THE COMPLETE IMPERIAL SESSIONS (IMPERIAL)

LOU BLACKBURN (1963/1/25,31,3/12,18)

THE COMPLETE IMPERIAL SESSIONS


【パーソネル】

FREDDIE HILL (tp) LOU BLACKBURN (tb) HORACE TAPSCOTT (p)
JOHN DUKE (b) LEROY HENDERSON (ds)

【収録曲】

NEW FRONTIER / PERCEPTION / I COVER THE WATERFRONT
17 RICHMOND PARK / HARLEM BOSSA NOVA / LUZE BLUES
THE CLAN / SCORPIO / JAZZ-A-NOVA / STELLA BY STARLIGHT
MANHA DE CARNAVAL / JEAN-BLEU / BLUES FOR EURYDICE
SECRET LOVE / TWO-NOTE SAMBA / GRAND PRIX
SONG FOR DELILAH / DEAR OLD STOCKHOLM / ODE TO TARAS

【解説】 (2007年05月13日更新)

 困ったときの花だのみ。…ということで、今日は one finger snap お花編 の番外編ということで、いくつかお花の写真を掲載して、お茶を濁しておこうと思います。しかも、2回シリーズです。 お茶と言えば八十八夜も済んで、いよいよ新茶の季節でありますなぁ。 僕はお茶がめちゃめちゃ好きっ♪…というわけではなく、どちらかと言うとオチャメな女の子とかのほうが好きだったりするんですが、僕の心のランキングでは、お茶目>ワカメ>お茶となっていて、好感度という点では海藻よりも下だったりします。 といっても別に嫌いというワケではなくて、食事の時にお茶が出れば、ごく普通に飲んだりするわけなんですが、家でゴハンを食べる時はよくお茶漬けにしたりしますしね。 ここでいうお茶漬けというのは鮭茶漬けや梅茶漬け、あるいは、しぐれ茶漬けといった凝ったものではなく、かと言って永谷園の “お茶づけ海苔” の力を借りるわけでもなく、そもそもうちの家族は僕が子供だった頃から “お茶づけ海苔” というのがあまり好きではなかったんですよね。 たまにお歳暮とかで貰ったりすると処分に困って、お茶漬け海苔を “海苔の部” と “あられの部” に分別したりしておりました。海苔のほうはゴハンに振りかけて、そのままお茶をかけずに食べて、で、あられのほうは3時のおやつにするわけなんですが、1袋で2回使えるという点では、なかなか効率的な食べ物ではあったんですけど。 で、そんなコドモが成長してオトナになった現在、いったいどんなお茶漬けを食べているのかというと、白いゴハンに普通の番茶をただぶっかけて食べるだけという、そういうシンプルなものなんですけどね。 どうしてそんなことをするのかと言うと、それは僕が極度の面倒くさがりであるところに原因のひとつがあったりします。 僕は極度の面倒くさがりで、ゴハンをよく噛んで食べるというのもちょっと面倒に思えてしまうんですが、そこにお茶をぶっかけてやればそのまま異の中に流し込んでやることが可能になるので、とっても楽なんですよねー。 で、僕がお茶漬けを好む理由というのはもうひとつあって、それは僕が極度の猫舌であるということなんですが、極度の猫舌なので熱いお茶を出されると、なかなかそれを飲み干すことが出来なくて、無駄に時間を費やすことになってしまうんですよね。 お茶が冷めるのをゆっくり待っていられるほど僕の人生は長くは無く、いつ痛風が悪化してぽっくり逝っちゃうか分かったものではありませんからね。 そこで、えーい!…とばかり、熱いお茶をゴハンの入った茶碗にぶちまけてしまうわけですが、いくら温かいゴハンでも熱いお茶ほどには温度が高くないし、それにゴハンの茶碗というのは湯飲みに比べて大気に接する部分の面積が広く作られているので、お茶が早く冷めて飲みやすくなるというわけでありますな。 ゴハンを食べてからお茶を飲む場合に比べて、半分以下の所要時間で済むことになって、1+1=2以上の効果がある、実に合理的な食べ方であると言ってもいいでしょう。 ただ、ゴハンにぶっかけるとお茶が白く濁ってしまって、美観という点ではちょっぴり問題があったりするんですけどー。

 …とまあ、 “お茶を濁す” という慣用句を使ったら、そういう余計な事を思い出したりもしたんですが、そもそも “お茶を濁す” という言葉は茶道の世界から来ているらしいですね。茶道にぜんぜん詳しくない人が適当にお茶を濁らせて、 「これ、抹茶やんっ!」 と言い張ったことから生まれた言葉なんだそうですが、立つ鳥は後を濁さないというのに、人間はお茶を濁したりして、本当に困った生き物でありますなぁ。。。 とまあそんなことで、本題に入ります。


