【アルバム名】
OUT FRONT (CANDID)
【リーダー名】
BOOKER LITTLE (1961/3/17,4/4)
【パーソネル】
BOOKER LITTLE (tp) JULIAN PRIESTER (tb) ERIC DOLPHY (as,fl,b-cl)
DON FRIEDMAN (p) RON CARTER (b) ART DAVIS (b) MAX ROACH (ds)
【収 録 曲】
WE SPEAK / STRENGTH AND SANITY / QUIET , PLEASE / MOODS IN FREE TIME /
MAN OF WORDS / HAZY HUES / A NEW DAY
【内   容】
 うげー。早まって、とんでもないことをしてしまいました。いや、僕が常日頃か ら愛用している“ザウ子”ちゃんなんですけどね、ここのところちょっぴりクタビレ気 味でございまして。というのも“電子文庫”でウノ先生の著書を読み込んだり、“クロ スワード”やら“お絵かきロジック”やら“ごたくどす”なんかのソフトをいっぱいダ ウンロードしたり、すけべ画像を大量に取り込んだりしているうちに、メモリーがかな り厳しい状態になってまいりました。デジカメで“1/4VGA”サイズのノーマル画 質なら200枚は記憶出来るだけの容量があるんですが、最近では20枚分くらいしか 残っておりませんで。やむを得ず容量を食う“すけべ画像”を消し、泣いて馬謖を斬る 思いでウノ先生を消去し、昔の原稿や古いメールもすべて抹消して、なんとか70枚程 度の容量は確保したんですが、油断するとまた、すぐに一杯になっちゃうんですよね。 これは何とかしなければなりません。何とかするにはオプションのコンパクトフラッシ ュメモリーを買えばいいんですが、本体と同じ容量の10MBのカードが24000円 もするもんだから、ちょっともったいないのでありまして。
 
 そんなある日、どうやらザウルスでもパソコン用のPCカードやスマートメディ アが使えるらしいという情報を仕入れることが出来たんですけどね。で、普段の僕だっ たら「ふーん。」とか思うだけなんですが、悪いことに僕はたまたま“ちょっとしたリ ッチ状態”でございまして。何故かというと、このまえ長野に出張した時の高速代だと か上田西洋旅籠館の宿泊料金とかが手に入ったからなんですけどね。要は立て替えてお いた金が戻ってきただけで、ジャイプールでしのぶクンが食べたインドカレーとか、不 評だったインド・ビールの代金を差し引けば明らかに赤字なんですが、何となく臨時収 入を貰ったような気分になるのが旅費成算。で、財布にお金がたんまりあると気が大き くなるのが人の常でありまして、ここはひとつ、ウノ先生が100冊くらい入るくらい のメモリーを買ってやれー。と思ってしまった次第でありまして。そんなこんなでハッ ピー・マンデーで今年は10月9日になった体育の日、お店へとメモリーを捜しに出掛 けたのでありました。
 
 最初に断っておきますが、僕はパソコンには全然詳しくありません。7〜8年前 、津の営業所で“3Pシステム”の作成に携わっていた頃には、ベーシック言語で簡単 なソフトくらいは作っておりましたが、“時代はMS−DOSで停滞している”といっ てもいいでしょう。だって、音響カプラなんか使ってましたもんね、初代3Pの移動監 視装置。そんなわけでPCカードとかスマートメディアとか言われても、ぜんぜんピン とこないわけですが、とりあえず目についたのがソニーのメモリー・スティックという ヤツでございました。8MBで2500円、16MBで4500円だから、ザウルス純 正のフラッシュメモリーに比べると破格の安値でございます。大きさも“ちょっと太短 いロッテのグリーンガム”程度でありまして、これなら持ち運びにも場所を取りません よね。ただ、パソコンで使うには“メモリースティック用PCアダプター”(7020 えん)というのが必要なんですが、なんせ財布には4万円以上入ってるもんだから、ぜ んぜん大丈夫。8メガと16メガ、どっちにしようかと悩んで、それよりも容量の大き いのもあったんですが高いのでヤメて、とりあえず16メガのメモリースティックとP Cアダプターを買うことにしました。レジには「いかにもパソコン用品売り場の兄ちゃ ん」という感じの人と、「いかにもパソコン用品売り場には場違いなおっさん」の2人 がいて、兄ちゃんのほうはどっかへ消えてしまったので仕方なくおっさんのほうに“商 品管理カード”というのを手渡したんですが、おっさん、大いに焦っているのが僕の目 からも明らかでありまして。
棚をあさって、何とかメモリー・スティックのほうは捜し出してきたんですが、そ の時点でおっさんの動きは停止しました。そしてそのまま15秒ほど考え込んでいたん ですが、やがて脳裏に「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥って言うしなぁ。。。」と いう諺が浮かんだのでありましょう、しばらくしておずおずと、「あのー、こっちのは 何でしょうかぁ。。。」
 
