THIS IS NEW (RIVERSIDE)

KENNY DREW (1957/3/28,4/3)

THIS IS NEW


【パーソネル】

DONALD BYRD (tp) KENNY DREW (p) WILBUR WARE (b) J.T.HOGAN (ds)
HANK MOBLEY (ts) <#1-3>

【収録曲】

THIS IS NEW / CAROL / IT'S YOU OR NO ONE
YOU'RE MY THRILL / LITTLE T / PAUL'S PAL / WHY DO I LOVE YOU?

【解説】

  “雷鳥の里” は少し前に出すぎなんぢゃないか?…という話を最近よく耳にします。 “雷鳥の里” というのは何かと言うと、長野を代表する銘菓であるわけなんですが、ま、詳しいことは ここ を見て貰うとして。それにしてもこの菓子だけは、本当にどこでもよく見かけますよね。長野県内全域のみならず、近隣の新潟や富山、岐阜県の飛騨地方に至るまで、雷鳥が棲息していたとしても別に不思議じゃねーよな。…と思われるエリアの土産屋では必ずと言っていいほど売られておりまして、しかも必ず試食が出来るようになっているんですよね。こうも試食品が出回っているということは、よほど商品に自信があるのか、あるいは不良在庫の処分に困っているかのどちらかではないかと思われるわけですが、こうも頻繁に各地の土産物屋で見かけると、もうエエって!…という気分になっちゃうんですよね。 “雷鳥の里” の試食品を目にするたびに、食わなくても分かるって!…と思いつつ、ついつい食べてしまう自分がちょっぴり可愛いな♪…という気もするんですが、いや、食ったら食ったで、やっぱりこの味かいっ!…という感想しか浮かんでこないわけなので、だったら食わなきゃいいようなものなんですけどねぇ。。。

 いや、 “雷鳥の里” というお菓子自体はけっこう美味しいものだと思うんですけどね。やや歯応えのある硬めの の部分と、中にサンドされたクリームのしっとり感とが絶妙のハーモニーを醸し出しておりまして、ま、1度に10枚くらい食べるとちょっぴり気持ち悪くなる嫌いが無きにしもあらずなんですが、それは1度に10枚も食べちゃうほうの姿勢に問題があるわけでして、“雷鳥の里” 自身にはまったく何の罪もありません。が、 「出る杭は打たれる」 という諺もあるように、あまりにも露出の度合いが頻繁になってくると、“やっかみ” を覚える人も出てくるわけでありまして、事実、文鳥あたりが、「雷鳥のくせに生意気や。」…などと陰口を言ってるのを聞いた人もいるようです。若の里がいつまでたっても大関になれなにのは、“雷鳥の里”のせいや!…などと言い出す相撲評論家もいたりして、いや、それはあくまでも本人の性格や資質の問題であって、“雷鳥の里”にしてみれば濡れ衣以外の何物でもないような気がするんですが、いや、あまり前に出すぎると陰で何を言われるか分かったものではありませんなぁ。。。

