PERFORMING CHARLIE PARKER MUSIC (CHARLIE PARKER)

CECIL PAYNE (1961/3)

PERFORMING CHARLIE PARKER MUSIC


【パーソネル】

CLARK TERRY (tp) CECIL PAYNE (bs) DUKE JORDAN (p)
RON CARTER (b) CHARLIE PERSIP (ds)

【収録曲】

COOL BLUES / SHAWNUFF / RELAXIN' AT CAMARILLO / BONGO BOP
THE HYMN / COMMUNION / BONGO BEEP

【解説】 (2007年05月06日更新)

 この原稿が更新される頃は、今年の大型連休もすっかり終わっちまったな。…というので、ブルーな気分になっている人が少なくないと思われますが、みんな、今年の連休はどのように過ごしたかな? この連休はスーパーに電球を買いにいっただけやったな。…とか、そういう寂しい人もいるかも知れませんが、ということで今日は “連休と電球” というテーマでお届けしたいと思いません。 とてもそんなネタで1回分の原稿が賄えるとは思えないので、それはヤメにしておきますが、ということで今日は “連休と練乳” というテーマでお届けしようと思います。 いいですよね、練乳。とっても甘くて美味しいです。 が、世の中、練乳ネタだけで1回分の原稿が賄えるほど甘くはないと思うし、それに “連休と練乳” というのは今ひとつ語呂がよくないような気がするんですが、同じ韻を踏むにしても押韻と脚韻では、どちらかというと脚韻のほうがインパクトがありますからね。 そこで今回は興味の対象を少し広げて、 “練乳と貧乳” というのでいってみようか?…と思っているんですが、いや、いつの間にか “連休” のほうはどこかに消えてしまっているんですけど。 そもそも “連休” と “練乳” というのは何のつながりもないものなので、この2つを切り離してもまったく問題はないんですが、敢えて共通点をあげるとすれば、この連休中にイチゴ狩りにいって、イチゴたんに練乳をかけて食べた人がいるかも知れないね。…ということくらいですかね? イチゴ狩りというのは1月頃から始まって、この5月の連休で終わりというところが多いようですが、いいですよね、イチゴ狩り。とっても楽しいです。少なくともイナゴ狩りよりはいいよな?…と思うわけなんですが、いくら食べ放題とか言われても、そんなにたくさん食べれるものではないですからね、イナゴの佃煮。

 ちなみに僕はつい最近まで、いわゆる “○○狩り” というのを一度も体験したことがありませんでした。 中学生の頃は五分刈り、高校生の頃は刈り上げ、専門学校生の頃に虎刈りにされて、社会人になってからは給料を前借り。…と、 “刈り” や “借り” に関しては何度か経験があるんですが、イチゴ狩り、梨狩り、りんご狩り、みかん狩り、桃狩り、ぶどう狩りといった “果物系” 、タケノコ狩り、松茸狩りといった “おかず系” 、さらには親父狩り、メイド狩りといった “犯罪系” に至るまで、今まで狩りと呼ばれるものとはまったく無縁の生活を送っておりました。 そんなことではいけない!…と一念発起した僕は居酒屋でホッケの塩焼きを食べながら、狩りへの思いを駆り立てたわけでありますが、そんなことでまあ、行ってみました、イチゴ狩り。 いやあ、とっても楽しかったです。 とっても楽しかったので、また行ってみたいな♪…と思っているんですが、あまり書くことの無いイベントだったような気がします。 あまり書くことがないので、とりあえずイチゴたんについてもう少し詳しく掘り下げてみたいと思うんですが、イチゴというのはバラ科の多年草なんだそうですね。 イチゴがバラ科というのはちょっと意外な気がするんですが、イチゴのみならず、サクラ、ウメ、モモ、あんず、リンゴ、梨、ビワ、さらにはアーモンドと、食べておいしい果物や木の実の多くが実はバラ科だったりするんですよね。豚バラ肉というのもおいしいし、僕たちは食生活の上でバラにはずいぶんとお世話になっているという事になります。 大きな木に成長するものから、小さな草のままで終わってしまうものまで、同じバラの仲間にしては何だか形状がバラバラのような気がするんですが、咲くお花にしたところで、いかにもバラやなっ♪…といった感じのゴージャスなものから、桜のようなシンプルな5枚花びらのものまであって、実に様々ですよね。 で、イチゴちゃんには一体どんなお花が咲くのかと思ったら、どうやらこんなお花 (↓) が咲くようなんですが、

