SOUL STREAM (BLUE NOTE)

GEORGE BRAITH (1963/12/16)

SOUL STREAM


【パーソネル】

GEORGE BRAITH (ss,ts,stritch) GRANT GREEN (g) BILLY GARDNER (org)
HUCH WALKER (ds)

【収録曲】

(01-03) THE MAN I LOVE / OUTSIDE AROUND THE CORNER / SOUL STREAM
(04-06) BOOP BOP BING BASH / BILLY TOLD / JO ANNE

【解説】 (2008年04月20日更新)

 越前松島水族館 というところに行ってきました。この水族館はですね、立派です。何が立派なのかというと “越前松島水族館” と、一発でローマ字漢字変換出来るところが凄い!…と思うんですが、三重県ではわりとメジャーな “鳥羽水族館” なんて、下手をすると “飛ばす胃俗間” とかになっちゃいますもんね。これはまあ、僕が “すいぞくかん” ではなく、 “すいぞっかん” と、あまり正しくない日本語で入力したところにも問題があって、これだと越前松島のほうも “越前待つし麻酔俗間” になってしまったりするんですが、昔のワープロでは正しく “とばすいぞくかん” と入力しても、 “飛ばす遺族間” とか変換されてましたけど。 で、越前松島水族館。これはいったいどこにあるのかというと、越前にあるんですが、越前、越中、越後。君はどこがどの県にあたるのか、正しく言えるかな?越前はエチゼンクラゲ、越中は越中ふんどし、越後は越後のちりめん問屋で有名なんですが、それぞれ、福井県、富山県、新潟県ということになるのではないかと思われます。エチゼンクラゲに関しては、ま、そのうち おやつのじかん のほうで取り上げるとして、越前松島水族館はですね、福井県にありました。奥琵琶湖で “おつぼみ見遊覧船” に乗って、福井のあわら温泉に泊まって、で、次の日、どこに行く?…ということになると、東尋坊か、芝政か、ここか。選択肢としてはこの3つくらいしかなかったりするんですが、前の2つは1年ほど前に行ったことがあるので、となると、残りは水族館しかないということになります。 とまあそんなことで、あまり気は進まなかったんですが、とりあえず行って来ました。

<越前松島&カエルたん> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、到着しました。多くのものを期待していたわけではないんですが、いや、景色のいいところですな、こりゃ。 越前の松島っ!…と自分で言ってるだけのことはあって、一応、頭に松を生やした小さな島が総計で2〜3個ほどあります。松を生やしていない岩のようなものもあって、柱状節理が見られたりするところなど、東尋坊のほうから逃げ出してきて、ここに腰を落ち着けたっぽいですよね。今回は時間の関係で岩場のほうには行かなかったんですが、遊歩道も整備されているようなので、サカナには何の興味もなくて、岩が命!…という人でも、十分に楽しんで頂けるのではなかろうかと。 で、一方、水族館のほうはというとですね、場内に入ってすぐのところに “マンボウ水槽” というのがありました。ここの特徴は一応、本館と称されるメインの建物があるにはあるんですが、建物が小さく見えても、館内の敷地はぐっと低くなっているので、実際にはもっとはるかに大きいんです。…と、オフィシャルサイトに言いわけめいた注釈があることからも分かるように、敷地内にプールやら水槽やら小屋といった、小規模な施設が散らばっているところにあるんですが、雨の日とかだと、ちょっと辛いかも知れません。 で、このマンボウ水槽、3月25日に完成したばかりの最新施設でありまして、しかもマンボウの常設展示は日本海側では初めてということなので、大いに期待されたところでありましたが、残念ながら水を綺麗にする装置がまだ調整中とのことで、濁った水の向こうのほうに、かろうじて、マンボウ…かな? という程度に見えていただけでありました。帰りがけに覗いた時には、これはもう、はっきりとマンボウやな!…と、かろうじて確認出来る程度にまで、水が澄んでましたけどね。大丈夫です。もう少しの辛抱です。 で、続いてはフンボルトペンギンが踏ん張っている姿を見ることの出来るポイントがあるんですが、可愛いですよね、ペンギン♪ ペンギンと、インキンと、ペギー葉山。この3つの中で歌がうまいのはペギー葉山で、股が痒いのはインキンなんですが、いちばん可愛いのはペンギンだよね♪…と、僕は思うんですが、彼らに関してはまた後ほど、別の種類の奴らが登場しますので、ここではあまり深入りしないことにして。

