまりにも有名過ぎて、JRバス関東と富士急静岡バスが運行する東京−富士宮間の高速バスの愛称が “やきそばエクスプレス” になっちゃった程なんですが、いくら有名だからと言って、そのネーミングはちょっとどうか?…という気もするんですけど。 格安高速バスの “キラキラ号” が、まだマシに思えちゃいますもんね。 で、この富士宮やきそばは第1回と第2回の “B−1” でグランプリを獲得しているようで、2回とも同じ食い物が受賞しているようでは、B級ご当地グルメの裾野の狭さを露呈したようなものでありますな。

 さすがに3年連続というのは、ちょっとどうか?…というので、第3回は特別賞ということに落ち着いたようですが、では、栄えあるグランプリを獲得したのは何かと思ったら、 “厚木シロコロ・ホルモン” なんだそうで。 そんなもん、聞いたこともねーぞ! ま、僕は人並み外れて世間知らずなので、世間では、厚木と言えばシロコロ・ホルモンなのかも知れませんが、ノミネートされている食い物の中で僕が知ってるのと言えば、駒ヶ根ソースかつ丼、静岡おでん、浜松餃子、各務原キムチ、若狭小浜焼き鯖寿司くらいでありますな。 ご当地グルメというだけあって、どうやらご当地、並びに近隣でしか知られてないものが多いようなんですが、浜松は最近、ウナギではなくて餃子で売り出しているんですよね。茹でたモヤシを添えるというのが特徴だそうですが、で、一方、静岡おでんというのは、どういうものなんでしょうね? 名前だけは聞いたことがあるんですが、詳しくはよく知らなくて、そもそも僕は “おでん” がさほど好きではないので、積極的に調べようという気にもならなかったんですが、この機会に調べてみますかね?

 ということで、調べてみました。濃口醤油を使い牛スジ肉でだしを取った黒いつゆを使用する。はんぺんは焼津産の黒はんぺん、すべての具に竹串を刺し、上に「だし粉」と呼ばれるイワシの削り節や鰹節、青海苔をかけて食べる。 ( “Wikipedia” より勝手にコピペ。) なるほど。あまりソソられるものではありませんな。静岡と浜松は静岡県内で対立していて、互いに仲が悪いそうなんですが、静岡か浜松、どちらかに助太刀をしろと言われたら、僕は迷わず浜松を選ぶことになると思います。報酬はウナギと餃子、食べ放題。めっちゃエエやん♪ 県内対立と言えば桑名四日市もさほど仲が良くはないんですが、 “安永餅” と “なが餅” はどっちがパチもんかというので、いつも揉めてますからね。 合併のおこぼれとは言え、桑名にはナガシマスパーランドがあるし、多度豆もあるし、合併前の段階でも時雨ハマグリや “かぶら煎餅” というのもあったので、絶対に勝ってると思うんですけどね。 四日市なんて、公害のおかげで知名度だけは高いんですが、名産と言えば “万古焼き” と “大矢知のソーメン” くらいしか無いしー。 と思っていたら、最近、四日市が “トンテキ” で売り出したみたいですな。 トンテキなんて、牛が高くて買えないので、仕方なく豚をテキにしたとしか思えないチープな食い物でありまして、B級という点では申し分が無いんですが、その発祥が四日市だなんてのは、隣の町に住んでいて、今の今まで知りませんでした。 というところも他にあまり取り得が無いので、 “天むす” や “いちご大福” の発祥地ということで盛んにアピールしているようですが、あとは “井村屋のあずきバー” とか。 津は合併によって “おやつカンパニー” も手に入れたので、 “ベビースターラーメン” も津のものや!…とか言い出す恐れもあって、なかなか侮れないんですが、とりあえずトンテキのほうは東京にも “東京トンテキ” という店があるようなので、トンテキの元祖は東京であるという方向に世間を誘導したいものでありますな。

