SKY SHADOWS (PRESTIGE)

ERIC KLOSS (1968/08/13)

SKY SHADOWS


【パーソネル】

ERIC KLOSS (ts,as) PAT MARTINO (g) JAKI BYARD (p)
BOB CRANSHAW (b) JACK DeJOHNETTE (ds)

【収録曲】

IN A COUNTRY SOUL GARDEN / SKY SHADOWS / THE GIRL WITH THE FALL IN HER HAIR
I'LL GIVE YOU EVERYTHING / JANUARY'S CHILD

【解説】

 サザエ、マスオ、カツオ、ワカメ、タラちゃん、波平、フネ、ノリスケ、タイ子、イクラちゃん etc…。 『サザエさん』 にはたくさんの人物が登場するんですが、君はどのキャラが好きかな? 僕はですね…、という個人的な話はとりあえず置いといて、僕の予想ではやはり、主人公のサザエさんが人気ナンバーワンではないかと思うんですよね。髪形がヘンだとか、24歳という推定年齢のわりには老けているとか、24歳という推定年齢のわりには大人気 (おとなげ) ないとか、いろいろと言いたいことが無いわけではないんですが、とりあえずは主人公だしぃ。…というので、真っ先にこの人の名前を挙げる人は少なくないと思います。 で、2番人気がカツオで、3番目がワカメではないかと思うんですが、彼女にはミニスカートからのぞく白いパンツという強力な武器がありますからね。変な “ちょうちんブルマ” のような形のパンツが、いかにも小学3年生の女子児童らしい清潔感を醸し出しておりまして、コアなファンの間から高い支持を得られております。 で、4位あたりにウケ狙いでタマが入ってくるのではないかと僕は踏んでいるんですが、あれは日本のアニメに出て来る動物キャラの中でも特異な存在ですからね。人間の言葉をしゃべるわけでもなく、 『まんが日本昔ばなし』「七日七夜飛びつづけたタマ」 という話に登場したタマのように七日七夜飛びつづけるわけでもなく、もっとも、この話のタマというのはネコの名前ではなく、鉄砲の弾 (たま) のことだったんですが、サザエさん一家のタマは別にこれと言った芸もなければ、何の取柄もない、どこにでもいるごく普通の家猫なんですよね。 でも、ただ縁側で丸くなって寝ている姿を見ているだけで、とっても心が和むにゃ〜♪ と、ねこ好きの間では高い人気を誇っておりまして、少なくとも波平よりは高い順位にランクインしていることは間違いありません。

 とまあそんなことで “好きなサザエさんのキャラクター” のアンケートなんですが、その結果は ここ をご覧下さい。 2006/06/06(火) 10:29:26現在の投票数: 17381 ということで、かなり信憑性の高い調査結果であると言えると思うんですが、いや、僕の予想はまったく持って大ハズレでありましたな。 唯一、かなりイイ線だったと言えるのが、タマはけっこう人気が高くて、少なくとも波平よりは上。…という予測だったんですが、その波平が第4位に入ったというのは予想外の大健闘だったと思います。 それに比べ、僕が本命と目していたサザエさんは第10位という結果に終わってしまって、大惨敗と言ってもいい状況だと思うんですが、敗因はやはり変な髪形ですかね? それとも、24歳という推定年齢のわりには老けていたり、大人気 (おとなげ) なかったりするところが視聴者の不興を買ったのでありましょうか? ワカメちゃんのパンチラ攻撃もノーマルな一般人が相手ではあまり効果がなかったようで、18位に沈んでしまったわけですが、ま、磯野藻屑源素太皆よりもかろうじて上だったことで、メインキャラとしての面子はかろうじて保たれた格好ではあるんですけど。 僕が個人的に嫌いではないタイ子さんは出場頻度が高いわりには磯野藻屑源素太皆よりも下という結果に終わってしまいましたが、どうやらノーマル系であまり個性の強くないキャラはさほど人気が上がらない傾向にあるようですね。 23位以降ともなると、山田さんとか、のりおくんとか、魚屋のおっちゃんとか、仲居とか、 もはや名前を聞いてもちっとも顔が浮かんでこないようなキャラが登場しておりまして、このランキングに名前が出てこないノリスケ君なんて、魚屋のおっちゃんよりも不人気ということになるわけですね。

