BRILLIANT! (FONTANA)

THE DIAMOND FIVE (1964/5/12,30)

BRILLIANT!


【パーソネル】

CEES SMAL (tp,flh,v-tb) HARRY VERBEKE (ts) CEES SLINGER (p)
JACQUES SCHOLS (b) JOHN ENGELS (ds)
【収録曲】

(01-03) JOHNNY'S BIRTHDAY / RUINED GIRL / LUTULI
(04-06) LINING UP / NEW BORN / MONOSYL

【解説】 (2008年04月13日更新)

 お花見に行ってきました。奥琵琶湖に行ってきました。奥琵琶湖というのはどこにあるのかというと、琵琶湖の奥。ま、だいたいその辺りということになるんですが、琵琶湖の東側の長浜というところから、琵琶湖汽船の お花見遊覧船 に乗りました。長浜港12時30分発、お花見弁当付き、海津大崎に上陸して30分散策。…というプランを選んだんですが、過去の開花実績からして、4月12日あたりがちょうど満開だろうと思って予約の電話を入れたところ、2月13日の時点でこの便は既に満席となっていて、仕方がないので4月5日にしました。…という話は、 ここ の前半最後に書いたので見て貰うとして、開花予想が4月7日となると、こりゃ、まったくもって期待出来そうもありませんな。肝心の桜が咲かないとなると、せっかくのお花見遊覧船も“おつぼみ見遊覧船” ということになって、お花見弁当も急遽 “おつぼみ見弁当” に差し替えということになって、椎茸を煮たのとか、ひじきを煮たのとか、高野豆腐を煮たのといった、まるで華の無いおかずしか入ってないに違いありません。当初予定していたブリの照り焼きも、急遽取りやめになることでしょうな、おそらく。 遊覧船の予約受付は2月の頭から始まっていたようなんですが、いやあ、すっかり出遅れてしまいましたなぁ。。。 やさぐれた気分で春を待つ日々でありましたが、3月に入るとポカポカとした暖かい日が続き、桜の開花予想もぐんぐん早まって、ついに3月31日には彦根でソメイヨシノが開花♪ 海津大崎の開花は彦根から3日くらい遅れるらしいので、となると今年は4月2日ですかね? 3日で1分咲き、4日で3分咲き、さすがに満開というのは難しいかも知れませんが、5分咲きまではイケますかね? 琵琶湖汽船の関係者も、椎茸を煮たのはヤメにして、ブリの照り焼きにする?…といった、新たな対策を打ち出しているのではないかと思うんですが、4月に入るとまた寒さがぶり返してしまって、結局、 “つぼみ膨らむ” という段階でお花見当日を迎えることになってしまいました。ああん! 寒さのぶり返しによって、弁当にブリが帰ることは期待できなくなり、がっくりとうなだれてゴマだれ餅をヤケ食いするという、そんな春の一日でありましたが、ま、それほど、めっちゃ大好きというワケでもないんですけどね、ブリの照り焼き。

 長浜港から船に乗るに当たって懸念していたのは、近くに長浜城があるやん!…という事なんですが、天守閣そのものは再建されたパチモン城であるとはいえ、周囲は “豊公園” として整備されていて、 “日本さくら名所100選” にも選ばれているほどのお花見名所なんだそうで。 ま、それはそれで海津大崎が駄目だった場合の代替として使えそうで好都合なんですが、花見客がわんさと押し寄せて道路は大渋滞、駐車場は満車。身動きが取れなくなって、どうする、どうする?…と焦っているうちに遊覧船が出発してしまって、ああん! という事態は大いに考えられます。遊覧船乗り場にも駐車場はあるようですが、キャパはさほど大きくはないようで、人気のキャバ嬢のように取り合いになる可能性が高いです。 このマップ にある豊公園駐車場、もしくは市民プール駐車場というのが料金無料みたいなので、早めに家を出て、ここを押えるというのが得策ではなかろうかと。 とまあそんなことで、朝の6時に家を出ました。8時前に着きました。駐車場、ガラガラでした。船の出発までまだ4時間ちょっとあるので、とりあえず電車に乗って余呉湖にでも行ってみますかね?