 で、最後に “山賊焼き” を取り上げてみたいと思うんですが、君は “山賊焼き” を知っているかな? 僕は知りません。 字面からして “根性焼き” の親戚のようなものかと思ったんですが、そうではなくて、どうやらご当地グルメの一種らしいです。 そう言えば、どこかのスーパーの惣菜売場でそういう名前の食い物を見つけて、買って食ったような記憶もあるんですが、肉の竜田揚げのようなものではなかったかと。 僕は4月18日(金)から2泊3日の日程で、長野方面にお花見に行こうと画策しているんですが、1泊目は “懐古園” に近い 小諸グランドキャッスルホテル というところを押えました。食事無しのプランにしたんですが、館内に中華レストランや寿し処があるようなので、鉄火巻(1本)300円と、揚げ出し豆腐 400円でも食べようかと思っております。中華レストランのほうでは 14:30〜17:00 という半端な時間帯に 980円 (税込) でスイーツ&パスタバイキングをやっているんですが、おっさんの一人スイーツ・バイキングというのはかなり浮くような気がするので、おっさんらしい食事にしておこうと思います。 で、2泊目は安曇野の ほりでーゆ〜四季の郷 というところに泊まることにしたんですが、いかにも公共の宿らしく、ネーミングのセンスに難があるところがちょっとアレではあるんですけど。 “じゃらん” 限定の 【ビジネス&女性もOK】気ままに♪朝食付一人旅プラン というのがあったので、それにしました。ビジネスでなければ女性でもないんですが、 【道祖神巡り&オッサンはNG】 とはどこにも書かれていないので、一人旅で、しかも気ままであれば大丈夫なのではなかろうかと。

 部屋タイプとしては “アルプス展望のお部屋” と “森林が見渡せるお部屋” の2種類があるようなんですが、このプランの場合は後者になるようです。ということはつまりアルプスはぜんぜん展望出来なくて、そのへんのシケた森林が見渡せるだけということなんでしょうな。 で、朝食付一人旅プランということは、すなわち夕食は付かないということだと思うんですが、 “レストラン四季” というのがあるようなので、大丈夫。ちゃんと メニュー まで掲載されているので、とっても親切です。 で、僕は浜松に行ったらウナギか餃子、駒ヶ根に行ったらソースカツ丼、静岡に行ったら、ん〜、唐揚げ定食?…という具合に、出来ればその土地の名物を食べてみたいと思う性質 (たち) でありますので、今回もなるだけ安曇野っぽいディナーにしたいところなんですが、おおっ、 “おとうじそば” なんてのがありますな。トップにでかでかと掲載されているからには名物&オススメなんだと思うし、信州=蕎麦というのは、ご当地感としても納得のいくところです。 が、これ、 「ご注文は二人前より」 と書いてあるから駄目ですなー。 もし一人前でも大丈夫だとしても、具に野菜とかキノコしか入ってなさそうで、ランチとか下痢の時ならいいかも知れませんが、腹具合が正常な場合のディナーとしては、ちょっとシケているような気もします。 それよりも、下に並んだ定食メニューのほうにソソられるものを感じてしまいます。 たまの旅行なんだから、石焼きステーキ 100g 2,100円(税込み) 、いっちゃう? が、100g ではちょっと物足りないような気もするし、いくら長野県産牛とは言え、ただのステーキで、ご当地感がそれほど高くは無いし、それなら家に帰ってから四日市でトンテキを食ったほうがいいような気がしないでもありません。 となると、お子様ランチ 700円(税込み) ですかね? おまけも付いて来るみたいだしー。

 という定番のボケはさて置いて、僕の目に飛び込んできたのは、 “信州松本名物・山賊焼き” という文字でありました。信州松本名物、いいぢゃん♪ 定食のお値段も 900円(税込み) と、お値打ちです。 とまあそれはそうと、山賊焼きって、何なんですかね? 以前、スーパーで買って食べた記憶によると、豚肉の竜田揚げっぽいものだったと思うんですが、ほう葉焼定食、とんかつ定食などのところにある “信州ポーク” のマークがここにはありません。あるいは信州ポークでは無い、名も無い安物の中国豚なんかを使っているのかも知れませんが、だとすればちょっと嫌なんですが、とまあそんなことで、調べてみました、山賊焼き。 鶏のもも肉に野菜を挟みにんにくを効かせて、片栗粉をまぶして揚げた長野県中信地方(塩尻市・松本市等)の郷土料理。 ( “Wikipedia” より勝手にコピペ。) なるほど。鶏肉でありましたかぁ♪ で、名前は “焼き” なんですが、実際は “揚げ” なんですよね。 名前の由来としては2つの説があるようで、まず1つ目は長野県塩尻市の店 「山賊」 を元祖とする説。 どうやらこちらの説が有力のようなんですが、今ひとつ面白味がありません。 『塩サバ通信』 という名前の由来が、サイトの名前を考えていた日の晩飯が、たまたま塩サバだったから。…というのと同じくらい面白くありません。 事実と言うのは得てして、真相を知ってしまうと大抵つまらないものだったりするんですが、僕は断然、もうひとつのほうの説を支持しますね。それは一体どういうものなのかというと、山賊は物を取り上げるから、トリを揚げた料理は、山賊焼きっ!