 ちなみにこのサイトは、キャラクター名をクリックすると投票者のコメントが表示されるんですが、例えばサザエさんに関しては 「たらお」 というコメントが1件あるだけで、クリックするだけ無駄のような気がしないでもありません。さすがに上位ともなるとコメントの数もそれなりに増えてくるんですが、あなご君に対するコメントに 「あなごおいしい」 とあるのは、ちょっとどうかと思いますけどね。 で、とりあえず置いといた僕の立場はどうなのかというと、一押しキャラはなんと言っても花沢さんでありまして、不細工なところがなんとも言えずにキュートなんですよね。裏表もへったくれもない能天気なキャラは万人に愛されるところだし、実家が堅実な不動産業を営んでいるので、将来、経済的な点でも心配はありません。花沢さんにぞっこん惚れられているカツオは果報者と思わずにはいられませんが、6位にランクインするほど全国的にも人気が高くて、ライバルも多いようなのでなかなか油断なりませんね。 とまあそんなことで、今日は “カツオ” の話なんですが、花沢さんの彼氏ではなくて、お魚のほうのカツオです。 お魚のほうのカツオだけではとても1回分のネタを賄えないので、出来る限りサザエさんで引っ張ってみたんですが、何でもいいけど “賄 (まかな) う” という字は、ちょっぴり “鮪 (まぐろ) ” と似ていますよね。魚偏に有と書いて、鮪。 どうして魚偏に有と書いてマグロになるのかちょっと不思議なんですが、分からないことはマグロ本人…というか、本マグロに聞いてみるのがいちばん手っ取り早いと思います。もっとも本マグロというのはとても高くて、そう簡単にはお目に掛かることが出来ないので、今日のところは “マグロのまぐ郎” に聞いてみたいと思うんですが、とまあそんなことで、とりえあず ここ を読んでみて下さい。

 上から順に読んでいくと、どうして魚偏に有と書いてマグロになるのか?…という話がなかなか出てこないんですが、あ、237番になってようやくその問題が解決しました。ぼくらは魚偏に有と書いて「鮪=まぐろ」と読まれるんだけど、ぼくらの旧名「しび」とも読むの。本来はチョウザメの一種を指していたらしいんだけど、今ではぼくらマグロのことなの。何で「有」かってことだけど、何かが有るっていうんじゃなくて、「有」には「大きく囲む」っていう意味があるらしいの。「鮪」っていう字には「大きく回遊する魚」とか、「外枠の大きな魚」って意味があるんだって。ちなみに、「マグロ」っていう名前は、真黒あるいは目黒から来てるんだって。…とのことでありまして、いや、 “2ちゃんねる” でこれほど勉強になるとは思ってもいませんでした。実に素晴らしい良スレだと思いますが、今日はマグロではなくてカツオの話でありますので、先に進みましょう。 カツオはですね、漢字では鰹と書きますよね。魚偏に堅いと書いて、鰹。 どうして魚偏に堅いと書いて、カツオになるのかというのは、別にわざわざカツオの勝男クンに聞かなくても分かるんですが、でもよく考えてみると、これはちょっと変な話ですよね。カツオという魚は別にそれほど堅くはありません。刺身で食べている分には、マグロとさほど変わらないくらいの柔らかさでありまして、それはタタキにしたところで同様です。 カツオというお魚は煮ても焼いても揚げても蒸しても、さほど身が堅くなるようなことはなくて、ただ生きているカツオが、メスのカツオのカツ子ちゃんが露天風呂に入っているのを覗き見して、カラダの一部を硬くしたりすることはあるのかも知れませんが、基本的には柔らかい生き物であると言ってもいいでしょう。 ただ、そんなカツオ君が全身カチコチに硬直してしまう場面がただひとつだけあって、それはどういう時なのかというと、乾されて鰹節にされちゃった場合なんですけどね。鰹節というのはですね、堅いです。

