THELONIOUS IN ACTION (RIVERSIDE)

THELONIOUS MONK (1958/8/7)

THELONIOUS IN ACTION


【パーソネル】

JOHNNY GRIFFIN (ts) THELONIOUS MONK (p) AHMED ABDUL-MALIK (b) ROY HAYNES (ds)
【収録曲】

(01-03) LIGHT BLUE / COMING ON THE HUDSON / RHYTHM-A-NING
(04-05) EPISTROPHY (THEME) / BLUE MONK
(06-07) EVIDENCE / EPISTROPHY (THEME)
【解説】 (2008年07月20日更新)

 北海道に行ってきました。北海道に行くのは去年の秋に続いて2回目です。前回は日帰りで岐阜県海津市にある駒野北海道という名前の排水機場に仕事で行ったんですが、今回は頭に何も付かないプレーンな北海道に3泊4日で遊びに行ってきました。僕の勤めている塩サバ物産(仮名)が創立60周年を迎えてとても目出度いので、それを記念してみんなで遊びに行くことになりました。中部国際空港、通称セントレアから飛行機に乗って行くことになったんですが、問題はどうやって桑名からセントレアに行くかですよね。小牧にある名古屋空港から飛行機に乗る場合は、わりとお値打ちな民間駐車場が近くにあったので家からクルマで行ったものですが、セントレアのほうはまだ土地勘が無いので、公共交通機関を利用することにしました。一度、クルマで遊びに行ったことはあるんですけどね。その時の様子は ここ を見て貰うとして、桑名からセントレアまでどうやって行けばいいのか。僕と同じ問題を抱えている人が間違えて検索サイトからウチに飛んでくるように、 “桑名 セントレア” とキーワードをしつこく書いておきますが、ま、普通に考えればバスですよね。当時、マイカル桑名から1800円、桑名駅から1600円だったらしい運賃も一律1000円に値下げされているみたいだしー。 僕の場合、桑名駅まで送迎してくれる人がいないので、わりとお値打ちな駐車場が完備されるマイカル桑名を利用するほうが便利なんですが、ただセントレアまで70分と意外と時間が掛かるところがネックであります。うちからだとマイカルまでクルマ15分ほど掛かりますしね。 もっといい方法はないのか?…と思って調べてみたところ、いいのがありました。 これ です。

 四日市からセントレアまで、たったの35分♪ しかも駐車場は無料♪ 船は 四日市浜園旅客ターミナル というところから出るそうなんですが、幸いにもここは四日市でもかなり桑名寄りに位置しております。幸いにも僕の家は桑名の中でもかなり四日市寄りの海側に位置しているので、港までクルマで約15分。料金は1690円と、ちょっぴりお高いんですが、駐車場代を考えればその差額は知れているし、何より所要時間が35分も短縮できるのは大きいですよね。 セントレアに8時50分に集合!…とのことなんですが、四日市港7時50分発の便に乗れば8時25分には到着するので、これはもう船で行くしかありません。 さばクン、とってもナイス・アイデア♪ ただ唯一の不安は船の運航会社が倒産しかかっていることなんですが、もともとこの航路はセラヴィリゾートの関連会社のセラヴィ観光汽船というところが手掛けていたんですが、同じグループの名古屋港イタリア村が潰れたのに殉ずる形で航路のほうもパーになっちゃったんですよね。 それを株式会社YAL (四日市エアポートラインの略) という怪しい会社が引き継いだんですが、怪しい会社だけに社長が贈賄で逮捕されて、四日市市からの補助金も打ち切られることになって、旅行1週間ほど前の7月5日にはこんな事態になってしまっておりました。

 三重県四日市港のターミナル整備を巡る汚職事件を受け、四日市市は4日、井上峯夫社長(64)が贈賄容疑で逮捕された航路運航会社YAL(同市)への燃料代補助などを当面保留すると発表した。 YALの役員によると、同社は12日以降の燃料が確保できておらず、一時運休の可能性があるほか、四日市港と中部国際空港を結ぶ航路の存続自体が危ぶまれている。

 旅行の出発日は12日なんですが、大丈夫なんすかね? この事態が発生する前にネットで予約を入れておいたんですが、直前になって運休が決まるという可能性は大いに考えられます。だって、燃料が確保できてないんだもん♪ ま、それならまだいいんですが、12日の朝、ええい、行ったれ!…と、捨て鉢な気持ちで船を出してはみたものの、途中で燃料が切れて伊勢湾で遭難するという事態だって考えられます。 当日の朝にオフィシャルサイトを見ると、2008年7月12日05:30現在、平常通りの運航を予定しております。…と書いてあったので、その予定を信じて港に行ってみたら、わりと普通に営業していたのでよかったんですが、果たして北海道から帰ってくるまで会社は存続しているんでしょうか?