<パンピー> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 ゴールデンウィーク前半の初日、やまがた市というところにある 四国山香りの森公園 というところに行ってきました。 やまがた市といっても東北の山形ではなく、四国山といっても四国にあるわけではなく、では一体どこにあるのかというと、岐阜県の山県市というところなんですけど。 旧山県郡の3つの町が合併してこういう町が生まれたわけなんですが、そんなところに何をしにいったのかというと、仕事をしに行ったんですけどね。 地元の某土建屋から農業用井戸ポンプの点検清掃の話があって、下請けのおっちゃんから見積もりを取ったところ42万くらいの金額が書かれていたので、適当に経費を掛けて47万くらいで提出しておいたんですけどね。 ところが、土建屋のおっちゃんがいきなり 「何とか30万で出来んか?」 とか言い出して、とりあえず適当に言葉を濁しておいたんですが、引き上げて工場で整備したポンプを据付ける作業が、連休初日の4月28日ということになってしまいました。ああん、面倒臭いのぉ。。。 ま、半日くらいで終わるやろ。…と思ってタカをくくっていたんですが、その日は朝のうち晴れ間が覗いていたというのに、10時過ぎから次第に雲行が怪しくなって来て、11時頃には激しい雷雨となってしまいました。 クレーンのブームを長く伸ばしているところに、ドーン!…という物凄い音がしたので、思わずチビりそうになるほどビビってしまいましたが、そのうちに雹 (ひょう) まで降ってきたりして、作業員一同、「ひょ〜っ!」という奇声を上げて、一時クルマに避難。 ま、10分くらいで雹は止んだんですが、作業員一同、 「えらい雹やったなー。」 「いや、あれは霰 (あられ) とちゃうか?」 などという話でしばらく盛り上がって、僕は子供の頃に食べた永谷園のお茶づけ海苔の “あられ” の事などを思い出しておりました。

 そんなこんなで作業が終わったのは2時ごろだったんですが、うちの会社の休日出勤の賃金はですね、5時間以上8時間以内の場合は5時間分しか支給されないことになっております。 ということは、5時間以上働くのはまったくの無駄という事になるわけですが、この日は朝の9時から作業を開始したので、お昼休みの1時間を除くと実働時間は4時間ということになります。 わざわざ休みの日に片道2時間近くかけて現場労働に駆り出されたわけなので、ここは是非ともあと1時間分の賃金を稼いでおきたいところですな。 うちの会社の人間は誰も来ていないので、午後3時まで作業が掛かったことにして5時間分の賃金を請求しても絶対にバレはしないんですが、根が正直なサバくんは絶対にそういう不正には手を染めたくはありません。 悪事に手を染めた事がなければ、毛を染めたこともない。 そういう、きわめて真面目な黒髪青年ですからねー、僕って。 そこでまあ、とりあえず現場の近くの “四国山香りの森公園” に行って、とりあえず3時まで時間を潰すことにしたんですが、ま、そういうこともあろうかと思って、ちゃんとカメラを用意してたんですよねー。 この公園はその名の通り “香り系” の植物に重点が置かれているようですが、そういうのとはあまり関係なく、端っこのほうの花壇には、おおっ、パンジーポピーが綺麗に咲いておりますなー♪

 この章のタイトルが “パンピー” となっていて、そんなお花、あったっけ?…と疑問に思った人もいるかと思いますが、ここで言うパンピーとは “一般ピープル” の略でも、オレンジ味の乳飲料のことでもなく、 “パンジーとポピー” 、略して “パンピー” 。 ま、それだけの事なんですけどね。 よって、銭湯に行ったら、お風呂上りにはやっぱりパンピーだよねっ♪…とか、そういう話の流れにはならないわけなんですが、 “ポピーとパンジー” 、略して “ポピンジ” というのでは何となく麒麟児の親戚みたいなので、やはり “パンピー” のほうが無難なのではないかと思います。 とまあそんなことで、まずは “パンジー” なんですが、これはアレですよね。日本語では “三色スミレ” と呼ばれるお花ですよね。 “さんしょく” ではなくて “さんしき” と読むんですが、個人的には園芸用に品種改良されたパンジーよりも野生のスミレのほうが好きだったりします。 ただ、 『おーい!はに丸』 に登場していたスミレちゃんというのはちょっとケバいキャラだったので、あまり好きではなかったんですが、それと同じく、パンジーというのはちょっと色合いがケバ過ぎると思うんですよね。 が、それだけに色とりどりのパンジーを組み合わせた花壇のカラフルさには目を見張るものがあったりするんですが、特に (写真・上から2枚目) のヤツなど、ちょっと天然物では有り得ないような色をしておりますよね。 ケバいのもここまで徹底していると、いっそ清々しく思えたりするほどなんですが、ちなみにパンジーよりも小振りなものは “ビオラ” と呼ばれるんだそうですね。 あるいはこれはビオラのほうなのかも知れませんが、となるとこの章のタイトルは “パンピー” ではなくて “ビオピー” ということになるんですかね?