 何故、山賊揚げではなくて、山賊焼きなのかというのは、今ひとつ納得のいく説明が得られなかったんですが、とまあそういうことで、いつもこのコーナーが更新される日曜日の夜、僕は安曇野でのんびりと過ごしておりますので、 “jazz giant” は、1回お休み♪…ということで。 いやあ、楽しみですな、山賊焼き。 いや、もしかしたら前日の揚げ出し豆腐が祟って下痢になって、コンビニで牛乳パンを買ってカジることになるかも知れませんけどー。

 ということで、今日はルーベン・ロペス・フルストです。 誰やそれ?…と思ったら、どうやらアルゼンチン人らしいんですが、アルゼンチン人にもジャズをやる奴がいたんですなー。アルゼンチン人と言えば、 アルゼンチンの子供〜、子供〜、子供〜、アルゼンチンの子供〜、アルゼンチンコ〜♪ …という歌ばかり歌っているものだと思っておりました。 …という人がいたら、それはあまりにも認識が間違っている上に、古過ぎのような気がするんですが、アルゼンチン=タンゴというイメージが強いですからね。 ま、日本人でもジャズをやる人は珍しくないので、アルゼンチン人がジャズをやっても別に不思議ではないんですが、で、このルーベン・ロペス・フルスト君はですね、名前がとってもラテンっぽいです。特にロペスという部分がラテンっぽいです。 で、今日はそんなロペス君の 『ジャズ・アルゼンチーノ』 というアルバムを紹介したいと思うんですが、タイトルがとってもアルゼンチンっぽいです。 で、これ、シンプルなトリオ編成のようなんですが、ベースを担当しているのはジョージ・ゴンザレスという人です。ゴンザレスというのが何だかとってもラテンっぽくて、こうなってくると、残ったドラム担当者の名前に注目が集まるわけですが、その人の名はネスター・アスタリタ。 うーん、まあまあ? アスタリタというところに幾分、満ち足りたものが感じられはするんですが、さほどラテンっぽくないところが残念であります。ペレス君を雇えって! で、僕の持っているCDはですね、 『ジャズ・アルゼンチン人』 の他にもう1枚、 『ジャズ・エン・ラ・ユニバーシダッド』 というアルバムがカップリングされているんですが、2枚分もレビューを書くのは面倒なので、後半は最初から無かったことにしたいと思います。 “2 in 1” 化にあたって、ジャケットも微妙に改竄ざれているんですが、追加で書かれた小さな文字は見なかったことにして、ということで、では演奏を聴いてみることにしましょうかー。

