BUMPIN’ (VERVE)

WES MONTGOMERY (1965/5/18)

BUMPIN'


【パーソネル】

WES MONTGOMERY (g) ROGER KELLAWAY (p) BOB CRANSHAW (b)
HELCIO MILITO or GRADY TATE (ds) with strings
DON SEBESKY (arr,cond)
【収録曲】

(01-03) BUMPIN' / TEAR IT DOWN / A QUIET THING
(04-06) CON ALMA / THE SHADOW OF YOUR SMILE / MI COSA
(07-08) HERE'S THAT RAINY DAY / MUSTY

【解説】 (2008年2月17日更新)

 イチゴ狩りに行ってきました。僕がイチゴを狩るのはこれで2回目という事になるんですが、今回はですね、静岡の石垣イチゴです。 前回のイチゴ狩り と今回のイチゴ狩りとではいくつかの相違点があったんですが、その最たるものは石垣イチゴの場合、イチゴが石垣に生っているところにあったように思います。石垣イチゴというのは石垣クンが考え出したイチゴの栽培方法ではなくて、石垣でイチゴを栽培するものだったのか!…ということが判明して、目から鱗が落ちた思いでありますが、ちなみに静岡の久能山のあたりで石垣イチゴの栽培を本格的に始めたのは石垣半助という人らしいんですけど。 このサイト にそのあたりの事情が詳しく書かれているんですが、ただ “石垣半助” でググってみても他には1件もヒットしなかったりするので、かなり怪しいような気がしないでもありません。半助クンの件に関しては話半分に聞いて、石垣1/4助くらいに思っておいたほうがいいかも知れませんが、名古屋に大雪が降った2月9日の翌日、伊勢湾岸道や東名阪、更には名古屋高速などが通行止めになっていたので仕方なく、僕は新幹線に乗って静岡県に向かったのでありました。 静岡駅で東海道線に乗り換えて清水まで行って、そこからバスに乗って “忠霊塔” というところで降りました。イチゴ狩り農園の最寄のバス停としては、ネーミングのセンスにちょっと問題があるのではないか?…という気がしないでもないんですが、今回の目的地、 ヤマロク までは、ここから徒歩で約500mということです。 もうひとつの “増東(ぞうひがし)” というバス停からなら徒歩で約200mとのことなんですが、忠霊塔が増東になったところで、ネーミングのお洒落度が大きくアップするようにも思えないし、バスの便数も1時間に1本程度ということなので、今回は静鉄バスの港南線のほうを利用することにしました。正確には “港南厚生病院線” という名前で、 清水駅西口バスターミナル の4番乗り場から乗り込むことになります。

 忠霊塔から歩き始めてすぐ、もしかしてこの企画、ちょっと失敗だったかも?…という気がしてきたんですが、ヤマロクまで思ったよりもかなり距離があるんですよね。バスを降りてとりあえず海のほうに向かい、国道150号線に入って久能山を目指すことになるんですが、この国道の部分にはちゃんとした歩道がなくて、ちょっぴりデンジャラスです。 付き合い始めてまだ日が浅く、お互いに手探り状態で、今回のイチゴ狩りデイトで親密度をぐんとアップさせちゃおうかな?…という野望を心に秘めたカップルとかを想定した場合、(作戦1) 「ヤマロクまで歩いていく途中、さりげなく手をつないでみる。」 というのは諦めなければなりません。やってやれないことはないんですが、車道側を歩いているほうがクルマに轢かれる恐れがあります。 ま、国道に入ったところで左手側に海が見えてくるので、(作戦2) 「海を眺めてロマンチックな気分に浸る。」 というのは大丈夫なんですが、ただ、海岸沿いにはずらっとテトラポットが並べられていて、思ったほどロマンチックな気分に浸れないところが難点ではあるんですけど。国道より更に海沿いにもう1本道があったような気もするので、道路横断時にクルマに轢かれるというリスクを冒してでも、そちらに行ってみるという手はあるかもしれません。ある程度のリスクは覚悟しておかないと、それなりの成果は得られないものですからね。 とまあそんなことで、何とかヤマロクに到着することになるんですが、いくつものイチゴ狩り農園が軒を連ねるこのエリアで僕がここを選んだのは、時間無制限&お弁当やジュースの持ち込み自由♪…という、フリーダムな経営方針に共感を覚えたからに他なりません。 が、現地に到着してみると、すぐ手前に “丸増” というかなり規模の大きなイチゴ狩り屋さんがあって、そちらには直売所なんかもあって、かなり賑わっておりました。 対する我がヤマロクはというと、崖の中腹あたりに小さな小屋のようなものが見えるだけで、 “丸増” の片隅で、お情けで営業をさせて貰っているような…。付き合い始めてまだ日が浅く、お互いに手探り状態で、今回のイチゴ狩りデイトで親密度をぐんとアップさせちゃおうかな?…という野望を心に秘めたカップルとかを想定した場合、 「えー、あっちなのぉ?」 とか言われて、気まずい雰囲気に陥るという事態も考えられます。

