REFLECTIONS (NEW JAZZ)

STEVE LACY (1958/10/17)

REFLECTIONS


【パーソネル】

STEVE LACY (ss) MAL WALDRON (p) BUELL NEIDLINGER (b) ELVIN JONES (ds)

【収録曲】

(01-03) FOUR IN OVE / REFLECTIONS / HORNIN' IN
(04-05) BYE-YA / LET'S CALL THIS
(06-07) ASK ME NOW / SKIPPY

【解説】 (2008年06月22日更新)

 先日、半年ぶりくらいにスーツを着て、ちょっと焦りました。何だかズボンがきついんですよね。ズボンのことをズボンと呼ぶのはオッサンの証拠。ヤングな若者はパンツとかスラックスって言うんだよね。…というのは理屈としては理解出来るんですが、パンツだとどうしてもトランクスやブリーフ、あるいはサルマタのイメージが強過ぎて、パンツで会社に行くというのはちょっと抵抗があります。一方、スラックスというのもちょっと違うような気がします。スラックスだと何だかリラックスしたムードが感じられ、特にきつくなってしまった場合にはそぐわない語感であると言わざるを得ません。ズボンがきつくなった。やはりこの表現がいちばんピンときますよね。 で、ズボンがきつくなる原因としては、大きく分けて2つの要因が考えられます。太った。もしくはズボンが縮んだ。そのどちらかということになるんですが、僕の場合、ベルトも今までよりひとつ外側の穴にしないと苦しくなってしまったので、恐らくズボンと同時にベルトも縮んでしまったのではないかと思うんですが、そういうことってよくありますよね。 で、縮んでしまった以上、そうそうズボンやベルトを買い換えるわけにもいかないので、カラダのほうをそれに合わせるしかないんですが、久しぶりに復活させますかね?スタンリー鍛錬隊。 この鍛錬隊は以前、僕が今回と同じように太った時…いや、ズボンが縮んだ時に、ここままではいけないと一念発起して結成した超個人的な秘密結社でありまして、スタンリー鍛錬隊員と呼ばれる構成員はとにかくまあ、何らかの手段で鍛錬を実施しなければならないと。僕の場合、とりあえず腹筋運動でもしてみようか?…というところから活動を始めてはみたものの、あまり長続きしなくて、もっかのところ長期の活動停止期間に入っているんですが、ちなみにどうしてスタンリーなのかというと、スタンリー・タレンタインという名前のテナー吹きがいるので、それに因んだというか、パクったというか、要するにまあ、さほど深い意味があるわけではないんですけど。

 今回、ウン年ぶりかの活動再開ということになるんですが、鍛錬の方法としてはとりあえず、腹筋運動でもしてみますかね?何事も初心に帰るというのが大切ですからね。 が、それだけではどうも心許ないような気がするほどズボンの縮み具合が深刻でありましたので、今回は更にジョギングなどもメニューに追加してみようかと、そんな野望すら抱いてしまったんですが、ちょっと無謀でしょうか? 更に僕はカロリー制限という、今までと違った方向からも責めてみようと決意を固めたんですが、そもそもここに至るようになった原因の多くは、食い過ぎにあるのではないか?…という気がしないでもありません。何を食い過ぎるのかというと、もっぱらスナック菓子やチョコレートの類だったりするんですが、例えばポテトチップスなら1袋完食、うまい棒なら5本連続食い、更に不二家のルックチョコ (パフェ・ア・ラ・モード) を1箱食べたりして、いや、ストロベリーパフェ味、マンゴーパフェ味、ぶどうパフェ味は分かるとして、チョコレートパフェ味って、意味無いやん!…と思っていたら、意外と美味しかったりするんですよね、チョコレートパフェ味。 で、その後、チロルチョコの塩バニラ味とマクビティの豆乳ビスケットを食べて、その結果、胃がもたれて、ちょっと気持ち悪くなったりするんですが、胃もたれするということは、もしかして食べ過ぎだったりするんでしょうか? 僕は今までカロリーとか気にせずに カルビーのポテチとか、カルビ大将の焼肉とかを食っていたんですが、そういう生活態度がよくなかったんでしょうか? もしかしたら腹筋運動を100回やってみたところで、うまい棒1本分のカロリーすら消費しきれてはいないのかも知れず、ここはひとつ、食って入ってくるカロリーと運動で消費されるカロリーとが、いったいどういう関係になっているのか、正確な数字を調べておいたほうがいいかも知れません。