 ということで、函館に到着しました。はるばる来たぜ函館〜♪ ( 「イン・ア・センチメンタル・ムード」 の節で歌って下さい。) …といった感慨に耽るまでもなく、飛行機だとあっという間なんですが、ここからはずっとバスの旅ということになります。バスガイドは、ちょっと頼りないところが可愛い♪…といったタイプのギャルでありましたが、添乗員のほうが自称 “JTBのヤワラちゃん” とか言う、長縄所長代理を性転換させたようなキャラでありましたので、2人ペアでちょうどいい感じ?…と、参加者の誰かが評しておりました。自称・武田鉄矢とも言っておりましたが、影ではこっそり長州力と呼んでる人が多かったように思われます。山村常務は一時的に混乱が生じたようで、 「あいちゃん」 と呼びかけて完全に無視されておりましたが、函館ではまず昼飯を食いました。朝市のところのお店で海鮮丼を食べたんですが、白いご飯の上に乗っかっているのはイクラとウニとホタテ(?)でありますかぁ。 よくもまあ、僕のあまり好きでないものばかりトッピングしてくれましたね。嫌がらせ? 唯一、好きなものと言えば青紫蘇くらいなんですが、そのせっかくの青紫蘇も上にべったりとウニが乗せられていて、台無しです。 おかずとして馬鹿でかいホッケの干物が添付されておりまして、そちらはまあまあの味だったんですが、アジに比べるとあまりにもデカ過ぎるので持て余してしまって、今回の旅は何とも暗い幕開けになってしまいましたなぁ。。。 以下、各地の観光地に関しては、そのうち 写真のコーナー で紹介するとして、お泊りしたホテルのうちの1箇所に関しては、ずっと更新が滞っている お宿のコーナー でそのうち紹介するとして、ここではザクっと流れだけを書いて、さっさと桑名に帰ってこようと思うんですが、初日の函館はですな、昼食後に五稜郭タワーに行って、元町公園ベイエリアを散策して、函館国際ホテルにチェックインして、バイキングの夕食を食べて、函館山から夜景を見て、ホテルで2次会をやって、その後、タクシーで駅前まで行って居酒屋のようなところで3次会をやりました。カウンターのいちばん右端という席順が災いして、ほとんど誰からも話しかけられることがなく、孤独な時間を過ごすことになってしまいましたが、ま、食料だけはちゃんと左側から配給されたので、別にいいんですけど。

 その後、ラーメン屋に移動して、4次会をやりました。今度は4人掛けのテーブルだったので無視されることもなく、ギャルの含有率も50%と高かったので、よかったのではないかと思います。 ちなみにその内訳はというと、1人は僕が津の営業所にいた頃に大変お世話になった 「木綿のハンカチーフ」 の歌手と同じ読みの名前のオネエサン、もう1人は長縄所長代理と同じ苗字のギャル。どうして苗字が同じなのかと言うと実の娘だからなんですが、今回の旅行は家族の同伴もオーケーなんですよね。父親に似なくて、ホントによかった!…と思わずにはいられない、なかなかよく出来たギャルでありましたが、そのギャルでないほうの、もう一人のオネエサンが 「大将、ここのお薦めは何ですか?」 という質問を発したところ、「ベトコンラーメン」 という回答が得られましたので、それを注文しました。 するとそこにウチの所長がやってきて、 「お前ら、何でここまで来てベトコン食うんや!」 と、非常に正しい意見を発せられましたので、3人は塩ラーメンや味噌ラーメンにチェンジ。結局、僕だけベトコンを食べることになったんですが、ま、確かに岐阜市や一宮市が発祥とされるベトコンラーメンを、わざわざ北海道まで来て食べるというのはどうかと思いますけどね。 ま、ここのベトコンはさほどベトベトしていないベトコンだったので、普通に美味しかったんですけどー。