見た目にやや不安を感じさせないでもないヤマロク(手前は丸増の駐車場)♪ 閉塞感&灼熱のダブル地獄状態のハウス内♪

 しかし石垣イチゴというのはアレですな。本当に急な斜面に石垣を組んでイチゴを栽培しているんですな。上のほうのハウスだと、そこに辿り着くまでにかなりの苦役を強いられることになるんですが、もし彼女がちょっぴりオシャレ心を出してハイヒールを履いてきていたりすると、この時点でもかなり不興を買うことになるに違いありません。そしてまた、崖みたいなところに設置されている関係なのか、ビニールハウスがえらく小振りなんですよね。閉塞感がある上に内部に熱気がこもって、暑いなんてもんじゃねえ!…と、思わず文句を言いたくなるほど、クソ暑いです。ほとんどサウナ状態ですな、こりゃ。 前に行ったところはかなり大きなハウスで、まだ4月だというのに中はかなりクソ暑くて、イチゴ狩りというのも思ったほど楽なものではないな。…という感想を持った次第なんですが、今回はまだ2月だというのにその不快感は前回比300%強って感じ? もし彼女がちょっぴりオシャレ心を出してちょっぴり濃い目の化粧をしてきていたりすると、かなり悲惨な状況になるに違いありませんが、時間無制限と言われても、こんなことろは一刻も早く退散したいところであります。とまあ、ここまで文句ばかりを書き連ねて、かなり不満だったのかと言うと別にそういうわけではなくて、石垣イチゴの場合、ブロックの護岸のようなところにイチゴが生っているので、あまり腰をかがめずに採ることが出来るのはいいですよね。もし彼女がちょっぴりオシャレ心を出してかなり短めのスカートを穿いてきていた場合、パンツが見えるかもと思って期待していたら、全然やん!…というので、彼氏にとってはちょっぴり不満なシチュエーションだったりするかも知れませんが、そういう場合、 「ほら、この一番下のところにめっちゃ赤くて大きなイチゴが成ってるで!」 とか、なるべく意識を下に下にと誘導してあげるといいかも知れません。 で、このヤマロクで特筆すべきなのは、休憩用の大きなビニールハウスが用意されていることなんですが、こちらのほうは暑さ加減もそれほどではないし、中には電線を巻くドラムを流用したテーブルや、ちょっとしたブランコのようなものもあって、摘んできたイチゴや持ち込んだお弁当などを食べるには、まことに便利です。あらかじめ注文しておけば550円で “やまろく特製 『まごころ弁当』 ” というのも用意してくれるようで、僕は頼まなかったんですが、隣にいた家族連れのオッサンが 「ここの弁当って、けっこうアリやよね。」 と言っていたので、それなりにまごころの感じられる弁当だったんでしょう。 ちなみに僕は清水駅前の西友で、こんな弁当(↓)を買って持ち込むことにしたんですが、やっぱりイチゴ狩りのお弁当と言えば、サバだよねっ♪

