【アルバム名】
BREAKING POINT (BLUE NOTE)
【リーダー名】
FREDDIE HUBBARD (1964/5/7)
【パーソネル】
FREDDIE HUBBARD (tp) JAMES SPAULDING (as,fl)
RONNIE MATTHEWS (p) EDDIE KHAN (b) JOE CHAMBERS (ds)
【収 録 曲】
BREAKING POINT / FAR AWAY / BLUE FRENZY
D MINOR MINT / MIRRORS
【内   容】

西濃紀行『伊自良(いじら)村にいじらしい女学生を訪ねて』

 秋の気配が日増しに深まるけふこの頃、漂泊の思ひに駆られた私は今、西美濃は 伊自良村といふところに来ている。岐阜というところは私の妻であるところの愛子の父 、すなわち私にとっては義父にあたる人の出身地なのだが、 愛 ちゃんと 義父ゆえに 寝具バッテラ といふ芭蕉の句からもわかるやうに 、鯖の押し鮨の美味しい土地柄でもある。さう言えば芭蕉の「奥の細道」の結びの地は 岐阜県の大垣であるのだが、その岐阜県は大きく「美濃地方」と「肥立ち法」、出産後 はたくさん栄養をつけるのが肝要ね♪つて、そんなことはだうでもよくつて、「美濃地 方」と「飛騨地方」に大別することが出来る。飛騨地方というのは高山を中心とした地 域のことを言い、露天風呂と“さるぼぼ”と飛騨牛の産地として有名である。一方、美 濃地方でも牛は産出するのだが飛騨牛ほどには高名ではなく、もつぱら環境ホルモン屋 にミノとして供出されているやうである。
 閑話休題。さてその美濃地方であるが、これは更に西濃・東濃・奥美濃に三つに 分けることが出来る。西濃というのはすなわち西美濃を簡略化したものではないかと思 われるが、ならば何故、奥美濃地方のことを「奥濃(おうのう)」と呼ばないのかと若 い頃は随分と懊悩したものであるが、体の中で好きな部位は陰嚢。さう言えば“陰嚢と りっぷの霊友会”という団体があつたやうな気がするが、ちなみにカンガルウの西濃運 輸というのは西濃地方を拠点とする会社である。で、伊自良村なのだが、場所的には岐 阜市の北西に位置する。岐阜市の中心市街地からは約15キロの距離であるが、岐阜と いうのはなかなか風情のあるよい町であり、市街の中心には清流・長良川が流れ、産業 の中心は繊維業と鵜飼い業である。あと、ソオプランドという名前の石鹸サアビス業も 極めてお盛んであり、その街並は「金津園」という名前で呼ばれている。とある風俗系 サイトの投稿情報をチエツクしてみたところ
   > スターキャッツのねねちゃん、テク最高。Fで30分は天国に連 れてってくれる。   > 長い金津園人生の中でも一番ちゃうかな ... というのがあつて、大いに心を動かされたのであるが、幼なじみのたかしがハツスルし すぎたのか、金津で本当に昇天してしまつたという話を聞いて、身も心もすつかり萎え てしまつた。いや「身」のほうはここ数年来ずつとさういう状態であるわけなんだが、 可哀想なのは独り遺された、たかしの細君である。葬式のときも細君はイカクンをかじ りながらしきりに「いい歳をして、恥ずかしい。。。」と世間体を気にしている風情で あつたので、不躾とは思つたが「いわゆる腹上死というやつですか?」と尋ねてみたと ころ、どうやら潜望鏡プレイをしていて溺死したというのが実状らしい。世の中、いろ んな最期があるものだなと感心すると共に、彼には「クルスクたかし」という称号を捧 げたいと思ふ。
 話がそれた。鼻血も出た。いや、潜望鏡プレイのことを考えたら思わず興奮して しまつたのであるが、話を伊自良村のことに戻そう。伊自良(いじら)村。その名前を はじめて耳にしたとき、私の脳裏には「いじらしい女学生」の姿が浮かんだ。私のイメ エジの中の「いじらしい女学生」は縄遊びに講じていた。いや、緊縛とかさういつた方 面の縄遊びではなく、幼さを感じさせる縄跳び遊びである。2人の女学生が縄を回転さ せ、「おぢやうさん、おはいんなさい。」という、あの遊戯である。セエラア服姿の女 学生はすつかり夢中で、跳んだ拍子にパンツがちらちらと見えているのも一向に気にす る風でもない。いじらしいではないか!そして私はこの村を訪れる決意を固めたのであ つたが、いざ着てみれば是れといつて見るべきところもない、うらびれた山村であつた ので、少し落胆してしまつた。ただ、集落のはずれに伊自良湖という湖があるというこ となので、そこを訪れてみることにした。

