INVITATION (RIVERSIDE)

MILT JACKSON (1962/10/31,11/7)

INVITATION


【パーソネル】

KENNY DORHAM (tp) VIRGIL JONES (tp) <#2,5> JIMMY HEATH (ts) <#1,3,4,5,7,8>
MILT JACKSON (vib) TOMMY FLANAGAN (p) RON CARTER (b) CONNIE KAY (ds)

【収録曲】

INVITATION / TOO CLOSE FOR COMFORT / RUBY , MY DEAR / THE SEALER
POOM-A-LOOM / STELLA BY STARLIGHT / RUBY / NONE SHALL WANDER

【解説】

 “日本昭和村”というところに行ってきました。“日本昭和村”というのはどういうところなのかと言うと、日本にある“昭和”をテーマにした村。ま、簡単に言うとそういうところです。もう少し難しく言うと、ジャパンに存在する“昭和”を主題にしたヴィレッジ。…ということになろうかと思いますが、ま、難しいというより、ただ単に言い方を換えただけの話なんですけどね。で、このヴィレッジは日本のどこに存在するのかと言うとですね、美濃加茂市というところにあります。美濃の国の加茂のあたり。…と言えば、だいたいの察しはつくと思いますが、桑名からだと名神の小牧IC経由で、ま、2時間弱といったところでしょうか。手頃ですね。ちなみに東海地方というのはこの手の“時代村シリーズ”がたくさんあるところでありまして、ざっと思いつくだけでも“日本昭和村”のほかに、犬山の“明治村”、明智の“大正村”、伊勢の“戦国時代村”と、4つの“○○村”が存在しております。ざっと思いつくだけでも4つあるくらいだから、しっかり思い出してみればもっとあるのかも知れませんが、えーと・・・、他にはありません。考えてみるだけ無駄でしたね。 で、4つの中では“昭和村”がいちばん新しく出来たんですが、コンセプトとしてはまあ、 『横濱ラーメン博物館』 をイメージしていただければよろしいかと。例えにちょっと無理があるかも知れませんが、とするなら、 『横濱ラーメン博物館』 から横濱とラーメンを取り去ったようなものであると。つまりまあ、“ラー博”とはほとんど何の関係もないわけでありますが、敢えて共通点を挙げるとすれば、“昭和レトロ”ということでしょうか。最近ハヤリらしいですからね、昭和レトロ。回転寿司にも“レトロ”などというネタが回転しているほどでありまして、どういうものかと思ったらただの冷凍のトロだったりするわけなんですが、“日本昭和村”の時代設定は昭和30年代なんだそうでありまして。西暦で言うと1955年から1964年。ちょうどモダン・ジャズの最盛期と一致しておりますな。…という話はひとまず置いといて、日本社会の出来事でいうと、例えば昭和30年には“長井中学校、ヘリコプター爆音障害排除協議会を設立”という事件が勃発しております。昭和33年には小学校児童数が増加して、久里浜・浦郷・豊島・鶴久保で2000名以上になっているし、昭和39年には教育研究所が「研究所月報」復刊第1号の発行にこぎつけております。参考にしたサイトが 『目で見る横須賀教育史』 というものだったので、取り上げられている話題があまりにもローカルでありましたが、ちなみに“絵で見る”の部分の参考写真としては昭和30年の“池造り作業”とか。なるほど、そういう時代だったんですね。とまあそんなことで、とりあえず村内に入ってみることに致しましょう。

 この“日本昭和村”というのは“道の駅”を兼ねておりまして、駐車場だとか、外の売店だとか、便所なんかは無料で利用することが出来ます。便は無料なのかぁ。…ということが判明して感無量でありますが、 便以外のことをしようと思うとお金を取られます。いくら取られるのかというと、800えんも取られます。テーマパークの入場料だと思えば割とリーズナブルではありますが、“道の駅”の付帯設備としては、ちょっとぼったくり過ぎではないですかね?…という気がしないでもありません。割高ではないか?…と思った人も多いかと思いますが、そういう人には“年間パスポート”の購入をお薦め致します。これはたったの1600えんというのだから、かなりお買い得だと言えますよね。ただしこの価格にはカラクリがあって、パスポートは園内に入らないと購入出来ないというのだから、実質的には2400えんぢゃん!…みたいな。何かこう、微妙なところでセコいや。…と、フルタのセコイヤチョコレートをカジりながら愚痴のひとつもこぼしたくなってしまいますが、えーと、入ってすぐのところにあるのが“かいこの家”ですね。ここではいったい何をしているのかというと、養蚕をしております。養蚕して、ようさんカイコを飼っている…というほどではないんですが、ま、30匹くらいはいましたかね?カイコというのは、ま、要するに蛾の幼虫みたいなものでありまして、じっと眺めていて、さほど嬉しいものでもないんですが、家の中には囲炉裏なんかもしつらえられていて、会社を解雇された熟年男性が、カイコを見ながら「昔はよかったなぁ。」と回顧に耽る。そんな懐古趣味の場としては、ま、悪くないかも知れませんね。ま、さほど面白くもないんですが。