いちごたんのお花♪

 なるほど、イチゴだけに1つのお花に5枚の花びらがあるというワケなんですな。 ただ、僕がイチゴ狩りをしたハウスの中には花びら8枚タイプのものもあったりして、種類によって違うみたいなんですが、えーと、この時に僕が食べたのは “女峰 (にょほう) ” と “章姫 (あきひめ) ” だったみたいなんですけど。 どちらが花びら5枚だったのかは忘れましたが、イチゴの品種というのは如何にも乙女らしい、可愛い名前が付いているものが多いですね。 これがもし “女峰” ではなくて “男峰 (だんほう) ” だったり、 “章姫” でなくて “章おじさん (あきらおじさん) ” という名前だったりしたら、僕のイチゴに対する愛情は今の18分の1くらいまで低下することになると思うんですが、その他にも “紅ほっぺ” とか “やよいひめ” とか “あすかルビー” とか “ももいちご” なんてイチゴもあるみたいです。 僕はその名前を見ただけで、ハァハァハァ。…と、何だか思わずコーフンしてしまったんですが、ここで気を取り直してイチゴの歴史について簡単に触れてみると、野生のイチゴというのはヨーロッパやアジア一帯で石器時代の頃から食べられていたんだそうです。 いわゆる “野いちご” というヤツですな。 それが広く栽培されるようになったのは今から200年ほど前のことらしいんですが、日本には江戸時代の終わり頃にオランダ船によって運び込まれたようです。最初は食べるためではなくて、観賞用として輸入されたという話を聞いたことがありますが、確かにイチゴたんというのは見た目にもめっちゃ可愛いっ♪…ですもんねー。 で、食べるほうはもっぱら野イチゴで我慢していたようなんですが、ところで君は野生のイチゴというのを見たことがあるかな? イチゴというのはわりと身近な植物で、今でも郊外の草原 (くさはら) などに行くと野良イチゴの黄色い花が咲いていることがあって、しばらくするとちゃんとイチゴみたいな実がなったりしております。 ただ、それらは “ヘビイチゴ” とか “ヤブヘビイチゴ” と呼ばれていて、食べても別に毒ではないんだけど、美味くも何ともないんだそうで、やはりタダで甘くて美味しいイチゴが食べられるほど、世の中は甘くないわけですなぁ。 やはり甘くて美味しいイチゴを食べようと思ったら、ちゃんと美味しくなるように品種改良されたイチゴを栽培している農園に行って、1000円から1500円は出費しないと駄目みたいでありまして。

 1月はまだ寒くてイチゴの生育が遅いので、どうしても割高になってしまって1500円。 最盛期である2月から4月上旬にかけてが1200円で、それを過ぎると更に安くなって1000円。 長野あたりの涼しいところでは6月いっぱいまで営業しているところもあるんですが、5月の連休を過ぎると思いきりダンピングされて、時間無制限の食べ放題で、料金はたったの500円っ♪…というところもあったりします。 お値打ちにイチゴ狩りを楽しむには、これからの時期がいいかも知れませんなー。 ただ、安いということは、どこかに必ず問題があるわけで、例えば 「ビデオ安売り王」 とかでダンピング販売されている “すけべビデオ” というのは、たいてい中身のほうもショボかったりします。 ま、高くてショボいよりは、マシか。…と思って、自分を慰めるしかないわけなんですが、安いイチゴ狩りの場合はどういうことになるのかというと、4月を過ぎるとイチゴのサイズがだんだん小さくなっちゃうんだそうです。 味も多少は水っぽくなっちゃうみたいで、これがもし “すけべビデオ” であれば、ちょっとおミズっぽい感じのギャルが好きっ♪…という趣向の人がいないワケでもないので、一概に水っぽいのが悪いとは言えないんですが、イチゴの場合はやはりマイナスであると言えるでしょう。 それより何より、5月過ぎのイチゴ狩りって、めっちゃ暑いやんっ!…というのが最大の問題点だったりするんですが、ちなみに僕がイチゴ狩りを断行したのは、まだかろうじて1200円のレベルを保っている段階だったんですが、それでもかなりの暑さでしたからね。 やや肥満気味で極度の汗かきである僕は、額から流れ落ちる汗を拭うのに必死で、せっかくのイチゴたんがちょっぴり塩味になったりもしたんですが、4月の上旬の朝10時スタートにして、この有様です。 これがもし5〜6月のめっちゃ天気のいい14時とかだったりしたら、ハウスの中はサウナ地獄と化しているに違いなくて、これでは人間だけでなくイチゴのほうも茹ってしまって、食べても生ぬるくてぜんぜん美味しくないに違いありません。そんな苦痛を味わうために500円も出すくらいなら、僕だったら “うまい棒” を50本買いますなー。 お値段は多少高くても、イチゴ狩りというのはやはり、1200円くらいの時点で行っておいたほうが無難であると言えましょう。