 とまあそんなことで、調べてみました。まずはハムカツサンド。 どうして最初にこれが出てくるのかというと、僕がコンビニでサンドイッチを買う場合、ほとんどがハムカツサンドだったりするからなんですが、お昼ゴハンはハムカツサンドとポテチ1袋、デザートとしてビッツサンドのチーズを1袋とか。 ビッツは余分やろ?…という気がしないでもないんですが、はやり辛いものばかりだと栄養が偏ってしまうので、甘いものも食べたほうがバランスもよくなると思うんですよね。 これでいったいどれくらいのカロリーを摂取出来るのかというと、1袋 55gで、292kcal 。 僕の理想カロリー摂取量を このサイト で計算したところ、1日 1553〜1863kcal と出たんですが、となるとビッツサンド6袋ということになりますね。ちょっと飽きるかもー? やはりビッツは1袋だけにしておいて、不足分はハムカツサンドとポテチで取ったほうがいいと思うんですが、僕がよく食べる湖池屋の “Oh!チップス” のリッチコンソメ味が1袋 351kcal 。 副食とデザートで 643kcal 。 で、主食のハムカツサンドはというと、コンビニ系食品のカロリーは ここ に一覧表がありますな。 が、ハムカツサンドは載っていませんね。コンビニでハムカツサンドを買わずに、いったい何を買うんですかね? 焼きそばパン 340kcal とか? この表の中でちょっと意外だったのがメロンパン 460kcal という数字でありまして、どう考えても焼きそばパンのほうが品性も下劣でカラダにもよくなさそうに思えるんですが、メロンパンのほうがカロリーは高いんですね。 ま、一口にメロンパンといっても色んな種類があるので、例えば “めっちゃでかいメロンパン” とかだったらこれくらいの数字になるのかも知れませんが、甘くてアンコが入ってて、いかにも太りそうな気のするあんぱん220kcal と、意外と控えめなんですな。

 サンドイッチは高カロリーな上に、消化も早く腹持ちが悪いので要注意。具はカツやコロッケが入ったものは避け…などと書かれておりますが、僕は鮭のおにぎりよりもハムカツサンドのほうが好きなので、どちらかというと鮭のほうを避けたいところなんですけどね。ちなみにおにぎり紅鮭158kcal 。 おにぎりシーチキンマヨネーズは、恐らくマヨネーズの分だけ数字が高くなって 186kcal 。それでもメロンパンの半分以下。僕は今まで、パンといえばメロンパンだよね♪…と思って、いつも喜んで食べていたんですが、その食生活は改めなければならないようです。 これからは、パンといえばハムカツサンド。これでいこう!…と思う次第でありますが、そのサンドイッチの詳しいカロリーはというと、あ、 ここ にありますね。 ハムカツではなくて、普通のかつサンドしか無いんですが、三角の1片で 154kcal 。 一方、ハムサンドはというと、同じく三角の1片で 76kcal 。 僕がよく食べるのはハムカツサンドなので、かつサンドとハムサンドを足して2で割って 115kcal ということになろうかと。いや、言語学的に見てもまったく無理のない、理に適った計算方法ですよね。 が、栄養学的にみると何の根拠もない適当な計算であるようにしか思えなくて、恐らくカロリー的には揚げられたものが肉の固まりだろうと薄いハムだろうとさほど大差はなく、ハムカツサンドは限りなく、かつサンドに近い数字だったりするんでしょうな。 150kcal とか。 僕がいつも買っているサークルKのハムカツサンドは同時にタマゴとかもサンドされているので、あるいは 180kcal くらいあるかも知れません。三角の1片が3つ入っているから3倍して、 540kcal 。 これに先ほどの副食とデザートを加算して 1183kcal。 なるほど。何だか原因がはっきりと見えてきたような気がしますな。