 ということで、続いては “ポピー” なんですが、人は誰しもこのお花を見ると、どうしてもある歌を歌いたくなってしまいます。 ポピーって、要は “ひなげし” なんだよね? という事は、その歌というのはもちろん、アグネス・チャンの 「ひなげしの花」 だよねっ♪…などと回りくどいことを考える人はさほど多くないに違いありません。ポピーと言えばコレです。 車にポピーっ♪ポピー、ポピー♪) これしか無いやんっ!! で、このポピーちゃんはパンジーやビオラに比べると色彩的には単純で、赤いの、黄色いの、白いの、オレンジ色っぽいの、ま、基本は4種類くらいですかね? で、ひとつのお花は基本的に単色となっていて、とってもシンプルなんですが、特に赤いヤツなんかは結構どぎつい赤だったりします。 (写真・下から2枚目) の赤い花びらなど、ほとんど色飽和しているような感じで、お絵かきソフトで赤色にベタ塗りしたような仕上がりになってますよね。ちなみにフランス国旗の赤い部分はポピーの赤を示しているんだそうですけど。 で、お花全体が丸い形になっていて、花びらの構造がちょっと分かりにくいんですが、花びら4枚の一重咲きが基本となっていて、種類によっては八重に咲くものもあるそうです。 花びら4枚の一重咲きとなると、 「ひなげしの花」 の歌詞にあるように

  丘の上 ひなげしの花で 占うの あの人の心 今日もひとり
  来る、来ない、帰らない、帰る

…という花占いをすると、必ず “帰る” という結果に終わってしまうわけでありますな。 でもって、夏目漱石の小説のタイトルにもなった “虞美人草” というのはこの “ひなげし” の事なんだそうですが、僕は子供の頃 “不美人草” と勘違いしてて、とっても不細工な草なんだねっ♪…とか思ってしたんですけど。 とまあそれはそうと、ゴールデンウィークの前半が終わったある日の事、ポンプ引上げ・分解・清掃・据付・試運転調整をやってくれた下請けのオッチャンに、25万くらいで引き受けてくれたら嬉しいな♪…と思いつつ、 「いくらくらい欲しい?」 と聞いてみたら、 「40万っ!」 と即答され、僕は途方に暮れてしまいました。 ま、何とか土建屋のほうからは税込み35万という回答を引き出して、下請けのオッチャンには 「30万しか出せんっ!」 と、きっぱり言い渡しておいたんですが、影できっとブツブツと愚痴られていることでしょうなぁ。。。


<マーガレット> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 この公園には花壇にパンピーが植えられていた他、温室では何やら珍しそうな花もあったりして、でもって、肝心の “香り系” のほうは山の上にあるらしくて面倒なので行かなかったんですが、周囲の道端のようなところには白い菊のようなお花も咲いておりました。 僕は個人的に “菊座” というのは嫌いでは無いんですが、菊系の花というのはそれほど好きではなくて、何と言うか、お花の 形が決まっていて、あまり新鮮味がないですよね。どこにでも咲いてそうで有り難味が無いと言うかー。 この白いお花も典型的な菊っぽい花の作りとなっているんですが、周囲に舌状花と呼ばれるヒラヒラの花びらがあって、真ん中に黄色い筒状花と呼ばれる部分があるのが特徴でありますな。 キク科の花を見ると、あれ? “めしべ” と “おしべ” が無いやん。…ということに気がついて、こんなんでどうやって “すけべ行為” をするのか、他人事ながら、というか、他キク事ながらちょっと心配になるんですが、もっと詳しく観察すると舌状花や筒状花のそれぞれ1つずつに、ちゃんと “めしべ” と “おしべ” があるんだそうですね。 要するに、小さなたくさんの花が集まって、ひとつのお花のような形になっているわけなんですが、とっても貞操観念の発達した植物なのかと思ったら何のことはない、 “乱交パーティ状態” だったりするわけなんですね。 やっぱりキク科の花って、怪しからんっ!…と思わずにはいられませんが、ところでこのお花は何と言う名前なんすかね??? いろいろと調べてみた結果、 “ユウガギク” というのに近いかな?…という気がしないでもないんですが、ちなみにこれ、とっても優雅な菊…ではなくて、柚子のような香りのする菊だから “柚香菊” という名前が付いたんだそうで。 が、実際にはちっとも柚子のような香りはしないらしくて、アカンやんっ! しかもこれ、7月〜9月頃に咲くんだそうで、そっちの意味でもアカンやんっ!…という気がするわけなんですが、よくよく調べてみると、これってただの “マーガレット” なんすかね??? いずれにせよ、バックに緑の葉と濃い紫色の花を配したことで白と黄色のお花が鮮やかに浮かび上がって、写真の出来としては悪くないかな?…という気がするのでありました。