<余呉湖周辺> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 …とまあそんなことで、行ってきました、余呉湖。そう言えば小学生の時、同じクラスに “よごう・くきこ” という名前の女の子がいたなぁ。…というのをふと思い出したんですが、いや、別にその子のことが好きだったとか、そういうことではなくて。教室に蜘蛛などが出没した際、他の女子がキャーキャー言っているのに、この子だけは慌てず騒がず。そのクールな態度を、頼もしいな♪…と思ったりもしたんですが、当時、まだ極めてガキっぽい性格だった僕のことを冷たく見ているようなところもあって、そういうところが今ひとつよくないな。…とも思ってました。まさかこんな低俗なサイトを見るようなキャラだとは思えないので、とりあえず悪口を書いてしまいましたが、ちなみにこの余呉湖には “羽衣伝説” なんてにもあるようですね。ツナ缶はやっぱりハゴロモのシーチキンやろ?…と思っている僕としてはちょっと気になるところなんですが、ま、詳しいことは ここ を見てもらうとして。凄くよくある話なんですが、その天女の子供が菅原道真というところが何ともウソっぽくて、いいと思います。


<長浜城 (豊公園)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、長浜に戻ってきました。長浜と言えば、そうめんの上に焼きサバをのっけた “鯖ソーメン” というのが名物なんだそうで、ちょっと気になるところではあったんですが、この先、お花見弁当を食べなければならない身としては、ここは自重せざるを得ません。それほど、めっちゃ大好きというワケでもないんですしね、サバ。 で、まだまだ乗船時間には余裕があるので、しばし豊公園を散策してみることにしたんですが、ちなみに “ゆたか公園” ではなくて、 “ほう公園” 。ちょっぴり膀胱炎みたいで血尿とか出そうなネーミングではあるんですが、築城したのはあの豊臣秀吉だというのだから、大したものです。豊臣だから豊公園。ならば “とよ公園” のほうがいいんじゃないか?…という気がしないでもないんですが、僕は芳香系炭化水素というのが嫌いではないので、今の名前でもさほど違和感は覚えません。 豊臣さんちの秀クンが作ったんだから、もっと大切にされてもよさそうなものなんですが、1615年に廃城になって、資材の大半は彦根城の築城に流用されちゃったんだそうで、何とも邪険に扱われたものでありますなぁ。現在の天守閣は 1983年に再建されたものなので、歴史的な価値はありません。桑名の “しぐれ城” と同レベルでしょうか。長浜駅からも見えているんですが、遠目に見てもかなりパチモン臭いです。近目で見たら、それなりに立派だったんですけど。 で、肝心の桜はというと、抜け駆けして自分だけほぼ満開になってるヤツも約1名ほどいたんですが、まだつぼみの状態のものもあって、平均すると、ま、3割8分7厘といったところでしょうか? 残念ながら “日本さくら名所100選” としての実力を実感するには至りませんでした。 琵琶湖に面していて、鵜が潜水する姿なども観察することが出来るので、鵜好きの人なら、体の奥が疼いちゃうかも知れません。個人的にはそれほど、めっちゃ大好きというワケでもないんですけどね、鵜。


<海津大崎> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ということで、いよいよ船に乗り込みます。 ミシガンみたいな立派な船か?…と思って期待してたら、さほど大きなものではなかったんですが、ま、定員約120名といったところでしょうか?…思って調べてみたところ、どうやら、リオグランデという 94.0総トン、全長 27.7m、幅 5.7m、旅客定員 200名の船だったようですが、なるほど、無理矢理に詰め込めばそれくらいの人員は収容出来るのかも知れません。1階は椅子席で、2階がテーブル席。往路のみが指定席ということになるんですが、昼食付きのプランだと2階の席があてがわれることになるようです。テーブルの上には既に、お花見弁当と爽健美茶の250cc缶が配置されておりまして、2,100円の昼食料金のうち 100円の端数は消費税分だと思われるので、お花見弁当代はそこからお茶代を差し引いた 1,880円といったところですか。蓋を開けてみると、中身は こんな感じ になってました。おおっ、まずまず豪華? 海老フライ、鶏の唐揚げが各1個、更には海老チリといったところが主要なおかずということになろうかと思いますが、鴨ロースらしきものもはいっておりました。湖面には川と並んで鴨ちゃんも浮かんでおりましたので、これも琵琶湖名物のひとつということになるのかも知れません。 船に積み込む手間賃と観光地割増しを勘案すると、ま、 1,500円は取られても仕方ないかな?…といった感じのお弁当だったんですが、フナ寿司といった余計な珍味が出てきたりしないだけ、安心感のある食事だと評価していいのではなかろうかと。代金との差額 380円は、ゆったりしたテーブル席の場所代だと考えれば、それなりに納得のいくところではないかと思います。 個人的には昼食付きのプランにしておいて、大正解やった♪…と思うんですが、というのもこの遊覧船、船旅そのものが何だか今ひとつ盛り上がらないんですよね。琵琶湖と言うのはクソ大きいので、長浜から対岸の海津大崎まで約1時間ほど掛かるんですが、その間、窓の外には10分くらい走ってみたところでさほど大きな変化のない、のんべんだらりとした景色が広がっているだけで、メシでも食っていないとやり切れません。ま、お弁当も食べるのに15分くらいしか時間を要しないので、結局は暇を持て余すことになるんですけど。

