CONCORDE (PRESTIGE)

MODERN JAZZ QUARTET (1955/7/2)

CONCORDE


【パーソネル】

MILT JACKSON (vib) JOHN LEWIS (p) PERCY HEATH (b) CONNIE KAY (ds)
【収録曲】

RALPH'S NEW BLUES / ALL OF YOU / I'LL REMEMBER APRIL
GERSHWIN MEDLEY
 (SOON - FOR YOU FOR ME FOREVERMORE - LOVE WALKED IN - OUR LOVE IS HERE TO STAY)
SOFTLY AS IN A MORNING SUNRISE / CONCORDE

【解説】

 『楼蘭奴華悪』 というページがあります。どこにあるのかと言うと、 ここ なんですけどね。で、これは何なのかと言うと、僕の持てる語学力のすべてを発揮して掻き揚げた畢生の掻き揚げうどん…ではなくて、僕の持てる語学力のすべてを発揮して書き上げた畢生の中国語作文でありまして、何を書いても何の反応もないうちのサイトにしては珍しく、若干の反響があったりしたんですけどね。「この文書を中国人の知り合いに見せたところ、おそらく日本人が書いたものだろうという話でした。」という書き込みがありました。んなもん、ただテキトーな漢字を羅列しただけで、誰の目にもでっちあげのデタラメであることは一目瞭然なのに、わざわざ中国人にチェックして貰うという神経は尋常ではありません。おそらく日本人が書いたもの…などと自信なげに答えた中国人も中国人だと思いますが、果たしてこの文章は中国人の目にはどのように映ったのでありましょうか? ということで今日は『楼蘭奴華悪』Excite翻訳 に掛けて、その実態を調査してみたいと思います。すいません、他にネタを思いつかなかったもので。あ、ちなみにタイトルの“楼蘭奴華悪”というのはローランド・カークというミュージシャンの名前を音訳しただけなので、暴走族用語の“夜露死苦”と同じくまったく意味はありません。そこんとこ夜露死苦。

 「中国的娘“港楊子”横濱旅行」

 これがこの中国語的作文の正式なタイトルです。さすが日本人が考えただけのことはあって、とても日本人に分かりやすい漢字が並んでますよね。中国的に見ても結構いい線いってるぅ?…という気がしないでもないんですが、ま、ポイントとしては翻訳サイトが“ 港楊子”というのを正しく人名だと判断してくれるかどうかですよね。もしこれを正しく“港のヨーコ”と訳すことが出来れば、これはもう大変な実力であります。

 → 中か?のお母さんの“港の楊子”か?水際の旅行

 何だか全体的に自信なさそうな訳文になっておりますな。とりあえず訳してみたんだけど、ホントにこれでいいのか?…というエキサイトくんの戸惑いがよく感じ取れます。ちなみにこのサイト、“簡体字”と“繁体字”のどちらかを選ぶかによって翻訳結果に違いが出てくるんですが、今回は“繁体字”のほうで試しておりますので、念のため。で、ちょっと意外だったのは“”という中国語が“お母さん”と訳されたことでありまして、じゃ、ギャルを意味する“”は中国語では何と言うのか?…と思って日中翻訳で調べてみたら、“女兒”と出ました。ふーん。それにしても“港の楊子”というのはかなりいい線いってますよね。“?”が付いていて、今ひとつ自信なさげではあるんですけど。で、“横濱”という地名は中華街があるにもかかわらず中国人にとってはあまりメジャーでないようで、単なる“水際”と認識されておりました。

 我也中国的娘“港楊子”、大学院通学二十六歳。我専攻“麗座”脱毛、少々刺激的併其効果半永久的。

 この文章を翻訳する上での最大のポイントは“麗座”でありましょう。“レーザー”というのは恐らく中国語では“激光”とか言うんだと思いますが、それを敢えて“麗座”と音訳した日本人の意思が伝わるでしょうか?