ミニ御膳(サバ)♪

 そして僕はもうひとつ、とっておきの秘密兵器を持ち込むことにしたんですが、それは何かというと 前回のこのコーナー で紹介したチョコフォンデュセットなんですけどね。事前に、休憩用ハウス内での火気使用OK!…という許可を得ていたので、ま、火気使用OKと言っても、火炎放射器の使用とかはたぶん駄目なんだと思うんですが、 “ベンリやネン” 程度のものであれば、どんどん燃やしちゃっても構わないようです。 チョコレートと種にする食材は予め用意しておいて、生クリームと牛乳はサバ弁と一緒に西友で買いました。ハムカツも買いました。チョコフォンデュの種としては焼イモが、もんご、うまい。甘栗もうまい。ハムカツもいける。…という情報が得られているので、この3種は押さえておくことにしたんですが、事前の試しフォンデュの結果、チョコはブラックよりもミルクチョコのほうがいいという事も判明しております。今回はホワイトチョコも用意していたんですが、まずはそのホワイトで試してみますかね? “ベンリやネン” に火をつけて、フォンデュ鍋に生クリームを投入。続いて牛乳も投入。牛乳の替わりに豆乳を投入するというのはどうか?…と、今、ふと思ったりもしたんですが、ついでに “にがり” も入れてやれば豆腐フォンデュという新しいジャンルの料理が確立するかも知れません。 が、先週の時点ではそういうナイスなアイデアが思い浮かばなかったので、普通に牛乳を投入することにして、チョコが180gということなので、生クリームと牛乳はそれぞれ200ccパックのやつを半分ずつでいいですかね? 液体成分が温まったところでホワイトチョコを投入してそいつを融かしてやれば、やがて、とっても美味しそうな・・・

とっても美味しそうなポタージュスープ♪

 コーンポタージュスープの出来上がり♪…って、いやこれは絶望的なくらいトロみが足りませんな。僕の初チョコフォンデュは牛乳を入れ過ぎたのが原因で大失敗に終わってしまったんですが、その教訓が今回もまったく活かされてなくて、そんな自分がちょっぴり可愛いな♪…と思ったりもしたんですが、分量的には決して間違ってしないような気もするんですが何がいけなかったんでしょうね? 180gだと思っていたチョコが実は18gしかなかったとか、200ccのパックだと思っていた生クリームや牛乳が実は2リットル入りだったとか、そういうちょっとしたケアレスミスがあったのかも知れませんが、 あるいはホワイトチョコを使う場合は分量を変えなければならないという可能性もありますよね。 とにかくまあ、僕の心の中で “白いチョコフォンデュ” は無かったことにして、慌てて普通のチョコレートも追加することにしたんですが、コーヒー豆みたいな形をした粒状のチョコを投入してみたところ、これが何だかぜんぜん融けてくれなくて、ダマダマになって、なんだかとっても妖しい得体の知れない粘液状の物質が出来上がりましたー♪

さらに妖しくなった♪

 慌てて普通のブロック状のチョコも追加して、それでようやく人並みのチョコフォンデュっぽい感じになったんですが、では早速、採れたてピチピチの真っ赤なイチゴを浸して食べてみようではありませんかぁ。イチゴはハウス内で十分に熱せられてホカホカになっているので、なかば自棄気味で熱いチョコレート汁に浸すというのは、やさぐれ感という点ではかなりポイントが高かったりするんですが、そんなことして美味しいのか?…と言われると正直なところ、かなり微妙ではあったりします。結論から言うと、採れたてピチピチのイチゴは氷で冷やしてそのまま食べるのがいちばん美味しい♪…ということになるんですが、それを書いてしまうとこの原稿はここで終わってしまいます。何とか盛り上げなければならないんですが、チョコフォンデュ、とっても甘くって、おいしいね♪楽しいね♪るんるんるん♪ たとえイチゴが普通だったとしても、僕にはまだ “焼イモ” があります。 “甘栗むいちゃいました” だってあります。ちなみに焼イモのほうは普通のイモを焼いたものではなく、利便性を考えてこんなの(↓)を用意したんですが・・・