 僕の場合、昼食以外に朝食と夕食、時にはおやつと夜食も食べたりするんですが、朝食と夕食に関しては、あまり悲観はしておりません。何だ悲しくなっちゃうくらいショボいですからね、さば家の朝食と夕食。 ゴハンのほか、すまし汁と塩サバだけだったりとか。 最初に出てきた 理想のカロリー摂取量 のところに、理想的なメニューの例が載っているんですが、朝食で 500kcal 、夕食で 650kcal の範囲内には収まっているものと思われます。理想のカロリーが 1800kcal だとすると、昼食を 650kcalに押えておけばいいわけです。 現状ではちょっぴり多めに 1183kcal ほど摂取しているので、差額の 533kcal だけ、運動して消費しちゃえば収支のバランスは取れるわけですよね。 では一体、どの程度の運動で、どれくらいのカロリーが消費されるんでしょうか? その計算が このサイト にありました。 僕の現在の体重はヒミツなんですが、僕が鍛錬隊員として活動の中軸に据えている腹筋運動は10分間で 107kcal 。 概ね、うまい棒2本分といったところでしょうか? うまい棒1本=腹筋5分間。 これが計算の基準であると考えてよさそうですが、軽いジョギングだと10分間で 88kcal 。 アカンやん!腹筋の換わりに軽くジョギングでもしようかという僕のプラン、意味無いやん! ま、1分間に200mという、気合を入れたジョギングなら10分間で 162kcal 消費されるんですが、そんな早いスピードで走るのは、僕は嫌です。 日本舞踏 (春雨) あたり、優雅でいいかも?…と思ったんですが、10分間で 39kcal 。やはり優雅なのは駄目ですな。 533kcal 消費しようと思ったら、2時間17分ほど春雨を舞い続けなければなりません。腹筋50分のほうが、まだいいです。 とりあえず平日はこれで頑張るとして、お休みの日にはハイキングに出掛けたりするのもいいですよね。ハイキングがてらお花の写真を撮ったり、ハイキングがてら俳句を詠んだり、ハイキングがてら殿様キングスの歌を歌ったり。趣味と健康維持を兼務することが出来て、とっても有意義です。

 とまあそんなことで、行ってきました、 入笠湿原 のハイキング。 今の時期、スズランが咲いているというので行ってみたんですが、その成果のほどはいずれ お花コーナー で披露するとして、山の上のほうまでゴンドラで往復しました。行きと帰りで計20分間、ただ椅子に座っていただけなので、消費カロリーは “休息・談話 (座位)” に相当するものと判断して 32kcal 。 ゴンドラの終点からは、ま、ちょっとした山道と判断してもよさそうなところを40分くらいは散策したので、 “ハイキング (山道)” で 280kcal 。 計 312kcal となって、これはちょうど春雨80分に相当することになります。 うまい棒なら連続5本食いしても大丈夫です。6本だとちょっと足が出ます。 いい汗をかいて、心も体もリフレッシュすることが出来たので、山から降りて生乳ソフトを購入ー。 “なまちちソフト” ではなく、 “せいにゅうソフト” だよね?…と思ったら、 “なまにゅうソフト” と振り仮名があったので、どうやらそれが正式名称らしいんですが、さほど乳味が濃厚ではなくて、わりと貧乳っぽいタイプでありました。それはそれで、おいちい♪ ちなみにソフトクリームのカロリーは 170kcal でありますか。意外と低カロリーなんですな。この分なら晩飯にちょっと贅沢しても大丈夫ですかね? すっかり安心したので帰りに岡谷の 観光荘 というところでウナギを食べることにしました。二色御膳 2,500円♪ カロリーはえーと、コンビニのうな重の 1.2倍は豪華であると考えて 840kcal 。高っ!お値段も高いけど、カロリーも高っ! が、よくよく調べてみると値段はともかく、カロリーのほうはさほど高くは無かったりして、例えば僕が会社にいる時によく食べに行く中華料理屋のチャーシュー麺と炒飯のセット。特にチャーシュー麺の場合はチャーシューの充実度によって数値が大きく変化するものと思われますが、ま、平均的な充実度で 600kcal くらい。炒飯のほうが更に高くて 750kcal 。両方を足すと 1350kcal になってしまいますが、ま、セットの場合は量がちょっぴり少なめになることが多いので、八掛けして 1080kcal 。 これが台湾ラーメンの店ということになると、天津飯とセットで食べる場合が多いんですが、台湾ラーメンのカロリーはタンタン麺と同等であると考えて 800kcal 、天津飯が 780kcal で、合計 1580kcal 。台湾ラーメンの店の場合、セットでも量がぜんぜん少なめにはならないので、この分、まるっと摂取することになると考えていいのではなかろうかと。恐るべし、台湾ラーメン!