 そしていよいよ、海津大崎に到着♪ お目当ての桜は…、まったく咲いてませんなぁ。。。 かつて奥琵琶湖パークウェイをドライブした時、奥琵琶湖、ええところやん♪…といった感想を持ったんですが、湖面から船で眺める海津大崎は、んーと、普通? とりあえず30分の上陸散策タイムがあったので、大崎寺というところをうろついてみたんですが、そこから眺める琵琶湖の景色は悪くなかったです。上陸付きのプランのほうを選んだのは正解だったと言えるでしょう。ただ、帰りの船の出発時間が気になって、気がせいて仕方がないんですけど。 とまあそんなことで、おつぼみ見遊覧船の旅は、おしまい。 帰りの約50分間は、ぽかぽかと暖かい船内で気持ちのよい惰眠を貪ることが出来たのでありました。


<丸岡城 (霞ヶ城公園)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 桑名から奥琵琶湖なんてのは余裕の日帰りコースなんですが、今回は1泊して福井まで足を延ばしてみることにしました。お泊り先は、あわら温泉というところにしました。 でもって翌日、 越前松島水族館 というところでペンギンたんやアザラシたんと戯れてきたんですが、そのお話は次回にでも書くとして、続いては丸岡城です。水族館散策後のお花見プランとして、この丸岡城か彦根城かのどちらかを候補として考えていたんですが、いずれも直前の開花状況は “咲き始め” とのことで、桜に関してはあまり多くのものは期待出来そうにありません。彦根城には ひこにゃん がいる♪…というのが大きなアドバンテージなんですが、ただそれ故、お花見客と、おひこにゃん見客とでゴッタがえしているという恐れもあって、道路は大渋滞、駐車場は満車、身動きがとれなくなって、どうしよう、どうしよう?…と焦っているうちに夜が明けて、翌日、会社に遅刻しちゃう可能性が皆無とは言い切れません。行くとすれば米原駅前にクルマを止めて、電車で彦根に繰り出すという手やな。…とか思っていたんですが、一方の丸岡城はというと、水族館から丸岡インターに向かう通り道に位置しているので、ちょっとだけ様子を見に行ってみることにしました。もし、桜がぜんぜん咲いてなかったりしたら、そのままスルーすればいいだけの話ですからね。 ということで、行って来ました。渋滞にハマりました。近くの体育館まで来たところで、1分間に5m程度の速度でしか移動出来なくなっちゃいました。体育館の桜は満開となっておりまして、これはもしかしたら、もしかするかも?…という期待が高まって来たんですが、ここで無駄に時間を費やしてしまった関係で、ひこにゃん城はパスやな。…といった機運が僕の中では強くなってきて、こうなったらもう、丸岡クンにすべてを託すしかありません。 “Windows” でアプリケーションが暴走したら、あとはもう、タスクマネージャーに命運を託すしかないんですが、約30分間という苦難の末、僕は遂にお城の近くにある図書館の駐車場に辿り着くことが出来たのでありました。期待と不安に打ち震えながらお城のほうにあるいていくと…、おおっ、めっちゃ咲いてるやーん♪