見た目が可愛い焼イモ♪

 おおっ、可愛いっ♪見た目が、もんご、可愛いっ♪ が、お味のほうは期待度が大きかったせいか、思ったよりも普通でした。これならまだ紋甲イカのほうが、もんご、うまいような気がします。ギャルとおっさんの味覚の違いなのか、はたまた、焼き芋のコゲた感じの香ばしい味が云々…ということなのに、焦げてない “ちっちゃな焼きいも” を使ったのが悪かったのか。ちなみにカモ井食品の名誉の為に一言付け加えておくと、このプチサイズの焼イモはチョコに浸さずそのまま普通に食べると、けっこう美味しいものだったりするんですけど。 もうひとつのギャルお薦め素材 “甘栗” のほうは、ごく普通に美味しかったです。チョコバナナも作ってみました。

見た目が可愛い焼イモ♪

 一応、それらしくトッピングも施してみたんですが、僕が頭の中に描いていたものとはまったく似て非なるものが出来てしまいました。何か根源的なところで製造方法を間違っているとしか思えません。 味のほうはそれほどマズくはないんですが、バナナの持つネッチョリとした食感にチョコレートが下品な感じにグッチャリと絡んで、非常に爽やかさに欠ける食品であると言わざるを得ません。なまじチョコレートの味がしたりするところも、屋台のチョコバナナに比べて潔さが不足しているようにも思われます。 亀田の “ハイハイン” は思ったとおり “白い風船” みたいになって、非常に美味でした。もともと赤ちゃん向けのお菓子で、ほとんど味が付いてないところがよかったのかも知れません。 個人的に期待度の高かったブルボン・プチシリーズの “きなこウエハース” は、きな粉とチョコとが今ひとつ互いを許しあっていないような感じがあって、思ったほどの感動は得られませんでした。2個のウエハースでチョコを挟んでその上に甘栗をのせて、上からチョコを垂らしてトッピングを施してみたら何だかプチケーキみたいになって、可愛かったんですけどね。お味のほうもぐんとよくなったような気がするんですが、ウエハースを2個にした分、チョコのほうが負けて、普通のきなこウエハースの味に近くなっただけのような気もするんですけど。

きなこウエハースの甘栗のせ♪ 絶品チョコ・ハムカツ♪

 意外と美味しかったのがお菓子系では “おにぎりせんべい” 、おかず系では “ハムカツ” でありました。いや、ハムカツのほうは意外とイケるという情報があったので、わざわざ購入したわけなんですが、実際に食べてみるまでは半信半疑というか、1/5信4/5疑くらいだったんですよね。そんなん、うまい筈がないやん!…と思わずには入れれなかったんですが、コロモの油っぽさがチョコの甘さと何だか妙にマッチして、めっちゃ美味ちい♪ 焼イモで失われかけたギャル記事への信頼感がすっかり回復した次第でありますが、えーと、続いてはこんなのもチョコ浸しにして食ってみますかね?