 では、それだけの出費をして、果たしてそれで元が取れるのか?…というと、それは、はっきり言って無理でしょう。 いくら食べ放題と言われたところで、そんなに食べられるものではありませんからね。 ああん、イチゴたん、めっちゃ美味しいのぉ♪…と、純粋な気持ちで心の底から楽しめるのは、ま、30個が限度ではないですかね? それ以降、とにかく元を取るために半ばヤケ気味に詰め込んだとしても、ま、何とか40個といったところでしょうか。 甘いものだと、もしかしたら女の子のほうがたくさんイケちゃうかも知れなくて、50個くらいは大丈夫かも知れませんね。 …という、僕の自説を立証するため、試しに “いちご狩り 30個” というキーワードでググってみたところ、ヒット数は 536件でありました。片方のキーワードを “20個” に変えてみると今度は 553件、 “40個” で 1210件まで増えて、 “50個” だと 1780件。 おおっ、けっこう食ってるやんっ! が、50個でヒットしたサイトを見ると、 「50個って、多くないですかー?」 みたいな記述が目立ってくるので、やはり平均して30〜40個、多い人で50個というのが適当なところではなかろうかと。 しかし何ですな。イチゴ狩りに行くとどうしても、食べた数を数えたくなっちゃいますよねー。 とりあえず飽きるまで何にも考えずに食べて、もういいやぁ。…という気分になったところでやめる。 そういうスタンスで別にいいような気もするんですが、やはりどうしても損得勘定というのが絡んでくるので、なかなかそういうワケにもいかないんですよね。 で、30個をクリアして、まだいけるという人はとりあえず40個を目標として、それでもまだ余力があるようなら、今度は50個。…と、必ず10個単位でバーを上げていくことになります。 47個食べて、ま、いいやぁ。…という気分になる人がほとんどいないというのは、 “いちご狩り 47個” の検索結果がたったの 38件しかないことから、はっきり窺い知ることが出来ます。 ま、そこまでいけばあと3個、無理やりでも食べちゃうんでしょうな。 となると49個という人はもっと少なくなるに違いないんですが、22件のヒットのうち、明らかに食べたイチゴの数であると判断出来るものは、えーと、内藤香菜子ちゃんと、マリねえさんと、母様と、斉藤さんと、taitoさんの5人くらいですかー。 いや、いちご狩りではなくて、イチゴ狩りや苺狩りで49個食べた人はいないのか?…とか、そういう細かい話は置いといて。