 → 私の中か?のお母さんの“港の楊子”、大きいか?庭通か?26か?私か?“美しい席”を研究するか?毛、少ないか?エキサイティングなのそしてそれか?果実の半分は永久だった。

 何だか一段と“”の数が増えて、エキサイト君は更に自信を喪失しつつあるようですが、いいですなぁ、この訳語は。特に“毛、少ないか?”の部分では思わず爆笑しそうになっちゃいましたが、問題の“麗座”は“美しい席”と訳されてしまいました。美しい席の研究。そんなもん研究して、どうすんねん?…と、かなり頭を悩ませながら翻訳したものと思われます。何だかよくわかんないんだけど、毛が少ないのか?エキサイティングなのそしてそれか?…と想像を逞しくしているエキサイト君の姿が目に浮かんでくるようです。

 超推薦、夏季海水浴堪能娘在住首都圏。

 うーん、このくだりは翻訳してみてもさほど面白くないような気もするんですが、とりあえずやるだけやってみましょう。

 → 推薦、夏季の海水浴を超えてお母さんが首都に居住していることができることができるか?

 うーん、やはり大して面白くはありませんでしたな。ま、たまにはこういうこともあるでしょう。で、この先はある程度の成果が期待できる部分だけを厳選して訳していこうと思います。

 我専門的分野“麗座脱毛”非全然関係、鯖君臨時代行的労働。

 → 私か?扉の分野“美しい席か?毛”必ず全くか?学部、サバが近づく時代行したか??

 遂に“??”と、クエスチョンマークがダブルになっちまいました。エキサイト君の不信感は強くなる一方でありますが、どうやらこれ、別に翻訳しながらその成果に疑問を覚えているわけではなくて、とりあえず理解不能な漢字は“”で逃げるという方針であるようです。先ほどは“”という字を“すくないか”と、かなり適切に訳していたんですが、“麗座脱毛”と四字熟語にされてワケがわかんなくなったようで、“美しい席か?毛”って、もはや日本人には理解不能な訳語になっちゃいました。それはそうと、“サバが近づく時代”というのは何だかいいですな。これからはサバの時代や!…みたいな。が、文章をそこで切っちゃうと、その先の“行したか?”の部分が意味不明になっちゃうので、“サバが近づく時(とき)、代行したか?”というのが正解のようですね。

 其為、当日的昼食中止中華系、潜入居酒屋風料理店、我々注文穴子天麩羅乗白米、即和名也“穴子天丼”。

 そうそう。夜は中華料理を食べに行く予定だったので、お昼は居酒屋風の店で穴子天丼を食べたんですよね。あの頃の記憶が鮮明に甦ってまいりました。

 → それはで、か?日のか?食は中華を中止して結んで、か?居酒屋の風に入って店、私を処理するか?注釈文の穴の子天のふすまのルーマニアか?白米、すぐ位とも“穴の子の天窓”。

 いきなり飛び出すルーマニア!いや、意外な訳語ですよね。それもただのルーマニアではなくて、“天のふすまのルーマニア”ですもんね。それはいったいどんなルーマニアなんや?…と、ルーマニア人でもワケがわからないこと必至。

 量的多量風味美味、我々大満足。大的豚之足?其、大豚足。私手羽、少量痴呆。出、基本的疑問、栄螺賛登場的穴子君、何故鱈子唇?

 いや、これは翻訳者泣かせですね。まず難しいのが“私手羽”の部分。そもそもこれは何なのかと言うと、「私ってば」という言い回しをどうしても漢字に直すことが出来なくて、苦し紛れにそのまま音訳しちゃったものであります。で、もうひとつの難関は“穴子君”のところでありましょう。日本の『サザエさん』というアニメーションに登場するアナゴくんというキャラがタラコ唇であるということを理解してない限り、正しい翻訳は不可能であると思われます。“満足”と“豚足”のボケもエキサイト君に正しく伝わるでありましょうか?