可愛いチョコ団子♪

 可愛いっ♪見た目がめっちゃ可愛いっ♪ まさかこの中身が “肉団子” であろうとは、ちょっと想像出来ないようなキュートさなんですが、これ、味のほうもけっこうイケます。何と言うか、口に入れた瞬間はチョコの味しかしなくて、噛むと今度は肉団子の味しかしなくなるので、それなら最初から別々に食べたほうがいいような気もするんですが、いや、 “ミニ御膳(サバ)” のおかずの中に肉団子も入っててくれて、よかった♪…と、しみじみ思ってしまった次第でありますが、とまあそんなことで、続いてはこれ。

ミニ御膳のメインデイッシュ♪

 その名もお洒落な “チョコサバ”♪ 違う意味での期待度全開だったこの食材、見た目的にはちょっぴり “サバの味噌煮” みたいで、意外と悪くありません。もしかして、イケるかも?…と思いつつ口の中に入れると・・・。 

 その後、余ったバナナなどをフォンデュして食べたんですが、鍋の中に脱落したサバの皮が付着して、何もかもが台無しになってしまったことをご報告しておいて、今日のところはおしまい。

 ということで今日はウエス・モンゴメリーなんですが、いやあ、気持ち悪かったですな、チョコサバ。  口の中に入れた瞬間、ウエッ!…となってしまったんですが、サバというのがあれほどまで生臭いサカナであるという事が判明したのは、ある種の感動でありましたな。 で、家に帰ってからふと思ったんですが、チョコレートを生クリームや牛乳に入れて融かすのではなく、普通に湯煎で融かしたほうが美味しいんじゃないですかね? そこで僕はミスタートンカチ江場店で金属製のプリン容器を買ってきて、水を入れたフォンデュ鍋に浮かべて、その中でチョコを融かしてみることにしたんですが、箸でチョコを底に押し付けるようにしてやると、なかなかいい感じにドロドロになってくれました。

チョコ融解前♪ チョコ融解後♪

 そいつをスプーンですくってクラッカーやおにぎりぜんべい、ハイハインなどに塗って、上からアーモンドダイスなどを振りかけてみたんですが、いや、なかなかソレっぽい感じのお菓子が出来上がりましたな。プリン容器の中に残ったチョコの始末に困って、とりあえずクラッカーを細かく割って投入して、アーモンドダイスも振りかけて、ぐるぐる回した食品も作ってみたんですが、コイツらがもう圧倒的に美味しいんですよね、これがまた。

チョコがけスナック♪

 サバの皮が混入してないこともあったんでしょうが、フォンデュするより数倍はイケてます。生クリームを混ぜたチョコは冷めてもなかなか固まらずにネチョっとするだけなんですが、湯煎で融かしたチョコは冷めるとパリパリになるところもグッド。 チョコバナナなんかはこうやって作るものだというのが判明したわけなんですが、プリン容器をいくつか用意しておけば、ホワイトチョコ、ミルクチョコ、ビターチョコと、色んな味を楽しむことも出来ますしね。あるいはチーズとか、カレーとか、味噌とかを入れてみてもいいかも知れませんが、味噌サバ、チーズサバ、カレーサバ、いずれもチョコサバよりマズくなることはないでしょう。 とまあそんなことでウエス・モンゴメリーなんですが、ウエスはリバーサイド時代に限る!…と言うのがコアなジャズ・ファンの間では常識となっております。ヴァーブ時代の彼は商業主義に走って堕落したというのが大方の見方だったりするんですが、僕もそう思います。そんなわけでとりあえずリバーサイド時代の作品をいくつか聴きなおしてみたんですが、意外とオルガン入りのトリオ編成のものが多かったりするんですよね。それはそれでシンプルで悪くないとは思うんですが、何となくインパクトに欠けるというのも事実でありまして、帯に短し、たすきに長し。仕方がないのでフンドシにしたら、はみ出たやん!…みたいな。こうなったらもう、ヴァーブでもいいかという捨て鉢な気分になったりもするんですが、そんなことでこの 『バンピン』 というのを何気なく聴いてみたら、意外と悪くなかったりしたので、今回取り上げてみようと思った次第であります。何事も食わず嫌いというのはよくありません。試してみてゲロまずかったりしたら、2度とやらなければいいだけの話です。すいません。チョコフォンデュのサバは、もう2度としません。 で、これ、いわゆる “ウィズ・ストリングス” と呼ばれるタイプの作品で、イージーリスニング路線、ばりばり全開!…といった感じなんですが、ま、もともとギターというのは弦楽器なワケですからね。ストリングスがおまけに付いてきたとしても別に不思議ではないんですが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることにしましょう。

