PRAIRIE DOG (ATLANTIC)

DUKE PEARSON (1966)

PRAIRIE DOG


【パーソネル】

DUKE PEARSON (p,celeste) BOB CRANSHAW (b) MICKEY ROKER (ds) <#1,2,4,5>
HAROLD VICK (ss,ts) <#1,4> JAMES SPAULDING (as,fl) <#1,2,4,5>
JOHNNY COLES (tp) <#2,5> GEORGE COLEMAN (ts) <#2,5> GENE BERTONCINI (g) <#2,5>

【収録曲】

(01-03) THE FAKIR / PRAIRIE DOG / HUSH-A-BYE
(04-06) SOULIN' / LITTLE WALTZ / ANGEL EYES

【解説】 (2008年12月14日更新)

 おーい!川鉄道、大井川鉄道♪…って、 「おーい!はに丸」 の節で歌ってみたら、かなり無理があったんですが、とまあそんなことで大井川鉄道に乗ったお話の続きです。 前回 は “アプトいちしろ駅” でアプト式機関車を連結したところまで進んでいたと思うんですが、ここから “長島ダム駅” までの区間が日本の鉄道の中では一番の急勾配なんだそうで。 多度の “紅梅焼き” というのは、さほど購買意欲をソソられない食べ物だったりするんですが、一方 “勾配” のほうはどうかというと、こちらも別に何がどうというワケでもないですよね。 ただ、傾いてるだけやん。…みたいな。 ま、確かに凄く傾いていたりすればそれなりに 「凄ぇ!」 と思ったりもするんですが、鉄道の勾配なんて言われなければ分からないレベルですからね。ケーブルカーのようなイメージを持っていると、ちょっと拍子抜けしちゃうんですが、とまあそんなことで、無事、長島ダム駅に到着しました。 ダムという建造物にはかなりソソられるものがあって、どこそこにダムがあるという話を聞くと、それは是非、見に行かねば!…という気分になったりするんですが、実際に見てみると、 「ふーん。」 という程度の感慨で終わってしまったりします。 ただ、川をせき止めただけやん。…みたいな。 その、川をせき止めるという作業がけっこう大変だというのは分かるんですが、列車の中からよく見えるこの長島ダムも、 「ダムやな。」 という感想を持つに留まりました。ダムよりもハムのほうがいいよな?…と思ったりもしたんですが、ま、せき止められた結果として誕生したダム湖というのはけっこう好きだったりするんですけどね。長島ダムの建設によって誕生した接阻湖の景観を愛でつつ、列車は更に山の奥へと進んで行きます。

<奥大井湖上駅> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 子供の頃、僕の家の近所に “ホテル湖城(こじょう)” というのがありました。そこが一体どういうホテルなのか、子供だった僕には今ひとつよく分からなかったんですが、いや、どうやらオトナのためのホテルらしいという噂は耳にしていたんですけど。オトナになったら是非♪…と思いつつ、その夢を果たせないままこの歳になってしまったんですが、 “湖城” は駄目でも、せめて “湖上駅” くらいは体験しておきたいところですよね。 ということで、僕は今回、ここで下車してみることにしたんですが、長島ダムのダム湖、接岨湖にかかる奥大井レインボーブリッジに挟まれた湖の上に浮かぶ駅です。ホームには幸せを呼ぶ鐘、Happy Happy Bell 風の忘れものがあります。…とくればこれはもう、ここで降りるしかないですよね。1人で Happy Happy Bell を鳴らして、幸せになってやるぅ! 接岨峡温泉駅まで レインボーブリッジを渡ってハイキング ができます。 というのもポイントが高いですよね。 写真を見ただけで怖気づいて寸又峡温泉の “夢の吊り橋” を断念した僕なんですが、せめてレインボーブリッジくらいはクリアしておきたいと思うんですよね。こんな山奥にレインボーブリッジがあるというのはちょっと違和感があるんですが、よくよく考えると、あのレインボーマンが修行をしたのはインドの山奥なので、山奥とレインボーは相性がいいのかも知れませんね。これはもう、阿耨多羅三藐三菩提の奥義を会得するしかありません。