 かく言う僕も、1年ほど前まではけっこう “雷鳥の里” を買って、よろこんで食べたりしていたんですが、最近では何だか意味もなく反感を覚えるようになってしまって、試食品に手を出すだけ出して、結局は買わないという、そういう冷淡な態度を取るようになってしまいました。先日も試供品を食うだけ食って、えーい、“雷鳥の里”ではなくて、 “雷鳥のたまご” を買ってやるぅ!…という、ステバチな気分になって、実際に “雷鳥のたまご” のほうを買ってしまったんですが、いや、昔から気にはなっていたんですよね。で、 『おやつのじかん』 のネタにいいかな?…と思って購入に踏み切った次第でありますが、他に書くネタがなかったので、こうして “jazz giant” のほうに転用しているわけなんですけどね。 “雷鳥の里” のほうもまったく同じ理由によってジャズのコーナーに掲載してしまったんですが、これでもう、おやつのコーナーは事実上消滅してしまたっと判断してもよろしいのではなかろうかと。 とまあそれはそうと “雷鳥のたまご” でありますが、僕はずっと、 “雷鳥の里” の姉妹品なのか?…と思っていたんですが、どうやら販売元は違うようなので、 “里” のほうとはむしろライバル関係にあるようですな。 で、“雷鳥のたまご” というのはいったい誰が作ったのかというと、おそらく雷鳥パパと雷鳥ママが、「誰も見てないからいいだろ?」「ああん、こんな山の中でぇ♪」…などといいつつ製作に励んだのではないかと思われるわけですが、あまり美味しくなかったら嫌だな。…という心配もあったので、安全策を取っていちばん小さな4個入りのを買っておきました。箱の外観は “雷鳥の里” 同様、やや和風テイストで地味でありますな。あまりギャル受けしないパッケージであると言えますが、箱を開けると中からは卵パック状のプラスチックケースが出てまいりまして、こういうところはいかにも、タマゴぢゃん♪…と言った感じで、何だか嬉しくなっちゃいますね。もっとも、パックを開けると中からはごく普通の饅頭みたいなものが出てくるだけなので、ここのところはやや工夫が必要かな?…という気がしないでもないんですけど。

雷鳥のたまごっ♪

 …と思いつつ個別包装を開けてみるとですね、おおっ、これは見事にタマゴではありませんかぁ。雷鳥のタマゴというのが一体どういうタマゴであるのか、鳥類にあまり詳しくない僕はあまりよくわからんのですが、これは間違いなく雷鳥のタマゴの形であるっ!…と力強く断言されれば、そうかも知れないね。…と納得せざるを得ないほど、雷鳥のタマゴのような形をしております。表面の色は純白ではなくて、おでんに入っているタマゴのように、何だかよくダシがしみ込んだ感じの色合いになっているところが何とも美味しそうでありますなぁ。で、このお菓子はおそらく、“洋風まんじゅう”のようなものなのではないか?…と踏んでいたんですが、その予想は当たっていたようでもあり、ちょっぴり間違っていたようでもあり。いや、思っていたよりも20%ほど、“洋風寄り”の仕上がりとなっておりましたな。タマゴの殻に当たる部分がホワイトチョコ風で、白身の部分がカステラ風、でもって、黄身のところがアンコっぽい感じでありましょうか? 一口食べて、けっこう美味しいぢゃん。…と思ってしまいましたね。いや、2個目以降は新鮮味が薄れて、ま、それほどでもないかな?…という気もしたんですが、いずれにせよ、ちっとも “里” の形をしていない “雷鳥の里” に比べ、形がタマゴになっているだけでも創意工夫が窺われると評価していいと思いますね。

 で、最近、この “雷鳥シリーズ” に新しい顔のニューフェースが登場しました。いや、もしかしたら僕が知らなかっただけで昔からあったのかも知れませんが、 “白い雷鳥” というのがソレなんですけどね。僕がこのお菓子に初めて遭遇したのは長野道の梓川SAだったんですが、雷鳥コーナーの一角に試食品付きで陳列されておりました。 “白い雷鳥” だけに色は白くて、大きさとしてはアーモンドを一回り大きくしたくらいですかね?ぱっと見た感じは今ひとつ地味だったので、何ぢゃこんなもの。…と、さして期待もせずに食べてみたんですが、いや、これが意外と美味しいんですよね。どういうものなのかと言うと、要するにアーモンドをミルクで包んだようなものなんですが、甘さと香ばしさのハーモニーが絶妙の調和って感じぃ? すぐに僕は一目惚れ…というか、一口惚れしてしまったわけなんですが、その存在に気付いた時は既に買い物を済ませて支払いも終えた後でありましたので、購入はまあ、次の機会にすることにしたんですけどね。