 で、続いては “ふれあい館” 。オフィシャルサイトに、いつでもさわれるよ!…と書いてあることからも分かるように、ここは “おさわり天国” となっているんですが、どういうものにおさわり出来るのかというと、小さなサメだとか、エイだとか、大きなタコだとか。とりあえず僕はサメにおさわりしてみたんですが、サメの肌はですね、鮫肌でした。エイちゃんは下手に触ると刺されるような気がしたので、ヤメておきました。おそらく刺さないタイプのエイだとは思うんですが、実際に刺されてみることにより自然の恐ろしさを体感するという、教育的な見地から設置されたアトラクションである可能性がまったく無いとは言い切れませんからね。同じ痺れるのなら “シビレフグ” くらいにしておいたほうが無難なのではないかと思われます。で、タコはですね、指で頭のあたりをツンツンしてみたら思った以上に軟らかくて、さすがは軟体動物やな!…といった感じなんですが、あまり調子に乗ってオサワリしていると吸盤で吸い付かれて、ああん!…ということになるので、何事もほどほどにしておかなければなりません。 で、続いては “うみがめ館” 。海亀と熱帯魚が泳いでいて、まるで竜宮城に来たかのようなファンタスティックな気分を味わえるという、そういう水槽があったりするんですが、100円で餌を買って海亀に食べさせることも出来ます。早速、キュウリのスティックと小松菜のような葉っぱを購入して与えてみたんですが、この海亀がですね、まったく食いついてこないんですよね。これがまた。いつもキュウリと小松菜ばかりですっかり飽きてしまっているのか、口のすぐ近くのところに葉っぱをぶら下げてやっても、無視してあっちのほうに泳いでいってしまいます。餌、食わんかい!…と、腹立たしい気分になれる事、請け合いなんですが、こういうハングリー精神に欠ける海亀の餌やり企画は即座に中止して、竜宮城なら竜宮城らしく “海亀と乙姫様のマル秘ショー♪” とかにしたほうがオトナの受けはいいような気がするんですが、果たしてどんなものでしょうか?

 次、“カワウソ館” 。カワウソはですね、めっちゃ可愛いです。半年ほど前に生まれたコツメカワウソの子供もいて、何とも愛嬌のある憎めない顔をしているようなんですが、僕が訪れた時は麻の布にくるまって惰眠を貪っている最中でありましたので、あまりよく鑑賞出来ませんでした。12:50頃から餌やりが行なわれるようなので、その時間を狙って行けばよかったかも知れませんな。ま、親のコツメカワウソは元気に動き回っていたからよかったんですが、あまりにチョロチョロと動き回って落ち着きが無いので、カメラに収めるのは非常に困難だったりするんですけど。しかたがないので今回は “かめ・かえる館” で撮ったカエルの写真を2枚ほど掲載しておきます。ここではまたケヅメリクガメの餌やりも体験出来るということなんですが、カメ。もう、どうだっていいです。


<イルカたん> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ここの水族館ではイルカショーも行なわれています。蘇我入鹿が中大兄皇子に暗殺されるシーンを再現するんだねっ♪…って、いや多分、そういうイルカショーではないと思うんですが、実際のところ、バンドウイルカが跳んだり跳ねたりするという、そういうオーソドックスなショーだったんですけど。 イルカショーと言えば僕は以前、会社の慰安旅行で城崎に行った時に “城崎マリンワールド” というところで見たことがあるんですが、その時の話はえーと、ここのところ にありますな。イルカのショーが何ともイタい演出になっていて、見ているほうが恥ずかしくなってしまうような羞恥プレイ。…といった印象が強く僕の心の中に残っていたんですが、改めて読み返してみると 『007 城崎より愛を込めて』 はイルカではなく、アシカのショーのほうだったんですな。アシカというのはイルカと違ってあまり派手に跳んだり跳ねたりしないので、城崎マリンワールドとしても何とかショーを盛り上げようと思って、あれやこれやと演出を考えて、それが見事に裏目に出て、ドツボにはまった。恐らくそういうことだったのではないかと思うんですが、今回はイルカのほうなので、安心です。それにしてもイルカというのはただジャンプするだけでなく、歌まで歌ったりして、実に芸達者な生き物でありますな。いや、さすがに 「なごり雪」 を歌うところまではいかないんですが、それなりに歌がうまかったりするんですよね、イルカ。 あとはまあ、ポーズを取ったり (写真・いちばん上参照) 、ジャンプをしたり (写真・真ん中参照) 、ジャンプをしたり (写真・いちばん下参照) といった芸が披露されることになるんですが、ま、全体の3分の2くらいはジャンプ系の芸であると思っておけばよろしいかと。時間にして15分程度の、わりとシンプルなショーなんですが、ま、カメの餌やりよりはよかったかな?…といった程度の満足感は味わえたのでありました。