 まずはタイトル曲の 「バンピン」 。 僕はお風呂上りに飲むものとしては “パンピー” が最強なのではないかと思っているんですが、 「バンピン」 というのは何なんですかね? “伴宙太ピンサロ” の略?…とか思って調べてみたら、「突き当たります。」 どうやらそういう意味らしいんですけどね。クルマのバンパーなんかもここから来ているようなんですが、ウエスのオリジナルなんですな、こりゃ。 本多俊夫クンの書いた日本語ライナーによると、ロウ・ダウンな感じを湛えたFマイナーのジャズ・ワルツなんだそうですが、なるほど。言われてみれば確かにそうですね。Fマイナーなのかどうかはよく分からなくて、ワルツというのもちょっと違うような気がしないでもないんですが、ロウ・ダウンな感じを湛えていることだけは、ほぼ間違いありません。ロジャー・ケラウェイの小粋なピアノにキャンディド・カメロのボンゴもしくはコンガがチャカポコと絡むイントロが何とも言えずいい感じで、続いてウエスが出てきてブルージーなテーマを奏で、やがてそこに優美なストリングスが被さってくると、心の底からチョコフォンデュな気分になっちゃいます。悪くないですなぁ、弦楽器。 「裸足のゲン」 と同じくらい悪くないと思います。ウエスのプレイはアドリブ・パートに入るとオクターブ・ソロっぽくなって、大いに盛り上がることになるんですが、弦楽器のオーケストラをバックにこれだけ自由気ままに楽器を鳴らすことが出来れば、さぞや気持ちよかったりするんでしょうな。ウィズ・ストリングスというのはジャズマンにとっては憧れあこがれのシチュエーションであるらしく、一度経験すると病みつきになっちゃうそうですが、僕も一度、ストリングスとの共演は無理だとしても、バイオリンの独奏をバックに 「日進小学校校歌」 とかを歌ってみたいような気がします。どうせなら寺井尚子みたいなギャルが弾いてくれるといいですよね。 個人的には途中、ピアノのソロなんかも聴きたかったところなんですが、演奏はずっとウエスをフィーチャーする形で進められて、終盤はそこに弦楽器のアンサンブルが絡んで大いに盛り上がったところで、テーマに戻って、おしまい。軽くて豪華な、超高級なチョコレートをコーティングした軽石。…といった感じの1曲なのでありました。

 続く 「ティア・イット・ダウン」 もウエスのオリジナルでありまして、タイトルにある “tear” は本多クンの解説によると涙ではなく、心を苦しめる − “tear down” で、破滅するの意味であろうとのことです。突然自分の指が動かなくなったら、怪我をしてしまったら・・・このような事を考えるとギター奏者としては心が苦しくなる。でもこのように今は立派に指は動いているのだ、とそのような気持ちで書かれたオリジナルなんだそうですが、確かに怪我をしたりすると何かと大変だったりしますからね。幸い僕はギター奏者ではないし、カニの類がさほど好きではないので、もし怪我によって毛ガニを食べられなくなったらどうしよう?…とか、そういう心配はあまりしたことが無いんですが、ここでのウエスも指は非常によく動いているようで、何よりだと思います。このアルバムでは唯一、ストリングス抜きのコンボによる演奏となっているんですが、曲そのものは16小節×2回というシンプルな作りだったりします。僕は田作りというのがあまり好きではなかったりするので、田作りみたいな作りの曲でなければ別にいいかなという気がするんですが、単純なだけにアドリブの出発点としては最適でありまして、ここでのウエスのソロはまさしく、ノリにノッたノリピー状態と言えるでしょう。キティちゃんと組んで “ハローキティ・ピーピーリコリノ” とか出してたみたいなんですが、そんな下痢っぽいキャラ、ちゃんと売れたんですかね?…と、酒井法子の身の上を案じてみたくもなってしまいますが、個人的にはフェイドアウトで終わるのではなくて、きっちり後テーマまでやって欲しかったような気がしないでもありません。 ということで、次。 「ア・クワイエット・シングス」 。  「ア・静かなもの」 というタイトル通り、静かな感じのバラードでありまして、クワイエットなんですが、 “くわい” のようなエグミがあるわけではなく、その分、淡泊過ぎてちょっと物足りないような感が無きにしもあらず。 ま、ウィズ・ストリングスに野趣を期待するのが間違っているのかも知れませんが、 「クワイ河マーチ」 のような軽快さもなく、かと言って桑江知子というわけでもなくて、ただひたすらクワイエットです。ま、ここは大人しく美しいメロディに身を委ねることに徹したほうが賢明かも知れません。