 つまり、カツオというのは漢字が発明された時点で、鰹節にされることを余儀なくされているオサカナだと言えるわけでありまして、たとえ生きた状態で海の中にいたとしても、あ!鰹節のナマのやつが泳いでいる!…くらいにしか思われていなかったんでしょう。 ということで、今日は “鰹節” の話をしてみようと思うんですが、鰹節だけではとても1回分のネタを賄えないので、出来る限り生のカツオで引っ張ってみました。 その結果、残りのスペースがかなり少なくなってしまったので、手短に話を進めていきたいと思いますが、僕は鰹節に関して、大きな誤解をしておりました。ただのカツオを乾したやつぢゃん。…とか思って、軽く見ておりました。実際、鰹節というのは、特に削り節の状態になったものはとても軽く出来ておりまして、お歳暮として届けられた場合は手にした瞬間にガクっと落胆することになります。和菓子の場合、落雁というのが軽さのあまり落胆することになるんですが、その点、羊羹というのは好き嫌いは別にして、みっしりとした量感があって、持ち重みがして有難味があります。 鰹節というのも削られて削り節になる前の状態ならそれなりの重量があるんですが、もしかしたら今のお子様は、鰹節というのが削り節になる前は、鰹の半身の形をした堅い塊 (かたまり) であるという事を知らないかも知れませんね。お手伝いで、カンナみたいな形の道具で鰹節を削るという作業もやったことがないに違いなく、今のお子様なら間違いなく鰹節削りの刃のところで指を削って、血だらけになっちゃうことでありましょう。ちょっぴりデンジャラスですからね、アレは。

 僕は子供の頃に鰹節を削るお手伝いをしたことのある世代なんですが、常に血だらけの恐怖と隣り合わせだったし、かなりの力が必要で面倒だったし、何より作業自体が面白くもなんともなかったので、苦痛以外の何物でもありませんでした。 が、ある日、我が家にコドモ心を激しく揺さぶる新しいタイプの鰹節削り器が導入されることになったんですが、それはどういうものなのかと言うと、ハンドルぐるぐる回転方式の鰹節削り器だったんですけどね。 ハンドルをぐるぐる回すという行為はコドモ心にも実に楽しいものでありまして、以来、僕は鰹節削りのお手伝いを率先して引き受けるという、とっても感心な子供へと変貌を遂げたのでありました。ま、3日で飽きちゃいましたけど。 ちなみに当時の僕の夢は、大人になったら 「新婚さん、いらっしゃい」 に出場して、ヤマキの鰹パックを貰う!…というものだったんですが、それはそうと鰹節というのは、ただのカツオを乾したやつぢゃん。…というような単純なものではなかったんですね。 ただカツオを乾しただけでは鰹節にはならず、 “生節” 、もしくは “なまり節” と呼ばれるものになるようですが、いや、アレはいけません。何だかこう、水にふやけた鰹節でも齧っているような、あるいは生のカツオが古くなって水気が抜けてパサパサになっちゃったような、何とも中途半端な感じのするところがよくなくて、ナマで食うならナマ、乾すのならカピカピになるまで徹底的に乾す。どっちにするか、はっきりせえ!…と、文句のひとつも言いたくなってしまいますが、オメエはよぉ、どっちつかずなんだよぉ!

 文句を言われた生節としては何とも面白くないわけですが、彼は拗ねたり、グレたりした挙句に、プイと家を飛び出してしまったそうです。 いや、生節の反骨心を刺激してもっと強いオトコになってもらうべく、敢えてキツイ言葉で罵ってみたんですが、逆効果でありましたか。もっと骨のあるヤツだと思っていたんですが、とんだ見込み違いでありましたなぁ。 ま、

  1.カツオを解体する。頭部、内臓を取り除き、三枚におろして形を整える。
  2.これを籠に入れて、釜で100分前後煮る。慎重な温度管理を要する。
  3.取り出したカツオのうろこをはぎ、脂肪や骨の除去を行う。ここまでが済んだものを生節または生利節と言う。