<アザラシたん> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 この水族館にはですね、アザラシもいました。僕はアザラシを見ると思わず、エコエコアザラシ…と、黒魔術の黒ミサの呪文を唱えたくなってしまうんですが、実際のアザラシはまったくオカルト的ではなく、何ともキュートで可愛い奴だったりします。で、このアザラシたん、意外と潜りが得意だというのは新たな発見でありましたな。プールの中をスイスイと優雅に泳いでおりまして、で、息が苦しくなってくると息継ぎをするために水の上にピョコンと顔を出すんですが、鼻の穴がデカくて、ブタみたいで、めっちゃ可愛いっ♪ 元気に動き回って顧客へのサービスに努める関心なアザラシがいる一方、他の2頭は陸上にゴロンと寝転んで惰眠を貪っておられる最中でありましたが、その寝姿がなんだかとってもネコっぽくて、めっちゃ可愛いっ♪胴体からチョコンと伸びた前脚が、めっちゃ可愛いっ♪メリハリのない寸胴ボディが、めっちゃセクシー♪ それにしてもコイツら、昼間っから寝てばかりいるな。…と思っていたら、1頭がふと目を覚まして、こっちを振り向いたですが、なかなか味のある、いいお顔をしておりますなー。 で、ここのアザラシの偉いところは、ただ意味もなく闇雲に泳ぎまわったり、ダラけていたりするだけでなく、ちゃんとお仕事もこなすところにあるんですが、ここでは1日に3回ほどアザラシとの “ふれあいタイム” というのが行なわれることになっております。あのセクシーな寸胴ボディにおさわり出来るというのはかなり魅力的なので、僕はショー開始10分前にアザラシプール前のステージに行ってみたんですが、まだ他には証も来ていなくて、最前列のど真ん中の席を確保する事が出来ました。ラッキー♪

 場内放送でアナウンスされた事もあって、ショーの開始時間になると、たくさんの人々がステージの廻りをとり囲むという状況になったんですが、アザラシとのふれあいタイムというのは、アザラシとってはお食事タイムという事にもなっているようです。飼育係のお兄さん、お姉さんがアザラシに餌を与えて、奴らがそっちに気を取られている隙を狙って、客のみんなでオサワリをする。どうやらそういうシステムになっているようなんですが、実演に先立ってお姉さんからいくつかの注意事項が提示されます。絶対にアザラシのお口のところに手を持っていかない。持っていくと噛まれる。以前、ミニブタとのふれあいコーナーで手を噛まれた事がある僕としては、十分に注意しなければなりませんが、オサワリしてもいいのは背中だけとの事でありました。えー、太股はー?太股フェチの僕としては不満を覚えずにはいられませんが、ま、アザラシなんてのはどこが太股なんだかよくわからないところがあるので、ここはひとつオトナになって、あまりワガママは言わないことにして。 アザラシに触ることが出来た人は、後ろのお友達に場所を譲ってあげてくださいね。…というお願いの言葉もあったんですが、ヤだ! 何の為に早くから場所取りをしたと思っているんでしょうな。最前列ど真ん中の特等席で、めっちゃアザラシの写真、撮ったる!オサワリだって、しまくる!この場所からは一歩たりとも動かん! アザラシとふれあうことが出来なくて泣き出すコドモがいたりするかも知れませんが、それは早くから並んでいなかったお前が悪い!最近のコドモは甘やかされて育っていて、すぐにワガママを言ったりする傾向にあるので、ここはひとつ世の中の厳しさというのを身をもって教えてやらなければなりません。 固い決意で最前列に陣取る僕の前に、やがて2匹のアザラシが姿を現したんですが、右のほうでお姉さんが餌やりを、左のほうではお兄さんが餌やりを始めて、あかんやん!ど真ん中はどっちのアザラシにも手が届かんやん! とりあえず写真だけ撮って、慌てて左側の列の最後尾に並び直したんですが、アザラシに触ることが出来た奴は、すぐにどけって!後ろのお友達に場所を譲れと言われたやろが! 幸い、この日の観客はわりとお姉さんの言いつけを守るタイプの人たちが多かったようで、僕もなんとかアザラシにおさわりすることが出来たんですが、あれから2週間。その感触が一体どのようなものだったのか、既に忘れてしまいましたなぁ。プヨプヨした感じだったような、かすかな記憶はあるんですけど。で、おさわりした後はしばらく、右手がかなりアザラシ臭かったというのは覚えております。