 で、その隣には“せんべい屋”と“駄菓子屋”がありました。せんべい屋ではせんべいが売られていたんですが、ただせんべいが売られていただけではなく、せんべいを自分で焼く“せんべい焼き体験”が体験出来るようになっておりました。焼肉を焼く。焼きそばを焼く。焼きビーフンを焼く。…といった体験はご家庭でも簡単に体験出来るんですが、せんべいというのはそう簡単に焼けるものではありません。もしかしたら、家を焼くよりも難しいかも知れないね。…という気もするくらいなんですが、実際にせんべい焼きを体験したどっかのガキは、「大して面白くないね。」などとホザいておりまして、いや、こういう無感動なコドモというのは傍から見ていても何だか可愛くありませんな。根性焼きで、根性入れ直したろかい!?…と思わずにはいられませんでしたが、ま、余所様のお子様なので、そのまま放っておきましたけどね。ま、確かに大して面白くはないだろうな。…という気もしましたし。せんべい焼き…といっても“生せんべい”を火であぶるだけの話ですからね。ストーブで“かき餅”を焼くのと、さほど変わりはありません。そんなものより、僕の心を激しく捉えたのは“駄菓子屋さん”のほうでありまして、昭和40年代前半生まれの僕はぎりぎり駄菓子屋が残っていた最後の世代ですからね。以前、通信販売で思わず駄菓子セットを買ってしまった話をこのコーナーでお届けしたことがあるんですが(←2回シリーズの第1回目は ここ )、お仕着せのセットがクロネコヤマトで宅配されてくるのと、実際に自分でお店の中に入って買うのとでは大違いでありまして、やはりバーチャルでない実体験というのは、楽しさも100倍…とまではいかないまでも、ま、1.22倍くらいは趣があるのではなかろうかと。敢えて言えば、もっと“いよさん風”の店構えだったりすると、よりベターだったかな?…という気もするんですが、うちの近くの“いよさん”の店の前には10円玉を転がしてゴールを目指すゲーム(←説明が難しい。)が置いてあったりしましたからね。ま、アレはあまりにもギャンブル製が強すぎて、「不良になる。」という理由で学校で禁止されたような気もするので“昭和村”での再現は難しいかも知れませんが、さらばせめて、“ガチャガチャ”(←地域によっては“ガチャポン”)を置くとか。無論、当たりは“透視スコープ”でありまして、スカは昔の若乃花の“相撲消しゴム”で決まり。で、飲み物として“ラムネ”というのは、ま、無難な選択だとは思うんですが、個人的には是非“みかん水”(←当たり付き)と“銀矢サイダー”を採用して欲しかったところです。あと、“コーラのもと”も必要ですよね。“コーラのもと”というのはコーラ味のタブレットのようなものなんですが、もっぱら“銀矢サイダー”の中に入れて“銀矢コーラ”にするための材料として珍重されておりました。そうでもしないと、とてもマトモに飲めるようなシロモノではなかったですからね、“銀矢サイダー”は。 じゃ、“コーラのもと”を入れると、美味しく飲めるようになったのか?…と言うと、よりいっそう気持ち悪くなるだけの話だったんですけどね。こうして失敗を繰り返しながら、人はオトナになっていくんですなぁ。