 とまあそんなことで、降りてみました “奥大井湖上駅”。 実際のところ、湖上というよりも川渕の駅といった感じだったんですが、もう少しダム湖の水位が上がれば湖上ムードも高まるのかも知れませんけど。 僕以外に誰も降りる人がいなかったら、1人でこっそり Happy Happy Bell を鳴らそうと思っていたんですが、かなりの数の乗客が下車したので、ヤメにしておきました。これで僕は幸せになる道を絶たれてしまうことになるんですが、誰のせいでもありません。勇気が無かった僕が悪いんです。ここままずっと不幸のままで死んでいこうと思います。 とりあえず山の上にレイクコテージなるものがあるらしいので、そこに行ってみようと思ったんですが、ラブラブなカップルが2人で坂を上っていく姿が見えたので、断念。幸せそうな姿を見せつけられても、何だか癪なだけですからね。結果として、いかにも奥大井湖上駅らしい風景をカメラに収めることが出来なかったんですが、僕のせいではありません。みんなあのカップルが悪いんですが、そんなことでまあ、僕はオッサンたちの後について、接岨峡温泉駅までのハイキング・コースを歩くことにしました。

 レインボーブリッジはですね、まったくと言っていいほど、ぜんぜん恐くありませんでした。下が透けて見えるわけでもないし、両側には肩の高さくらいまで頑丈なフェンスが設置されていて、落ちようと思っても落ちられないような立派な橋なんですよね、これがまた。手頃なスリル程度は期待していた僕としては、ちょっと物足りない思いをしてしまったんですが、その分、思っていた以上にこのハイキングコースはハードでありました。列車は橋を渡り終えるとすぐトンネルに入って山を抜けるから楽なんですが、歩いているほうはめっちゃ急な階段を上される破目になります。 ようやくその難所をクリアしたと思ったら、その先、しばらく陰気な山道を歩かされることになります。 前にオッサンがいたからよかったようなものの、1人だったらかなり遭難気分を味わえることになろうかと思われます。 今、地図を見て “展望台” と書いてあるのに気付いたんですが、そっちの方向には行かなかったのか、まったく展望のきかないルートでありました。歩くのに精一杯で、地図をチェックする余裕すら無かったですからね。湖上駅の眺めも期待した程ではなかったし、ハイキングコースはめっちゃ疲れるし、この企画、もしかして失敗だったかも?…という、漠然とした不安が浮かんできたりもするんですが、でも大丈夫。ここさえ乗り切ってしまえば、後は普通の道となります。 地味ではありますが、ちょっとした滝もあったりして、ちょっとだけ得をしたような気分にもなれます。 ただこのコースは地図を見る限り、このまま普通に普通の道を歩いて接阻峡温泉駅に向かうことになるようで、今後の展開にはまったく何の期待が持てそうもありません。 ま、周囲の木々はそれなりに色付いているし、空はまるで写真を後から補正したかのように不自然なまでに青いし、それだけで十分だとも言えるんですが、終盤に更なる盛り上がりがあると、尚よかったんですけどね。


<八橋小道ラブロマンスロード> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 …といった声があがるのを見越して、関係者はちゃんと手を打っておりました。 ここ をご覧下さい。 ここ接阻峡温泉駅の周辺には、所要時間や健脚度に合わせて自由にチョイス出来る、いくつかのハイキングコースが用意されておりました。レインボーブリッジコースだけではちょっと物足りないと感じた僕は “レインボー&吊橋コース” にチャレンジしてみることにしたんですが、後半の吊橋の部には “八橋小道ラブロマンスロード” などという、大変ソソられる別名も付けられております。いいですな、八橋。 個人的には普通の八橋よりもナマのほうが好きなので、出来れば “生八橋小道ラブロマンスロード” としてもらったほうがよりベターだったんですが、あるいは “おたべ小道” とか “夕子小道” とか。 ま、 “ゆうここまち” というのはちょっと語呂が悪いし、これだと八つの橋という要素がどこからも感じられなくなるので、今の名前のままでいいのかも知れませんけど。ちなみに “やつはしこみち” ではなく “やっぱしこみち” と読むんだそうです。詳しくは こちらの案内図 をご覧下さい。