<ペンギンたん> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 で、続いてはペンギンたんです。この水族館には入ってすぐのフンボルトペンギン水槽の他に “オウサマペンギン館” というのもあるんですが、こちらのほうは冷房室になっているので、ガラス越しにしか見ることが出来ません。オウサマペンギンの他、イワトビペンギンも一緒に暮らしているんですが、ツンツン頭のイワトビ君は体が2まわりほど小さくて、いつも王様から虐められている模様です。イワトビペンギンって目つきが悪いわりには、意外と弱っちい奴なんですな。いや、よく見ると目つきが悪いように見えるのは、目の上にある黄色い模様が災いしているだけであって、目そのものは意外とつぶらであることが分かるんですけどね。 で、せっかくのペンギンもガラス越し、いや、もしかしたらアクリル板越しなのかも知れませんが、とにかくダイレクトに見れないところがちょっと残念なんですが、でも大丈夫。この水族館では1日2回、冬季限定でオウサマペンギンのお散歩が行なわれるようになっております。どうして冬季限定なのかと言うと、彼らは暑さには非常に弱く、冬季でないと冷房室から外に出てこられないからなんですが、僕の行った4月6日がちょうど今シーズン最後のお散歩ということになっておりました。ラッキー♪ ま、それ以外の期間はオウサマペンギンの変わりにフンボルトペンギンがお散歩することになっているので、さほど落胆することはないんですが、お散歩コースでカメラを持って待ち構えていると、おおっ!向こうのほうからヨチヨチと歩いて来ました、1、2、3、4…、えーと、総勢7匹のペンギンたん♪ ペンギンなんて歩くのが遅いから、楽勝やろ。…と思ってナメてかかっていたら、意外と素早い動作であっという間に通り過ぎてしまったんですが、おかげで写真のほうも微妙に被写体ブレしてしまいました。侮れませんなぁ、奴らも。

 で、ちょっとした広場にたどり着いた彼らは、しばらくその辺りを歩き回ったりすることになるんですが、7匹中、きちんと集団生活を営むことが出来るのは5羽で、中には落ち着きのない生徒が混ざっていたりします。 (写真・上から2番目) で、ひとりウロウロと歩き回っているのがそれです。もう1人の姿が見えませんが、コイツは飼育係のお姉さんにぴったり寄り添っておりまして、たまに直立不動の姿勢で空を見上げて、「オウ、オオウ、オオウ、オオウ、オオウ!」 と雄たけびをあげたりします。いや、ペンギンの鳴き声というのを始めて聞きました。こうしてみると、やっぱり鳥なんですな、コイツらも。 で、声高らかに泣き声をあげた直後、ガクっと項垂れるところが何とも笑えて可愛いんですが、ま、僕があれこれ説明するよりも、 この動画 を見て貰ったほうが、よっぽど分かりやすいかと思うんですけど。 あ、僕は広場の集結パートだけですっかり満足してしまって、部屋に戻るところまでは見届けなかったんですが、ちゃんと足まで洗うんですなー。この仕草もめっちゃ可愛いので、もしまたこの水族館を訪れる機会があれば、是非チェックしてみたいと思います。

 あとはえーと “シアター館” でありますか。大迫力!3D立体映画 「くじらワールド」 好評上映中!…とのことでありまして、いや、オフィシャルサイトの写真を見る限りでは何だかめっちゃショボそうで、あまり多くの物は期待出来そうにもありません。その癖、別料金を300円も取られて、僕はちょっぴり不満だったんですが、最初から何も期待していなかったのが幸いしたのか、わりとちゃんと立体的に見えて、内容的にも決してお子様向けというわけではなかったので、それなりに楽しむことが出来ました。これからはクジラをもっと大切にしよう!…と思わずにはいられない、シーシェパード好みの作風でありましたが、シーシェパードというのはアレですよね。イヤミが得意とするポーズの大正製薬の乗り物酔い止めの薬ですよね。…って、それはシェーセンパア。何もそこまで無理にボケる必要は無かったような気もするんですが、そういえばこの水族館、普通に水槽でおさかなを展示しているスペースもあるらしいので、最後に一応 “本館” のほうも覗いておきますかね? こちらのほうはアレです。あまり派手さは無いんですが、その代わりに地味。 ま、概ねそういった感じで特筆すべき点もないんですが、クジラのそのもの、及びクジラのあのもの。…といった展示もあって、ちょっぴり秘宝館の気分に浸れるところはよかったと思います。あとはえーと、ドクターフィッシュですか。これはアレです。ヒトの皮膚の古い角質を食べるという、そういう性質を持った小魚なんですが、こいつがウヨウヨ泳いでいる水槽の中に手を突っ込むと、あれよあれとという間に無数の小魚にタカられて、ああん♪ 痛痒いような、こそばいような、何とも言えない感覚で、ああん♪ 手の先だけでもかなり刺激的なんですが、これがもし全身ということになると、ちょっと想像してみただけで、ああん、ああん♪ 何でもこの小魚、トルコの温泉に棲息しているということらしいんですが、是非とも一度入ってみたいものでありますなぁ、トルコのドクターフィッシュ温泉。 三国観光ホテルや大江戸温泉物語には小魚入りの足湯があるみたいなんですが、何とか全身浴で体験出来る施設も作って欲しいところです。 “気持ちいいトルコ風呂♪” という触れ込みでアピールをすれば、オッサン達にけっこう人気が出ると思うんですが、果たしてどんなもんでしょう?