 ちなみに僕の場合、途中で暑さにやられて汗を拭いたりしているうちに正確な数字が分からなくなってしまったんですが、30個まではカウントしていて、それから無理やり10個くらいは食べたような気がするので、ま、40個といったところでしょうか? で、いちご狩りでは絶えず食べた数をカウントすると同時に、常に頭の中では割り算が行なわれることになるんですが、えーと、1200円で40個食べたから、1個あたり30円かぁ。まあまあやなっ♪…みたいな。 47個でやめる人が少ないのは、1個あたりの単価を計算するのが面倒臭いというのもあるかも知れませんが、暗算がめっちゃ苦手な僕の場合は50個でもちょっと自信が無かったりしますからね。 40個でやめといてよかったと心の底から思ってしまいますが、もちろん、いちご狩りの価値というのは1個あたりの単価だけに換算出来るような単純なものではありません。 例えば先ほどちょっと登場したお花。 イチゴの果実を食べるだけならスーパーでパックのやつを買ってくれば済む話なんですが、イチゴのお花というのはヘビイチゴなどの野生種を除けば、イチゴ狩りにでもいかないとなかなか見る機会はありません。 珍しくて可愛いものを見せてもらったぁ♪…という感謝の思いは、十分に “SHOP99” で売っている焼きイモ(税込104円)に匹敵すると思います。 100円出してまでイチゴの花を見たいか?…と冷静に問い詰められると、や、やっぱり “うまい棒” を10本買ったほうがいいかなという気がしないでもないんですが、あ、そうそう。イチゴ狩りの場合は “練乳” というのも忘れてはいけませんよね。 僕はすっかり忘れていたんですが、今日はイチゴではなくて、練乳のほうが主要な議題の筈だったんですよねー。 イチゴ狩り農園によっては、いちご本来の美味しさを味わって貰うという名目で練乳をケチるところもあるそうですが、とんでもない話だと思います。僕の場合、練乳あってこそのイチゴ狩りやろ!?…と思わずにはいられないわけで、ま、確かに最近のイチゴというのは昔と違って凄く甘いので、特に練乳を付けなくても美味しく食べることが出来るんですが、必要があるとか無いとか、そういった問題ではなくて、とにかくイチゴ狩りといったら、練乳っ! 僕がイチゴ狩りをしたところは、無論 “練乳あり♪” であることを確認していたんですが、ハウスに入場するとイチゴのへた入れ兼用になっている容器を手渡され、おじさんがそこに馬鹿でかいチューブから、にゅ〜っとたくさんの練乳を搾り出してくれたんですが、やはり練乳は “にゅ〜っ” という擬態語がふさわしいくらいの分量を確保したいところですよね。 ここのおじさんはわりと気前がよくて、この練乳だけで (税込47円) くらいの価値はあるなという気がするんですが、となると先ほどのお花観賞代と合わせて、純粋なイチゴの費用としては 1049円ということになりますか。 40個食べた僕の場合、単価は 26円強ということになるわけですね。

たわわに実るいちごたん♪

 イチゴというのは花柄が長く、あ、ここでいう花柄というのは、花柄のパンツって、いいよねー。無論、いちご柄のパンツというのも可愛いんだけどぉ♪…などと、日常会話でよく使われる “花柄 (はながら)” のことではなく、 “花柄 (かへい)”と呼ばれる花のつく茎のような部分のことなんですが、イチゴの実を引っ張るとヘタの部分からではなくで、この花柄がついた状態で取れてくることになるんですよね。 そのために意外とゴミの量が増えてしまうんですが、40個くらい食べるとゴミの容器が花柄付きのへたで一杯になっちゃいますからね。 おまけにこの頃になると練乳のほうも枯渇気味になってきたりして、40個くらいでやめる人が多いのは、そういうところにも原因があるのかも知れません。 数をこなそうと思うなら、あらかじめ自前で小さなゴミ袋を用意した上で、途中の10個くらいは練乳無しで食べてみるというのもひとつの手かも知れません。 で、イチゴ狩りの楽しみはスーパーで買ってくるパック入りのと違って、大きいのやら小さいの、よく熟しているものやら、まだ青いもの。…と、色々なタイプのイチゴを食べられるところにあるんですが、食べ比べてみるとやはり、真っ赤に熟して、はちきれんばかりに成長しているオナゴのほうが、柔らかくて甘みも強いですよね。 年の頃なら、ま、40リーチ♪…といったあたりが一番の食べ頃ではないかと思うんですが、 “熟女” というのが一体どれくらいの年齢のことを指すのかというのは、イチゴの個数と同じく “熟女 39歳” などのキーワードでググってみて、各自、そのヒット数を調べて貰うとして。 いずれにせよ、40歳くらいのイチゴを40個ほど食べるというのがイチゴ狩りの基本であるとは言えそうです。