 そして先日、ついにそのチャンスがやってまいりました。スキーの帰りに梓川SAに立ち寄って、いよいよ “白い雷鳥” を購入…ということになったんですが、僕がお店に入った時、ちょうどタイミング悪く、雷鳥コーナーの前にはオッサンとオバハンがたむろしているところでありまして。しかも更に悪いことに、こともあろうにオバハンのほうが “白い雷鳥” を試食したりしているんですよね。いや、これはちょっとマズいことになりましたなぁ。試食しているオバハンの横で、まさしくその商品に手を伸ばしてその商品を買うというのはかなり勇気がいりますよね。もしそのオバハンが試食の結果、「なーに、こんなものぉ。こんなの買う人の顔が見たいわねぇ。」…という感想を持つに至った場合、僕は “こんなの買う人” …の代表として、オバハンから奇異の眼差しでじろじろと顔を見られることになるだろうし、逆に彼女が 「けっこう美味しいぢゃなーい。」…と思ってしまったとすると、僕はこのオバハンと心が通じ合ったということになって、それはそれで何だか不愉快ですしね。仕方なく僕は、こんなものにはまったく何の関心もないね。…といった風を装って雷鳥コーナーの前を素通りして、地域限定キティちゃんコーナーをチェックするふりをしながら彼女の様子を窺っていたんですが、結局のところこのオバハンは試食だけしてそのまま去っていってしまったので、どうやら前者の感想を持つに至ったようなんですけどね。僕は彼女の姿が完全に見えなくなるのを確認してから、こっそりとかごの中に “白い雷鳥” を入れた次第でありますが、いや、そうして手に入れた雷鳥ちゃんはとっても美味でありました。

白い雷鳥っ♪

 かくしてこのお菓子は僕のお気に入りのひとつになった次第でありますが、ただ一点、ちょっと心配なことがあるんですよね。それは何かというと、夏になったらどうするねん!?…ということなんですが、春先くらいまでなら “白い雷鳥” でも別に問題はないんですが、雷鳥が夏毛になっちゃったらどうするつもりなんでしょうね? それならそれでミルクの替わりにチョコレートで包んで、 “茶色っぽい雷鳥” という名前にすればいいんぢゃないか?…という意見もあるでしょうが、アーモンドチョコという発想はあまりにもありふれております。ここはひとつ、1年を通して白いままでいられるような名前に変えるべきではないか?…と思うんですが、 “雷鳥の里” 、 “雷鳥のたまご” と来たわけなので、どうせなら “雷鳥の○○○” というネーミングにしたいような気もしますしね。で、その大きさや形状などからいろいろと検討してみた結果、僕の出した結論は、 “雷鳥のうんこ” というのはどうか?…というアイデアなんですけどね。それはあまりにも小学生じみた発想ではないか?…とか、白いのにウンコというのはちょっと無理があるんぢゃないか?…とか、いろいろと反対意見もあろうかとは思いますが、小学生うんぬんのほうはともかくとして、白いウンコのほうにはちゃんと論理的な反論も用意してあります。鳥のウンコが白いというのはクルマのボンネットやフロントガラスに投下されたハトの糞を見れば明らかでありまして、いや、どうして鳥のウンコが白いのかというのは専門家ではない僕には今ひとつよくわからんのですが、ま、おそらくバリウムを飲んだからではないかと思うんですけどね。ということで、色の問題についてはこれで解決。ま、色のほうはそれでいいとして、じゃ、どうして白いウンコの中にアーモンドが入っているのだ?…というと、こちらのほうも大丈夫です。雷鳥がアーモンドを丸飲みしたったのが消化されずにそのまま出てきちゃったんですよね。人間でもコーンを食べた翌日とかに、そういうことはあよくあります。つまりまあ、 雷鳥のうんこ” いうのは、人間ドッグ…というか、雷鳥ドッグを受ける前に雷鳥がアーモンドを丸飲みして、で、バリウムを飲まされた挙句に生成されたブツであるということが言えるわけでありますが、そう考えるとこの御菓子がよりいっそう美味しく思えるように…ならねーよ!!