駄菓子だがや♪

 これが今回、僕が買った駄菓子だがや。…と、何故だか語尾が名古屋弁になってしまいましたが、左のほうに写っている“モダンガール”と“夕焼け一番星”は明快な“やらせ商品”だと思います。レトロなパッケージにつられて思わず買ってしまったんですが、袋の中身は個別包装されたマーブル系とハート型のチョコレートでありました。こんな小洒落た菓子は、少なくとも“いよさん”には売ってませんでした。…というのが、僕がこれを“やらせ”と断言した唯一の根拠であるわけですが、ま、ごく普通に美味しいチョコだったんで、別にいいんですけどね。で、チョコと言えば、写真にはありませんが、“フルタのセコイヤチョコレート”も買いました。たまたま店内に居合わせたギャルが、「わー、セコイヤチョコレート、懐かしいっ♪ でもこれ、今でも売ってるかな?」と言っているのが聞こえてきましたが、ま、確かに今でもコンビニなんかで売ってますよね。が、コンビニで買うセコイヤと駄菓子屋で買うセコイヤとでは、そのセコさの度合いが違うわけでして、彼女より先にそのセコイヤチョコレートに目を付けてカゴの中に入れていた僕は、その発言を聞いて何だか嬉しくなってしまいました。セコイヤ好きのギャル。いいじゃないっすかぁ。

 次。“あたり前田のクラッカー”。あまりにも有名なんですが、そのわりには一度も食べたことがなかったので、とりあえず押さえておきました。いや、もしかしたら、あまりにも有名なんだけどまだ食べたことがないので、一度買ってみるかぁ。…とか思って以前にも食べたことがあるのかも知れませんが、とにかくまあ、これはアレですね。ごく普通のクラッカーです。クラッカーというより塩味のビスケットに近い感じでありますが、適度に美味しくて無難な感じで、ま、あまりネタにはなりませんな。で、あとはえーと、小さな容器に入ったヨーグルト風のお菓子ですか。懐かしいですなぁ。正式名称は“モロッコヨーグル”というんですね。何故これがモロッコなのか?どうしてラベルに象の絵が書いてあるのか?…と、数々の疑問が湧き上がってまいりますが、駄菓子に余計な詮索は無用です。んなものどうせ、サンヨー製菓の社長がモロコの甘露煮が好きだったから。…みたいなどうでもいい理由に違いないですからね。でもまあ、ちょっと気になったので念のために調べてみたところ、ヨーグルトは地中海のあたりで誕生したようで、モロッコでも飲まれているみたいだから。…というのが正解でありました。おお、なるほど。つまり、単なる思い付きだったわけですね。で、象のマークには、お子様に強く、優しく、たくましく、育って頂きたいという願いが込められているんだぞう。…とのことでありまして、なるほど、まさかそこまで深い意味が込められていたとは気付きませんでした。おそるべし、モロッコヨーグル!…という感じでありますが、ちなみにこれ、カップがあまりにも小さすぎるので普通のスプーンでは食べることが出来ません。こんなもの、どうやって食えというねん!?…と、思わず匙を投げたくなっちゃいますが、でも大丈夫。ちゃんと専属の匙が付いてきますからね。カップアイスを食べる木製の匙をうんとプチサイズにしたようなヤツでありまして、こいつでヨーグルをすくって口の中に入れると、まったりしたような、若干ザラつくような、独特の食感があります。美味しいか?…と聞かれると、とにかく甘いっ!…としか答えようがないんですが、工夫しだいでは無限の可能性が広がる“好素材”であるような気もします。たとえば、えーと、マーガリンと混ぜて食パンに塗って“ネオスナック・ヨーグルト味”にするとか、銀矢サイダーに溶かして“銀矢ヨーグルソーダ”にするとか。

 で、次です。“フルーツマンボ”。ビニールのチューブに入ったラムネ風の粉菓子…といった感じの食べ物でありまして、フルーツはともかくとして、何故これがマンボなのか?…という疑問が湧き上がってまいりますが、駄菓子に詮索は無用です。んなものどうせ、冨田製菓の社長がヤン坊・マー坊天気予報が好きだったから。…みたいなどうでもいい理由に違いないですからね。で、これはアレです。味としてはまあ、けっこう美味しいほうなんですが、とにかく食べにくいのが難点なんですよね。前歯でカミカミして、中身を搾り出すようにして食う。…というのが正しいのかどうか分かりませんが、とにかくまあ、ビニールごとクチャクチャと噛むしか手立てがないわけでありまして、そうするとラムネの味のほかに、ほのかなビニールの風味も滲出してまいりまして、何と言うかその、とってもカラダによくない感じがしますよね。どれだけ頑張っても中身の20%くらいは残ってしまって、とっても悔しい思いをするし、もうちょっと何とかならんのか?…と思わずにはいられないんですが、なんともなりません。あるいは、外のビニールをあらかじめ剃刀で切るなどして、中身を取り出してから食べるものなのかも知りませんが、スケ番でもない限り、なかなか剃刀など持ち歩いたりはしませんもんね。“フルーツマンボ”はスケ番向けの駄菓子。そういうことなのかも知れません。