 ただ正直なところ、あまり熟したのばかりを食べていると飽きちゃうというのも事実でありまして、そこでまあ、お口直しにまだあまり熟していない、年のころなら13歳くらいの、こ、これ食べちゃっても大丈夫なんやろか?…と、ちょっぴり罪悪感に駆られるような青い果実にも手を出しちゃうことになります。 このようなイチゴはちょっと生硬な感じのするところがなんとも言えずに新鮮で、た、たまらんっ♪…と思わずにはいられないんですが、禁断の果実というのはキンカンの甘露煮と同じくらい魅力的だったりしますからねー。 キンカンというのは独特の苦味があって、甘露煮にでもしないとあまり美味しくなかったりするんですが、まだ熟していない青いイチゴというのも甘みという点では “熟れ熟れイチゴ” には到底及びません。まだ胸もあまり膨らんでいなくて、見た目的にもほっそりしている若いイチゴは、お味のほうもちょっぴり酸っぱかったりするので、ミルクをたっぷりつけて食べてやるほうが美味しいですよねー。 グラマーなのはそのままで、貧乳系には練乳を付けて。 あ、おニューの服を着ていくと練乳が垂れたりするので、垂れ乳注意!…ということで、イチゴ狩りのお話は、おしまい♪

 ということで今日はセシル・ペインです。通称、セシペン。 はんぺん、日ペンと並ぶ “世界3大ペン” のして知られておりますが、いや、美子ちゃんの生みの親や魚肉練り製品と一緒にされたところで、本人としてはさほど嬉しくないとは思うんですけど。 どうせなら筆ペンと一緒にしてくれやっ!…みたいな。 で、このセシペンというのはですね、バリトンサックスを吹く人であります。通称バリサク。 個人的にこの “バリサク” という 略称はバリダサのような気がするんですが、あ、最近のヤングはもう、バリダサなんて言葉は使わないんですかね? いずれにせよ、前回までのトロンボーン編は終わってしまったのかと言うと、そういうわけではなくて、個人的にお気に入りの1枚がまだ残っていたりするんですが、そのCDは2枚のアルバムが1枚になっているので曲数が多い上に、個人的にお気に入りなのでちょっと気合を入れて曲解説をしてしまいそうな気がするんですよね。 今日の前半は内容が無いわりには行数だけは多くて、後半はかなり手抜きをしてもトータルとしてはなんとかなりそうなので、あまり気の進まない1枚を片付けておこうと思うんですよね。 ということで、 『セシル・ペイン・パフォーミング・チャーリー・パーカー・ミュージック』 です。 これはアレですな。チャーリー・パーカー・レコードの1枚なんですな。 チャーリー・パーカー・レコードというのはパーカーの未亡人であるドリス・パーカーが作ったレコード会社なんですが、普通、未亡人というのは未亡人カフェに勤めてその給料でつつしまやかに暮らしたりするものなですが、レコード会社を立ち上げるとはドリスちゃんもなかなかのやり手でありますな。…という話は前にも書いたことがあるんですが、パーカーの名声にすがって、なおかつ同情票への期待も織り込んだかのような、そのまんまのネーミングのレーベル名というのは、どうか?…という気がしないでもないんですけど。 で、この 『パフォーミング・チャーリー・パーカー・ミュージック』 というアルバムはその名の通り、パーカーのオリジナルばかりを演奏している作品なんですが、あ、よく見たら1曲だけペインのオリジナルも混入しておりましたが、何となくドリスの必死さが伝わってくるような気がしますな。 で、一方、サイドマンに目を転じてみると、なかなか堅実で渋い面子が集められているんですが、チャリパカ・レコードでリーダー作まで作っているデューク・ジョーダンが入っているのは、ま、順当なところ。 トランペットにクラーク・テリーを選んだと言うのはなかなかの見識かと思いますが、ま、日本での人気という点ではあまり期待出来ないところなんですけど。 で、ベースがロン・カーターだったりするのはちょっと意外な感じなんですが、でもってドラムスのチャーリー・パーシップは、ま、同じチャーリーのよしみという事ですかね? ま、チャーリー浜よりは適切な人選であるとは思うんですが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 えーと、まず最初は 「クール・ブルース」 でありますか。 これはアレですよね。とってもクールなブルースですよね。 僕はブルーのズロースというのが嫌いではなかったりするんですが、このクールなブルースもけっこう好きでありまして、ま、曲そのものはシンプルで単純なリフ物だったりするんですけど。 ロン・カーターの地を這うようなウォーキング・ベースで幕を開け、でもって2管のユニゾンでテーマが演奏されるんですが、バリサクとトランペットとの組み合わせというのも、なかなか味があるものですよね。 少なくとも45分間噛み続けたガムよりは味があると思うんですが、ちなみに僕はわずか2〜3分程で出してしまって、よく 「早いのね。」 と呆れられてしまうほど、持続力が無かったりするんですよね。ちょっと味がなくなるとすぐに飽きて、ガムを口の外に出してしまうんですが、ボトル入りのキシトールガムなんかだと、その調子で次々に新しいガムを食べてしまって、結果的に下痢になっちゃったりします。 一度に大量に食べると、体質により一時的におなかがゆるくなることがあります。…という注意書きはホンマやったんか!…と、その時点で改めて気付かされることになるんですが、そんなことでまあ、ソロ先発はペインでありますな。 バリトンサックスというのはどうしても鈍重になりがちなんですが、ここでの彼のソロは、うな重。…といった感じで、こってりしておりますが、後味は悪くありません。 スタイルとしては、ま、純正なビ・バップであると言ってもいいですかね? で、続くクラーク・テリーのソロは独特のトーンと上品な吹きっぷりがベテランの余裕を感じさせておりまして、で、その後、ジョーダンの大上段に構えない自然体のピアノ・ソロがあったりして、まったりしたテーマに戻って、おしまい。 ま、バップのブルースとしては無難な出来であると言えましょう。