 仕方がないので商品が陳列してあったところまでおっさんを連れていき、「これ !」と指をさして教えてあげたわけですが、おっさんは「それ」を棚から見つけだすの は困難と思ったのか、陳列されていた商品の万引き防止タグをはさみで切ると「そのも の」を僕に売ってくれたのでありました。るんるん♪店から家に帰るまでの気分はまさ にこれであります。おっさんは多少手間取ったものの、こうして無事に思ったよりも安 く16MBのメモリーを手に入れることが出来たわけであります。で、家に着いて、さ てどうしたものかと少しだけ悩んだんですが、なーに、穴にブスっと突っ込んじゃいさ えすれば、あとはどーにでもなるって。。。と、気分はほとんど極悪非道の強○魔であ りまして、穴をふさいでいたデジタルカメラカードをガバっとひっぱがすと、そのまま 強引にスティック・メモリーを装着したPCカードで責めたてたのでありました。果た して、その結果は・・・?
 
 スイッチを入れて、僕は蒼白になりました。器具で責め立てられたザウ子ちゃん ってば、「しばらくお待ちください。」というメッセージを表示したまま、すっかり固 まってしまいました。やばい・・・。冷や汗タラタラ。やっぱりPCカードには対応し てなかったんですな。。。とんだ無駄遣いでありました。がっくり肩を落としてザウ子 ちゃんからPCカードを抜き出してリセットしたんですが、するとそこにはとんでもな いメッセージが。「データに異常があります。初期化してください。」タラタラタラ・ ・・。初期化するということはですね、今まで入力してきたアドレス帳とか、表計算と か、“じゃず・じゃいあんと”とかメールとか、そういうモロモロのものが総てパーに なっちゃうことを意味します。持ち慣れぬ大金に、ついつい浮かれてメモリー・スティ ックなんかを買ったばっかりに。。。
 
 ということで、すっかりヤル気をなくしちゃったので、塩サバ通信は今日限りで 閉鎖することに致します。皆さん、今まで読んでくれてありがとう。。。
 
 @ ということで、今日はブッカー・リトルの『アウト・フロント』です。この ジャケ・イラストもカラーで書いてあったのがすっかりパーになっちゃいました。いや パソコンには1年くらい前にバックアップしてあったんですけどね、悪いことにそのハ ードディスクもこのまえ壊れちゃったんですよね。幸い、前に使っていたカラーザウル スにデータが残っていたので転送してみたんですが、もう中身が古いのなんの。郵便番 号は3桁だし、携帯の番号が“080”とかで始まってるし。メールをチェックしたら コゾクラ氏、当時は“さんま¥98”氏から来たメールとかがあって、相手がさんまだ けに、思わずギョ(魚)っとしました。…って、ショックのあまり書くことも冴えませ んなぁ。“プレステの会”の会員情報も消えちゃったし、“気ままにstandard ”で苦労して調べた「ピアニストがやってるスタンダードの情報」もなくなりました。 唯一の救いは火曜日更新分の“レッツ・プレイステーション”の原稿と“カクテル俳句 ・コビーの投票結果♪”を既にメールで送った後だった点でありますが、ショックだっ たのは実はザウルスでもPCカードがちゃんと使えたということでありまして。後で再 挑戦してみたんですが、「しばらくお待ちください。」のところでもうちょっとだけ、 90秒くらいじっと我慢していたら正常に使えるということが判明しました。早まって 、すぐに抜いてしまったばっかりに!「入れちゃった限りは、最後までしっかりと面倒 を見る。」という基本的な態度が欠けていたため、とんでもないアヤマチを犯してしま って後悔しきり。。。
 