 とまあそんなことで、八つの橋を渡ってみたんですが、結論から言ってしまうと、んー、まあまあ? 遊歩道は思っていたより距離が短くて、橋が次々に現れるという感じでありました。最初に登場する “南アルプス接阻大吊橋” はあまりにも立派過ぎて、ぜんぜん揺れなくて、スリル無し。 渡った先を右に曲がったすぐのところにある “欅橋” は、わりと吊橋っぽい感じではあったんですが、思ったよりは恐くありませんでした。橋の真ん中から下を見たら結構な高さがあって、ちょっとチビりましたけど。 ここから先に歩いていくと長島ダムまで抜けられるようなんですが、ラブロマンスロードは折り返して反対方向に向かうことになります。 以下、栃の木橋、桜橋、水楢橋、椿橋、桑の木橋…と、樹木系ネーミングの小さな橋が続くんですが、どれも新しくて小綺麗で、ぜんぜん吊橋ではなくて揺れなくて、高所恐怖症の僕でも余裕でクリア。正直、かなり物足りないものがあるんですが、次に出てくる “宮沢橋” というのはよかったです。吊床板階段橋としては日本一の長さ (水平距離61m) なんだそうですが、めっちゃ傾斜があって、わ、渡れるのか?…みたいな。 実際のところ、写真で見るよりも恐くはなくて、ぜんぜん余裕だったんですけど。 で、歩いていてずっと気になっていたのが大井川の水の流れなんですが、こんな山奥であるにも関わらず何だか緑色に濁っていて、今ひとつ綺麗ではないんですよね。何でや? “みどレンジャー” の祟りか?…とか思っていたんですが、この橋の上から川を見下ろして、ようやくその謎が判明しました。緑色なのに、めっちゃ綺麗な澄んだ水なんですよね。どうやら “チンダル現象” でこういう色に見えるんだそうですが、何だかチンタラしてるサンダルのおっさんみたいで、あまりソソられるネーミングではないんですけどね、チンダル。 とまあそんなことで、最後に “犬返り橋” というのを渡って、八橋にはカウントされていない大井川に掛かる普通の橋を渡って、ラブロマンスロードは、終了♪ 終盤に立派な階段状の吊り橋があって、なかなかよかったのではないでしょうか。

<接阻峡温泉・大井川鐵道本線(復路)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 とまあそんなことで、 “接阻峡温泉駅” に到着しました。時刻表を見たら次の列車が来るまで1時間半もあることが判明したので、駅のすぐ近くにある 森林露天風呂 というのに入ることにしました。前日の 舘山寺温泉 は源泉の温度が23.8℃と、かなりパチもん臭いものだったので、ここで本物の温泉に浸かれるのはありがたいですな。…と思っていたら、接阻峡温泉の泉温は21.2℃しかないみたいなんですけど。 が、PH値は 8.6 と、かなりのアルカリ性だったりして、ツルツルすべすべの、なかなかよいお湯でありました。 とまあそんなことで、南アルプスあぷとラインに乗って千頭駅に戻ることにしたんですが、来る時はかなり感動したこの列車も、帰りはまあまあですかね? 混んでいて景色の悪いほうの席にしか座れなかったし、周囲の座席はオッサンばかりだし、途中から更に団体客が乗り込んできて、オバチャンの集団で、すし詰めの状況になっちゃったしー。楽しい車掌さんのアナウンスも基本的に行きと同じことしか言わないので、あまり笑えないしー。 ただ、アプト式区間は上りよりも下りのほうが急勾配を体感することが出来て、ちょっとよかったと思います。 ということで、千頭駅に到着ー。 最後に予約してあった 大井川鉄道本線のSLに乗ることにしたんですが、このSLはちょっと問題アリでした。金谷から千頭に向かって走ってくる時は、蒸気機関車がちゃんと前を向いて客車を引っ張ってくれるんですが、逆方向の場合は反対向きになるんですよね。バックしながら客車を引っ張る形になります。そうと人に悟られないように写真を撮るのが大変だったんですが、しかし何ですな。SLというのは乗ってしまえば、普通の電車と何ら変わるものではありませんな。客車がレトロだったり、女車掌がハーモニカを吹いたり、落語を披露したりといったサービスがある程度で。 後から調べたら金谷行きはずっと下り勾配なのでほとんどパワーを使わなくて、SLの力強さが感じられないとのことでありました。 ああん、そういうことはちゃんと最初に言ってくれないと。。。 いや、誰のせいでもありません。ちゃんと調べなかった僕が悪いんです。僕はやはり不幸のまま死んでいく運命にあるようなんですが、いやあ、もうすぐ冬ですなぁ。。。

 いつかきっと、ちゃんと前向きに走る蒸気機関車に乗ってやるぅ! 湖上の駅で Happy Happy Bell を鳴らしてやるぅ! レイクコテージで “こてっちゃん” を食ってやるぅ! ついでにホテル湖城にだって行ってやるぅ!! いつの日か “風の忘れもの” を探す旅に出るという思いを胸に秘め、SL急行 “かわね路号” は静かに新金谷駅のホームへと滑り込んだのでありました。