 続く2曲目は 「ショウナフ」 という曲ですな。 いかにもバップらしい上下動の激しいメロディラインの作品なんですが、タイトルのわりに、さほど茄子っぽくもなければ、醤油の味もしないような気がします。 ま、 「ショウユナス」 ではなくて 「ショウナフ」 なので、それも当然なのかも知れませんが、でもって、ソロ先発はセシル・ペインでありますか。急速調であるにもかかわらず、“もっさり” をみじんも感じさせないスリリングな演奏となっておりまして、アドリブ・パートの出だしからしばらく間、ピアノレス編成になっていることもあって、ちょっぴりソニー・ロリンズを彷彿させるものがあったりもします。この人の吹くバリトンって、わりとテナーに近い感じがあるんですよね。 で、途中から伴奏にピアノが加わって演奏が華やかになって来たところで、ソロ2番手はクラーク・テリーでありますな。トランペットの出だしの部分もやはりピアノレスになっていたりするんですが、落ち着きと余裕の中にもスピード感を感じさせる吹きっぷりとなっておりまして、いや、なかなかやるじゃん、この中年のオッサンも。 で、続くジョーダンのソロもスピード感にあふれたドライビングなものとなっておりまして、でもって、ロン・カーターのウォーキング・ベース・ソロ…と呼ぶにはテンポが速すぎるベース・ランニングのソロがあったりして、最後はチャーリー・パーシップのドラム・ソロでありますか。 4分27秒と、さほど長いとはいえない演奏でありながら、なかなか充実したソロ回しであるな。…と言えるかと思いますが、ということで、テーマに戻って、おしまい。