 さ、こういう暗い気分のときにはブッカー・リトルが最適ですね。今までこのコ ーナーで紹介したリトルのリーダー作は・・・、あ、“jazz giant もっと ぉ♪”のデータまで消えとるやん!ま、これはHPのほうを見ればなんとかなるんです が、えーと、タイム盤の『ブッカー・リトル』と、ベツレヘム盤の『ブッカー・リトル とその友達』をレビューしておりますな。となると、私が持っているリトルの残りのリ ーダー作は『ブッカー・リトル・フォー&マックス・ローチ』というのとキャンディド の『アウト・フロント』ということになるんですが、マイナーなほうがいいから『ブカ リト4』にしておきましょうかね?と思って聴いてみたところ、内容的に印象度が今ひ とつだったので、有名な『アウト・フロント』のほうを紹介しておきます。ちなみに『 ブカリト4』というのはユナイテッド・アーティスト原盤の『デフィアント・ワンズ』 というアルバムをブルーノートが再発したものであります。情事コールマンやトミ・フ ラが参加しているので、興味のある人は探してみてくださいね。…と、ここまで書いた ところで塩サバ2号からこんなメールが届きました。どこにも“公表不可”とは書いて ないので引用しちゃうと
 
> 原稿の途中が文字化けしとるぞ。
 
ということなんですが、その原稿というのは他でもない、昆布青年の“横濱カクテ ル俳句・投票結果”なんですよね。ようやく更新出来ると思ったら文字化けで、おまけ にメールの原本はメモリー・スティックの彼方へと消えちゃいました。業務連絡、昆布 さま、お手数ですがメールをもう一度送っていただけないでしょうか?お礼に“はろう きてぃ・さるぼぼバージョン”の携帯ストラップと油とり紙を進呈させていただきます んで。。。
 
 で、『アウト・フロント』なんですが、ブッカー・リトルの代表作とされている だけのことはあり、メンバーが豪華ですね。ドルフィーとは『ファイブ・スポット』で 互いにGスポットを熱く責め合った仲だし、ローチは彼にとっては師匠とでも言うべき 存在であります。ブラウニーの急死後、ローチは後釜としてケニー・ドーハムにモーシ ョンをかけ、おかげでドーハムは結成したばかりの“ぢゃづ・ぷろふぇっつ”を解散し て馳せ参じたわけでありますが、その後任として選ばれたのがブッカー・リトルでござ いまして。で、リトル加入のおかげでローチのクインテットのサウンドはハード・バッ プから一歩先んじたものとなったんですが、そこにドルフィーが加われば鬼に金棒、塚 原に鉄棒。いや、個人的にはストレートなワン・ホーンのタイム盤『ブッカー・リトル 』のほうが好きなんですが、とりあえず聴いてみましょうね。
 