村役場から6キロほど長良川の支流を溯つたところにあるその湖は、はつきり言つ てしまえば只のシケた農業用の溜め池であつたが、一応はボオトなども浮かんでいて、 今はもう初秋であるが、去年の夏には「2人でボオトに乗つたね」というヤング達で大 いに賑わつたのであらう。湖畔にはちよつとしたレストランもあつた。ペリカン便の取 扱所もあつた。カンガルウの西濃は何をしておるのだ!と憤りを感じたが、よく考える と私が憤りを感じねばならぬ義理はまつたくないわけであつて、そんなことより、いじ らしい女学生はだうしたのだ?
 端的に結論だけを述べよう。そんなものはどこにもいなかった。いじらしい女学 生どころか、姉ちやんと呼べるやうな年頃の人さえ、どこにも見ることは出来なかつた 。ただ、姉ちやんはいなかつたが、柿ちやんはいつぱいあつた。だうやらこの辺りは富 有柿の産地であるらしい。あとはもう収穫を待つだけのたわわに実つた柿の実を眺めな がら、溜め池と柿の木しかない村。しかしそれは、私達が忘れていた日本の原風景では なかつただらうか?ということをふと思つた。
 秋風に揺れるコスモスを心から「いじらしい」と感じ、私はその村を後にしたの であつた。
     (おしまい)
 @ さて本日はフレディ・ハバードなんですが、ザウルスのデータが飛んじゃっ たのをきっかけに、メモリー・スティックに“MOREソフト”を山ほどダウンロード してやりました。その中に“どこでもHTML”というソフトがあったので、今日の原 稿はそれを使って書いてるんですが、おかげで「前半部分の長さ」がいつもと比べて長 いのか短いのか、まったく把握できておりませんが、ま、いいでしょう。で、フレディ ・ハバードは当初『ヒア・トゥ・ステイ』というアルバムを取り上げる予定でありまし て、ジャケット・イラストも時間をかけてカラーで綺麗に書いたんですが、ものの見事 に初期化されちゃいました。また書き直すのも癪なので、むかし書いた手抜きのイラス トが残っている『無礼キング・ポイント』というのに急遽変更します。ジェームス・ス ポルディングを加えた2管編成でありまして、ピアノはロニー・マシューズ。これと言 った極め付けの名盤に乏しい彼の諸作の中でも、内容的にはかなり上位であると言って もいいでしょう。そんなことで、じゃ、1曲目から聴いてみましょうね。
 1曲目はハバードのオリジナルで、アルバム・タイトルにもなっている「ブレイ キング・ポイント」。学校の窓ガラスに石をぶつけて割っちゃったみたいなジャケット がいかにも60年代BN盤という感じなんですが、そんなことはヤンキーがすることで すんで、よい子は真似をしてはいけません。シンナー遊びもやめましょう。するんだっ たらやっぱり膠(にかわ)プレイ?というところでありますが、“いかにもフリー”と いった感じの導入部を聴いた瞬間、純正ハード・バップ好きの君なら思わず、しまった !と下唇を噛むことでありましょう。それほど「失敗作」を予感させるスタートなんで すが、でも大丈夫。テーマに入るとメロディはカリプソ風で、かなり能天気ですらあり ます。で、そのままハバードのソロに突入するんですが、これは結構ハードですな。で 、ハバードのソロが終わり、テーマ・メロディの合奏をはさんで今度はジェームス・ス ポルディングのアルトが登場。この人のプレイはいわずもがなでありますな。純正ハー ド・バップ好きにはかなり厳しいものがありましょう。続くロニー・マシューズはマッ コイとハービーを足して2で割ったようなスタイルの持ち主なんですが、ここでは“わ けわかんないときのハービー”みたいな演奏となっておりますエディ・カーンとジョー ・チェンのかなり斬新なソロも聴けます。ということで1曲目は以上です。