 僕は当初、ただの丸い岡の城やん。…とか思って馬鹿にしていたんですが、実はここ、総計で3つほどの自慢ポイントがあるんだそうで、まず最初は “一筆啓上”。 その昔、徳川家康の忠臣、本多作左衛門重次クンが陣中から妻にあてて 「一筆啓上、火の用心、お仙泣かすな、馬肥やせ」 という手紙を出したんだそうですが、必要最小限な事だけを簡潔明瞭にまとめた名文として後世に伝わっております。僕が子供の頃によく聴いていた 「コーセー歌謡ベストテン」 が後世に伝わらず、打ち切りになったことからしても立派なことだと思うんですが、ここに出てくる “お仙” というのが後に、丸岡藩主の本多成重になったんだそうです。 で、自慢ポイントの2つ目として、この丸岡城 (別名・霞ヶ城公園) が長浜の豊公園や奥琵琶湖の海津大崎同様、 “日本さくら名所100選” に選ばれていることが挙げられるんですが、ちなみにこれは財団法人・日本さくらの会というところが平成2年、僕に何の断りも無しに勝手に選んだものらしいんですけど。どうして桑名の九華公園が選ばれていないのか、僕は不満でならないんですが、あるいは日本で100位以内に入るほどの大した名所ではない事が落選の原因なのかも知れませんけど。 で、丸岡城の最後の自慢ポイントは、現存最古の天守閣があるということなんですが、築城年は 1576年。犬山城のほうが古いのではないかとか、 1955年の福井地震で倒壊しちゃったのを、こっそり建て直しただけやん!…といった意見もあるようですが、ま、倒れた部材を80%くらい使って元通りに建て直したということなので、一種のリフォームだと思えば何とか許容出来る範囲なのではなかろうかと。

 で、実際、中に入ってみるとですね、これはもう、古いです。特に階段の角度が半端ではありません。松本城の階段もかなり急で、危ないやん!…と思ったような記憶があるんですが、アレを更にパワーアップさせたような感じ? 普通の手摺りだけではデンジャラスなので、結び目の付けられた太いロープが足らされておりました。スカートだとまず間違いなくパンツ丸見えになります。 いや、僕は特に興味がなかったので、じっくり観察したわけではないんですが、絶対にこりゃ、パンツ丸見えになるな。…と思わずにはいられないような角度となっておりました。こういう古いお城を見るというのは歴史のお勉強としてとっても大切だと思うので、女子高の修学旅行では是非ともここをコースに組み込んで欲しいというか、絶対、組み込むべきである!…と僕は思うんですが、最近は城好きのギャルというのも増えているみたいですしね。城好きのギャル、風呂好きのギャル、ピロシキのギャル。この中でどのギャルに一番ソソられるかというと、やはり風呂好きというのが清潔感があっていいと思うんですが、ま、それはともかく、丸岡城というのは城好きのギャルを引き付けるには、ちょっと地味過ぎるような気がしないでもありません。というか、僕はつい最近まで日本にこんな城があることすら知らなかったんですが、ここはやはり “ひこにゃん” のようなマスコットキャラを作って知名度のアップを図ったほうがいいかも知れません。ただ、猫のキャラで “まるにゃん” というのでは、あまりにもパクリが過ぎるので、ここはひとつ、世界三大珍獣のひとつの力を借りるというのはどうでしょう? このアイデア、安くお分けしたいと思うので、関係者の皆さまは是非、お気軽に連絡頂きたいと思うんですが、では発表します。丸岡城のマスコット・キャラクターは、これ (↓) でーす。

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 とまあそんなことで “その他の楽器編” として今回、ザ・ダイアモンド・ファイブのアルバムを紹介したいと思うんですが、その他の楽器編と言っても別に珍しい楽器が使われているというわけではありません。誰がリーダーなのか今ひとつ判然としないグループなので、とりあえずここに分類させて貰ったんですが、強いて言えばシーズ・スモールという人がトランペット以外にフルーゲルホーンやバルブトロンボーンを吹いてたりするところが “その他の楽器” と言えるかもしれません。 今回は他にあまり書くこともなさそうなので、とりあえずこれらの楽器について簡単に説明しておきたいと思うんですが、フルーゲルホーンというのはアレです。トランペットの音域を2段階くらい低めに設定したような楽器です。トランペットよりも音域を低めに設定するとどうなるかというと、トランペットよりも低い音が出ることになるんですが、特にバラードを吹く場合、独特の渋い雰囲気を醸し出すことが可能となります。反面、バラードを吹く時くらいしか、あまり近い道がなかったりするところが難点なんですが、名前にあるフリューゲルというのは確か “翼” のことではなかったかと。全日空系のサッカーチームの名前が横浜フリューゲルスだったのもそこから来ているのだと思われますが、この楽器がどうして “翼ホーン” と呼ばれるようになったのか、 その辺りの事情はよくわかりません。何か軍楽隊がどうのこうのという話を聞いたことがあるような気もするんですが、だんだん説明するのが面倒になってきたので、先に進みます。