 とまあそんなことで、今日は ジョージ・ブレイス です。 慎太郎、障子プレイする、季節。 かつて、そんな人名俳句を詠んだことがあるんですが、随分とエロい小説だったらしいですね、石原慎太郎の 「太陽の季節」 。ちなみに大阪万博のシンボルである “太陽の塔” 。アレは “お祭り広場” を覆う大屋根を突き破る形でニョキっと建っているところから、 「太陽の季節」 の障子突き破りシーンを想定して小松左京が名前を付けたんだとか。いや、嘘か本当か知りませんけど。 で、ジョージ・ブレイス。 この人はですね、複数の管楽器を同時にくわえて演奏しちゃうことで知られております。が、ローランド・カークも同じようなことをやってるし、あっちが最大3本なのに対して、こっちは2本なので、その人気や社会的な評価はカークの3分の2程度。…というのであれば、本人としても納得のいくところなんですが、実際のところは300分の2とか、約分して150分の1とか、それくらいの評価しか得られていないのではなかろうかと。不憫です。不憫ではあるんですが、実際に演奏を聴いてみると、ま、しょうがないかぁ。…という気持ちになったりもするんですが、今日はそんな彼の 『ソウル・ストリーム』 というアルバムを紹介したいと思います。 「魂嵐(たましいあらし)」 。いいですな。何かこう、 「ゲームセンターあらし」 の次くらいによさそう?…という期待感を駆り立てるタイトルなんですが、ジャケットも秀逸です。真っ直ぐな目でサックスを吹くブレイスと、それを下のほうから見上げる一人のギャル。いい構図です。現在のところ僕の所有しているブレイスのリーダー作は4枚だけなんですが、そのうち3枚は既にレビューしているので、今回はあまりソソられるものがない本作を取り上げざるを得なかった。…というのが実状ではあるんですが、案外、イケるかも知れないという思いが、写真を見ているうちに沸き上がって来ました。サイドマンも悪くないですしね。オルガンのビリー・ガードナーというのはちょっと悪いんですが、いやこれは、この人に問題があるということではなくて、オルガンという楽器そのものがブレイスのダブル吹きの持ち味を阻害するような気がしないでもなくて、でもまあ、ギターはグラント・グリーンだし、そんなことで、では頑張って1曲目から聴いてみることにしましょうか。

 まずはスタンダード・ナンバーの 「ザ・マン・アイ・ラブ」 。  「私の彼氏」 という邦題でも知られております。 「私の加齢臭」 という邦題では知られておりません。そういえば、おさわりタイム直後の右手のアザラシ臭、ドクターフィッシュに皮を食わせているうちに綺麗に消えたな。…というのをふと思い出したりしましたが、それはそうとこれ、かなりひどい演奏ですよね。オルガン・トリオによるイントロ。ここまではブルージーな雰囲気もあって、かなり良好だと思うんですが、問題はここからです。ブレイスが入ってきてテーマを吹くことになるんですが、まず最初はソプラノサックスとストリッチによる一人ハモり状態、続いてストリッチ単独で2小節を吹いて、その次はソプラノ単独による2小節。ま、いろいろ試してみたいという気持ちは分からんでもないんですが、その試みは見事なまでに失敗に終わっております。あるいはこの人、ギャグでやってるのか?…と思ったりもするんですが、さにあらず。当の本人はけっこう大真面目だったりして、それどころかJ.F.ケネディの暗殺事件にショックを受けて、この曲に悲しく厳粛な雰囲気を与えたんだそうで、こういうところは日本人とアメリカ人の感性の違いなんすかね?僕個人としては、これではケネディ君も浮かばれないな。…という気がするわけなんですが、その後もブレイスは2本の管楽器を自由自在に操って、非業の死を遂げた大統領に哀悼の意を表しておられます。真ん中にオルガン・トリオによる演奏を挟んで、かなり長い時間をかけてテーマが演奏された後、今度はセカンド・テーマみたいな合奏パートが出てきたりして、なかなか意欲的な構成なんですが、ちょっと懲り過ぎた嫌いがあるので、続いて登場するグラント・グリーンのシンプルなソロが何とも言えず清々しく感じられます。…とか思っていたら、すぐにまたクドクドのテーマに戻ってしまって、とまあそんなことで、おしまい。手持ちの4枚中、何故これが最後まで残されていたのか、心の底から納得がいくような1曲目なのでありました。