<ミツバツチグリ(?)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 公園の敷地内の植え込みのようなところでこの黄色いお花を見つけた時、あっ、イチゴや〜ん♪…と思って写真を撮ったんですが、食べてもちっとも美味しくない “ヘビイチゴ” とか “ヤブヘビイチゴ” の類って、確かこんなお花が咲くのではなかったでしたっけ? が、よくよく調べてみると、ちょっと違うような気がしないでもないんですが、ヘビイチゴの類はもうちょっと花びらと花びらの間隔が空いていたような気もするんですよね。 となるとこの黄色いの、何やろ? …と思っていろいろと調べてみたんですが、 “キジムシロ” というのに近いですかね? いや、それよりもむしろ “ミツバツチグリ” のほうにより近似であるような気もするし、何でもいいけど僕はこの “ミツバツチグリ” という字面を見たとき、何となく “ミツバチ” と “乳繰り” という言葉が頭に浮かんで来たんですが、漢字では “三葉土栗” と書くんですね。 根っこの部分が太くなって、食べると栗みたいに美味しいっ♪…というので “ツチグリ” と名付けられた植物があって、いや、実際に食べてみたら恐らくイモのような味しかしないと思うんですが、それと近種で葉っぱが三枚だから “ミツバツチグリ” 。ただし本種は食べられないそうなんですけど。 植物を見分ける場合、花よりもむしろ茎とか葉っぱの部分がポイントになることが多いんですが、僕はいつもお花の部分にしか目が行かなくて、いつも後悔してしまうんですよね。 が、例えば目の前に若いギャルがいたとしたら、まず顔とか乳とか太ももの部分に目が行くのが自然というものでありまして、あまり腕とか手のひらなんかには注目したりしませんからね。 で、これは本当にミツバツチグリなのかと聞かれると、たぶん80%くらいの確率で間違っているような気もするんですが、あるいはやっぱりヘビイチゴの類なのかも知れないし。 ま、イチゴにせよ、ツチグリにせよ、食べられないパチモンの種類であることだけは間違いないと思うんですが、そんなことで、次。


<トキワハゼ(?)> (←クリックすると写真ページに飛びます。)

 上記のイチゴなんだかツチグリなんだかよく分からないお花と同様、公園の敷地内の植え込みのようなところに咲いていたんですが、ちょっと変わった形と色合いのお花ですよね。 花びらのヒラヒラしている部分はわりとよくあるムラサキ系なんですが、中心部に見られる “白地に緑の斑” の部分が、何だかとってもお洒落♪…と言っていいのか、そうでもないのか、ちょっと微妙なところではあるんですけど。 アップで見るとそれなりに綺麗だったりするんですが、ぱっと見には “寿司ネタの海老” みたいな感じもありますよね。 で、これまた僕のような草花の素人にとっては見分けの難しい植物だったりするんですが、候補は2つあって “トキワハゼ” か “ムラサキサギゴケ” のどちらかではないか?…という気がするんですけど。 判別のポイントは地面を這うように横に延びるランナーを出すかどうかということらしいんですが、そんなこと言われても分からんっ! ちなみにランナーを出さなくて、野球で言うとなかなか点が入りそうにもないのが “トキワハゼ” なんだそうで、道端や空き地に生えるという特性からすると、こちらのほうが正解かな?…という気がしないでもないんですけど。 “ムラサキサギゴケ” のほうは湿った草地なんかを好むそうなんですが、僕がこのお花を見かけたところはさほど湿っぽくは無かったですからね。 ちなみに “トキワハゼ” というのは、いつも葉っぱが付いていて果実がはぜることから “常盤はぜ” という名前が付いたんだそうです。 何となく “ハゼドン” みたいで、あまりお洒落なネーミングとは言えませんよね。 個人的には “ムラサキサギゴケ” のほうがいいかな?…という気がするんですが、何となく “詐欺に遭ってダンナが自殺して後家さんになっちゃった早紀さん” みたいな感じがあって、悪くないですよねー。 喪服姿にムラムラしちゃう、ムラムラ早紀詐欺後家、ああん♪ ( By 未亡人フェチ。) ほらほら、奥さん、元気出して〜。お寿司でも食べてさ〜。ほら、この海老なんか、とっても美味しそうだよ〜♪