 一方、これまた僕が会社にいる時によく食べに行く “CoCo壱番屋” のカレー。 これは オフィシャルサイトのメニューのところ にカロリーが明記されているので話は簡単なんですが、僕がよく食べるフライドチキンカレーは 988kcal 。 しかも僕は、カレーは大食いのほうが男らしいような気がするという理由によって、いつも微妙に大盛りの400gにしちゃうので、カロリーも 1.33倍になると考えて 1314kcal 。 なるほど。これでますます原因がはっきりと見えてきたような気がします。運動不足なのも間違いないんですが、要するに食い過ぎなんですな。 動き回って鍛錬を重ねてみたとことで消費されるカロリーはたかが知れているので、これはもう、食わないのが一番という結論になろうかと。先生、俺、今日で鍛錬隊員をやめるよ!明日からは食わない桑名人になるよ!…ということを宣言しておいて、今日のところはおしまい。

 ということで、今日はスティーブ・レイシーなんですが、君はレイシーが好きかな?僕はですね、さほどでもありません。何だか嫌な味がして、どうしても好きになれないんですよね、霊芝 (れいし) 入りのウーロン茶。お茶に変なキノコの汁を入れるな!…と思わずにはいられませんが、いや、もしかしたら霊芝とレイシーとは何の関係も無かったりするのかも知れませんけど。 となると、別段スティーブ・レイシーを毛嫌いする理由は無くなるんですが、この人はアレです。ソプラノサックスを吹く人だったりします。ソプラノサックスという楽器自体、その他の楽器編で取り上げるほど “その他” ではなくて、テナー奏者がよくサブで吹いていたりするんですが、ソプラノしか吹かないというこの人の場合、やはりちょっと特殊な例であると言えようかと思うんですが、でまたこの人の場合は演奏のコンセプトがかなり限定的なものとなっております。すなわち、ソプラノでモンクの曲を吹くという、それ以外の活動にはまったく興味がないらしいんですよね。ピュアであると評価することも出来るんですが、ただの偏屈なオッサンだと切り捨てることも出来て、僕の立場としては、ま、どちらかというと後者のほうに近いでしょうか? モンクの曲の中にも、いくつか優れたものや小マシなものがあるというのは分かるんですが、それしかやらないというのはちょっとどうか?…という気がします。

 同じことはアリクイという哺乳動物にも言えるんですが、いくら名前がアリクイだからってアリしか食わないという生活態度はどうかと思います。アリも食えば、イカも食う。それが生物として正しい生き方だと思うんですが、アリクイの親は 「偏食したらアカンで!」 というしつけをしてこなかったんですかね?体質的にアリしか食えないのかと思ったらそうでもないようで、例えば動物園で飼育されているアリクイは、アリなんか食べさせていたらエサ代が大変なので、ドッグフードなどをアレンジしたものを食べさせているんだとか。アリクイならアリを食えよ!…と思わずにはいられませんが、とまあそんなことで 『リフレクションズ』 。 タイトル曲をはじめ、ここで取り上げられている7曲はすべてセロニアス・モンクのオリジナルとなっておりまして、そのブレない姿勢はある意味、立派であると評価していいかも知れません。 ところでこのスティーブ・レイシーって、本当にモンクしか吹かない人なんだったっけ?…というのがちょっと心配になってきたので調べてみたところ、全然そんなことはないというのが判明したんですが、以前、このコーナーで取り上げている 『ソプラノ・サックス』 というアルバムでは、普通にスタンダードを吹いてたりします。そんなことでは、わざわざアリクイまで持ち出した僕の立場というのが無くなってしまうので、ま、これは見なかったことにして、では1曲目から聴いてみることにしましょうか。