 翌日、ホテルを出てバスに乗って、洞爺湖まで移動。 途中、長万部で昼食を食べました。海鮮バーベキューでした。海鮮嫌いの僕は、またかいっ!…と思わずにはいられませんでしたが、ま、焼くだけマシではあったんですけど。 で、この日は有珠山の西山火口を散策して、昭和新山熊牧場を見学しました。 僕が小学校の5年生か6年生だった頃、北海道の室蘭から環ちゃんという名前の女の子が転向してたんですが、担任のナカヒロ先生が 「室蘭というのはこの前噴火した有珠山の近くの町です。」 と紹介していた、あの有珠山でありますな。調べてみたら1977年から1978年頃に噴火していたようなので、当時、僕は9〜10歳。 だいたい辻褄が合いそうなんですが、ちなみに環ちゃんのあだ名は “たまきん” でありました。 で、この日のお泊りは ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ 。 とんでもないことだと思います。 哲ちゃん、自棄を起こしてはいけません!…と、誰かうちの社長を諌める人はいなかったんですかね? イザベル女王とか、そういう諌める人が出て欲しかったところなんですが、ま、せっかく会社が金を出して泊まらせてくれるというのだから、僕がとやかく文句を言う筋合いはないんですけど。

 で、3日目はバスに乗って、小樽に移動。 お昼はですね、TVチャンピオンの寿司王か何かに輝いた “なか一” というお店で食べました。 せっかくの寿司王の店だというのに、食べさせられたのは海鮮丼だったんですけど。 そんなことで安寿と厨子王は満足するのか?…と思わずにはいられませんが、寿司王と厨子王は別に何の関係もないので、普通に満足するかも知れませんけど。 海鮮丼と言っても限りなく海鮮ちらし寿司にちかいタイプだったので、個人的にはそれなりに満足しました。 で、その後、バスで富良野まで移動して、麓郷の森というところに行きました。 「北の国から」 のロケ地ということなんですが、個人的には今回の旅行の中で、ここが最も無駄だったと思います。 で、この日のお泊り先は新富良野プリンスホテル。 普通に考えれば、それなりにそこそこなんでしょうが、何せ前泊がウインザーですからね。富良野プリンスとしてはちょっと損な役回りということになってしまいましたが、ちなみに夕食のバイキングに関しては、ここが一番よかったという意見が多かったんですけど。

 ということで、最終日。 美瑛でちょっぴりお花を見て、最後は旭川の旭山動物園でありました。 とまあそんなことで、北海道3泊4日の旅は以上です。千歳空港から17時50分発の飛行機に乗って、セントレアに19時35分到着の予定なんですが、問題は四日市行きの船に乗れるかどうかでありますな。 行きの時間ばかり見ていて、帰りはあまり気にしていなかったんですが、調べてみたらセントレア19時50分発という便がありました。僕に与えられた時間は15分。果たして間に合うんですかね?…というと、これはもう、絶対に無理だと思います。出発時に僕はそう確信しました。 連絡船を降りてから出発ロビーに到着するまでに要した時間が約10分。 搭乗口まで、そこから更に歩いて10分。 出発ロビーと到着ロビーの違いはあるにせよ、普通に歩くだけでも20分は掛かると覚悟しなければなりません。 僕が四日市から船で来たという話をしたら、桑名や四日市に住んでいるオッサンたちは揃いも揃って、変ったことするなぁ。…といったリアクションでありまして、その度に僕は 「35分ですよ、たったの35分!」 と、その利便性を強調して自分を慰めていたんですが、帰りの船に乗り遅れてしまうと、その利便性の砦が一挙に崩壊しちゃいます。 1時間に1本あるから大丈夫だろうとタカをくくっていたんですが、よく見たら19時50分の後、21時50分まで無いやん!あかんやん! これは何としてでも19時50分の便に乗って、四日市から船で行くというプランが、さばクン、とってもナイス・アイデア♪…であることを実証しなければ行けません。 そんな僕の一途な思いが通じたのか、神サマはちゃんと応えてくれました。 19時35分到着予定の飛行機がですね、19時26分に滑走路に着陸したんですよね。15分ではどう考えたって無理なんですが、24分あれば何とかなるかも? 幸いにも座っていた席が前から9番目だったので、これはますますチャンスがあります。 到着ロビーまでの長い廊下を早足で移動して、機内に預けた荷物が出てくるコンベアの前に一番で到着♪ この時点で19時37分頃でしたか。これは、もしかしたらイケるかも?…という期待が高まった瞬間、「皆さまが着ないに預けられた手荷物は19時45分頃より、どーたらこーたら。」 という暢気なアナウンスが流れて、ああん、駄目ぢゃん。。。