 ということで、お花ネタは次回に続きます。寿司ネタのほうは…続きません。 いや、多分。

 ということで後半のJAZZネタなんですが、前回ちょっぴり予告したように、今日はトロンボーンの個人的なオススメ作品を紹介したいと思います。 前回は前半ネタがけっこう長かったので、敢えてお気に入りの1枚を先延ばしにしたんですが、今回は前にも増して長くなってしまったので、駆け足でまいりましょう。 ルー・ブラックバーン 『ザ・コンプリート・インペリアル・セッションズ』 。 君はルー・ブラックバーンというトロンボーン奏者を知っているかな? 僕は知りません。 ちょっと調べてみたところ、どうやらライオネル・ハンプトン楽団やモンクのフル・バンで活躍した人らしいんですが、僕はフル・バンってほとんど聴かないですからね。 風呂場でフルチンになったりすることは、よくあるんですけど。 で、この 『ザ・コンプリート・インペリアル・セッションズ』 というCDはソニー・クリスの3部作で名高いインペリアルというレーベルにブラックバーンが残した2枚のアルバムをカップリングしたものなんですが、それに未発表のものを1曲プラスして、これにてコンプリート。…という体裁に整えたものでありますな。 2枚のアルバムにはそれぞれ 『ジャズ・フロンティアー』 『トゥ・ノート・サンバ』 というタイトルが付けられているんですが、録音年月日も近く、メンバーも完全に共通だったりするので、ある程度はその意図が理解出来る “2in1” であると言っていいと思います。ただ、曲順を録音順に並びかえた形跡が窺えるところは、ちょっといただけないんですけど。 CDのジャケットは 『ジャズ・フロンティアー』 のタイトル部分だけを変えたものとなっていて、これはまあ、悪くない考えだと思います。 ま、さほどいい考えでもないよな。…という気がしないでもないんですが、何せ全部で19曲も入っていて何かと忙しいので、とりあえず1曲目から聴いてみましょうかぁ。

 あ、その前にメンバーを紹介しておかなければなりませんが、トランペットがフレディ・ヒルで、ピアノがホレス・タプスコット、ベースがジョン・デュークで、ドラムスがリロイ・ヘンダーソン。 リーダーを筆頭に、ピアノのタプスコット以外は名前すら聞いたことがないやんっ!…といった極めて地味な人々の集団であるところに若干の危惧が無いわけではないんですが、とりあえず1曲目の 「ニュー・フロンティアー」 から聴いてみることに致しましょう。 いきなり元気なピアノの音色が耳に飛び込んでくるんですが、ホレス・タプスコットという人はアレですよね。 ほうれん草とタバスコっと、何だかそんなものが好きそうなキャラなんですが、プレスティッジのソニー・クリスの諸作にいつくかオリジナル曲を提供しているピアニスト兼コンポーザー兼アレンジャーの人ですよね。 このブラックバーンのアルバムには彼のオリジナル曲こそ入っていないものの、おそらくアレンジはこの人が担当しているものと思われ、あ、書くのを忘れておりましたが、この 「ニュー・フロンティアー」 というのはブラックバーンのオリジナルだったりするんですけど。 リーダーの書いた曲を中心に、スタンダードをいくつか混ぜるといった構成になっているんですが、ピアノのイントロに続いて登場するテーマは、マイナーでファンキーなムードがあって、悪くないですな、こりゃ。 2管のハモり具合も絶妙でありまして、管楽器の数こそ1本少ないんですが、ジャズテットを彷彿させると言えば雰囲気をつかみやすいでしょうか? ベニー・ゴルソンの吹くテナーは今ひとつ好きになれないんだけど、彼の書くアレンジは好きっ♪…という人なら、きっと気に入っていただけるサウンドではないかと思います。 テナーさえ吹かなければいい人ですからね、ゴルソン。 で、ソロ先発はブラックバーンなんですが、アップテンポながらテクニックの露呈に終わるわけでなく、なかなか味のある演奏を披露していて、悪くないですねー。 普通にカーティス・フラーだと思って聴いていれば、それで通用しちゃうんじゃなかろうかと。 で、続くフレディ・ヒルのトランペットは、きびきびとした機敏な動きのきび団子。…といった感じで、タイプとしてはドナルド・バードに近いでしょうか? 今ひとつ素性のよくわからない人たちでありましたが、実力のほどはまったく問題がなかったようです。 で、続くタプスコットは、もっとタプっとした感じのピアノを弾くのかと思っていたら、意外としまった感じだったりして、これもなかなか悪くありません。前半はシングルトーン中心に、後半に入るとブロックコードを交えて賑やかに。 でもってピアノ・ソロの流れから最後は早歩きのウォーキング・ベースによるソロへと移行していって、とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 いや、なかなかに素晴らしい出来ではありませんかー。