 → 量のは多く特色のおいしい食べ物、私を量るか?大きいか?足。大きいブタの足か?それ・大きいブタは足りる。個人の手の羽、少量は間が抜けている。出る、基本的な疑問、か?マキガイか?登場する穴の子君、何ゆえのタラの子の唇か?

 “満足”と“豚足”のくだりは、やはり彼には少し難しすぎたようですね。大きいブタの足か?それ・大きいブタは足りる。…って、ワケわからん。で、“私手羽”はそのまま“個人の手の羽”と直訳されてしまいました。ま、そりゃそうでしょう。もし僕が中国人だったとしても、おそらく同じ解釈をしていたと思います。それよりも僕が意外だったのは、サザエさんのところの健闘ぶりでありまして、いや正直ここまでやってくれるとは思いませんでしたな。“栄螺賛”(サザエさん)が“マキガイか?”となっている以外はほぼ完璧でありまして、“穴の子君、何ゆえのタラの子の唇か?”という漢詩のような格調高い文体は、大いに賞賛に値する硝酸アンモニウム。…と言わなければなりません。

 塩鯖一号訪問、関鯖師匠的案内、同行昆布青年超愛好振動的大人向玩具。塩鯖一号也大満足其店的中華料理、其後飲用断頭台麦酒及食用毛沢東風珍珍麺。

 いやあ、楽しかったですなぁ。横濱オフ。関サバ師匠や昆布青年と中華料理を食べて、その後ギロチンビールを飲んで、チンチン麺を食べたんですよね。

 → ?サバの1か?訪問、か?サバ師の職人の事件か?同業者の昆布の青年は超えておもちゃに振動の大人におしゃれをする。?サバの1か?大きいか?その店の中華料理に足りて、その後飲むか?頭台か?酒および食用する毛か?東風の貴重品か?

 えー、言いたいことが今ひとつよくわからんのですが、何となくわかるような気もしますよね。すなわち、昆布青年は振動の大人に御洒落であると。そして、毛を入れて飲むお酒、すなわち“ワカメ酒”というのは東風の貴重品であると。ま、確かにそう簡単に飲めるものではありませんからね、ワカメ酒。

 とまあそういうことで、結論的には、ま、50%くらいは中国人にも意味が伝わっていたかな?…という気がしないでもないんですが、最後にひとつだけ気になることがあるんですよね。それは何かというと、“楼蘭奴華悪”というミュージシャンの名前を中国人はどのように捉えたか?…ということなんですが、試しにちょっと翻訳してみましょうか?

 楼蘭奴華悪 → ?蘭奴華か?

 おお、なんだかちっとも面白くありませんな。もしこれでクールな訳語が出たら、それをオチにしようと思っていたんですが、これではまったく目論見違いです。仕方がないので“夜露死苦”というのを訳してみることにしましょう。

  夜露死苦 → 夜現して苦しみが死ぬ

 おお、これはいいですね。短いフレーズの中に、彼らは彼らなりに生きる苦しみを抱えているんだ。…ということが現れていて、秀逸です。これならもし日本に観光に来た中国人に暴走族の落書きを見られたとしても、何ら恥じ入ることはありません。ということで、では最後に “稲葉有治”という僕の本名が、中国語ではどういう意味を持っているのか?…というのを調べてみることにしましょう。親が真剣に考えて付けてくれた大切な名前です。きっと素晴らしい意味が込められていることでありましょう。