 バルブトロンボーン。これはアレです。普通のトロンボーンのように管を伸ばしたり縮めたりして音程を変えるのではなく、トランペットと同じような押しボタン式のバルブが3つほどついているという、そういう仕組みの楽器だったりします。聞いている分には普通のトロンボーンと何ら変わりはなくて、その他の楽器の “その他” という観点からすると、決して褒められたものではありません。バブルトロンボーンではないので、風呂に沈めたところでジャグジーになるわけでもないし、パープルトロンボーンでもないので、風呂に沈めたところで湯が紫色になるわけでもないし、ま、トロンボーンというのは本来、風呂に沈めるために作られたものではないので、それはそれで別にどうだっていいんですが、微妙に音程の調整が出来るというスライドトロンボーンの持ち味が台無しになってしまって、現在ではほとんど用いられることのない絶滅危惧楽器のひとつとなっております。ジャズの世界ではボブ・ブルックマイヤーという人が、この楽器を吹くのがうまいやー。 ということで知られているんですが、とまあそんなことで、ザ・ダイヤモンドな5人組。瀧口譲司クンが2002年師走の走りに書いた日本語ライナーによると、どうやらこのシーズ・スモールが実質的なリーダーということになるようですが、このグループにはもうひとり、シーズ・スリンガーという名前の人もいます。シーズ・スモールとシーズ・スリンガー。名前が同じということはもしかして、この2人は兄弟なんですかね?ジャズ界の “狩人” と言える、そんなグループなのではないかと思われるんですが、よく考えたら名前は同じでも苗字が違うので、もしかしたらこの2人は赤の他人なのかも知れませんけど。氷川きよし西川きよしは、同じ “きよし” という名前でも血縁関係はありませんもんね。 で、2人のシーズ以下、テナーのハリー・ヴァーベク、ベースのジャック・スコールズ、ドラムスのジョン・エンゲルスという計5名でこの5人組は成り立っているんですが、今ひとつ名前を覚えにくいこの人たちは、全員がオランダ人ということになるんでしょうか?オランダ人ならオランダ人らしく、 “エレキテルきよし” とか “カテーテルたかし” みたいな名前にして貰ったほうが馴染みやすくてよかったと思うんですが、 “ダッチ裕三” なんてのもオランダっぽくていいと思うんですけど。 とまあ、名前のポピュラリティという点ではやや問題のある彼らなんですが、果たしてどのようなタイプのジャズを演奏しているのでありましょうか?まったく見当がつかなかったりするんですが、とりあえず聴いてみることに致しましょう。