 …と、この調子で真面目に曲解説を書いていくと残り18曲、いつになったら終わるのか分かったものではないんですが、続く2曲目は 「パーセプション」 でありますか。 知覚とか理解とか、そういった意味であると理解しておりますが、ベースとドラムスの妖しげなカラミによるイントロがなかなか面白くて、そこにピアノが入って来て、更には2管が登場してテーマ・メロディを演奏するという、そういう算段でありますな。 1曲目と同様、マイナーでファンキーなムードを持ったなかなかの佳曲なんですが、いやあ、ブラックバーン君。 ただの黒いバーンとしたキャラなのかと思ったら、意外と作曲の才能もあったりするんですな。大したものです。 以下、tp→tb→p と、この先は面倒なのでソロの順番を略号で記載するに留めて、詳しい解説は省略しようと思うんですが、ということで、テーマに戻って、おしまい。 評価としては “” であると言ってよいでしょう。 3曲目、 「アイ・カバー・ザ・ウォーターフロント」 。 「波止場にたたずみ」 という邦題でも知られておりますが、 “WATERFRONT” を “波止場” と訳すというのは、如何なものか?…と、どうでもいいことに文句を付ける人でもいたんでしょうか。 最近では 「水辺にたたずみ」 という訳語も見られるようになりましたが、ま、 「卒塔婆にたたずみ」 といった明らかな誤訳ではないので、波止場でも別にいいような気はするんですけどね。 ミュート・トランペットによる出だしの部分が何ともいい感じのバラードに仕上がっておりまして、切々とワン・ホーンでテーマを歌い上げるブラックバーンも秀逸です。 以下、原稿を少しでも短くするためにブラックバーンという名前は適宜 “黒板” と略そうと思うんですが、その黒板が主旋律を軽くフェイクする形で演奏を進めていって、最後にフレディ・ヒルがちょっと絡んで来たりして、明確にテーマ部には戻らないような格好で、おしまい。いや、3分強のほんのちょっとした小品でありましたな。

 で、続いてまた魅力的なメロディを持った曲が登場するんですが、ブラックバーンのオリジナルで、 「17リッチモンド・パーク」 でありますか。リッチモンド第17公園とか、おそらくそういった公園があるんだと思うんですが、マイナーでファンキーなムードを持った作風というのはこの人の得意技であるようです。 いや、いいですな、こりゃ♪ で、tb→tp→p と来て、テーマに戻って、おしまい。 評価は “” です。 ここまで4曲、ハズレ無し。 5曲目、 「ハーレム・ボサノヴァ」 。 ハーレムと来れば普通はブルースとなりそうなものなんですが、そこを敢えてボサノヴァで勝負に出ましたか。 で、実際に演奏を耳にしてみたところ、確かにボサノヴァやな。…といった仕上がりだったんですが、ま、さほどハーレムっぽくは無かったんですけど。 ソロ・オーダーは tp→tb→p ですな。評価はこれまた “” 。 おおっ、凄いぞ、ブラックバーン! で、続く6曲目は 「ルーズ・ブルース」 でありますか。 普通、ルーズとなればソックスが来るのが普通なんですが、そこを敢えてブルースで勝負に出ましたか。 ま、ルーズといっても “LOOSE” ではなくて “LUZE” なので、あまり靴下にはならないのかも知れませんが、 “LUZE” って何ですかね?人の名前ですかね? 曲のほうは、ま、確かにブルースやな。…といった感じの仕上がりでありまして、調子のいいピアノのイントロに続いて2管のユニゾンでテーマが演奏されて、以下、tb→tp→p と続いて、テーマに戻って、おしまい。 さっきの曲よりもこっちのほうがハーレムっぽい感じがしたりするんですが、個人的な評価でいうと、えーと、“” といったところでしょうか? ま、ずっと二重丸ばかりというのも、それはそれでちょっとつまらないような気もするしー。