 稲葉有治 → 愛か?出血する竹製の器

 ということで、今日はM.J.Q.です。あ、先ほどの中国語訳でありますが、最後の僕の名前のところだけ“簡体字”にして翻訳しましたので、念のため。いや、“繁体字”では全然つまらなかったもので。それにしてもどうしてこんな訳になっちゃうのか、まったく理解不能ですね。しかし、よりにもよって “愛か?出血する竹製の器” だったとは。。。ま、それはそうとM.J.Q.でありますが、“jazz giant artist index” を見たら今まで1枚しか取り上げてなかったことが判明して、ちょっと意外でありました。けっこうアルバムは持ってるんですけどね。ま、おそらく、昆布青年が毛嫌いしていたからとか、コゾクラ1号くんが贔屓にしていたからとか、色々なしがらみがあって取り上げるのを控えていたんだと思いますが、2人ともいつの間にやら消息不明になってしまったので、心置きなく話を進めることが出来ますね。で、今回、悩んだ結果 『コンコルド』 というのを紹介してみることにしました。悩んだわりに、もの凄くありきたりな定番に落ち着いてしまったんですが、ま、無難な選択ではありますな。で、それはそうとゴールデン・ウィークですなぁ。5日間も休みが続くと緊張感も栗羊羹もなくて、駄目ですな。ま、栗羊羹なんか別になくても構わないんですが、何だか緊張の糸が切れてヤル気がおこりません。垂木もありません。 ま、垂木なんか別になくても構わないんですが、とまあそんなことで、ぼちぼち参りましょうか。

 えーと、まずは1曲目ですね。 「ラルフズ・ニュー・ブルース」 という曲です。これはですね、ミルト・ジャクソンがラルフ・J・グリーソンという人に捧げたオリジナルだそうです。ラルフというのがどういう人なのか僕はあまりよく知らんのですが、ま、おそらく“ゴルフショップ・ラルフ”とかを経営していたのではなかろうかと。もしくは“セルフうどんの店・ラルフ”とか。あ、ゴルフとセルフとラルフで韻を踏んでみたんですが、我ながらもうひとつやな。…という出来でありました。仕方ないよね、あんまりヤル気がないんだもん。とまあそれはさておき、この演奏はですね、ミルト・ジャクソンのブルース・フィーリングとジョン・ルイスのヨーロッパ趣味との絶妙のコラボレーション…といった感じでありまして、いや、この2人はまるでコーラとポテトのように相性がいいですからね。いわば、コーラと馬鈴薯の絶妙のコラボレイション…と言えるわけでありますが、具体的にはどのようにコラボっているのかというとですね、テーマ自体は純粋なブルースなのに、そこにフーガの形式を取り入れたという。フーガというのはアレです。プレリュードとフーガのフーガ。…と言われても、クラシックに疎い僕には今ひとつよくわからんのですが、ま、簡単に言ってしまえば“輪唱”みたいなものですかね?ミルトのヴァイブ、ヒースのベース、ルイスのピアノが順々にメロディを演奏するテーマ部のアレンジが絶妙です。でもって、ソロ先発はミルト・ジャクソンです。お釈迦様とメール交換してるの?…って、それはミルト・ジャクソンではなくて、メル友・釈尊。お説教とかされそうで、ちょっぴり嫌ですけどね。で、ここでのミルトのソロはアレです。静謐の中に潜む、凝縮されたソウル…といった感じがして、とてもいいです。で、続いてはジョン・ルイスっすか。この人は昔、ブルースを好まないピアニストといわれたこともあるが、とんでもない話で、ブルースをもっとも得意とするピアニストである。…と、日本語ライナーで岩浪洋三クンが力説しておりますが、日本人には今ひとつ分かりにくいブルース表現であることも確かです。が、ここでのプレイは平素のヨーロッパ趣味が薄れて、レッド・ガーランドにも通じる古川ロッパ的なフィーリングが感じられて、秀逸です。でもって、魅惑的なテーマに戻って、おしまい。うん、出だしとしては極めて順調でありますな。