 1曲目「ウイ・スピークス」。これは悪くありません。トランペット、アルト、 トロンボーンの3管によるハーモニーは新しい時代の幕開けを予感させる愛媛の伊予柑 。そういったものを感じさせます。この“伊予柑ネタ”は昔からよく使われていて、も はや面白くもなんともない情況に陥っているわけでありますが、ザウルスのデータがと んじゃった今となっては過去のことはすべて忘れてくださいね。女子高生のパンツも秋 風にのって、どこか遠くへと飛ばされてしまいました。で、ソロ・オーダーはリトル、 ドルフィー(アルト)、再びリトルの順。リトルのソロは自分のあるべき場所を求めて 彷徨っているパンツのように、ある種の“不安感”を感じさせるものとなっております が、住民の平和を守るのは保安官。ロバートとかそういう名前の人が多いですね。で、 リトルをブラウニー直系のトランペッターと考えると若干違和感のあるソロではありま すが、フレディ・ハバードへの橋渡し的な存在であると考えるのが正解でしょう。で、 ドルフィーのソロは嘶いております。最後にローチのドラム・ソロも聴かれますが、頭 でっかち風のプレイは好き嫌いの評価が別れるかもしれません。…と、ここまでが1曲 目。リトルにしては割とハツラツとした感じで楽しめるんですが、問題は2曲目の「ス トレングス・アンド・サニティ」ですな。「力強さと分別」とは、いかにもお利口さん のリトルらしいタイトルである云々…と、誰かが書いておりましたが、むちゃくちゃ煩 くなった名古屋のゴミの分別収集とは裏腹に、「力強さと分別」のほうは、とっても知 的でクールなバラードとなっております。ていうか、はっきり言って退屈です。適当に 聞きとばしちゃいましょう。
 
 3曲目「クワイエット・プリーズ」。しーっ、静かに!お隣さん今から、お楽し みだよっ♪という情況を曲に現したのではないかと思われますが、2曲目とムードのよ く似た導入部には「またかい。。。」と少々うんざりさせられます。でも大丈夫。お隣 さんはすぐに激しくなりますからね。で、激しくなったと思ったら疲れが出たのかムー ディなパートに変化して、かと思ったらまた元気をとりもどして、揺れ動くようなテン ポの変化がいかにも60年代モノですな。哀愁を湛えたリトルのソロ自体は悪くありま せんが、ここではサニティなドン・フリードマンのソロに着目しましょう。続くジュリ アン・プリースターのソロも悪くありません。で、その後いきなり飛び出すドルフィー のアルトは思わず笑いを誘います。以上3曲、“ハード・バップの一歩先をゆく”サウ ンドが堪能できるわけですが、続く3曲は2歩ぐらい先を行きすぎちゃって失敗した例 ですな。「ムーズ・イン・フリー・タイム」。哀調を湛えたマイナー調のテーマはいか にも日本人ウケしそうな感じで、3管のハーモニーも抜群なんですが、そのあと演奏は ノン・テンポでひたすら暗いハーモニーをバックにリトルが陰々滅々とソロをとるとい う、書いてるだけで気分が滅入ってくるようなサウンドが延々と繰り広げられます。ド ルフィーのソロは笑えますけどね。5曲目「マン・オブ・ワーズ」。4曲目を更に暗く 地味にしたようなサウンドです。これはもう葬式のBGMにするしかないでしょう。“ 骨あげ”のときに流すと、ムードが盛り上がること必至。
 
 6曲目の「平次・飛雄頭」は導入部こそ3曲目、4曲目、5曲目と同じく陰々滅 々バージョンなんですが、テーマが始まるとテンポが速くなって、ちょっとだけ明るさ が垣間見えるようになります。“ハーモニーの部”でドルフィーはフルートを吹いてま すな。で、ワルツ・タイムなのかと思ったら4/5拍子というのが正解のようです。な るほど、ちゃかちゃかちゃん、ちゃんちゃん♪のリズム・パターンですね。変拍子好き ですからね、マックスのローちん。ソロはリトル、ドルフィー(アルト)、プリースタ ーと“ハモリ・パート”を交えて3管ともフィーチャーされて、最後にローちんの珍妙 なるドラム・ソロが披露されます。はい、最後。「ア・ニュー・デイ」はドルフィーの 吹くフルートのサウンドが爽やかな、シンプルで流れるようなメロディのナンバーでご ざいます。リトルらしさが十二分に発揮された作品と言えるでありましょう。アンサン ブルをバックに吹きまくるリトルがいつになく奔放で、“食べる前に飲む”は漢方。ん なことで、最初と最後だけのアルバムといったところですかね?初心者にはやっぱりタ イム盤をオススメする次第でございます。んじゃ、また。


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