 続く7曲目は 「ザ・クラン」 でありますか。 始まってすぐ、何だか3管ジャズ・メッセンジャーズっぽい演奏やな。…という気がしたんですが、それもそのはず、カーティス・フラーのオリジナルなんですな、こりゃ。 どこかで聴いたことがあるので、あるいはJMでも取り上げられた曲なのかも知れませんが、…と思ったら、どうやらフラーの このアルバム で演奏されているみたいですな。 モーダルなムードのいかにも60年代っぽい仕上がりでありまして、かと言ってルー・ブラやフレ・ヒル、ホレ・タプの演奏は今までとさほど変わっているわけでもなくて、根っこのところでは恐らく、生粋のハード・バッパーだったりするんでしょうな、この人たちは。 あ、タプスコットのソロの途中、 「朝日のように爽やかに」 のメロディが登場するところがちょっとしたプチ楽しみだったりするんですが、そんなことでまあ、テーマに戻って、おしまい。 8曲目はブラックバーンのオリジナルに戻って、 「スコーピオ」 でありますか。 スコーピオというのは “さそり座” のことですよね。 そうよ私は、さそり座で、射手座♪…みたいな。 曲のほうはと言うと、なるほど、確かにちょっぴり蠍座っぽい感じがありますな。…というワケでもないんですが、軽快なピアノのイントロに続いてトロンボーンとトランペットのユニゾンで演奏されるテーマは、相変わらず愛川欽也。…といった感じで、哀愁を帯びた曲調は、思いきり局長好みといったところでしょう。 うちの局長、こういう曲が好きなんっスよね。…みたいな。 カーティス・フラーっぽいブラックバーンのソロも悪くないんですが、何となくアラビアっぽい感じのフレディ・ヒルがなかなかいい味を出していると思います。

 9曲目、 「ジャズ・ア・ノヴァ」 。 タイトルを見ただけではちょっと分かりにくいと思いますが、これはジャズとボサノヴァの融合といった感じの作品でありまして、明るく御陽気な曲調は、思いきり局長好みであると言えるでしょう。 うちの局長、こういう曲も好きなんっスよね。…みたいな。 ソロ先発のフレディ・ヒルはちょっぴり上ずり気味で今ひとつなんですが、ブラックバーンはしっかり地に足のついた地下足袋。…といった感じで、なかなか悪くありません。 ホレス・タプスコットはさっきからややブロック・コード過剰気味の嫌いがあったりするんですが、ま、これはこれでいいとして。 で、1枚目の 『ジャズ・フロンティアー』 のほうは次でようやくおしまいということになるんですが、その最後を飾るのはスタンダードの 「ステラ・バイ・スターライト」 でありますか。 いや、オリジナルのLPでもそういう曲順になっているのかどうかはサダカではないんですが、しみじみとしたバラードでありますな、こりゃ。 …と思わせておいて、途中からミディアム・テンポに転じるという演出は、なかなか豚汁だと思います。 とまあそんなことで、1枚目はおしまい。

 続いては 『トゥ・ノート・サンバ』 のほうのセッションということになりますが、録音日をみると6〜11曲目までが同日セッションになっていて、もともと、あまりアルバム単位では物事を考えずに、とりあえず4回のセッションを挙行したというコトのなりゆきのようですが、CDで言うところの11曲目は 「マンハ・デ・カルナヴァル」 でありますか。 日本では 「黒いオルフェ」 という名前で知られているわけなんですが、これはおそらく、めっちゃボサノヴァなんでしょうな。 アルバム・タイトルだって 『トゥ・ノート・サンバ』 だしぃ。 …と思っていたら、出だしの部分がめっちゃ3拍子のワルツで、テーマに入るとそれが無伴奏のスローに転じたりして、ちょっと虚を突かれてしまいました。 途中からミディアム・テンポの4ビートになって、更にはワルツとラテンのリズムが入り乱れて…と、なんとも凝ったアレンジが施されているんですが、いや、これはこの曲の隠れた名演と言っていいのではなかろうかと。 tp→tb→p と続くソロも、それも素晴らしい出来となっております。 ということで、次。  「ジーン・ブレウ」 。 これはアレです。 じーんと来るブレウやな。…といった感じの曲でありまして、いや “BLEU” というのが何モノなのか、今ひとつよくわからなかったりするんですけど。 ちょっぴりジャズ・ロックっぽい感じもする、なかなかカッコいい曲なんですが、いや、ブラックバーンという人の作曲のセンスには目を見張るものがある越美晴。…といったところでありますな。 tb→tp→p と続くソロは、いずれも極めて良好な森山良子ですしね。 13曲目、 「ブルース・フォー・エウリダイス」 。 ブルースと言ってもさほど泥臭くはなくて、微妙にワルツ・タイムだったりして、なかなかお洒落な感じに仕上がっていたりします。 14曲目、 「シークレット・ラヴ」 。 これは黒バーンのオリジナルではなくて、歌モノのスタンダードなんですが、いいですよね、シークレットな恋♪ なんだかドキドキしますよねー。 シークレットシューズ履いてるの、バレへんやろか?…みたいな。 靴を脱いであがるお座敷タイプの店には行けませんもんね。 ああん、こんなことならシークレットソックスにしておけばよかったぁ。…みたいな。 この曲、テーマ部がブラックバーンのワン・ホーンになっているところが、今までとはちょっと違ったパターンで斬新だったりするんですが、ややお笑い系の雰囲気も感じられる仕上がりだったりするんですが、ま、確かに靴を脱いでいきなり身長が15センチを低くなったりしたら誰でも笑いますよねー。 ソロのほうはトロンボーンに続いてタプスコットが出てきて、結局のところフレディ・ヒルは1回お休みという方針だったようですね。