 2曲目はコール・ポーターの 「オール・オブ・ユー」 です。ポーターの曲というのはアドリブの素材としてはいいかもしんないけど、純粋にメロディを鑑賞するにはどうかな?…という気が個人的にはしているわけでありますが、この曲は別ですね。純粋に旋律を楽しむに値する楽曲であるな。…というふうに僕は評価しております。でもって、ラブリーでキュートなメロディに、ヴァイブのサウンドが実によくマッチしてますよね。ミルトという人はブルースの達人であると同時に、バラードのトルコ人でもあるわけなんですが、いや、どうしてここに唐突にトルコ人が出てきたのかと言うと、昨日、金魚まつりで見かけたんですよね、トルコ人。いや、それが確かにトルコ人かどうかは定かではないんですが、トルコサンドという怪しげな食い物の屋台を出店しておりましたので、ま、おそらくトルコ人と判断してもあながち間違いではないのではなかろうかと。ちなみにトルコサンドというのはどういう食い物であるかというとですね、 こういう食い物 であります。ケバブロータスでじっくり回転させながら焼かれている肉が実に怪しげでありまして、ま、このサイトのようなちゃんとしたレストランなら大丈夫なんでしょうが、祭りの屋台ではいったいどのような肉が焼かれているのか分かった物ではありません。ヒツジ説、ヤギ説、トリ説などが渦巻く中、うちに帰って調べてみると、どうやらチキンということで正解のようですが、ま、おそらくタイあたりで病気に掛かって処分に困った鶏肉を安く仕入れてきたのではなかろうかと。「ボク、責任もって焼却処分するネ。」とか何とかうまいことを言って、ああして九華公園でグルグル回しながら“焼却処分”しているのでありましょう。ま、別に下痢になったわけでもないので、人体にはさほど影響はないみたいですけどね。で、この曲、短いながらもミルトのバラード・プレイを堪能することが出来て、とってもよかったな。…といった感じの小品に仕上がっているのでありました。

 はい、3曲目。 「四月の思い出」 ですかい。根はバラードなんですが、ジャズの世界ではブッ速いテンポで演奏されるのが通例となっておりまして、ここでのM.J.Q.もそのパターンを踏襲しておりますな。なんだかモジャカルらしからぬ下品さの感じられる演奏となっておりまして、あ、モジャカルというのはアレです。モダン・ジャズ・カルテットの略であります。いつも“M.J.Q.”では能がないのでちょっぴりアレンジしてみたんですが、とても世間に定着するとは思えないような下品な語感でありますので、今後使われることは無いものと思われます。ま、それはそうと、この演奏は派手ですね。派手ではありますが、かなりヘンです。ヘンデルと同じくらい、ヘンです。M.J.Q.って、ジャズを知らないギャルにもわりと抵抗なく受け入れられそう?…という点においては大いに有用性があると思うんですが、この演奏は駄目ですね。「ああん、なんだかヘンなのぉ。」という感想を得られるにとどまる、おーい!はに丸。…といった気がしてなりません。ま、純粋にジャズとして聴けば、迫力満点の好演やん。…と、コーエン国防長官が評価したとおりだとは思うんですが、とりあえずまあ、次の 「ガーシュイン・メロディ」 にいっちゃいましょう。えーと、これはアレです。 「ガーシュイン・メドレー」 というタイトルの曲ではなくて、ガーシュインが作った曲のメドレーです。具体的に言うと、「スーン」「フォー・ユー・フォー・ミー・フォーエヴァーモア」「ラヴ・ウォークト・イン」「アワ・ラブ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ」の4曲がメドレーで演奏されております。中では 「フォー・ユー・フォー・ミー・フォーエヴァーモア」 という曲だけ、日本人にはあまり馴染みがありませんな。あまり馴染みはありませんが、“フォー・ユー・フォー・ミー・フォーエヴァー”と、韻を踏んでいるところがとてもいいと思います。“韻好き”ですからねぇ、僕って。で、演奏のほうはというと、まず最初の「スーン」はパーシー・ヒースのピチカートによってテーマが演奏されるところが斬新です。斬新ではありますが、何だか地味です。こりゃ、あまりにも地味であるな。…ということを憂慮して、途中からミルトがメロディを担当したりしておりますが、それでもやっぱり押しなべて、地味です。続く“フォー”の押韻の曲では、半コーラスをジョン・ルイスがメロディを弾き、後半はミルト・ジャクソンが提示されたメロディに対して、カウンター・ラインをインプロバイズしていく。…という形式が採用されております。ふーん。そっかぁ。で、続く 「しのびよる恋」 はカノン形式でありますな。それが一体どのような形式であるのか、楽理に疎い僕には今ひとつよくわからんのですが、ま、おそらく観音さまのような形式。そういうことでいいと思います。で、最後の 「我が恋はこに」 はアレですね。ジョン・ルイスが何だか地味にメロディを弾いて、そこにミルトのヴァイブが絡む…と。以上、全体を総括すると、押しなべて上品なのはいいんだけど、何だかとっても地味。そんなバラード・メドレーなのでありました。