 1曲目はシーズ・スモールのオリジナルで、 「ジョニーズ・バースディ」 「ジョニーの誕生日」 ですか。ジョニーというと僕の場合、ジョニ黒とか、ジョニー黒木 (元・千葉ロッテマリーンズ) といったところが頭に浮かぶんですが、黒木というと僕の場合、黒木瞳よりも黒木香のほうが印象に残ってたりします。腋毛剃れよ!…みたいな。同じ腋毛なら小鳩美愛のほうが断然可愛くていいと思うんですが、黒木香の場合、見た目がちょっとオバチャンぽくて、腋毛を生やしててもまったく違和感のないところがよくありません。童顔でこその腋毛やろ!?…と思わずにはいられませんが、それはそうとこれ、ホントにシーズ・スモールのオリジナルなんですかね?絶対これ、ベニー・ゴルソンやろ?…と思わずにはいられないんですが、オランダ人なのをいいことに、バレないと思ってパクっちゃったんですかね?かのキダ・タロー先生も 「メキシカン・ハット・ダンス」 という曲をパクって 「アホの坂田」 を作ったところ、元の曲がリレハンメル・オリンピックのアイスホッケーの決勝戦で流れて、盗用がバレちゃったことがあるんですが、外国の曲だと思って油断していると痛い目にあうので、教訓としなければなりません。しかもスモール君はご丁寧にバルブ・トロンボーンを吹いたりしているので、アレンジもまんまゴルソン・ハーモニーになってしまっているんですが、ま、オランダ人集団の演奏するファンキー・チューンというのはちょっと意表をついているので、うひょお♪…という驚きがあったりはするところはいいと思うんですけど。 2管のハモり具合が絶妙なテーマに続いては、スモールのトロンボーン・ソロということになるんですが、バルブ・トロンボーンだからなのか、それを頭に入れて聴いてみると、普通のトロンボーンとは微妙に音色が違うような気がしないでもありません。どことなく歯切れのいい、はぐれ刑事純情派。…といった仕上がりになっているんですが、いいですよね、はぐれ刑事。これがもし “しぐれ刑事” だったりしたら、何となく貝の佃煮みたいになっちゃうところでしたが、いや、厳密にいうと佃煮と時雨煮とでは製法が違うんですけど。ま、このページは貝の煮詰め方について語ることを目的としているわけではないので、とりあえず先に進むとして、ここでのスモールはフレージングもスムーズで、なかなか優れたソロであるように思われます。 で、ソロ2番手はハリー・ヴァーベクのテナーでありますか。曲調はゴルソンなんですが、ここでの彼はさほどゴルソンではなくて、どちらかと言うとバイソン。…といった感じなんですが、いかにもウシ科の哺乳類らしい力強さがあって、頭もデカくて、いいと思います。 で、続いてはシーズ・スリンガーのピアノ・ソロということになるんですが、いかにもスリンガーらしいスリリングでモモンガな弾きっぷりは評価に値する出来だと思います。誰のスタイルに似ているのかと言うと、先のテナーが、さっぱりした感じのデクスター・ゴードン、続くピアノが、白っぽいバリー・ハリスといったところでしょうか? 先の解説があまりにも適当だったので一応フォローしておきましたが、書いた内容に責任は持てません。 で、続いてジャック・スコールスのベース・ソロがあって、tb→ds→ts→ds の8バースがあって、テーマに戻って、おしまい。メンバー全員にきっちりと見せ場を与えているところは、僕たち5人とも輝くダイヤモンドなんだ。ひとりだけが漬物石だったりすることは無いんだ。…という意思の表れではないかと思うんですが、オランダ人らしからぬと言うか、オランダ人であるが故にと言うか、何ともきっちりした正統的なハードバップに仕上がっているのでありました。

 で、続いては 「ルーインド・ガール」 という曲です。ルーインドの意味が今ひとつよく分からんのですが、恐らくインドカレーのルーのような少女をテーマにしたものではないかと思われます。が、念のために翻訳サイトで調べてみたところ、 「破滅した少女」 という訳語が出てきたので、あるいはカレーのルーはあまり関係ないのかもしれませんが、破滅とは穏やかでありませんな。リストカットとか、最近はやりの硫化水素自殺とかを企てそうでちょっと危険なんですが、腐った卵の臭いに包まれて死んじゃうなんて、そんな爽やかでない最期というのは、僕はちょっと嫌ですけどね。どうせならもっと華麗な死に方をしたいものでありますが、例えばカレーを喉に詰まらせて窒息するとか。なかなか詰まらそうと思っても詰まるものではないんですけどね、カレー。 鰈の骨が喉に刺さるほうが可能性としては高いかも知れませんが、で、この曲はアレです。破滅的なまでに暗い感じのバラードとなっております。シーズ・スモールはここではフリューゲルを吹いておりまして、彼の楽器選択能力は実に適切だと言う気がするんですが、2管のハモり具合も絶妙で、アレンジも担当しているらしいスモールくん、名前とは裏腹になかなかビッグな才能を持ち合わせているようです。ま、スモールを漢字で “相撲瑠” と書けば、大きくてもさほど不思議ではないんですが、でもって、ソロ先発はスリンガーのピアノでありますか。いや、よく聴くとテーマだと思われていた部分が実はテナーとフリューゲルの短いソロになっていて、その後にピアノが登場するという構図のような気もしてきたんですが、いずれにせよ、しみじみとしていていいですよね、バラードは。バラードと豚バラ、どちらが好きかというと、やっぱり豚かな?…という気はするんですが、アルバムの中に1〜2曲くらいはバラードが入っているほうが僕は好きです。で、1曲だけ入れるとするなら、A面の2曲目というのがベストだと思うんですが、その点、フォンタナというレーベルはよく分かっていますよね。そういえば今回、まだアルバムのタイトルを紹介していなかったような気がするんですが、まさに 『ブリリアント!』 と呼ぶに相応しい出来と言えるのではないでしょうか、とりあえず今のところ。 とまあそんなんことで、最期にベースのソロもフィーチャーされて、いかにもバラードらしい暗さを演出しておいて、でもって、テーマに戻って、おしまい。