 …という工程の3つめのところで骨を除去されているので、生節に骨が無いのは当然なのかも知れませんけどね。 で、この説明からすると、生節というのは乾されてすらいないという事になってしまいますが、3の工程に続いて軽く乾燥させたようなものも、まだ幾分ナマナマしい状態を保っているようであれば、生節と呼んでも差し支えないと思います。 で、家を出てしまった生節でありますが、彼にもまだ武士としての誇りは残されておりました。家出して、不純異性交遊に耽ったり、シンナーを吸ったり、ゲームセンターの前にウンコ座りしたりして、無駄な日々を過ごしているのかと思ったらそうではなくて、自分を馬鹿にした奴らをいつか見返してやりたいという思いで、山にこもって修行していたんだそうでありまして、いや、うろこをはがれて、脂肪や骨の除去されても、尚、反骨精神だけは失っていなかったんですな。大したものです。 ちなみに生節は山にこもって何をしていたのかと言うと、滝に打たれたり、ほら貝を吹いたり、あるいは断食・水絶ち・抖そう・南蛮いぶしなどの厳しい修行にも励んでいたようです。もしかしてそれは生節ではなく、山伏なのではないのか?…という気がしないでもないんですが、この “南蛮いぶし” というのが生節にいい効果をもたらしたようです。これは密室に火鉢を持ち込んで、籾殻やドクダミなどを焚いて部屋を煙で充満させるという修行のようですが、これによって生節はいい感じに燻製になって、

  4.薫蒸して乾燥させる。ナラやシイなどの木を用いる。必要に応じて幾度か繰り返す。この行程を終えた物が「荒節」である。

 …という工程が考え出されることになるんですよね。 ここまで来てもまだ鰹節ということにはならないんですが、では荒節を鰹節にするにはどうすればいいのかと言うと、

  5.表面を削って汚れを除いてから、水分を落とし、天日干しで乾燥させる。その後閉め切った室に入れ、カビを自然繁殖させる。このカビはコウジカビの1種である。
  6.カビが繁殖したらこれを削り落とし、5の行程を繰り返す。
  7.行程5→6の繰り返しで、最終的に水分が失われて木材のように硬くなり、カビも付かなくなる。重量は加工前のカツオの20%以下となり、枯節の完成となる。


 …という仕上げの作業が必要になるんですが、なるほど、カツオをカピカピにするポイントはカビにあったわけなんですな。天日で干して外側から乾かすだけでなく、カビの繁殖には多量の水が必要なことを利用して、内側からも水分を吸い出しちゃうという。おかげで、あれほどまで堅い鰹節が出来るわけでありますが、世界一堅い食べ物らしいですからね、鰹節。 ちなみに、世界で2番目に堅いのが中国の乾鮑で、3番目がどっかの乾肉なんだそうですが、鰹節は乾鮑より段違いに堅いんだそうで。 海綿体の硬化不足に悩んでいる人は、一度 “カビ付け” というのを試してみたらいいのではないか?…と思うんですが、ま、カピカピになって大きさそのものは小さくなっちゃうというリスクと表裏一体であるんですけど。 世の中、ただ堅ければエエちゅうもんでもないと言えるかも知れませんが、事実、関西ではカビ付けをした枯節より、その前段階の荒節のほうが好まれるんだそうです。 ちなみに “花かつお” というのは荒節を削ったものなんだそうでありまして、なるほど、まだ完全にカピカピになってないカビ付け前の柔らかいカツオを削っているので、一片が大きくてヒラヒラの “花かつお” が出来るわけなんですな。 子供の頃、鰹節削りのお手伝いを欠かさない感心な少年だった僕は、どうして “花かつお” みたいにヒラヒラにならずに、粉々の削り節になっちゃうんだろう?…と思い悩んでいたんですが、枯節を削っていたのだから、それも当然だったわけです。

 花沢花子さんの将来の夢はカツオを婿養子に迎えて、花沢不動産の跡継ぎにすることですよね。 もしその夢が実現すれば、カツオくんは “花沢カツオ” となるわけです。 何となく “花かつお” のようないい味が出るような気するんですが、とまあそんなことで、鰹節には普通の鰹節の他に、ソーダガツオから作った “宗田節” というのもあるそうだ。…という事を付け加えておいて、今日のところはおしまい。