 で、最後は“寒天菓子”ですか。これまた思い出深い一品でありますな。個人的にはこれこそが駄菓子の中の駄菓子、キング・オブ・駄菓子ではないか?…と思っているんですが、その根拠はと言うと、ただひたすら安かったからなんですけどね。“いよさん”では1本1円でしたもんね。それがある日突然、1本2円に値上がりしてしまって、子供心にも許し難い暴挙であるように思われましたが、それが昭和村では3本パックになって20円で売られておりました。もの凄い物価上昇率でありますな。卵が物価の優等生なら、寒天ゼリーは物価のヤンキーぐれぐれ不良少年と呼ばねばなりませんが、ちなみにこれ、食べるにはけっこう吸引力を必要とするんですよね。所詮はストローの中に入った寒天だしぃ。…と思って舐めてかかっていると中身がぜんぜん出てこなくて、何だかとっても悔しい思いをします。で、むきになって激しく吸い込むと、ツっ!…という感じで口の中に入ってきて、でも苦労したわりには寒天の量があまりにも少ないし、大して美味しくもないしで、かなり釈然としない思いに駆られることになります。3本立て続けに吸い込んだとしても満足感は極めて希薄で、これほどまで食べていて空しい駄菓子というのも珍しいですよね。ちなみにこれ、ニッキ味なんですよね。赤・黄・緑というカラフルな色合いから、イチゴ味、オレンジ味、メロン味かな?…ということを予感させておきながら、どいつもこいつもすべからくニッキ味。ニッキというのはお子様にはあまり人気がないんじゃないか?…といった配慮にまったく欠けているところが清々しいですよね。コドモに媚びるばかりが駄菓子ではない。…という明快なポリシーが感じられて、秀逸だと思います。

 好きだったリカちゃんが捨てた寒天菓子のストローを拾って、裏路地でこっそりと吸ってみたあの頃。初恋はちょっぴりニッキの味がしたのでありました。

 ということで、今日はミルト・ジャクソンです。えーと、ミルト・ジャクソン、ミルト・ジャクソン・・・。いくら考えてもメル友・釈尊以外のネタが思いつかなかったので先に進みますが、 『インヴィテーション』 です。今日は前半に 15KB 使ってしまったので後半は淡白に行かねばなりませんが、巷間よく耳にする言葉に、“タキシードを着たミルトと、普段着のミルト”というのがありますよね。つまりまあ、M.J.Q.での彼の演奏が“ハレ”であるとすれば、自己のリーダー作でのプレイは“”であると。世の中には「“”はいらん。」という趣向の人もいるようですが、僕は“”というのを大切にしたいと思いますね。“”が枯れるということは、すなわち“穢れ”につながるわけでありまして、それくらいまあ、“”というのは大切なものであると。ということで 『インヴィテーション』 でありますが、これはアレです。テナーのジミー・ヒースが入っております。今ひとつ地味なヒースやな。…といった感じで、日本での人気も今ひとつなんですが、僕はけっこう好きだから別に地味でもいいです。で、ケニー・ドーハムの参加もポイントが高いですよね。僕はけっこう“”が好きなんですが、ケニーというのも憎からず思っているんですよね。ちなみに2曲目と5曲目ではでケニーに替わってバジル・ジョーンズという人がトランペットを吹いておりますが、バジルくんは馬の汁が好きらしい。…ということ以外、あまり詳しいことはわかっておりません。で、ピアノはトミー・フラナガンでありますか。バグスとトミ・フラの組み合わせと言うのは、あったようで、なかったようで、よくわからんのですが、相性はよさそうな気がするし、意外とそうでもないような気もするし、よくわかりません。ということで、では1曲目から聴いてみることに致しましょう。