 続く3曲目の 「リラクシン・アット・カマリロ」 は、前曲から一転して何ともリラックスしたムードの漂う演奏となっておりますが、 “カマリロ” というのは “パタリロ” とか “カリメロ” なんかとはあまり関係がなくて、あ、 “カリメロ” で思い出したんですが、白樺湖から上田に向かって国道152号線を走っていると、途中に 「マルメロの駅ながと」 という道の駅がありますよね。 “マルメロ” というのが何なのか、僕はずっと疑問だったんですが、何となく果物の一種だったような気もするんですけど。  名前からすると、丸いメロンみたいなものなんすかね?…とか思っていたんですが、 “カリメロ” が出てきたこの機会に、きちんと調べておくことにしましょう。えーと、 “マルメロ” 。 おお、 これ ですな。 丸くもなければ、メロンでもないことが明らかになったんですが、ということで “カマリロ” 。 これはアレです。アメリカにある都市の名前ですよね。 ある日、精神に変調を来たしたパーカーはカマリロ病院に強制入院させられることになるんですが、その病室でとってもリラックスして作ったのがこの曲だったと言われております。入院生活というのは暇ですからね。 その機会に作曲をするというのは、なかなかいい考えかも知れません。 もっとも僕の場合はその才能がないので入院中に作曲は出来なかったんですが、その代わり、入院している爺さんに説教されたりしてましたけどー。 作曲と説教。 今ひとつ韻を踏んでいませんでしたが、でもって演奏のほうはというと、とってもリラックスしたテーマに続いて、セシペン、クラテリ、デュージョーの順で、何とも寛いだ雰囲気のソロが展開されておりますな。…って、人名を何でも4文字に略せばエエちゅうもんでもない。…という気がしないでもないんですが、で、その後、ドラム・ソロとベースのウォーキング・ソロを合体させたような、ちょっと新しい試みのパートがあったりして、で、ここでのチャリパーのドラム・ソロはマックス・ローチを彷彿させるようなメロディアスな出来だったりして、なかなか秀逸ですね。 で、その後、bs→tp→bs→tp の4バースまであったりして、大いに盛り上がったところで、テーマに戻って、おしまい。 あ、そうそう。バリトンサックスとトランペットのユニゾンって、どこかで聴いたことがあるような?…と思ったら、ドルフィーが吹くバスクラにちょっと感じが似ていたりするんですよね。…ということに、たった今、気付きました。 ま、それに気が付いたところで、何がどうということもないんですけどー。

 で、4曲目は 「ボンゴ・バップ」 という曲です。 ボンゴというのはラテン系の打楽器だったり、マツダの車だったり、偶蹄目ウシ科の動物だったりするんですが、そのボンゴをバップとくっつけるというのは、なかなか新しい発想ですよね。 少なくとも、パン粉と湿布の組み合わせよりは優れていると思うんですが、そんなものを一緒にしたら粘着面に引っついてしまって、パン粉も湿布も両方とも台無しですもんね。 ま、湿布の香草パン粉焼きとかを作るのならそれでいいのかも知れませんが、わざわざ香草を入れなくても似たような味がすると思うんですけどね、湿布。 で、ボンゴだけにラテンっぽいのかと思ったら、やっぱり微妙にボンゴっぽい味付けがなされていたんですが、アドリブ・パートに入ってからは概ね、やや変則気味ながらオーソドックスな4ビートになるんですけどね。 ソロの順番はペイン、クラーク・テリーとなっていて、この点に関してはあまり工夫がなされていないな。…といった感じなんですが、とか言ってたらオープンで吹いていたテリーが途中からミュートを付けたり外したりしながら吹いたりして、めっちゃ工夫してるやんっ! 1曲目を聴いた時点では、やや荒削りなビ・バップ系か?…と思っていたんですが、なかなかどうして。 これはれっきとしたハード・バップ・セッションであると言っていいでしょう。 で、ジョーダンのピアノとロン・カーターのピチカート・ソロがあって、テーマに戻って、おしまい。 やや唐突な感じのエンディングだけは純正バップ的だったりして、そこのところもなかなか面白いです。わははははは。