 とまあそんなことで、今日はデューク・ピアソンです。名古屋人の場合、 「ぴゃーそん」 と発音したほうが分かりやすいかも知れませんが、日本ではわりと人気の高いピアニストの1人です。 ピアノそのものと言うより、その秀でた作編曲の才能が高く評価されているんですが、昭和歌謡にも通じる彼の作風を賞して、かの関サバ師匠が こんな一文 を献じたりもしております。そういえば、こんなコーナーもあったんですな。すっかり忘れてました。 ま、更新する気はさらさら無いので、別にどうだっていいんですが、 昭和歌謡全集 のほうは、そろそろ続編を書かなければなりません。 ま、年末年始の休みのうちには何とかしようと思っているんですが、思っているだけで何ともならないかも知れませんけど。 とまそんなことで、今日は 『プレーリー・ドッグ』 というアルバムを取り上げてみようと思うんですが、これはアレです。ジャケットのセンスが悪趣味です。何となく伊豆の 「怪しい少年少女博物館」の前に立っていそうな感じなんですが、体がペンギンになっている替わりに、こちらのほうは影が微妙にブレーリードッグ? 普通に可愛いプレーリードッグのイラストでも使っておけば、普通にギャルのウケもよくなったんでしょうが、今ひとつ了見がつかめないデザインでありますな。 ま、見た目には酷くても、性格は意外とラブリー♪ …という展開がまったく期待出来ないわけでもないので、では早速、1曲目から聴いてみることにしましょうか。

 まずはピアソンのオリジナルで、 「ザ・フェイキア」 という曲です。正確には何と発音すればいいのか、今ひとつよく分からんのですが、意味としては 『ザ・ (イスラム教やヒンドゥー教の) 苦行僧』 ということになるんですかね? 日本だと、公卿とかはあまり苦行に励んでいそうなイメージが無いんですが、イスラム教やヒンドゥー教の僧はちゃんと苦行に耐えているんですな。恐らく、インドの山奥で修行をしているのではないかと思うんですが、立派なことです。 で、これ、ピアソンの曲ということなので、かなり期待が持たれるところなんですが、それを裏切らない、なかなかの佳曲に仕上がっております。ポール・デスモンドの 「テイク・ファイブ」 を彷彿させるピアノのイントロに続いて、ハロルド・ヴィックジェームス・スポールディングの絡みによってテーマが演奏されるんですが、ソプラノサックスとフルートという楽器の組み合わせがこの上なく巧みで、絶妙です。 でもって、ソロ先発はスポールディングなんですが、アルトを吹かせると、どうしても変態系に走っちゃうこの人も、フルートだと意外とまともだったりして、素直に楽しむことが出来ます。 続くヴィックのソプラノも中近東なムードがあって、新主流派風のモーダルな味わいも感じられて、素晴らしい出来だと思います。 ピアソン本人のソロがあまりフィーチャーされないところがちょっと残念なんですが、今までこのアルバムを取り上げなかったのが不思議なくらいの上々の滑り出しなのでありました。

 次、アルバム・タイトル曲の 「プレーリー・ドック」 。 これを聴いて、今までこのアルバムが取り上げられなかった原因を思い出したんですが、これがですね、どうも何だか今ひとつなんですよね。 1曲目とはパーソネルが変わって、ハロルド・ヴィックが抜けて、トランペットのジョニー・コールズと、テナーのジョージ・コールマンが加わった3管編成。 で、スポールディングがここではアルトを吹くことになります。メンバーだけ見ると、実にB級的に豪華だったりするんですが、更にジーン・バートンチーニという人のギターも入っていたりして、それがですね、思いきり裏目に出てしまっております。 スローなテンポのブルージーな曲そのものは、決して悪くはないと思うんですが、かと言って諸手を挙げて賞賛するほどのものでもなくて、でもって、思いきり間延びしたギターの音色が 「誇り高き男」 の口琴 (ジューズ・ハープ) を彷彿させて、個人的にはどうも駄目です。僕の知ってるプレーリードッグはこんなんじゃないっ!…みたいな。 いや、僕はプレーリードッグのことはあまりよく知らないんですけどね。 ドッグというから犬なのかと思ったら、リス科みたいだしー。 で、演奏のほうはテーマ部こそ、ちょっとアレだったんですが、アドリブ・パートに入るとピアソンのピアノがわりとよくフィーチャーされていて、んー、まあまあ? ちょっぴりゴスペル風なムードもあったりするんですが、都会派の僕にはやっぱり、こういうのはちょっとアレです。