 で、続いてはディジー・ガレスピーの 「コン・アルマ」 なんですが、いや、これはいいですな。僕はこの曲が手放しで好きなので、クルマの運転中でもこの曲が始まると思わずハンドルから手を離してしまってちょっぴり危険だったりするんですが、手鼻をかんだりする時も手放し運転になることがありますし。ま、道路が曲がってさえいなければさほど大きな問題ではないんですが、道路というのは真っ直ぐに見えていても微妙にカーブしている場合が多いので、今後、手鼻をかむのはなるべく信号待ちの時間とかだけにしようと思います。そもそもどうしてこの曲が手放しで好きなのかと言うと、ラテンのリズムで思わず心がウキウキと浮き立ったりするからなんですが、このウエスのヴァージョンの場合、キャンディド・カメロが非常に有効です。よく効いてます。ギターとラテンとの相性もよくて、ウエスのアドリブはシングル・トーンで始まって、2コーラス目からはオクターブ・ソロになるという、非常に分かりやすい構成となっております。バックのストリングスも控えめで、彼の創造性を阻害してないところがいいと思うわけなんですが、バックであまり派手にやられると、けっこう気が散ったりしますからね。3分21秒と、決して長い演奏ではないんですが、チョコフォンデュの終盤のように中身のほうはかなり煮詰まった感じになっていると言えるでしょう。 続いては 「ザ・シャドウ・オブ・ユア・スマイル」 と、これまた僕の好きな曲が続くことになるんですが、日本ではもっぱら 「いそしぎ」 というタイトルで知られております。 いいですよね、 「いそしぎ」 。僕はこれがピロシキと同じくらい好きです。葬式よりも好きです。悲しかったり、辛かったりもしくは、ただひたすら暇だったりするだけで、ちっとも楽しくないですからね、葬式。 まだ燃料コシ器とかのほうが燃料に含まれるゴミとかを取り除いてくれる分、有益だったりするんですが、で、 「いそしぎ」 の場合、やはり惹かれるポイントはラテンのリズムにあると言えるでしょう。ちなみにこのウエスのバージョンは今から20年ほど前、僕がまだほとんどジャズに素人だった頃に聴いたことがあったような気がします。スタンダード曲をヴァーブの音源から集めたコンピ盤にバド・パウエルの 「二人でお茶を」 なんかと一緒に収録さてれいたのではなかったろうかと。一口にジャズと言っても聴きやすいものからワケのかわらんものまで、いろんなタイプがあるのだな。…という感想を持ったものでありますが、その聴きやすいほうの最右翼に位置していたのがこの 「ザ・シャドウ・オブ・ユア・スマイル」 でありました。今、改めて聴き直してみると、ほとんどアドリブらしいパートがなくて、原曲のメロディを軽くフェイクしている程度だったりするので、素人の耳には心地よかったんでしょう。既にジャズに対する純真さを失ってしまった今となっては、かなり物足りなく思えたりもするわけなんですが、こうして人はオトナになっていくんですなぁ。