 2曲目、「ファー・アウェイ」。真ん中の“ナカグロ”をとって「ファーラウェ イ」と発音するのが粋なアメリカ人ではないかと思われますが、いかにも外人風の発音 するのって、結構勇気がいりますよね。べったんな平面顔して、なーにが「ふぁーらう ぇい」やねん。とか馬鹿にされそうだしぃ。そうして、いつまでたっても外人には通じ ない英語を話すことになってしまうんですが、いざとなったら「流暢」というマシンも ありますしね。で、演奏はエディ・カーンのベースとジョー・チェンのドラムスで幕を 開け、そこに“いかにもモーダル”なマシューズが入ってくると、気分はもう新主流派 。英語でいうとニュー・メインストリーム。こういうスタイル用語というのはたいてい 「スイング・ジャーナル」が出所なんですが、あるいは使い始めたのは大橋巨泉あたり かもしれません。塩通でもこういう後世にまで伝わる新語が出せれば嬉しいんですが、 最近のお気に入りは“尚美しちゃった”ですかね?そのうち“尚美る”なんて変化形も 登場するかも知れませんが、7回くらい使うと飽きちゃうのが新語のネックなんですよ ね。いや、「おこめだねっ♪」は何回使っても新鮮なんですが、これはやはり農耕民族 の血が濃厚な日本人ゆえのことでありましょうか?で、演奏のほうはというと、ジェー ・スポはフルートを吹いております。アルトに比べると数段はわかりやすいので、彼の フルートは嫌いではありません。で、全体的にかなり新主流派風のサウンドに終始して おります。
 3曲目「ブルー・フレンジー」。このアルバムでは最もオーソドックスな曲だな ぁ。と思いながら原文ライナーを見たら、“もーすと・すとれーと・あへっど・おぶ・ ざ・ふぁいぶ・とらっくす”とか書いてあって、僕の鑑賞眼も捨てたもんじゃないなー 。と思いました。という話を前に書いたような覚えがあるんですが、もしかしてこのア ルバム、2回目?あるいは“マイ・ピン子”のほうでありましょうか。ちょっと調べて みたところそれらしき形式はなかったんですが、これがいわゆる“でじゃびゅ”という 奴ですかね?とにかくまあ、ファンキーな味もある反復ブルース調のナンバーでありま して、ストレート・アヘッド好きにはほっと一息つける極上のブレイク・タイムといっ たところでありましょうか。で、新主流派の君には5曲目の「D・マイナー・ミント」 がオススメだな。ミントが苦手な魂亞爾ちゃんにはあまりお薦め出来ませんが、とにか く一言でいってカッコイイ曲でございます。原文ライナーのレナード・フェザー@剃毛 好きは、いや、個人的にはジレットを愛用してるんですが、“lively”という形容を用 いております。“いきいきとした”というような意味でしょうね。確かにハバード、ジ ェー・スポ、マシューズ共々、実に元気ハツラツとしたプレイを展開しております。で 、ラストです。「ミラーズ」はジョー・チェンバースのオリジナル。彼はドラマーとし てだけじゃなく、作曲家としても一家言あるんだ。というような発言を(ボビ・ハチだ っけ?)書いたような記憶もあるんですが、この人、この手の暗ぁぁぁいバラードが得 意なんですよね。いや、大好きなんですけどね、この曲。スポルディングのフルートが いい味出しておりますが、ちなみにこの曲はボビ・ハチの『ザ・キッカー』というアル バムでも聴けます。 ここをク リクリしてみてね♪ って、新しいウインドウまで開いちゃうんだもんね、自分で HTMLを作ると。失敗してるかも知れませんけどね。

 ということで、ちょっぴり小難しい感が無きにしもあらずといえど、この手のス タイルが好きな人には絶対オススメの1枚でございました。でもやっぱりこのアルバム 、どこかに書いたような気がするんですけどねぇ。。。


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