 えーと、1曲目はタイトル曲の 「インヴィテーション」 ですか。好きなんですよね、この曲。モーダルでいて、それでいて哀感があって、あ、いかん。…と思っても、思わず涙がこぼれてしまいます。でもまあ、冷静になって考えてみると、泣くほどのことでもない気もするんですが、とにかくまあ、このミルト版はアレンジが絶妙ですね。テナーとトランペットのユニゾンによる哀愁味を帯びたイントロに続いて、ミルトがしみじみとテーマを歌い上げます。やがてそこに2管のハーモニーが絡んできて、思わずハモに梅肉をまぶして食べたくなってしまいますよね。で、そのままミルトのアドリブへと流れていくわけでありますが、ここでもバックのハモり具合が絶妙であります。で、結局のところソロを取るのはヴァイブだけで、2人の管楽器奏者は伴奏要員に甘んじる我慢汁。…といった結果に終わるんですが、凡百のハードバップとは一味も二味も味噌味も違った知的な仕上がり具合でありまして、ま、ややアレンジ過多で、今ひとつジャズ的なスリルに欠ける嫌いがないでもないんですが、ま、たまにはこういうのもいいのではなかろうかと。

 で、次。 「トゥ・クローズ・フォー・コンフォート」 。“気楽さのためにまた閉じてください。”…って、“Excite翻訳”は相変わらず今ひとつ意味がよくわからんのですが、ま、気楽に股を開くのよりは、よっぽどいいのではなかろうかと。いかにも気楽な歌モノといった感じの作品でありまして、この手の曲はケニー・ドーハムが得意そうな気がするんですが、ここではバジル・ジョーンズがトランペットを吹いているようです。そのバジル君のミュートとヴァイブのユニゾンで演奏されるテーマ部は小粋さに満ち溢れておりまして、何だかケツの穴がむず痒くなってきそうですよね。あ、表現があまりにも下品でした。肛門が痛痒感に襲われる…と言い換えておきますが、テーマの後はミルトの短いソロがあって、続いてバジル君のミュート・ソロがフューチャーされております。パーソネルを見ないと、やっぱりドーハムは味があるよね。…と思ってしまうほど、タイプとしては似たような感じでありまして、ま、輸入盤CDというのは得てして書いてあることが適当だったりするので、本当はドーハムで正解だったりするのかも知れませんけど。で、3番手はトミ・フラですか。この手の歌モノをやらせると、さすがでありますな。んなことで、テーマに戻って、おしまい。ま、無難な出来であると言えるのではないでしょうか。あ、ちなみにこの曲ではジミー・ヒースはお休みですかね?

 で、3曲目はモンクの 「ルビー・マイ・ディア」 ですか。ヴァイブが奏でる主旋律に2管のアンサンブルが絡むアレンジは1曲目とよく似た感じでありますが、サビのメロディをトミー・フラナガンに任せるなど、一定の工夫は窺われます。で、ソロ先発はミルトですね。アドリブ・パートに入るとテンポが速くなって、歌心に溢れたバグスくんのプレイを満喫することが出来る仕組みとなっております。続いて登場するトランペットは紛れもなくドーハムですな。こうして聴いてみると、やっぱり2曲目は別人だったか。…という気がしてまいりましたが、ソロというほど長い演奏ではなくて、そのまま今度はトランペット主体でテーマ部を再現して、でもって、演奏はおしまい。これまた、ちょっぴりアレンジ過多なような気もするんですが、問題は僕の持っている輸入盤CDの場合、この曲の別テイクを2回続けて聴かされることでありまして、正直なところ、もうエエっちゅうねん!…と言いたくなってしまいます。ま、1曲スキップすればいいだけの話なんですが、この別テイクのおかげで僕は今までこのアルバムにあまりよい印象を持っておりませんで、でも我慢して聴いていると、4曲目以降は結構いい感じになっておりますので、騙されたと思って最後までお付き合いくださいね。