 ということで今日はケニー・ドリューでありますが、あ、 “白い雷鳥” の関係者の皆さま、イメージの悪くなるようなことを書いて、どうも申し訳ございません。愛するが故の戯言だと思って大目に見ていただきたいと思いますが、何せ、ウンコねたと言うのは “黒うんこ女問題” といい、 “第五善幸丸問題” といい、とかくクレームが付きがちですからねぇ。 “白い雷鳥” はとっても美味しいから、みんなにもオススメなのぉ♪…と、ぎゃる風の口調でとりあえずフォローしておいて、さて今回は 『ディス・イズ・ニュー』 でありますな。えーと、このアルバムはですね、ジャケットが地味です。リバーサイド盤はジャケ・センスがいいよね。…というイメージがあるんですが、初期のものはそうでもなくて、たまーにこういうパッとしないのもあるんですよね。しかし、これはいったい何なんすかね? ま、図柄としては、タマゴが割れて中から植物が出てきたところでないかと思うんですが、植物と言うのはタマゴから生まれるものなんだねっ。…という誤った知識を子供たちに与えかねません。それでなくても最近は子供の理科離れが問題になっておりまして、小学4年生の4割が天動説を信じているという調査結果もあるみたいですからね。お魚は “ひらき” の格好で泳いでいると思っている小学生もいるようだし、お刺身はやっぱり “女体盛り” だよねっ♪…なんてことを言う幼稚園児までいるようですが、いや、最後の例はあまり理科離れとは関係がないんですけど。で、念のために言っておきますが、タマゴから植物は生まれませんよね。生まれてくるのは雷鳥だと思います。

 ということで、まずは1曲目なんですが、アルバム・タイトル曲の 「ディス・イズ・ニュー」 でありますか。いや、これは新しいですなぁ。…という意味なのではないかと思うんですが、曲自体はごくオーソドックスな歌物ナンバーであります。オーソドックスではありますが、これがまた、なかなかいい曲なんですよね。オーソドックスなルーズソックスと同じくらい、いいんじゃないですかね?いや、さすがに最近はルーズソックスもあまり見かけなくなっちゃいましたけどね。では一体、女子高生たちはどのような靴下を履いているのかというとですね、よくわかりません。冬場の女子高生というのは大抵、スカートの下にジャージを着用して“けった”を漕いでいたりしておりますので、足元までよく見えんのですよね。そんな格好をしたら、ちっともパンツが見えないぢゃないか!…と憤りを覚えている人も少なくないと思いますが、個人的にあのファッションセンスはそれほど嫌いではありません。パンツが見えてこその女子高生やろ!?…という偏った見方から脱却できるほど、僕もオトナになったということでございましょう。で、 「ディス・イズ・ニュー」 でありますが、何となくファンキーなムードも感じられるので、ドリューのオリジナルなのか?…と思っていたんですが、ガーシュイン・ナンバーだったんですな。言われてみればなんとなく、いかにもミュージカル的な華やかさがあるような気がするんですが、演奏のほうはアレですね。テナーとトランペットのユニゾンでイントロが演奏された後、2管のハーモニーによってテーマが提示されることになります。ハモったり、ユニゾったりしているのはドナルド・バードハンク・モブレイでありますな。リバーサイド盤にしては何だかいやにブルーノートなサイドマンを起用したものでありますが、とにかくまあ、典型的なハード・バップのイディオムでテーマが演奏された後、ソロの先発はドナルド・バードでありますかぁ。

 えー、このアルバムに関しては以前、 『my こんぴ』 のほうで取り上げておりますので、場合によってはそれを引用してお茶を濁しておこうか?…と思ったんですが、読み返してみたらあまりにも内容がなくてアホらしかったので、そちらのほうはなかったことにしておこうと思います。いやあ、若さゆえの過ちというか、若鯱家のコマネチというか、昔の僕ってつまらないことを書いていたんですな。いや、それは今でも同じだとは思いますが、ソロ先発のドナルド・バードはですね、なかなかいいですね。流れるようなフレージングが相撲甚句と同じくらい、いいと思います。いいですからねぇ、相撲甚句は。で、続いてはモブレイのソロですね。この人のプレイはですね、茫洋とした味わいがいいですよね。 “ハダカ天国” の紅葉パラダイスと同じくらい、茫洋としていると思います。で、ソロ3番手がドリューのピアノであるわけですが、この人はやはり、リバーサイド時代がいちばんハード・バピッシュでありますなぁ。ドっリューはリバーサイド♪…と、井上陽水も歌っておりましたが、パウエルの語法を彼なりに消化したスタイルは、この時代になって確立したと言えるでありましょう。BN盤の 『ケニー・ドリュー・トリオ』 の頃はまだ消化不良で、ウンコにパウエルがそのまま出てきたような感じでしたからね。ということで、テーマに戻って、おしまい。