 まず手初めは 「フォー・イン・ワン」 。タイトルからして、四位一体型自動車販売システムの構築に関する曲なのではないかという気がするんですが、おや、 “four in one” でググったら、そんなサイトが出てきたんですけど。中国広州本田汽車のケースなんだそうですが、なるほど。言われてみれば確かに、いかにも中国広州の本田汽車やな!…といった感じの仕上がりになってたりしますよね。三位一体ならまだしも、四位一体というのは少し欲張りすぎではないか?そんなことで共産党の志井委員長が許してくれるのか?…と思わないでもないんですが、ま、四位と志井では漢字が違うので、許してくれるかも知れませんね。 で、演奏のほうはアレです。エルヴィン・ジョーンズのタイコに続いて、レイシーがかなり速いテンポで主旋律を吹くテーマ部へと突入していくことになるんですが、何だかアレです。とってもアバンギャルドです。ソプラノサックスというと何だかこう、都会的な香りのするアーバンな楽器だとばかり思っていたのに、アバンギャルド。 なるほど、こういうのもアリかも知れませんな。…と、アリクイだって思わず納得の仕上がりでありますが、でもってソロ先発はレイシーのソプラノでありますか。しばらくピアノレスになっているところが、より一層、前衛性を強めているんですが、君は前衛が得意かな?僕はですね、わりと得意だったりします。中学の時、僕はテニス部に入っていたんですが、ダブルスでは後衛よりも断然、前衛のほうが好きでした。前衛なら頭の上を抜かれて当然。あとは後衛がなんとかしてくれるから大丈夫なんですが、ラケットを振り回して、まぐれでボレーが決まったりするとすごく気持ちいいですしね。ちょこんと当ててフェイントをかますのも快感でありました。カマスの塩焼きとかよりも快感でした。お魚はあまり好きではないですからね、僕。 で、一方、前衛的な音楽というのはあまり得意でなかったりするので、出来ればあまりピアノレスとかはやめて欲しいところなんですが、ここでは小難しくなる直前くらいのタイミングでマル・ウォルドロンのピアノが入ってくるので、大丈夫です。 で、ソロ2番手はマルくんなんですが、この人はパウエルよりむしろモンクから多くの影響を受けた人として知られておりますので、この手のセッションにはうってつけ。とはいってもモンクのような独特の変態性を持ち合わせているわけではなく、地味にリリカルだったりするので、日本人の間でもわりと評価は高いです。ここでもなかなか綺麗なタッチのピアノを披露したりしているんですが、続いてドラムスとベースとが地味に絡んで、最後はちょっと無理やりな感じでレイシーが入ってソロを取ったりして、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ま、オープニングとしては、そこそこ盛り上がったと評価してもいいのではなかろうかと。

 次、アルバム・タイトル曲の 「リフレクションズ」 。 リフレッシュして、立ちション。そんな感じの意味合いなのかと思っていたら、違ってました。反射とか反響とか、熟考、熟慮、沈思。そういう意味だったんですね。僕もよく日常生活において沈思することがあるんですが、 “ちんすこう” 食べたいな。…とか、そんなん。沖縄土産として今ひとつ評判のよろしくない “ちんすこう” なんですが、個人的にはけっこう好きです。パイナップル味とか、そういう大人っぽい感じの奴がいいです。 で、曲のほうはアレです。わりと落ち着いたテンポのリラックスした仕上がりとなっておりまして、モンクの諸作の中ではかなり小マシな部類といってもよさそうですね。 で、こうなってくるとソプラノの持つアーバンな一面が浮かび上がってくるんですが、近鉄のアーバンライナーが桑名にも停まるようになって、何よりだと思います。ま、ノンストップでない普通の特急でも一部、アーバンライナーの車両が使われるようになっただけの話なんですが、とか言ってるうちにマルくんのソロが始まりましたね。相変わらずいい感じで、悪くない弾きっぷりだと思いますが、続いてレイシーが出て来て、と思ったら、すぐにテーマに戻って、おしまい。わりとあっさりした仕上がりでありましたが、それは僕が手を抜いただけの話で、演奏自体は普通にちゃんとしておりましたので、ぜんぜん大丈夫です。