 えーと、別テイクを無視して勘定すると4番目になるのが 「ザ・シーラー」 という曲です。翻訳結果は“アザラシ船”ですか。いかにもアザラシらしいミルトのオリジナルなんですが、そういえば多摩川のタマちゃんはどうなっちゃたんですかね?ま、別にどうでもいいような気もするので先に進みますが、ミディアム・ファストのハード・バピッシュな佳曲でありまして、凝っているんだけど、さほどクドくはないアレンジが施されたテーマ部に続いてミルトが爽快なソロを披露して、続いてジミー・ヒースがこのアルバムで初めて伴奏要員以外の活躍の場を与えられることになります。あるいはアレンジャーとして影ながらアルバム作りに貢献していたのかの知れませんが、表に目に見える形で登場したのはこれが初めてでありまして、ま、彼のソロはフレージングが教科書的で今ひとつ地味だったりもするんですが、でもまあ、分かりやすいという点では評価してもいいと思うんですけどね。で、続いてトミ・フラの快調なソロがあって、ドーハムのいかにも彼らしいソロがあって、その後、再びミルトが登場して、そこに2管のハモリが絡んで来て、テーマに戻って、おしまい。ま、素直なハード・バップやな。…といった感じで、素直に楽しめる1曲であったと思います。

 5曲目もミルトのオリジナルで、 「プーム・ア・ルーム」 という曲です。根はシンプルなリフ・ブルースだと思うんですが、そこはかとなくモーダルなムードも漂っていて、秀逸ですね。テーマに続いてミルトが出てきて、そこに管楽器が絡んで…といった、お馴染みのパターンなんですが、ここでのミルトのソロは本作でもベストと断言してもいいのではなかろうかと。おじさんはよくベストのことを“チョッキ”と言ったりしますが、そんなことはどうでもいいくらいベルトは“バンド”ですよね。で、ソロ2番手はバジル君のようでありますが、2曲目同様、ここでもミュートを駆使しておりまして、どうやら弱音器好きのキャラのようなんですけどね。で、ここでのバジル君のソロは本作でもベストと断言してもいいのではなかろうかと。おじさんはよくベストのことを“チョッキ”と言ったりしますが、そんなことはどうでもいいくらいブルゾンは“ジャンバー”ですよね。続くトミナガ君も相変わらずの快調さでありまして、あ、いつも“トミフラ”ではあまりにも芸がないので、フラナガンの“ナガ”の部分を活用してみたんですが、これだと何だか富永一朗みたいで、とっても“お笑いまんが道場”ですなぁ。で、ピアノに続いて登場するトランペットのソロはどう聴いてもケニー・ドーハムでありまして、ここに来て僕は大いに混乱してまいりました。えーと、整理すると、2曲目と5曲目でバジル・ジョーンズがドーハムにリプレースするのではなくて、2トランペットになるということなんですかね?でもって、そのセッションではジミー・ヒースが奥に引っ込むと言う。どうりで2曲目がドーハムみたいに聴こえたわけですな。とにかくまあ、何だかワケがわからなくなってまいりましたが、その後にミルトが出てきて、テーマに戻って、おしまい。

 6曲目は 「星影のステラ」 。えー、この時点で原稿量が 23KB に達しているので先を急ぎますが、これはアレです。バラードです。イントロなしでミルトが切々とメロディを歌い上げて、そこにジミー・ヒースが絡んでまいります。ヒースはアレです。アドリブというよりも、テーマのフェイク…といった感じでありまして、で、最後にミルトが戻ってきて、おしまい。3分56秒の小品でありました。で、7曲目は 「ルビー」 ですか。 「ルビー・マイ・ディア」 を2回も聴かせておいて、また 「ルビー」 かい!…と思ってしまいましたが、違う曲でした。違う曲ではありますが、似たようなバラードではありますな。ミルト主導+2管の伴奏…という本作ではお馴染みのアレンジが施されておりまして、ま、しみじみとしているな。…という点では評価してもいいと思うんですけどね。アドリブ・パートでは倍テンポになっていて、若干の変化が見られますな。ソロはミルトが先発で、ヒースが短く続いて、テーマに戻って、おしまい。で、ラストはドーハムのオリジナルで 「ノン・シャル・ワンダー」 という曲です。 これが別テイクを含めて、2回続けて登場することになります。ゆったりとしたラテンのリズムに乗せた、いかにもドーハムらしい哀愁のメロディが印象的なんですが、さすがに2回連チャンで聴かされるのはちとツライので、別テイクのほうは無視しておいたほうが無難でしょう。別テイクさえ無視しちゃえば、なかなかの名曲であるような気がします。んなことで、おしまい。

【総合評価】

 似たようなアレンジが続く点さえ我慢しちゃえば、それなりに楽しめる1枚です。特にミルトとドーハムのオリジナルは出色の出来。歌モノのほうも、それなりの出来。ま、そんなところです。


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