 20時10分発、桑名駅前経由マイカル桑名行きのバスに乗って帰りました。四日市浜園旅客ターミナルはJR関西線の富田浜駅から徒歩約15分。 とりあえず桑名駅から電車に乗って、後は歩くしかありません。 バスの桑名駅到着予定は20時05分。 関西線の時刻表を見たら21時10分発というのがあって、これまた何とも微妙なところでありますな。バスが頑張って予定より1分ほど早く到着したので、何とか間に合ったんですが、このバス、思いきり僕の家の目の前を走ってくれたりして、何だかめっちゃ悔しいです。 四日市浜園旅客ターミナルなどというつまらないところにクルマさえ止めてなければ、途中で飛び降りるなどして、すぐ家に帰れるんですけどね。 結局、家の前を通過した約1時間後に何とか戻ってくることが出来たんですが、おとなしく最初からバスで行けばよかった!…というのが今回の結論です。 飛行機の到着から船の出発まで45分の余裕があって、機内に手荷物を預ける必要がないくらいの軽装という事であれば別に止めはしませんが、株式会社YALは別に倒産しちゃっても構いません。 一方、空港バスを運行している三交バスと八風バスには是非とも僕の家の前に “サバ家前” という新しい停留所を作って欲しいところなんですが、もしそれが実現すれば 今から5年後の65周年記念旅行の際には間違いなくバスを利用させて貰いたいと思います。 ま、問題はその時まで塩サバ物産 (仮名) が存続しているかどうかなんですが、もしかしたらYALよりも先に逝っちゃうかも知れませんなぁ。。。

 とまあそんなことで、今日はセロニアス・モンクなんですが、いいですよね、モンク。僕はジャズ・ピアニストの中ではモンクがいちばん大好きです。…という人は、あまり多くはありません。その数は恐らく、三重県内にあるオークワというスーパーよりも多くはないと思うんですが、南のほうに行くとわりとたくさんありますからね、オークワ。 北部は “一号館” 、中部が “ぎゅーとら” で、南部が “オークワ” と地域別に棲み分けが出来ているんですが、ローカルなところでは津の “ぜにや” なんてのもあったりします。商売は銭や。そういう明快な意志が感じられて、なかなかナイスなネーミングだと思うんですが、とまあそれはそうと、モンク。この人はですね、世間一般の感覚で言うと、さほど人気のあるタイプではありません。かく言う僕もどちらかというとモンクよりもムンクのほうが好きだったりするんですが、毛皮業界ではモンクよりもミンクのほうが高い評価を得られているようです。下手に羽織ると背中とかが痒くなりそうで、ちょっと嫌ですもんね、モンクの毛皮。 見た目で勝負の面食いギャルからしても、モンクのルックスというのは決して褒められたものではないし、概ね、ウケ狙いで一部のマニアに聴かれているというのが実情ではないかと思うんですが、そんな中、一般人にもわりと普通に楽しめるアルバムが2枚ほど存在しているのをご存じですか? 僕はですね、わりとよく存じ上げております。 そのうちの1枚が 『ミステリオーソ』 なんですが、 “jazz giant” で最初から2番目に取り上げられているところからしても、僕のお気に入りであることが窺われます。改めて読み返してみると、あまり大したことは書いてませんな、10年前の僕。 ま、その分、余計なことも書いてないので、読んでるほうとしては気が楽かも知れませんが、とまあそんなことで、今日は 『セロニアス・イン・アクション』 というアルバムを紹介したいと思います。 『ミステリオーソ』 と対をなす “ファイブ・スポット” でのライブ・セッションでありまして、ジョニー・グリフィンのリーダー作を買ったら、何故かピアノにモンクが入っていたけど、ま、しょうがないかぁ。 そういうふうに考えればモンク・アレルギーの人でも何とか耐えられるのではないかと思うんですが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょうか。