 で、次。 「ホーニン・イン」 。 ホーニン・インというのは恐らく、打ち捨てて干渉しない方針の養老院、その名も “放任院” とか、そういうところではないかと思うんですが、いいですよね、放任。かまって欲しくない気分の時って、よくありますからね。ただ年寄りの場合、あまり打ち捨ててばかりいると拗ねる恐れもあるので扱いが難しいんですが、イントロ部のマルのピアノは、かなりモンクっぽかったりしております。 で、続いてレイシーがソプラノ引っ提げてテーマを演奏するんですが、高っ!めっちゃ音、甲高 (かんだか) っ! もう野沢温泉スキー場のカンダハーコースも真っ青という感じなんですが、もともとが上ずった曲調であるところに持って、吹いてる楽器がソプラノなので、なおさら上空ムードが高まってしまっているんですが、コーモリが寄ってきそうですな、こりゃ。 ま、肛門が顔に近寄ってくることを思えばコーモリくらいは我慢出来そうなんですが、レイシーくんは上ずった気分のままアドリブ・パートに突入しておりまして、続くマルのソロまで来て、ようやく低いところに落ち着きました。僕は極度の高所恐怖症なので、ずっと高いところにいられると冷や汗が出てくるんですが、これでようやく生きた心地がしたしない状態から解放されて、やれやれですね。地に足が付いているというのは、いいことです。足に血が付いているというのは、ちょっと嫌ですけどね。僕は乳がけっこう好きなんですが、血は嫌いです。 とか言ってるうちに再びレイシーが登場して、演奏のほうは再び上ずってしまうことになるんですが、ま、2回目だから聴いてるほうも多少は心構えが出来ているし、そのうちドラムのソロになって、更にはベースが登場して、音はどんどん低いほうへ低い方へとシフトして、最後のテーマ部でまた反発することにはなるんですが、とまあそんなことで、おしまい。