 さ、気を取り直して、次に行きましょう。ジョージ・ブレイスのオリジナルで、 「アウトサイド・アラウンド・ザ・コーナー」 。 「角の周りの外部」 という意味なのでありましょうか、言われてみれば確かに、こりゃ、角の回りの外部やな。…といった感じの曲だったりするんですが、これはアレです。まるっきりオーネット・コールマンの作風だと思って頂ければよろしいのではなかろうかと。ここでのブレイスは同時に2本の楽器を吹くといった余計なことをせず、テナー1本できっちり勝負を賭けているんですが、テーマ部はオルガンとのユニゾン具合がなかなかいい感じです。続いて登場するテナーのソロも、おちゃらけ色を排除したクールで斬新でモーダルで、ちょっぴりアバンギャルドな姿勢が貫かれておりまして、彼の新しい一面を垣間見た思いでありますが、ま、聴いて面白いかどうかは、また別の問題として。 で、ソロ2番手はグラント・グリーンのギターなんですが、この人は真っ黒なソウルでも、まっさらな新主流派風でも、どちらでもイケる柔軟性を持ち合わせていますからね。ここではブレイスのシリアスなプレイを引き継いで、えーと、シリアス、シリアス…。 シマリスとかシリカゲルとか、何かそんなのしか思いつかなかったのでここはボケ無しで先に進むとして、ブレイスのシリアスなプレイを引き継いで、グリーンも頑張ってシリウスな演奏を心掛けているように思います。で、続いてはビリー・ガードナーのオルガンでありますな。この人、元々はピアノが本職なのではないかと思うんですが、でもまあ、どちらも鍵盤楽器だから、ちょっと練習すればすぐ弾けるようになるような気もするしぃ。…というので、ちょっと練習してオルガンをマスターしたのではないかと思われます。その実力の程はというと、ここではテーマの変なメロディに引きずられて、変なフレーズの連発を余儀なくことになって実態を図りかねるんですが、その後、やはりというか、ついにというか、当然というか、ブレイスの1人2管ハモり技が披露されることになります。 ま、この時点で得意技を出されるのは織り込み済みだったので、被害を最小限に抑えることが出来たんですが、テナーとソプラノの絡みというのは、サウンド的にもそれほど悪くはありませんしね。ま、それほどよくもないんですが、2管とドラムスと絡みという形で演奏が進められて、でもって、オーネット・コールマンなテーマに戻って、おしまい。 ま、1曲目よりはマシなんだけど、決して褒められたものではない。そんな感じの2曲目なのでありました。

 気を取り直して3曲目に参りましょう。アルバム・タイトル曲の 「ソウル・ストリーム」 。 「ザ・マン・アイ・ラブ」 同様、ケネディ大統領がダラスで暗殺された事件を受けてアレンジが施されたようなんですが、なるほど、確かに今度は鎮魂ムードに満ち溢れておりますな。これでケネディ君も心置きなく成仏出来るのではないかと思うんですが、ま、あまりにも鎮魂ムードが強過ぎて、ちっとも盛り上がらないところがネックだったりするんですけど。 終盤はコルトレーンばりのスピリチュアルさを感じさせる場面もあったりして、いよいよ盛り上がってきたか?…と思ったら、そのままフェードアウトして終わってしまって、何とも消化不良な感じだけが残ってしまうんですが、もしかしてこのアルバム、いよいよもって、カスなんですかね? そう思い始めた人も少なくないかも知れませんが、でも大丈夫。ブレイス君はここから先にやってくれます。いや、多分。。。