 ということで、今日はエリック・クロスなんですが、いや、ソーダガツオというのはてっきり炭酸系のカツオだとばかり思っていたんですが、こういう字を書くカツオだったんですな。宗田鰹には丸ソーダと平ソーダの2つの種類があるそうですが、丸ソーダは体の形が丸そうだ。平ソーダのほうは平そうだ。…という気がしますよね。ソーダガツオは血合いが多く、生食すると中毒をおこすこともあるようなので、ソーダ村の村長さんがソーダガツオ食って、死んだそうだ。…という事態が考えられないでもありません。何せ、ソーダ飲んだくらいで死んじゃうような虚弱体質みたいですからね。 もっとも、一口にソーダと言ってもメロンソーダとかでなく、青酸ソーダという場合も考えられるので、一概にソーダ村の村長の虚弱性を責めることは出来ないんですが、ちなみにその昔、 総田村 (そうだむら) という名前の村が実際にあったみたいですけど。 とまあそんなことで今日はエリック・クロスなんですが、好きな調味料は黒酢。…ということ以外、あまり詳しいことはよく分かっていないサックス奏者であります。仕方が無いのでちょっと調べてみたいと思うんですが、えーと、1949年4月3日ペンシルバニア州ピッツバーグ生まれ。病院のミスによる保温器の酸素過多により視神経を破壊され、生後まもなく全盲となった。…とのことでありますが、なるほど、それでいつも黒いサングラスをかけているわけでありますな。サングラスと口に咥えた煙草のパイプ、それに、べちゃーとポマードで撫で付けたようなヘアースタイルがとっても変なんですが、目が不自由ということなら仕方がありません。自分の姿を鏡で見て、ヘンだと自覚することが出来ないわけですからね。惜しむらくは周囲の人間で、誰か忠告してくれるような人はいなかったのか?…ということなんですが、とりあえずその問題は置いといて、初めはピアノを習う。10歳の時テナー・サックスに転じ、上達が早く1年ほどで 「クロフォード・グリル」 等から出演を依頼され演奏している。レニー・トリスターノやソニー・スティットと共演。13歳頃にはボビー・ネギ・トリオのソロイストとしてフィーチャーされ、スリー・リバー・ジャズ祭に出演し絶賛される。 (中略) 66年、16歳で初リーダー・アルバムをプレステッジに録音、翌年までに5枚のアルバムをリリースしている。ピッツバーグのデュケスニー大学在学中の70年までに、リーダー作は10枚を数えた。…という経歴の持ち主であるようですね。 ま、簡単に言ってしまえば、早熟でネギが好きな青少年ということになりましょうか。美味しいですからね、ネギ。 僕は13歳の頃はあまりネギが好きではない少年でありまして、16歳になってもその傾向に特に変わりはなかったんですが、大人になって急にネギ好きに転向したんですよね。ネギマとか、ネギ焼きとか、ネギラーメンとか、禰宜さんをねぎらうにはやっぱりネギだよね。…と思うわけですが、とまあそんなことで、今日は 『スカイ・シャドウズ』 というアルバムを紹介したいと思います。