 15曲目、 「トゥ・ノート・サンバ」 。 タイトルはもちろん、有名な 「ワン・ノート・サンバ」 のパクりなんだと思いますが、名前の通り単純明快なサンバだった “ワン” のほうに比べて、こちらのほうはよく考えられていて、出来としては上だと思います。 何となく 『アマチンの土曜リポート』 で流れていたような曲と言えば分かりやすいかと思いますが、いや、そんな昔にやっていた名古屋ローカルなテレビ番組のことなど、もしかして誰も知らなかったりするんですかね? いずれにせよ、全編が哀愁ムードに貫かれていた前半部と比べて、後半のほうはやや御陽気なナンバーも含まれていたりするんですが、でもって、続いては 「グランプリ」 という曲ですな。 軽快なピアノのイントロに続いて、これまたなかなかキャッチーなメロディを持ったブラックバーン作曲によるテーマが演奏されるんですが、tb→tp→p の順でソロ廻しが行なわれて、テーマに戻って、おしまい。 で、この後は歌モノが2つ続くことになるんですが、まずはえーと、 「ソング・オブ・デライラ」 という曲でありますな。 単純に 「デライラ」 というタイトルでも知られておりまして、物事が思うようにならずに腹立たしい気分になっている名古屋人がよく、 「でらイライラすんでかんわー!」 などと使ったりしていますよね。 哀愁味のあるいかにも日本人好みの曲調だったりするんですが、この黒バーン版もうまくツボを押さえた仕上がりとなっておりまして、秀逸だと思います。 ミュート・トランペット主導の主旋律にピアノが絡む感じのテーマ部のアレンジが実に洒落ておりまして、以下、tb→tp→p と続く各自のソロも秀逸です。 あ、これ、ブラックバーンもミュートを付けているんですかね? 逆にフレディ・ヒルはアドリブ・パートではオープンに戻したりしているんですけど。

 で、それに続くもうひとつの歌モノというのが 「ディア・オールド・ストックホルム」 だったりするんですが、いや、これまた哀愁トゥナイトな曲を持って来ましたな。 「黒いオルフェ」 と同じく、ミディアム・テンポのイントロがテーマに入るとスローに転じて、それがまた最後のところでスインギー路線に転じる。…といったアレンジが施されております。 正直、この曲をスローなトロンボーンで延々とやられると、極度な眠気に襲われることになるので、これはなかなか賢明な措置だったと思います。 ということで長かったこのCDもいよいよラストとなりました。  「オード・トゥ・タラズ」 は作曲者不明のナンバーなんですが、 「タラスへの頌歌(しょうか)」 というタイトルからすると、どうやらタラちゃんを賛美する内容の歌らしいんですけど。 収録時間の関係からオリジナルのアルバムではボツ扱いになっていたものなんですが、聴いてみると、ま、確かに悪くはないんだけど、ちょっぴり 『アマチンの土曜リポート』 と似たような雰囲気があって、どれか1曲を落とすとなれば、やっぱりコイツかな?…といった感じはありますよね。いずれにせよ、さすがに全19曲ともなると、僕としてもかなり疲れてしまったんですが、とまあそんなことで、今日のところはおしまい。

【総合評価】

 ブラックバーンのオリジナル曲はどれも出来がよくて素晴らしく、選ばれているスタンダードも日本人好みの曲が揃っていて、完璧やんっ!…と言いたくなるほど個人的な評価は高いですな、こりゃ。 この人、もっと他にリーダー作を出してないんですかね? あるいはこの2枚で持っているすべての才能を出し尽くして、抜け殻のようになってしまったのかも知れませんが、この作品を世に出しただけでもルー・ブラックバーンという人は生まれてきた価値があったと思います。 もう、いつ死んで貰っても大丈夫なんですが、いや、まだ生きているのかどうかはサダカではないんですけど。 唯一、欠点を挙げるとすれば、全部で19曲も入っていて疲れるということくらいなんですが、 『ジャズ・フロンティアー』 単体が日本盤紙ジャケ仕様CDで発売されているようなので、とりあえずそちらを手に入れるというのもひとつの手かも知れません。 ま、 “2in1” のほうが、どう考えてもお得なんですけどー。


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