 まずは 「ライト・ブルー」 でありますか。“ブルーレットおくだけ” というのは 設置直後は物すごく濃い青色の水が流れるんですが、日が経つにつれて次第に色が薄れてしまって、そういうところがちょっとアレだよな。…という気がするんですが、ライト・ブルーというのは恐らく、設置から3年が経過した時点での“ブルーレットおくだけ” の色のことを言うんでしょう。…って、それはいくら何でもちょっと放置し過ぎですよね。せめて3カ月に1度は交換しないと、限りなく透明に近いブルーになってしまうと思うんですが、ジャズのオリジナル曲の場合、タイトルに “ブルー” という言葉が入っていれば、スタイル的には概ねブルースであると判断していいと思います。 で、これも恐らくブルースなんでしょうな、多分。 モンクがゆったりしたテンポでライト・ブルーなメロディを弾いて、続いてグリフィンが登場して、モンクとの絡みでテーマを吹いて、で、その流れでアドリブ・パートへと入っていきます。独特のハスキーなトーンがなかなかいい味を出しておりまして、時おり細かい譜割りも交えたりして、いかにもこの人らしいプレイが展開されております。 続くモンクのソロはいつもの訥弁スタイルで、流麗なグリちゃんとのコントラストが鮮やかなんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 なかなか優れた演奏だったように思われるんですが、ほとんど書くことがなくて、この先が思いやられます。

 2曲目、 「カミング・オン・ザ・ハドソン」 。 懐かしいですな、ハドソン。高橋名人がいたところですよね。高橋名人逮捕説とか、そんな都市伝説もありましたが、何でも16連射の秘密は非合法なクスリで手首を痙攣させていたからなんだとか。心の底から納得のいく話なんですが、もし本当にそんなクスリがあるなら僕もちょっと試してみたいところですな。手を痙攣させてどうするのかというと、パソコンでマウスの操作する際にダブルクリックをやりやすくなって便利だと思うんですが、酒を飲まないとダブルクリックが出来ないオッサンとか、たまにいますからね。 で、曲のほうはというと、ゆったりしたテンポのブルージーな仕上がりになっていて、やや1曲目と類似した雰囲気があったりもするんですが、グリフィンのソロの盛り上がり具合はこっちのほうが上でありますな。あまりテーマのムードには捕らわれない、自由でリバティでフリーダムな魂の解放を感じさせる吹きっぷりでありまして、一方、続くモンクのソロはあくまでも主題に忠実でありまして、テーマのメロディにバリエーションを付ける形で進められていくんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。なかなか優れた演奏だったように思われるんですが、やはり書くことはあまりありませんでした。

 3曲目、 「リズマニング」 。 モンクのオリジナルの中ではかなりリズミカルな部類の作品でありまして、伊達に “リズマニング” を名乗っているわけではないな。…といった感じなんですが、ちなみに僕はこの “リズマニング” というタイトルを見ると、何となく “理詰めの人魚” のようなものが頭に浮かんで来たりするんですけど。 理詰めの人魚というのはどういうものかと言われると僕にもよく分からないので、別に “缶詰の金魚” とかでもいいんですが、それだとリズマニングではなくて、カズマキングとかそういうのになってしまうので、やっぱり駄目ですか。実際にあったんですけどね、金魚の缶詰。大和煮とかシロップ漬けとかになってるわけではなくて、水草と一緒に生きたまま詰められていて、缶の中でそれだけで生態系が形成されているという。水草を入れても光合成出来ないから駄目だと思うんですが、あるいは水に酸素をめっちゃ高濃度で溶かして缶に詰めるんでしたか。いずれにしろ、あまり長く放置すると中で金魚が死んじゃってあまりにも趣味が悪いので、すぐ製造中止になったのではなかったかと思うんですが、となるとやはり人魚のほうが人道的でいいような気もします。人魚の肉は不老長寿のクスリになるらしいですしね。問題は人魚のどの部位を食べるかなんですが、お魚の部なら普通に刺し身にするとか、煮るとか、焼くとか、フライとか、天麩羅とか、南蛮漬けとかにすればいんですが、上半身はちょっと食べにくいですよね。ラーメンのダシにするくらいしか用途が思い浮かびません。