 このロペス君にはどうやら、アルゼンチンのビル・エバンスなどという異名があるようなんですが、その謎は演奏を聴けばすぐに分かります。1曲目、 「イスラエル」 。 この、エバンスを意識せざるを得ない楽曲をですね、めっちゃエバンスっぽいスタイルで弾いていてくれるんですよね、これがまた。 アルゼンチン人のジャズ=ラテン・ジャズという先入観を覆す、意外な展開でありますな。 ムラサキイガイ…のネタは3週連続になるので、さすがにやめておきますが、僕はこの 「イスラエル」 という曲がドブさらいよりも好きなので、アルゼンチン人が取り上げてくれたことを嬉しく思います。全身がドブ臭くなったりして、ちっともよくないですもんね、ドブさらい。たまに銀矢サイダーの当たりの王冠を拾ったりすることもあるんですけど。 エバンスっぽいとは言え、所詮はアルゼンチンのエバンスなので、叙情性がいくぶん下品だったりするんですが、その分、力強さが感じられて、概ね、いい出来であると評価していいと思います。 ただ、ゴンザレス君のベースをスコット・ラ・ファロと比較するのはちょっと酷でありまして、アスタリタ君のタイコもポール・モチアンに比べると野暮ったくて、ま、それはそれでB級グルメな味わいがあって、悪くなかったりするんですけど。 とまあそんなことで、ピアノ・ソロの後、ベースやドラムスがフィーチャーされることなく、テーマに戻って、おしまい。 …と思わせておいて、ここから先が結構しつこかったりするんですが、すこぶる良好な滑り出しであると言っていいでしょう。

 ということで、2曲目です。 「ロス・ビエホス」 。 スペイン語なのか、はたまたアルゼンチン語なのか、読むのが難しくてこれで合っているのかどうかまったく自信は無いんですが、いざ演奏が始まってみるとコレってもしかして、普通に 「オールド・フォークス」 だったりしませんか? 作者がヒル/ロビンソンとなっていて、調べてみたら 「オールド・フォークス」 は作詞がデイビット・リー・ヒル、作曲がウィラード・ロビンソンだったので、まず間違いないと思います。オールド・フォークスというのが南北戦争を経験した世代の事であるというのは既に調べがついているんですが、 『ブルース・フォー・パーパス』 のところに出てきましたよね。 これまた僕の好きな曲でありますので、ロペス君の選曲センスはなかなかイケてると思うんですが、でもって、演奏のスタイルはですね、エバンスです。しみじみとした味わいがあって、いや、いいですな、こりゃ。ネスター・アスタリタのブラッシュ・ワークもセンシティブで、さっきは野暮とか言って、ゴメンな!…と、思わず謝りたくなってしまいましたが、陳謝のシルシに今後、焼肉屋でチシャを奢りますので、許して下さい。ただし、肉の金は自分で出して下さい。ビール代は僕が奢って貰います。 …とか言ってるうちにピアノのソロが終わって、テーマに戻って、おしまい。 4分41秒の、ちょっとした小品でありました。