 続いては2曲目の 「キャロル」 でありますが、いや、1曲目は演奏を聴かずに記憶だけで解説を書いたので、まったく何の解説にもなっていませんでしたね。しかたなく、家に帰って改めて演奏を聴きなおしているところでありますが、いや、ドリューのソロがよかったですね。で、ピアノのソロに続いてベースのウォーキング・ソロがあって、 tpdstsds の4バースがあって、テーマに戻って、おしまい。…という構成になっておりました。いやあ、完璧なまでにハード・バップでありますなぁ。…といった感じの名セッションでありましたな。で、続いて2曲目の 「キャロル」 でありますが、これはアレです。ドリューのオリジナル・バラードです。バードの吹くメイン・テーマにモブレイがカウンター・メロディを付ける形でテーマ部が演奏されるんですが、いや、カウンター・メロディというのがどういう意味なのか正確には理解出来ていないんですが、一度、使ってみたかったんですよね。ようするに、 “「タラちゃん、ようするに」の心理” でありますが、 「タラちゃん、ようするに」 というのはですね、 「ようするに」 という言葉を覚えたタラちゃんが、「ようするにですねー。」というフレーズを連発して、「なーにが、 “ようするに” だ。子供の癖に生意気だぞ!」と言われて、泣く。…という、そういうお話なんですけどね。…という話を前にもどこかに書いたことがあるよな。…と思ってちょっと調べてみたところ、 『my こんぴ』 のケニー・ドリュー編のところに、まったく同じことを書いておりました。いやあ、進歩がないですね、僕も。 で、この曲はですね、実にしみじみとした名バラードであるわけなんですが、テーマに続いてモブレイの歌心に富んだソロがあって、続いてドリューのソロになるわけですが、いやあ、繊細なタッチが素晴らしいですね。“じゅんさい”と同じくらい、ジュン。…と潤ってきちゃうものがあるような気がします。続くドナルド・バードのアドリブで若干テンポが速くなるんですが、そうこうしているうちにテーマに戻って、おしまい。全体的に、ソロ・パートがちょっと短すぎやしないか?…という気がしないでもないんですが、ま、バラードというのは長くなるとダレる嫌いにあるので、これくらいでちょうど適当なのかも知れませんね。

 ということで、僕の心の中ではもう、このアルバムは終わりました。ようするに、最初の2曲だけやな。…といった印象のあるアルバムであるわけなんですが、ま、一応、残りの曲も押さえておくことにしましょうか。えー、3曲目は 「イッツ・ユー・オア・ノー・ワン」 ですか。このジェローム・カーンの曲はかなりたくさんのジャズマンに取り上げられておりますが、ま、アドリブの素材として、吹いているほうとしては楽しいのかもしれんけど、個人的には今ひとつやなぁ。…という感じのする曲なんですよね。何と言うか、品がないというか、騒がしいというか。で、このドリュー君たちの演奏はですね、ごく短いベースのイントロに続いて、いきなりバードがテーマ・メロディを吹き始めるアレンジが斬新といえば斬新なんですが、唐突と言えばいきなりですよね。バックでは相変わらずモブレイがカウンター・メロディ(?)を付けておりますが、ソロ先発はそのモブレイなんですな。このような超アップ・テンポの演奏になると、この人のフレーズはやや、もつれ気味に聴こえてしまうんですが、もつれてこそのモツ鍋や!…という意見もあると思うので、ま、それはそれでいいと思うんですけどね。いや、個人的にはモツ鍋って、さほど美味しくないように思われるんですけど。…って、そういうことを書くと、また掲示板に、 『モツ鍋モツ鍋モツ鍋!!!』 という書き込みをされるかも知れませんが、えーと、ソロ2番手はドリューでありますな。この人はアップ・テンポでも大丈夫でありまして、シングル・トーンでなかなか達者なアドリブを披露しておりますな。特に後半はかなりノリノリになってきて、黒っぽいフレージングが出てくるところがよいと思います。いや、曲はともかくとして、演奏自体はよいではありませんかー。で、3番手のバードの場合、アップ・テンポだとややフレーズが単調に流れる嫌いがあるんですが、単調であってこその丹頂鶴や!…という意見もあろうかと思いますので、ま、これはこれでいいと思うんですけどね。で、 tsdspdstpds の8バースで大いに盛り上がって、それが今度は4バースになって、テーマに戻って、おしまい。