 ということで、3曲目です。 「ハッシャ・バイ」 。 これを聴いて、今までこのアルバムが取り上げられなかった原因をはっきりと思い出したんですが、地味なんですよね、これがまた。 「ハッシャ・バイ」 という曲そのものは、日本人好みの哀愁味を帯びたメロディなので大好きだったりするんですが、これをチェレスタとベースのデュオでやっちゃいましたかぁ。チェレスタというのはピアノの前身みたいな楽器で、オルゴールのような、グラスに水を入れて叩いたようなノスタルジックな音色は日本人にも好きな人が多いんですが、いかんせん、ベースとのデュオでは地味。 郷愁に駆られて、思わず自動車教習所に行きたくなったりもするんですが、ま、それだけです。あまり多くを語るほどのものではありません。

 ということで、4曲目です。ジョー・ヘンダーソンのオリジナルで、 「ソウリン」 。 モーダルなようで、それでいていてソウルフルでもあるという、ちょっと独特の雰囲気を持った作品なんですが、フィーチャーされているハロルド・ヴィックのテナーが、ちょっと力不足?…という気がしないでもありません。 ま、彼は彼なりに頑張ってくれているとは思うですが、何だか今ひとつインパクトが薄い、インパクト臼井 (協栄ジムジム所属・37歳) って感じ? そもそも臼井という苗字は一瞬、白井かと思わせておいて、よく見ると上と真ん中の横棒のところに細い隙間があいていたりして、こういうのって漢字としては、ちょっとどうか?…という気がしますよね。 そんなこと言われても、臼井クンにはまったく罪のない話なので、どうしようもないとは思うんですが、昔、明電エ○ジニアリングの臼井という部長に発電機の整備費用を思い切り値切られてかなり不満だったので、どうしても印象があまりよくありません。 ま、ハロルド・ヴィックにはまったく何の関係もない話なので、ここでその憂さを晴らすと言うのは筋違いだとは思うんですが、そう言えば僕は子供の頃、よく寝違えたりしましたなぁ。

 …って、まったく何の解説にもなっていませんでしたが、次に参りましょう。5曲目です。 「リトル・ワルツ」 です。これはアレです。小さなワルツではないかと思うんですが、ロン・カーターのオリジナルなんですね。 ウエイン・ショーター入りのボビー・ティモンズのアルバム、 『ザ・ソウル・マン!』 でも取り上げられておりました。 ほの暗い陰気さを持ったバラードでありまして、聴いてるだけで気分が滅入ってくるんですが、いいですな、こりゃ。 僕はこういう救いの無い曲が結構好きっ♪…だったりするんですよね。金魚すくいでも、いつも金魚がすくえた験しが無いしー。2曲目の 「プレーリー・ドック」 と同じ楽器編成なんですが、描き出される世界はまったくといっていいほど正反対で、テーマ部ではジョニー・コールズのミュート・プレイが荒涼感をより高めていて、秀逸です。 続いてギターのソロがフィーチャーされるんですが、前回、間の抜けたプレイで著しく僕の心証を害したバートンチーニとやらも、ここではしみじみとした古賀メロディを聞かせてくれております。よく頑張りましたな、政男。 で、続いてはジョージ・コールマンのテナー・ソロでありますか。 この人の今ひとつインパクトに欠けるモード奏法は、日本ではあまり評判がよろしくなかったりするんですが、ここでの彼は 「哀しみ本線日本海」 で、悪くありません。やはり歌謡曲は日本海ですよね。あなたを追って出雲崎〜♪ …というのも新潟県にあるみたいだし、ジェロ君も紅白出場の夢がかなってよかったですな。しょこたんは落ちちゃいましたけど。鼠先輩も駄目でしたかー。やはり元AV男優という経歴が祟りましたかね? 同じネズミ目に属するプレーリードッグとしても、先輩の不幸な過去をさぞかし嘆いているのではないかと思うんですが、とまあそんなことでジョニー・コールズのミュート・ソロと、ピアソンのピアノ・ソロがあって、テーマに戻って、おしまい。

 アルバムのラストを飾るにはお馴染みのスタンダード、 「エンジェル・アイズ」 でありますか。ピアノとベースのデュオで演奏されておりまして、ま、チェレスタを持ってこなかっただけまだマシなんですが、出来としてはやはり、地味ですね。全部で6曲入っているのに、何となく4曲くらいしか聴いてない気分になってしまって、全体としての印象を希薄なものにしております。作戦ミスというか、企画の段階でスベったというか、途中と最後の2箇所でコケちゃったというか、でも諦めずに最後まで頑張りました♪…みたいな。 とりあえず、その 努力は認めてあげなければならないと思うんですが、とまあそんなことで、以上です。

【総合評価】

 出だしが極めて快調だったので、その直後の失速が何とも悔やまれるところなんですが、総合的に評価すれば、まあまあ。 ま、そういったところでしょう。


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