 僕の持っている輸入版CDはこの 『スカイ・シャドウズ』『イン・ザ・ランド・オブ・ザ・ジャイアンツ』 という2枚のアルバムが “2 in 1” になっていてとってもお得なんですが、僕は 『イン・ザ・ランド・うんぬん』 のほうは既に日本盤のCDを持っているので、あまり有り難みはありません。ちなみにその作品はこのコーナーでも紹介したことがあるんですが、えーと…、 ここ ですな。読み返してみたら、エリック・クロスは黒酢が好きっ♪ みたいなことが書いてあって、あの頃からまったく進歩していない自分がちょっぴり可愛くもあるんですが、輸入盤CDは “2 in 1” になった関係で、ジャケットのデザインがかなり胡散臭いものとなっているんですよね。 仕方がないのでオリジナルと思しきジャケットの写真をネットで調べてプリンタに出力することにしたんですが、しかし何ですな。いつも本物の真似をして絵を書いている僕って、 和田義彦クンの同類?…という気がしないでもないですよね。でもまあ、同じモチーフで製作しただけで、プロが見れば作品の違いはわかるはずなので、まったく問題はないと思いますが、とまあそんなことで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 まず最初は 「イン・ア・カントリー・ソウル・ガーデン」 という曲です。 日本語にすると 「国の魂ガーデンの中で」 と言ったところですかね? いいですよね、 “魂ガーデン” 。 少なくとも “タムシでんねん。” よりはマシ?…という気がするんですが、クロスのアルトとパット・マルティーノのギターとのユニゾンで演奏されるテーマは、微妙にソウルフルで、ちょっぴり庭。…という気がしないでもありません。原文ライナーを見ると、F-G で、flat-E、flat-B で、9/4 フィーリングがどうのこうの。 と、何やらクソ難しいことが書いてありますが、とにかくまあ、庭です。どういう庭なのかと言うと、僧がルンルンするようなソウルな庭であるわけですが、でもって、ソロ先発はエリック・クロスのアルトでありますか。 この人のスタイルを一言で表現するのはなかなか難しいので、二言で説明してみようと思うんですが、新主流派風にして、新しい主流の派っぽい。…ということになりましょうか? 二言で説明してみて、こんなことなら一言で十分だったという事に気付いたんですが、新主流派というのも曖昧で分かりにくい概念ではあるんですけどね。 パーカー直系のハード・バップよりも新しく、フリーほど無茶ではない。…というスタイルを引っくるめてこう呼んだりするんですが、ここでのクロスはあれです。モーダルのようでもあり、ちょっぴりファンキーな香りが無いわけでもなくて、とにかくまあ表現しにくいプレイを展開しているので話を先に進めますが、ソロ2番手はパット・マルティーノのギターですかい。この人の演奏もなかなか説明しにくいものがあるんですが、ま、完璧なテクニック、独特の透明感のあるコードワークなど、コンテンポラリー・ジャズのカリスマ的存在。 (文:CDジャーナル) …といったところでしょうか。 ここでの彼はシングル・トーンを中心にしたホーン・ライクなプレイを展開しているんですが、終盤に入ると独特の透明感のあるコードワークも出してきたりして、なかなか個性的な世界を演出しております。さすがは “世界3大パット” に名を連ねているだけのことはあるんですが、ちなみに残る2人はパット・メセニーと、パッとサイデリアなんですけどね。肩パッドと乳パッドはパットではなくてパッドなので、この中には入っておりません。

 で、ソロ3番手はジャキ・バイアードなんですが、この人はアレですよね。ラグタイムからフリーまで、あらゆるスタイルのジャズ・ピアノを弾くことが出来るキャラとして世間では知られております。ただ、顔があまりキュートではないので、ギャルの間での評判はあまり芳しくないんですが、ここでは教会音楽風のソウルを感じさせるコーダルなプレイを展開しておりまして、顔はともかく、演奏そのものはそれほど悪くはないと思うんですけどね。とまあそんなことで、テーマに戻って、おしまい。 で、続いてはアルバム・タイトル曲の 「スカイ・シャドウズ」 でありますか。パット・マルティーノのオリジナルなんですが、ウエイン・ショーターあたりが書きそうな、モーダルな雰囲気を持ったなかなか優れた作品だと思います。パットのマルちゃんは作曲の才能に関してもなかなか秀でたものがあるようですが、ちなみに僕の家は小学5年生の時に火ぃ出たものがあって、火事で丸焼けになっちゃったんですけど。 で、作曲者の特権としてマルティーノがまず最初にソロを取ることになるんですが、マルティーノの演奏には可愛げというものがないので、マルチーズ好きのギャルとかにはあまりウケがよくないかも知れません。でもまあ、マルチン・ルターの宗教改革好きのおじさん達からはそれなりに支持されているようで、バックのリズムを超越したような爆裂的なフレーズの連発は、なかなかスリルがあって悪くありません。 で、ジャック・ディジョネットが叩き出すビートからは自然薯のような粘りが感じられ、新しい時代の息吹を感じ取ることが出来るんですが、でもって、続いてのソロはクロス君でありますか。