 で、5曲目。 「ザ・ヒム」 。 これまたラテンっぽいリズム…というか、ちょっと変拍子っぽい感じの曲だったりするんですが、ミディアム・テンポで始まって、途中から速くなったりするところなど、やはりちょっぴりロリンズを彷彿させるところがあったりして、で、これ、明確なテーマのない、アドリブ一発勝負の曲だったりするんですかね? とめど尽きることのないアドリブの海。…といった感じのペイン及びテリーのソロが秀逸です。 アドリア海というのはイタリアとバルカン半島の間にあるんですが、こちらはアドリブ海といったところですかね? ちょっぴり “ドリフの大爆笑” みたいな名前なんですが、続くジョーダンのピアノ・ソロも悪くないですよね。 続くロン・カーターのソロはベース好きの人でないとちょっとツライものがあるんですが、その後、bs→ds→tp→ds の4バースで大いに盛り上がって、で、最後にミディアム・テンポで、ちゃんとしたテーマのようなものが演奏されて、そのままフェードアウトして終わっちゃうというのは、やや中途半端な感じでありますな。 ま、別にいいんですけど。 ということで、次。 本アルバムで唯一のチャーリー・パーカーでないパフォーマンス、セシル・ペインのオリジナルの 「コミュニオン」 でありますな。 この手の企画モノで1つだけ例外的に自作曲を持ってきた場合、それがとっても不出来なものだったりすると、どうせなら全部パーカー・ナンバーでまとめておけばよかったのにぃ。…などと言われかねないんですが、でも大丈夫。 幸いにもセシル・ペインには作曲の才能がありました。 いや、もしかしたらこれ1曲だけの “まぐれ” だったりするのかも知れませんが、まぐれでもマグロでも寝ゲロでも、ここで一発、ビシっとカッコいい曲さえ決まってしまえば、あとはもう知ったことではありません。 どこがどのようにカッコいいのか、具体的な言葉で説明するのは難しいので抽象的な擬音で表現させて貰うと、ギャワーンときて、カシーン!…といった感じですかね? テーマに続いてソロの先発にクラーク・テリーを持ってきたところも今までにはなかったパターンだし、でもって、このテリーの吹きっぷりが何とも実にピシっとしていて、それでいてパキパキっ!…だったりするんですよね。 以下、セシル・ペイン、デューク・ジョーダンと、適当な擬音が思い浮かばないので抽象的な解説はやめておきますが、いずれも素晴らしい出来のソロを披露しておりまして、これでこの後、ロン・カーターのアルコ・ソロさえ出てこなかったら完璧だったんですけどねぇ。 でもまあ “覆水盆に返らず” という言葉もあるし、桑名出身の人は盆に帰らず、石取祭りの時に帰ってくる人が多かったりするんですが、演奏されてしまったベースの弓弾きをいつまでも悔やんでいてもしかたがありません。 気を取り直して、あの魅力的なテーマに戻るのを待つしかないんですが、待てば海路の日和あり。 かなりしつこかったロン・カーターくんのソロもやがて終焉を向かえ、で、テーマに戻って、おしまい。

 ということで、ラストです。 「ボンゴ・ビープ」 。 ボンゴというのはラテン系の打楽器だったり、マツダの車だったり、偶蹄目ウシ科の動物だったりするんですが、そのボンゴをビープとくっつけるというのは、どうかと思いますね。 さっきまでバップちゃんとイチャついてたと思ったら、今度はビープちゃん。 偶蹄目ウシ科のボンゴくんってば、ちょっぴり浮気な性格のようなんですが、曲そのものもボンゴらしさがさほど感じられない、ごく普通のバップ・ナンバーだったりします。 ピアノのイントロに続いて2管のユニゾンでテーマが演奏されて、バリトン・サックスとトランペットのミュート・ソロがあって、短くベースのピチカート・ソロを挟んで、ピアノのソロがあって、ドラムとベースとピアノが微妙に絡むパートがあって。…と、アレンジ的にはやや工夫が感じられたりもするんですが、で、最後に普通なテーマに戻って、おしまい。 ま、後世に未練を残さないという点では、こういう並レベルの演奏でアルバムを締めるというのもひとつの見識かもしれませんね。 とまあそんなことで、今日のところは以上です。

【総合評価】

 書くのは簡単でいいんだけど、まったくソソられるものが無いジャケット。 リーダーをはじめ、まったく華の感じられない参加メンバー。 ギャルには今ひとつウケのよろしくない パーカー・ナンバー。 以上の3点を持って、ま、あまり大したことは無さそうやな。…と、すっかりタカをくくっていた貴乃花だったんですが、いや、意外なほど充実していた1枚でありました。 当初の目論見に反して、けっこう真面目に曲解説してしまったことからも、そのことは明白なんですが、いや、なかなか侮れませんな、セシペンの美子ちゃんもー。


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