 3曲目はラッド・ボスという人の書いた作品で、 「ルトゥリ」 というタイトルが付いております。何てローマ字仮名漢字変換しにくい名前を付けてくれたんや!…と思わずにはいられませんが、 「るちゅり」 とか 「るつぅり」 とか、どうしてもそんな入力になってしまうんですよね。本作の収録曲はメンバーの作品およびオランダで活躍するミュージシャンの作品を取り上げており…と、日本語ライナーにあるので、ラッド・ボスというのは恐らくオランダのジャズ界では、はつかねずみの親玉のような存在の人ではないかと思うんですが、そういえばオランダにはヤン・ボスというスピード・スケートの親玉がいたりするので、わりとポピュラーな苗字だったりするのかも知れませんね、ボス。 日本で親玉に相当する苗字となると “小山田(おやまだ)” ということになろうかと思いますが、一方、似たような名前でもこれが “小坂田(おさかだ)” となると、どうしても僕の場合、小坂田くわえたドラ猫♪…という歌が頭に浮かんでしまいます。 で、ボスくん、一体どんな曲を書いてくれたのかと思ったら、これはアレですか?もしかして、コルトレーンの 「インプレションズ」 のパクリですか?いや、似ているのは出だしの部分だけなので、 「インプレションズ」 にインスパイアされたというのが正解なのかも知れませんが、Dドリアン、Dドリアン、半音上がってEフラット、最期にもう一度Dドリアン…という単純極まりない原曲に比べると、こちらのほうがサビのメロディとか、断然凝った作りとなっております。で、スモール君はここで自らの演奏楽器としてトランペットをチョイスしているんですが、実にまあ、臨機応変というか、当意即妙というか、晴耕雨読というか、伊集院健というか。いや、最後から2つ目はあまり関係が無かったし、いちばん最後に至っては、ただの大人のオモチャやん!…という気がしないでもないんですが、オランダ系のミュージシャンということで、ま、ダッチつながりということで。 で、演奏のほうはAABBAA形式という、ややしつこい作りのテーマ部に続いてテナーのソロということになるんですが、曲調から受けるイメージとは違い、さほどモード奏法的ではなくて、わりとオーソドックスなハードバップ系の仕上がりになっております。続くスモールのトランペット・ソロはクールな感じがわりとマイルス・デイビスなんですが、やはりそれほどモードっぽくはなくて、例えて言うならジョニー・コールズですかね?滋養にいいジョニー。そんな雰囲気が漂ったりしているんですが、でもって、続くスリンガーのピアノ・ソロはクールで知的な、えーと、ドン・フリードマン風。 適当な思い付きでいくと、概ねそう感じになるんですが、その後、ジャック・スコールスのベース・ソロが出てきて、またかい!…という気分になってしまいます。僕たち5人とも輝くダイヤモンドなんだ。…と言いたい気持ちはわからんでもないんですが、ベースなんてのは元来、鉱物でいうとランタン弘三石レベルの地味な存在ですからね。よほど鉱物が好物という人でもなければ気にも留めないような存在なので、あまり大っぴらにフィーチャーするというのは、どうか?…という気がしないでもないんですが、ま、これも精神修養の一環だと思えば、それなりに諦めもつくんですけど。 とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。