 で、次。ウエスのオリジナルで、 「ミ・コサ」 。神社で働いているギャル系の職員?…って、それは巫女さん。コスプレで巫女の衣装というのはかなりソソらられるものがあるんですが、 「巫女みこナース・愛のテーマ」 とかもいいですよね。この手の歌としては 「さくらんぼキッス〜爆発だも〜ん〜」 と並ぶ名作だと思うんですが、いいですよね、さくらんぼキッス♪ いちごキッスとかもいいと思うんですが、サバキッスは生臭そうで駄目だと思います。 で、このウエスの作品は日本語ライナーに、大層内省的な一曲であると書かれている通り、 「巫女みこナース」 なんかと比べるとあまりにも好対照な、暗い暗ぁ〜い世界が展開されることになるんですが、タイコとかボンゴとかコンガといった下劣な打楽器を排除して、ギターとその他の弦楽器の純粋な絡みという形になっているので、一種独特の鬱陶しいような陰鬱さを満喫することが出来るのではなかろうかと。 ということで、次。ジミー・ヴァン・ヒューゼン昨の名スタンダード、 「ヒアズ・ザット・レイニー・デイ」 。 僕はこの暗い曲がかなり好きだったりするんですが、2曲続けて陰々滅々とバラードをやられると、さすがにちょっと精神に堪えるものがありますな。…とか思っていたら、ミディアム・テンポのボサノヴァっぽいアレンジが施されていたので、ほっと救われる思いがしました。こういう持って行き方もあったんですな。…と、目から鱗がおちた思いでありますが、サバの鱗はフォンデュ鍋の中に落とすと後が大変なので注意が必要です。

 ということで、次。 アルバムの最後を飾るには 「マスティ」 という曲でありますか。エロール・ガーナの 「ミスティ」 ではなくて、 「マスティ」 。  マスっていい?…と聞かれても、サカナがあまり好きではなくて日本酒も飲まない僕としては、鱒も、升も、増田明美もちょっとなぁ。…と思ってしまうんですが、ま、ウザくない分だけ松野明美よりはぜんぜんマシだったりするんですけどね、増田明美。 え、この 「マスティ」 というのはアレです。このアルバムでアレンジやコンダクターを担当しているドン・セベスキーの作品なんですな。セベスキーというのはただの煎餅好きのオッサンだとばかり思っていたら、これが意外といい曲だったので、ちょっとだけ見直したりもしたんですが、ちょっとだけディジー・ガレスピーの 「バークス・ワークス」 に似ていたりもするんですけどね。ストリングスをバックにウエスがテーマを演奏した後、そのままアドリブ・パートに入って、でもって、再びテーマに戻って、おしまい。…というパターンなのかと思ったら、ギター・ソロのあと、ロジャー・ケラウェイのピアノ・ソロがフィーチャーされていたのは思わぬ儲け物でありましたが、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 ということで、今日のところは以上です。


【総合評価】 いかにもイージー・リスニングな仕上がりでリスニングするのがとってもイージーなので、耳あたりのよさで思わず選んでしまった1枚なんですが、冷静になって考えてみると、かなり軽い作品であるということは否めません。 でもまあ、物事をあまり難しく考え過ぎず、簡単に考えておくならたまにはこういうのもアリかな?…という気がしないでもなくて、1曲目、2曲目、それと最後の8曲目あたりはウエスのソロもそれなりに聴けて、ジャズ的なスリルがまったく感じられないワケでもないですしね。 中盤は 「コン・アルマ」「いそしぎ」 といった曲のよさだけで楽しめるし、ま、極上のBGMだと思っておけば、適度にまったりとした時間を過ごすことが出来るのではなかろうかと、そういう気がまったくしないわけでもありません。


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