 次、 「朝日のようにさわやかに」。いいですなぁ、これは。“朝さわ”好きですからねぇ、僕って。“softly”がどうして“爽やか”なんや?…というのは今ひとつ納得がいかないんですが、メロディ的には大変によくデケた曲であると僕は高く評価しております。ちなみに曲名を“Excite翻訳”したところ、「柔らかに午前日の出のAS」と出ました。中国語には堪能でも、英語能力は今ひとつですなぁ、エキサイトくん。で、この演奏は冒頭の、ちょっぴりフーガなイントロな印象的ですよね。…と思っていたら、これはフーガではなくて、バッハのカノンの技法なんだそうでありまして。せっかくの“朝さわ”にそんなワケのわからん技法を用いたりして、台無しじゃないか!…と、遺憾に思われる人もいるかも知れませんが、でもだいじゃぶ。テーマ部以降はわりとオーソドックスなアレンジがなされていて、素直な気持ちで楽しむことが出来るようになっております。この曲はやっぱりピアノやろ。…という先入観が強く僕のアタマの中には根付いていたんですが、ヴァイブ、いいぢゃん。…と、テーマ・メロディが出てきた途端に思ってしまいました。フレキシブルですからね、僕の頭って。もう、“フレキいなば君”と巷で呼ばれているくらい。だてに“出血する竹製の器”をやってるわけじゃねえ。…という自負もあるわけですが、哀歓と帯びた旋律が、ミルトのソウルフルなヴァイブラフォンとベスト・マッチしておりまして、もう、金魚をサカナに焼酎でグイーツ!…って感じ? いや、金魚まつりのトルコ人が、何だかそのようなことを言ってたんですよね。今ひとつ、ワケわからん!…と思わずにはいられませんでしたが、いや、まったく何の関係もない話でしたね。ま、それはそうと、ここでのミルトのソロは本アルバムでもベストと呼べる出来のよさでありまして、続くルイスもまあ、彼は彼なりに健闘していると評価してよいと思います。で、最後は再びバッハのカノンで締め。とまあ、だいたいそんな感じの演奏でありました。

 はい、ラストです。ジョン・ルイスのオリジナルで、アルバム・タイトル曲の 「コンコルド」 です。コンコルドというと普通、我々は超音速旅客機の姿を頭に描くと思いますが、この曲はパリにある(らしい)“コンコルド広場”をテーマにしたものであります。ジャケット写っているのも恐らくコンコルド広場なんでしょうな。ちなみに“コンコルド”というのは“協調・調和”といった意味のようで、日本風に言えば“調和広場”でありますか。 何かこう、今ひとつですよね。何だかこう、“チョーヤ梅酒”みたいですよね。ま、それはそうと、この曲はジョン・ルイスのフランス趣味が必要以上に発揮されたものでありまして、フーガというか、カノンというか、インタープレイというか、グループ・エキスプレションというか、とにかくまあ、ちょっと懲りすぎやん。…という感じがして、あまり僕の趣味ではありません。トライアングル(?)のチンチンチン♪…という音も、耳障りやちゅうの。…と思わずにはいられません。個人的にはトライアングルよりもタイバリンのほうが好きですからね。丹波の黒豆というのも美味しいです。とまあそんなことで、おしまい。

【総合評価】

 「ラルフの新しいブルース」「朝さわ」で決まりっ♪…という1枚ですね。次点として「オール・オブ・ユー」。えーと、書きたいことは、そんだけ。


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