 ということで、次です。  「マイ・ボニー」 。 作曲者のところに “Trad.” とクレジットされているところを見ると、この曲を作ったのは、寅年のオッサン? 僕が足の骨を骨折した時、同じ部屋に入院していた寅年の爺さんは、 「あんた、干支は何や?」 という、その1点だけでナースとのコミュニケーションを図っいたんですが、あのエロい爺さんに音楽の才能があるようにはとても見えなかったので、“Trad.” というのはあるいは、“Tradoshi” の略では無かったりするのかも知れません。 となると、 “Traditional” でしょうか? そういえばアメリカのトラディショナルにこんな名前のヤツがあったような気もするんですが、あまり民謡っぽくない、わりとお洒落な感じの仕上がりでありますな。 ちょっぴり、 「いつか王子様が」 っぽい雰囲気もあったりして、ワルツなんですなね、こりゃ? 先ほど、繊細なブラッシュ・ワークを聞かせてくれたアスタリタが、今度はスティックで野暮ったくタイコを叩いておりまして、さっき、陳謝して損したぁ。…という気分になってしまうんですが、奮発してチシャなんか奢るんじゃなかったですな。 ま、それなりにスインギーではあるんですけど。 ロペスのソロも軽快で悪くなくて、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 4曲目、 「アボーヤ・ドミエンテ」 。 これまた、何ともエバンスな仕上がりとなっておりまして、いいですな、こりゃ。 …という事くらいしか、もはや書くことが無くなってきたんですが、深く自己の内面に入り込むでなく、嬉々としてエバンスの物まねをしているような感じがあって、悪くないです。何というか、野呂五郎ショーを見ているような安心感があるというか。 ダウンタウンのパチモンの “ダウソタウソ” までいくと、ちょっとどうかという気がするんですが、手頃な感じがありますよね、野呂五郎。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 5曲目、 「サムタイム・アゴー」 。 ここに来ていきなり、管楽器の音が聞こえてきて、ちょっと面食らうんですが、B面がホーン入りになるなんて、どこにも書いてなかったやん!…みたいな。何のクレジットも無いので詳細は不明なんですが、急遽、テナーサックスとトランペットが参加することになった模様です。 で、サウンドが急遽ハード・バピッシュになったのかというと、決してそんなことは無く、むしろ、イージー・リスニングやムード歌謡の領域に近くなったような気もするんですが、2管のハモり具合はなかなか絶妙だったりするんですけど。山川豊のそっくりさん、山川鱧 (やまかわ・はも) に匹敵するハモりだと言えそうなんですが、テーマの後、リリカルなロペス・フルストのピアノ・ソロがあって、続いて、どこぞの誰かのトランペット・ソロとテナー・ソロもフィーチャーされます。 正直、エバンスっぽいピアノだけではちょっと飽きかけていたので、ここでのチェンジ・オブ・ペースは大歓迎でありまして、多少のムード歌謡っぽさは大目に見ておきたいと思います。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 続く 「アル・エステ・デル・ソル」 では、どこぞの誰かのトランペットが大きくフィーチャーされておりまして、テーマ部はワン・ホーンでの演奏となっております。 このサウンド、誰かに似ているような気がするんですが、誰でしたっけ? アート・ファーマーっぽいような気もするし、ぜんぜん違うようにも聞こえるし、ケニー・ドーハムでもないし、吉田ハムでもないしー。 大垣にあるんですけどね、吉田ハム。 キャラクターの王様にあまりにも威厳が無くて、安っぽさバリバリ全開だったりするんですが、ま、安いハムでもハモよりはソソられるものがあるので、お中元に貰えるのなら大歓迎なんですけど。実際のところ、飛騨牛なんかも扱っているみたいで、意外と高級っぽいみたいだしー。 で、演奏のほうは、テーマに続いて、トランペットのソロがあって、短めのピアノを挟んで、テーマに戻って、とまあそんなことで、おしまい。 せっかく管楽器を入れたのに、2曲続けて、やや緩い感じだったのが少し残念なんですが、最後のひとつに賭けることにしましょう。 「カルタス・デ・アモール」 。 タイトルからして、いかにもカルタスでアモールなサウンドが期待出来そうなんですが、果たして今度は、どこぞの誰かのテナーサックスをフィーチャーした、ハード・バピッシュな仕上がりとなっておりました。曲そのものはどこかで聞いたことがあるような気がするので、英語に直せば有名な歌モノなのではないかと踏んでいるんですが、テナーを吹いている人のスタイルは、ちょっぴりフランク・ヘインズっぽかったりして、個人的にはかなり好きなタイプと言えそうです。こうなってくると、追加メンバーの素性をどうしても知りたくなってしまうんですが、調べてみたらすぐにその正体が判明しました。トランペットがルーベン・バルビエリで、テナーはジョージ・アンダースという人のようです。 調べてみたらぜんぜん知らない人だったので、ふーん。…という、ただそれだけの感想で終わってしまいそうなんですが、ここでのアンダース君のソロは絶品でありますな。 で、その後、ロペスの綺麗なソロがあって、テーマに戻って、おしまい。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 “アルゼンチンのビル・エバンス” という異名は、伊達やハッタリではありませんでした。確かにエバンスしてますな、こりゃ。 が、単なるエピゴーネンというわけではなく、それなりに、カニでんねん。…といった個性があって、それなりにカニの味がして美味しいですからね、カニかまぼこ。 B面がホーン入りになるとはまったく予期していなかったんですが、やや単調になりがちなピアノ・トリオで押し通すよりも賢明だったと言えるかも知れません。特にテナーのジョージ・アンダースは、思わぬ拾い物でありましたな。 今回、最初から無かった事にしたもう1枚の 『ジャズ・エン・ラ・ユニバーシダッド』 も、スタンダード中心の分かりやすい仕上がりになっておりまして、無かった事にされたのが勿体ないような気もします。 いずれにしろ、アルゼンチン人がどうのこうのというより、普通にジャズ・アルバムとしての完成度が高く、お薦め♪…でありますな、こりゃ。


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