 ここでのクロスはテナーを吹いているんですが、この楽器を持った時の彼は、モーダルなムードがより一層高まるような感じがありますよね。コルトレーンのような、もしくはショーターのような吹きっぷりが新主流派好きの耳には心地よくて、ソロの後半はかなりフリーっぽくなったりのするんですが、概して素晴らしい出来であるな。…と称賛してもいいのではないかという気がしないでもありません。 で、続くジャキ・バイアードのソロはですね、かなり前衛です。彼の前世は衛生車の運転手だったんじゃないか?…と思ってしまうほど前衛的でありまして、聴いているほうとしてはかなり苦痛だったりもするんですが、それに耐えてこそ、人間として一回り大きくなれるわけですからね。ここはひとつ、修行だと思って我慢するしかありませんが、続いてはボブ・クランショウのベース・ソロでありますか。これまたかなりの忍耐力を必要とするパートでありますが、ここをクリアしてもまだまだ試練は続きます。タイコのおじさんの出番です。ドラムのソロというのは派手な分だけベースよりもマシなような気がするんですが、ただ喧しいだけという気がしないでもなくて、ちなみにここでのディジョネットはソロの前半、かなり間を感じさせるプレイを展開しておりまして、それはそれでまたツライものがあったりするんですけどね。 で、その後、リズム抜きでテナーとギターとピアノの3人が前衛的に絡み合うパートがあって演奏は最高潮にワケがわからなくなって、最後の最後でテーマに戻って、ようやく人間らしい生活が送れるような気分になったところで、おしまい。 13分16秒に及ぶ長い演奏の中で、人生のいろいろな局面を体験することが出来る素晴らしい大作なのでありました。

 3曲目、 「ザ・ガール・ウィズ・ザ・フォール・イン・ハー・ヘア」 。 以下3曲、クロス君のオリジナルが続くことになるんですが、 “翻訳これ一本” というソフトでタイトルを訳してみたところ、 「彼女の毛における低下を持つ少女」 という結果が出ました。意味不明ですね。意味不明ではありますが、曲そのものの出来は悪くなくて、アルト・サックスの無伴奏ソロ→リズムが入って→アルトとギターのユニゾン…という順番で演奏されるテーマ部はとってもキャッチーなメロディを持っております。 で、ソロ先発はエリック・クロスなんですが、前半、バップっぽいフレーズが聞かれたかと思ったら、途中、流れるような反復リピートの繰り返しで興奮の度合いを高めるという手法も効果的に用いられたりして、全体的にスリリングで、ドライビングで、エキサイティングな淫具好き。…といった感じの演奏が展開されております。自由奔放なスタイルで大いに盛り上がったところでマルティーノ君の登場となって、ここで急にガクンと気分が落ち込むことになるんですが、狙ってなのか、わざとなのか、嫌がらせなのか、ソロの出だしの部分がむっちゃテンション低いんですよね。張り詰めていた膀胱が立ちションによって緩むように、緊張の糸がプツンと切れてしまったような感じなんですが、一度、底まで落としておいて、そこから再び這い上がる。そんなV字回復をマルティーノは意図しているのかも知れません。 が、結果的には完全に回復しきれないうちにジャキ・バイアードにソロのバトンを渡すことになるんですが、それはそうと僕は最近、かなり便所が近くなったような気がするんですよね。特に昼休み前後に頻尿になることが多くて、飯を食べに行く前に便所に行ったばかりなのに、食事から帰ってまたすぐに便所に行きたくなってしまうんですよね。尿間隔わずか1時間足らずなんですが、外に出ていて立ちションを余儀無くされるような環境ではそれほどでもないんですけど。朝の9時から昼の14時まで、5時間も頑張ったことがありますからね。 思うに、便所が近くにある時は膀胱も安心して締まりが緩くなっちゃうんだと思いますが、時間的な便所の近さは物理的な便所の近さに比例すると言えるわけで、僕はこれを “便所の法則” と名付け、今度の学会で発表しようと思っているんですが、それはそうとここでのバイアードのソロは演奏の盛り上げに大きく寄与しておりまして、最終的にV字回復を実現したところで、テーマに戻って、おしまい。