 とまあ、これだけ余計なことを書いておけば、そろそろ本題に入っても大丈夫だと思うんですが、この曲はアレです。小節の区切りの部分でいきなり、ぴゃっ、ぴゃっ、ぴゃ〜っ♪ …と、音が上がるところが最大のウリですよね。 今まで色んな人の演奏でこの曲を聴いたんですが、中ではこのグリフィンのバージョンがいちばん突拍子なくて、イケてると思います。 で、短いテーマに続いて飛び出すグリフィンのソロがもう、最高にスリリングでありまして、モンクはとても着いていけないと思ったのか、伴奏を放棄して結果的にピアノレス・トリオ編成になっておりますので、より一層、やりたい放題でありますな、こりゃ。 ジャズ界で最も理詰めが似合わないオトコの本領を破棄して、オーバーブロウ寸前のパフォーマンスを披露しておりますが、全力疾走してばったり倒れたところで、満を持してモンクが登場。まったくのマイ・ペースで、が、彼としては目一杯にリズマニングな弾きっぷりでありまして、特にテーマのメロディを絡めてこないあたり、ちょっと異質なほどのハイ・テンション。ところどころ、微妙に 「スキッピー」 だったりもするんですが、続くアーマッド・アブダル・マリクのウォーキング・ソロも実に力強く歩き回っております。これはもう、ウォーキング・ベースというより、競歩ベースと言ったほうがいいかもしれません。もうちょっとで踵を上げて失格になっちゃいそうな勢いなんですが、最後はロイ・ヘインズが華麗なドラミングで締めて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 いや、素晴らしい演奏でありました。

 4曲目、 「エピストロフィー」 。 ライブの区切りとして、短くテーマが演奏されるだけなんですが、これが実にいい感じで、悪くないと思います。 ということで、次。 「ブルー・モンク」 。ジャズのオリジナル曲の場合、タイトルに “ブルー” という言葉が入っていれば、スタイル的には概ねブルースであると判断していいと思うの法則を適応すると。これもやはりブルースということになろうかと思うんですが、ブルージーなムードを持った、いかにもブルーなブルースですよね。 テナーとピアノの絡みで軽く主旋律を2度ほど反復して、でもってソロ先発はグリフィンでありますな。 出だしこそ、割とゆったりした雰囲気なんですが、吹いているうちに次第に熱くなっちゃう、いかにもこの人らしい演奏を堪能することが出来るんですが、書くことが無くなったのでここで日本語ライナーを見てみると、それらグリフィンのアドリブは7コーラスに及ぶが、モンクはその3コーラス目までをコンプし、残りの4コーラスでは再び沈黙する。なにげなく聴き逃してしまいそうなこういったところにもモンクの計算の高さがうかがえよう。…とのことでありまして、成るほど。言われてみれば確かにそうですな。危うく聴き逃してしまうところでしたが、さすがは久保田高司クン、細かいところをよく見てますね。立派です。 で、続いてモンクのソロがあって、アブダル・マリクのウォーキング・ソロがあって、今度はしっかり地に足のついた歩きっぷりだったりするんですが、最後はロイ・ヘインズが華麗なドラミングで締めて、でもって、テーマに戻って、おしまい。最後のところ、ちょっぴりモンクとグリフィンの呼吸が合ってなかったりするんですが、そういう細かい点はまったく気にならないような素晴らしい演奏でありました。

 6曲目、 「エヴィデンス」 。 お馴染みのナンバーが続いて、すっかり安心モードなんですが、この曲のテーマ部ではロイ・ヘンのドラミングが小気味よくハマってますよね。続くグリフィンのソロはかなり奔放な展開なんですが、何を思ったのが中間部ではどこかで聴いたことのあるメロディをいくつか引用したりして、ちょっぴりロリンズっぽい雰囲気を醸し出したりもしております。 後半はひたすらグリフィン節で、バリバリ全開に飛ばしておりまして、途中からモンクがまたしても沈黙していることに今度は僕も気が付きましたが、時おり 「うぇ〜」 とか、ヘンな声を出しているのはモンクですかね? で、その後、マイ・ペースなピアノのソロがあって、テーマのメロディが出そうになったところでベースのソロになって、最後はロイ・ヘインズが華麗なドラミングで締めて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 で、最後は再び 「エピストロフィー」 できっちり締めて、ということで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 モンクのアルバムなのに血沸き肉踊る、ちわきまゆみ。…そんなコーフンが味わえる素晴らしい作品なのでありました。グリフィン好きの人にも超オススメ♪


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