 4曲目、 「バイヤ」 。 八百屋、魚屋、お肉屋、床屋と、世の中にはいろいろなタイプの店があるんですが、 “バイ屋” とはいったい、どんなものを売るお店なんでしょうね?バイ貝?そんなの魚屋で売れよ!…という気もするんですが、バイ貝のバイヤーとか、けっこう儲かるのかも知れません。少なくとも寿司屋のおっちゃんは買ってくれそうだしー。 とまあ、そんな商売をテーマにした曲ではないかと思われるんですが、モンクのオリジナルの中ではかなりマイナーな部類に属していると言えるのではなかろうかと。 ベースとドラムスの絡みがなかなか渋いイントロに続いてレイシーがテーマを吹くんですが、リズムがなかなか複雑でありますな。いかにもエルヴィン・ジョーンズらしいポリリズムとも言えるし、普通にアフロキューバンのようにも思えるし、で、ソロ先発はレイシーです。で、ソロ2番手はマル・ウォルドロンです。それぞれ持ち味が十二分に発揮されていて良好なんですが、その後レイシーが再登場して、かなりはっちゃけたブロウを聴かせたりしております。はっちゃけてるのと、ハッサクと、どちらが好きかというと、個人的にはハッサクかな?…という気はするんですが、甘酸っぱくて風味良好ですからね、ハッサク。 といって、はっちゃけたソロが悪いということではなく、予想の付かないアクロバティックな展開はジャズ的なスリルに溢れておりまして、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 5曲目。 「レッツ・コール・ジス」 。 いかにもモンクらしい変な曲なんですが、特に最後のところの上り詰め具合が半端ではありません。ここまで上がってしまった以上、最後はもう下るしか手立てはないように思われるんですが、それでもまだ上に行くか?…みたいな。 で、ソロ先発はレイシーです。で、ソロ2番手はベースのバエル・ニードリンガーでありますか。難しい名前なので果たして読み方がそれで合ってるのかまったく自信はないんですが、もし間違っていたらとても失礼にあたるので、ここでは仮に勅使河原ヒロシ (仮名) ということにしておこうと思うんですが、ヒロシくんのソロはですね、地味です。ま、楽器が楽器だけに仕方のないところではあるんですが、妙にテクに走ったりすることなく、ウォーキングベースの延長のような地道なプレイに徹しているところはなかなかの見識だと思います。根が地味な奴のはっちゃけている姿ほど、傍から見ていてイタイものはないですからね。分をわきまえていると言えますが、で、ソロ3番手はマルくんのピアノでありますか。いいですよね、マル。僕は丸くてぽっちゃりしたギャルというのが嫌いではないので、最近、食べ過ぎて太っちゃったのぉ。…というギャルがいたとしても、まったく悲観することはないんですが、かと言って楽観して落雁をバカスカ食べるというのもどうかと思うんですが、100gあたり約400kcalと、なかなか馬鹿になりませんからね、落雁。もっとも落雁というのは軽いので、100gというのは結構な量になるのかも知れず、金魚祭りの時に配布されるヤツ1個くらいなら大したことないのかも知れませんが、アレは中にアンコが入っているので、やはり馬鹿にならないのかも知れませんけど。いずれにしろ、金魚祭りの時に落雁が配布されるのは桑名でもごく一部の地域に限定されるような気がするので、一般人はあまり気にしなくていいのかも知れませんが、とか言ってるうちにマルくんのソロは終わってしまいましたな。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 次。 「アスク・ミー・ナウ」 。 モンクの曲のタイトルって、単語3つのものが多いよな。…という気がするんですが、3つでなければ、2つとか1つとか。とにかく長い曲名というのはあまり無いような気がするんですが、ま、それはジャズ・オリジナル全般に言えることなんですけどね。とりあえず他の曲との区別がつけばそれでいいわけで、あまりタイトルに思いを込めたりはしない傾向にあるようですが、とまあそんなことで 「アスク・ミー・ナウ」 。日本語に訳したところで 「今、私に尋ねてください」 となって、あまり深い意味があるようは思えないですが、俳句に詠み込むんだったら、麻生久美、ナウい。…とか。ナウいという表現が今風でいいと思うんですが、一方、曲のほうはアレです。しっとりとした、なかなかの歌曲だったりします。ただこの曲調に甲高いソプラノの音色はやや不釣り合いなような気もするんですが、何だか聴いてて背中がこそばゆくなってきますもんね。テナー奏者がサブ楽器にソプラノを使うというのを逆転させて、1曲くらいテナーを吹いてみるというのもひとつの手かと思うんですが、この人はあくまでも一途で、おそらく三途の川を渡るまでソプラノ1本に拘る所存なのでありましょう。それはそれで立派な態度だと思います。ま、僕はそろそろ飽きて来ましたけどー。マルのピアノ・ソロは哀愁味があって悪くないんですけどね。 ということで、ラスト。 「スキッピー」 。 モンクの曲の中で、最も音のダイナミックレンジが広い作品ではないかと思うんですが、忙しいくらい上下に激しく揺れ動きますもんね。もはや笑うしかないような曲なんですが、確かにこれはスキッピーです。パンピーといった感じのメロディラインではありません。美味しいんですけどね、パンピー。現在は製造されてないみたいですけど。 で、これだけワヤな曲だと、どんな無茶なソロでも許されそうな雰囲気になってしまうんですが、案の定、レイシーくんはちょっぴり暴走気味ですね。対するマルくんのほうは概ね自分のペースを保持しておりまして、その対比が面白いと言えば面白いし、ぜんぜん合ってないと言えば合ってないし、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 で、今日のところは以上です。

【総合評価】

 ソプラノでモンクを吹く。そのコンセプトに賛同出来るヒトであればまったく問題はないんですが、そうでないパンピー (編集部注:“一般ピープル”のこと。) にとっては、どうなんすかね? 確かにこの楽器の新しい境地を開拓したという点では、山崎拓にも匹敵する立派な生き様だと思うんですが、正直、モンクの曲ばかりというのは、ちょっぴり飽きます。ソプラノばかりというのも飽きます。では駄作なのかというと、そんなにダサくはなくて、むしろクールな部類だと思うんですが、ま、ジャケ絵を書くのもラクだったし、たまにはこういうのも、いっかぁ♪…みたいな。


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