 B面のトップを飾るのはビリー・ガードナーのオリジナル、 「ブープ・バップ・ビング・バッシュ」 。 ブープして、バップして、ビングした挙句に、バッシュ。何だかいかにもやってくれそうなタイトルなんですが、期待に違わずスリリングでドライビングでアメンジングで、ブープでバップでビングでバシッとしたハードバップに仕上がっておりまして、秀逸です。軽快なテンポをもったDマイナーの曲である。それは同時に、短調の曲であっても楽しげなサウンドをつくりだせるという好例になっている。形式はA-A-B-Aだ。ブレイスは、おもにテナーで演奏するが、ガードナーが最初に吹き鳴らすコーラスでバックにまわったときだけ、ストリッチとソプラノで何度かシャウトしてみせる。…と、原文ライナーでレナード・フェザー (訳:内田昌幸) が書いているとおりの曲、ならびに演奏なんですが、唯一、インネンをつけるとするなら、ガードナーが最初に吹き鳴らすというところでしょうか。オルガンやから、吹くのは無理やろ?…という気がするわけなんですが、原文を見ると “Gardner's first blowing chorus” と書いてあるので、これは内田クンではなく、レナード・フェザーの責任ではないかと思われます。ここはひとつ懲罰の意味で、フェザー君にフェザー剃刀剃毛プレイの刑を課すべきではないか?…という意見もあろうかとは思いますが、オッサンの毛を剃ってみたところでさほど心がときめくわけでもなく、むしろかなり不快だったりするのでこの問題は不問に付すことにして、で、演奏のほうはというと、これはアレです。まず最初にイントロがあります。で、続いてはテーマということになるんですが、ここまではテナーとオルガンによるユニゾンという形が取られております。この2者はともすればソウルのほうに走ってしまって、なかなかピョンヤンのほうには目が向かなかったりするんですが、ところがどっこい金正男。ここでの彼らはどちらかというと新主流派のスタイルにベクトルが向けられているようで、概ね、クールで知的な60年代の風が吹くことになるんですが、でもって、ソロ先発はブレイスのテナーでありますな。コルトレーン、ウェイン・ショーター、あるいはジョー・ヘンダーソン。その辺りの名前を3人分ほど出しておけば、そのうちの1人くらいからは何らかの影響を受けているものと思われる演奏が繰り広げられることにあるんですが、でもって、続いてはグラント・グリーンのソロでありますか。グリーングリーン、街に緑を、グリングリン♪ 何か昔、テレビでそんな歌が流れていたのをふと思い出したんですが、名古屋テレビのグリーン・キャンペーンでしたっけ? あるいは名古屋ローカルなのかも知れず、昔、テレビでそんな歌が流れていたのをまったく知らない人もいるかも知れませんが、ギター・ソロの中盤にはブレイスがストリッチとソプラノで何度かシャウトしてみせるパートが被さってきたりして、この点でもフェザーの記述は正確さに欠けていると言わざるを得ません。これはもう、いよいよ剃毛刑が現実のものとなりつつある気がするんですが、グリーンのソロの後半にはオルガンのシャウトも絡んで来たりして、演奏は大いに盛り上がります。 で、その後、ブレイスの2管シャウトをバックにガードナーがオルガン・ソロを繰り広げることになるんですが、ここでの彼のプレイはラリー・ヤングを彷彿させるものがあって、秀逸です。その後、再びテナーのソロが短めに出てきて、でもって、テーマに戻って、最後はイントロと同じフレーズを繰り返しつつ、フェードアウトして、おしまい。いや、ここに来てようやくやってくれましたな、ブレイス君。とりあえずこれで一安心かと思われます。