 で、4曲目です。ここからはモブレイが抜けてワンホーン・カルテットになるんですが、トランペットのワンホーンというのはややもすれば“お間抜け調”になりがちで、サウンド的にはどうか?…という気がするんですよね。でもまあ、バラードだったら大丈夫だよね?…ということで、 「ユー・アー・マイ・スリル」 です。 「あなたは私のドキドキ♪」 …と言ったところでしょうかね? パウエルを彷彿させるドリューの無伴奏ソロによるイントロに続いて、バードがしみじみとテーマを歌い上げます。いやあ、哀愁味がありますなぁ。ドキドキするようなスリルこそ感じさせませんが、エレナ・ドキッチのサーブのような安定感があります。途中、短いドリューのソロを挟むものの、全体的にはドナルド・バードをフィーチャーしたものとなっておりまして、後半ややダレる嫌いが無きにしもあらずなんですが、ダリル・ホールとジョン・オーツはホール&オーツだしぃ。滋賀県は大津の出身らしいですな、ジョン・オーツ。いや、違ったかも知れませんけど。 ということで5曲目です。ドナルド・バードのオリジナル、 「リトル・T」 でありますか。これは確か、サド・ジョーンズに捧げられた曲ではなかったか?…と思うんですが、そうではなかったりすると困るので、詳しいことはよくわかりません。が、何となくサド嬢っぽいムードを持った、ラブリーでキュートな作品でありまして、ま、これはこれでいいのではないかと思います。バードの吹きっぷりにも余裕が感じられ、ドリューのソロもラブリーでキュートで、ま、いいんぢゃないですかね。後半のバードとドリューの掛け合いの部分も、とっても掛け合っていていいと思います。途中からG.T.ホーガンが入って普通の4バースになったりして、これもいいと思います。個人的にはけっこう好きなんですよね、G.T.ホーガン。判官贔屓の多い日本人にはウケがいいのではないかと思われます。

 で、6曲目はロリンズの 「ポールズ・パル」 ですか。トランペットのワンホーンというのは“お間抜け”になりがちである。…というのは先述した通りでありますが、これまた能天気なナンバーを持ってきたものでありますな。案の定、お間抜けな演奏になってるやん。…といった感じなんですが、ま、これはこれでいいとしておきましょう。で、最後はオスカー・ハマースタインの 「ホワイ・ドゥ・アイ・ラブ・ユー」 でありますか。これまた、何だかカレーが食いたくなってくるような“お間抜け風”のナンバーでありまして、でもまあ、2日前にカレーを食ったので、今日はそれほどカレーが食いたくはなりませんな。ということで、おしまい。

【総合評価】

 最初の2曲だけやな。…といった印象のあるアルバムだったんですが、改めて聴き直してみると、そうでもありませんでした。ま、4曲目までは何とかなるぅ?…みたいな。後半のワンホーン・カルテットはやや評価が別れるかも知れませんが、冒頭のタイトルだけでも買う価値はアリ!…の1枚だと思います。ま、 「白い雷鳥」 ともども、贔屓にしてやってください。


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