 4曲目はシーズ・スモールのオリジナル、 「ライニング・アップ」 。ライニングというのはアレですよね。内面ライニング鋼管などという鋼管があって、なかなか好感度の高いものいだったりするんですが、ライニング・アップで更に好感度もアップ。いいことだと思います。で、曲のほうはというと、これまたなかなか好感の持てる、素直な旋律を持った佳曲に仕上がっているんですが、これがパクリでなければこのスモールくん、作曲の才能もかなり秀でていると言わざるを得ません。ハード・バピッシュという表現がしっくりくる作風でありまして、テナー、トランペット、ピアノとリレーされるソロも各自が持ち味を十二分に発揮しております。そのあと、またしてもベースのソロが出てくるところがちょっとネックなんですが、最後は tp→ds→ts→ds の8バースできっちり締めて、でもって、テーマに戻って、おしまい。いや、いい演奏でしたな。書くことはほとんど無かったんですけど。 で、5曲目はラッド・ボスのオリジナル、 「ニュー・ボーン」 。個人的にはニュー・ボーンよりも “乳ボーン綱引き” のほうがいいかな?…という気がするんですが、新しく生まれるというのも目出度いことだとは思います。 で、これ、ちょっぴり寂しげなムードがあったりして、日本人としてはたまらない作品に仕上がっているんですが、いや、なかなかやってくれますな、オランダ人も。僕たちの世代は子供の頃、KLMオランダ航空に憧れを抱いていたものでありますが、そういえば山下洋輔のエッセイか何かに、海老は死んでもフリューゲルホーンの私はオランダの空に否定的だった。…という一文がありましたな。アルファベットの “ABCDEFGHIJKLMNO” を日本語に訳したものなんですが、 “KLM” の部分が “オランダの空” ということになります。フリューゲルホーンの略称は (flh) なんですが、 (fgh) と書けなくもなくて、で、ここでのシーズ・スモールはフリューゲルを吹いておりまして、それがまた、なかなかいい雰囲気を醸し出しているんですよね。アムステルダムの夕暮れに独り佇む、グレた子供はエル・グレコ。…って感じ? 哀愁味を帯びたテーマに続いて、スモールがアート・ファーマーっぽい芸術的な農民風のソロを聞かせ、以下、テナー、ピアノとソロが続いて、でもって、テーマに戻って、おしまい。いや、いい演奏でしたな。相変わらず書くことはほとんど無かったんですが、ベースのソロが出てこないところが、特によかったと思います。

 アルバムの最後を飾るのはスモールのオリジナル、 「モノシル」 。わりと物識りなほうだと自負している僕も 「モノシル」 の意味はよく分からなかったんですが、物凄い汁物。あるいは、そういうものだったりするのかも知れません。曲そのものはわりと単純なリフ物でありまして、これまでの5曲と比べると、ややインパクトが弱いんですが、齢(よわい)八十にして卑猥。そういうパワーが感じられるところは、ま、いいのではなかろうかと。 ソロ先発はシーズ・スモールの、これはえーと、フリューゲルですかね?もしかしたら普通にトランペットだったりするのかも知れませんが、フレージングなんかは前曲同様、アート・ファーマーに近いような気がしないでもありません。確かにアト・ファマという人は、わりと白人系にウケのよさそうなスタイルの持ち主だったりしますからね。アト・ファマの後釜にこのオランダ人を据えるというのも、なかなかいい考えかも知れませんが、以下、テナーとピアノのソロが続いて、最後はベースとドラムスの絡みでビシっと締めて、でもって、テーマに戻って、おしまい。 ということで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 ヨーロッパ人というのはすべて欧州人であると僕は思い込んでいたんですが、いや、それは普通に正しかったりするんですが、ヨーロッパ人のやるジャズはすべて、偏屈である。…という僕の勝手な思い込みをいい方向に裏切ってくれた、そんな素敵なダイヤモンドな5人組でありました。やるな、欧州人。 ちなみに僕は “欧州人” と漢字で書いてあるのを目にした場合は、それが普通にヨーロッパ人であることを理解出来るんですが、ラジオで “おうしゅう” という言葉を聞くと、どうしてもオーストラリア人が頭に浮かんでしまいます。オーストラリアは豪州なんですが、 「おー」 の部分が被っているので、どうにも紛らわしいです。オーストラリアは “おう州” 、ヨーロッパは “よう州” という事にしたほうが、よっぽど分かりやすくていいと思います。 とまあそれはそうと、このオランダの5人組はどうやら50年代の黒人系ハードバップに憧れを抱いているようで、アメリカの白人よりもよっぽど黒っぽいスタイルで演奏していて、秀逸です。 でまた、パクリ疑惑を差し置いても、ここで演奏されている楽曲はどれもすべて優れたものとなっておりまして、ベースのソロが前に出て来過ぎる点にだけ目をつむれば、かなりポイントの高い1枚であると評価してよいのではないでしょうか。これ、お薦めっす♪


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