 などと油断していたら、ここでまた変なのが出てきました。 「ビリー・トールド」 はロッシーニョに、でなければひょっとしてローン・レンジャーに、敬意を表した曲だ。(もしビリーが語ったら、ウィリアムはなんというだろう?)…などと原文ライナーに書かれていて、 「語ったら」 のところには 「トールド」 、 「いう」 のところには 「テル」 と、それぞれ片仮名でルビが振られているんですが、まったくもって意味不明です。訳注として、 「ビリー・トールド」 はウィリアム・テルのもじり、 TV番組 「ローン・レンジャー」 のテーマ曲はウィリアム・テル序曲だった。…と書いてあるのを見ても、まだ今ひとつ判然としないものがあるんですが、何でもいいけどこれ、どこかで聴いたことがあるような曲ですな。野球場とかヤッターマンなんかで流れたりしてませんか?…とか思っていたら、要はこれがロッシーニ作曲の 「ウィリアム・テル序曲」 というワケなんですな。 で、この有名曲をジャズ化した成果の程はというと、ロシニョールに敬意を表するというより、喧嘩売ってるんか?…と言いたくなるような出来となっていて、こりゃ、頭の上に乗せた林檎ではなく、眉間を矢で射られたとしても、文句は言えないのではなかろうかと。いや、いくらなんでもそこまで酷くはありませんか。元々の曲からしてかなりお間抜けなムードが漂っているので、 態度が不真面目だからと言ってブレイスばかりを責めることは出来なくて、カスタネットの、タカタッタカタッタカタッタカ♪…という軽快なリズムも “ジャパネットたかた” みたいで、ちょとといいかも知れません。テーマ部はブレイスがテナー1本で吹いていて、途中、オルガンをフィーチャーしたパートもあったりして、でもって、ソロ先発はグラント・グリーンでありますか。でもって、ソロ2番手はビリー・トールドでありますか。アドリブ・パートに入ると、おちゃらけの度合いがぐっと低くなって、わりと普通のジャズがオーソドックスに演奏されることになるんですが、続くブレイスもテナー1本に絞って、落ち着いた感じのプレイを展開しております。 ま、全体的に何となく上ずっていて、聴いていてあまり面白くないところはご愛嬌なんですが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 ということで、いよいよラストです。ジョージ・ブレイスのオリジナル、 「ジョー・アン」 。 筋肉しりとり (←なかやまきんに君の持ちネタ) ではよく、上腕二頭筋というのが登場するんですが、 「ジョー・アン」 というのは何なんですかね?上等なアンコですかね? “つぶ餡” と “こし餡” とでは、どちらが上等かというと、こしてあるほうが上等で、粒のほうが下等というイメージがあったりするんですが、僕は断然、つぶ餡のほうが好きです。中村屋のあんまんは “こし餡” なので、どうもいただけません。ぱっと見、中身がチョコレートクリームみたいなので、一瞬期待が膨らむんですが、食べてみるとアンコの味しかしないので、心の底からガックリしてしまいます。ま、チョコレートが好きなら最初からあんまんをやめてチョコまんを買えばいいのかも知れませんが、あんまんならあんまんらしく、ちゃんと “つぶ餡” んしろ!…と、僕は言いたいです。 とまあそんなことで、上等なアンコの 「ジョー・アン」 にはあまり期待が持てないかも知れませんが、聴いてみたらわりといい感じの曲だったので、ちょっと意外でした。世の中、何事も名前だけで判断してはいけないという事を改めて教えられた思いでありますが、そもそも 「ジョー・アン」 というのは上等なアンコと何の関係もなかったりするのかも知れませんけど。 ソプラノ単独で演奏されるイントロはちょっとオーネット・コールマンが入ってて、最後もハズしたか?…という気分に陥ってしまうんですが、続いて登場する2管ハモりによるテーマ部は、なかなかいい感じだったりします。僕は何も、管楽器を2本銜えて吹くのがいかん!…と言ってるのではなく、それが音楽的に意味のあるものであるなら容認するにヤブサカではないんですが、ここではわりといい味が出ていると思うんですよね。 ま、AABA形式の “Bの部” だけは、ハモりをやめたほうがよかったかな?…という気もするんですが、そんなに頻繁に楽器を持ち替えるというのもちょっと大変なので、やむを得ないところであろうかとは思うんですけど。とっても寛容ですね、今日の僕。 ま、最初のうち、ちょっと馬鹿にし過ぎた嫌いがあるので、あまり虐めて拗ねられたりしても嫌ですしね。 で、アドリブ・パートに入ると、ブレイスはソプラノ1本で勝負を賭けることになるんですが、伸びやかな吹きっぷりはまるで天使の囁きのようで、すーっと僕の心の中へと染み込んできます。ジョージ・ブレイスという類稀な才能がこの世に降臨したことを神に感謝せねばなりませんが、とか言ってるうちにビリー・ガードナーのソロになりましたな。この人のプレイは、ま、普通ですか。それほど馬鹿にしたような覚えはないので、無理に褒める必要もないんですが、普通に悪くない弾きっぷりだとは思います。 その後、ブレイスが2管を銜えて喚き散らすパートはちょっと余計でありまして、この人、基本的にオトナになりきれないところがあるようなんですが、最後にドラムスとのちょっとした絡みがあって、そこそこ盛り上がったところで、テーマに戻って、おしまい。 今日は、ま、だいたいこんなところです。

【総合評価】

 全6曲中、合格点を付けられるのは、ま、寛容な態度で臨んで、2曲半くらいのものではなかろうかと。特に前半は壊滅状態だといってもよさそうなんですが、そこをどう評価するかですよね。後半で腰砕けになるよりはマシだよね?…と、前向きに評価することも出来るんですが、ジョージ・ブレイスの熱心なファンで、尚且つ、わりと我慢強い。そういう人にしかお薦め出来ない作品であるような気もするんですが、グラント・グリーンの熱狂的なファンで、尚且つ、めっちゃ寛容。そういう人なら、ま、許して貰えるのではなかろうかと。残り物に福は無かった。ま、結論としては、そんなところです。


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