 続いては4曲目です。 「アイル・ギブ・ユー・エヴリシング」 です。これはですね、バラードです。僕は君にすべてを与える。もう、お昼の中華ランチの酢豚だって与えちゃうんだもんね。…という、熱い愛のメッセージが感じられるんですが、美味しいですよね、酢豚。 僕は酢豚が大好きなので、もし一緒にお昼を食べているギャルから 「その酢豚、欲しいのぉ♪」 と言われたりしても、 「やだ。」 と断ることになると思うんですが、豚肉はもちろんのこと、パイナップルの一切れだってあげません。ただ、中華ランチのおかずが酢豚ではなくて八宝菜だったりしたら、椎茸の一切れくらいはあげてもいいかな?…という気がするんですが、僕は椎茸があまり好きではないので、一切れと言わず、中に入っているのを全部あげちゃってもいいです。そのことによって八宝菜が七宝菜になってしまってもぜんぜん気にしないほど、僕の愛は奥が深いわけでありますが、酢豚すら与えてしまうエリック・クロスの愛も負けてはおりません。無伴奏ギターのイントロ→テナーとギターとベースによるテーマ演奏→ドラムスが入って→しみじみ。…という流れが実に素晴らしく、アドリブに入ってからもクロスのテナーとディジョネットのブラッシュ・ワークが何とも言えず絶妙で、巧妙で、神妙にして外様大名でありますな。外様だけに神妙にしているというのは保身の上でとても大切だと思いますが、続くマルティーノのソロも変にテクニックに走ったりしないところが神妙だと思います。 その後、少しテンポが早くなってギターとテナーの絡みがあって、最後にまたゆったりした速度に戻ってテーマの再現があって、おしまい。いやあ、愛は深いですなー。

 で、アルバムの最後を飾るのは 「ジャニュアリーズ・チャイルド」 でありますか。 「1月の子供」 というのはいいですよね。お年玉を貰ったばかりでリッチなのでカツアゲのしがいがあるというものですが、これがもし 「12月末の子供」 だったりしたらクリスマス・プレゼントに貰ったムシキングのカードとかを物納させるしかないので、換金する手間だけ余分です。マンディブラリスフタマタクワガタとかだったらいい値段が付くでしょうが、カメムシとかだったら二束三文ですからね。いや、そんなカードがあるかどうかはよく知らんのですけど。 が、この曲は1月の子供だからそんな心配はないわけでありまして、もっとも1月も半ばを過ぎると、せっかくのお年玉もムシキングカードに化けている可能性がかなり高くなるんですけどね。 で、この曲はアレです。ワルツ・テンポのラブリーな作品に仕上がっておりまして、アルトとギターのユニゾンで演奏されるテーマ部は小金を溜め込んだ喜びに満ち溢れております。これだけ小金を溜め込んだらコガネムシのカードでも買うしかないんですが、ソロ先発はクロス君でありますな。曲調がオーソドックスなだけにアドリブも何だかハード・バップ風で、安心して楽しめる仕上がり具合となっております。後半の熱っぽい盛り上がりはソニー・クリスがちょっぴりフリーキーになった感じでありまして、で、ソロ2番手のジャキ・バイアードもやや意味不明ながら無難に手堅くまとめていて、最後のマルティーノのソロもまずまずです。ということでテーマに戻って、今日のところはおしまい。

【総合評価】

 よい出来です。新主流派が好きな人であれば、間違いなく楽しめるでしょう。 “2 in 1” のもう1枚、 『イン・ザ・ランド・オブ・ザ・ジャイアンツ』 のほうはマルティーノ抜きのブッカー・アーヴィン入りという濃ゆい編成で 「サマータイム」 とか 「ソー・ホワット」 なんかをやっていて興味深い内容となっております。 オリジナルのフォーマットに何のこだわりもない人なら迷わず輸入盤CDを選びましょう。


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