エニアグラム性格学の基本理論

  
                                                    

 5つ目の理論   
 9タイプは特定の対象に意識が向けられている 
            
                         
 九つのタイプを正確に導き出せるようになると、やがて九つの
タイプのそれぞれがある対象に対して意識を向けていると発見で
きます。
 それは、ある特定の人たちに気持ちを向け、過剰反応している
ことです。しかし、自分の思いが相手に通じないことが多く、い
ろいろに心を砕いても満たされぬ思いばかりが募ります。ついに
はイライラとして気持ちが落ち着かず悩まされる対象者だと言え
るでしょう。また、頭では分かっているのに、持ちの整理がつか
ず、理性でコントロールできません。

 また、「意識が向けられている」とは、実は「心の奥深くで求
めているもの」でもあります。しかし、満足できるものを相手は
返してくれず、欲求不満な状態におちいります。やがて、否定的
な見解を持ち、批判的になり、非難せずにはいられません。が、
それでも関係を断ち切ることができず、心の奥ではいつまでも求
め続けるのです。

 つまり、気持ちの整理がつかず、複雑な心理状態におちいり、
対応の仕方も複雑きわまりないものになります。従って、とかく
素直な態度、率直な言い方ができずに、まわりくどいとか、持っ
て回った言い方をしたり、皮肉っぽくなります。すると、さらに
誤解や行き違いが起きて、複雑度は強まってしまいます。

 すなわち、「コンプレックス」と呼ばれているものがこれに当
たります。従って、「9つのタイプのコンプレックス」と呼ぶこ
ともあります。                                        

 なお、「コンプレックス」を劣等感だと、間違って理解している
ことが多いようです。しかし、ここでは言葉のそのままの意味であ
る「複雑な」を指しています。

 また、対象との関係が良いか悪いか、精神状態が良好か劣悪なの
かなど、当人や当人自身の置かれている状況によって「複雑度」は
変わってきます。※(最後尾に付け足して説明) 従って、かなり
コンプレックスの強い人と、コンプレックスがあるとは全く見られ
ない人がいますから、一様なものと考えないでください。 

  
  つのタイプの意識が向けられている対象 
  タイプ8
パートナーに向く
  タイプ3
主に女集団に向く
  タイプ7
母に向く
 タイプ2
子どもに向く
  タイプ6
主に男集団に向く

  タイプ1
父に向く
 タイプ5
世界事象に向く
  タイプ9
主に人間集団に向く
  タイプ4
母に向く 
 (注・向く=その存在が大きい=複雑な心理状態に陥りやすい=コンプレックス) 



【タイプ8】はパートナーに対して意識が向いています。         

「パートナーに向く」とは、性愛の対象者に、意識上でも無意識下
でも向いていることを指します。
 つまり、性愛対象者との関係が、タイプ8の思い通りに進んでい
れば、非常に満足感をおぼえます。しかし、対象になる人物が、
自分の意のままにならず、「愛さない・従順ではない・裏切る」な
どがあると心の奥深くにまで葛藤が起こり力で支配しようとします。
 しかし、相手が彼らを避けたり反抗したりして思いどおりに事
が運ばないとなると憎しみを抱くようになり、それでもその同じ相
手を求めて、悶々とする傾向があります。

 タイプ8は、力のある者が愛を獲得できると思いこんでいます。
それゆえ、試練を乗り越えて、力をつけ、自分の欲しいと思う物や
人間を、確実に手に入れようとします。しかし、相手は自分が思う
ほどには、思ってくれず、自分の思い通りにはならず愛しても信じ
きることができません。相手の気持ちが掴めず、不安となり、相手
の生活ぶりや、一挙手一投足さえも気になりだし縛りつけて行くこ
とがあります。そして、惚れている相手が、自分の保護を求めて来
るなら、力一杯、守り通して行こうと、意欲がわきます。

 なお、タイプ8は多くの人々が自分の力を頼りにして保護を求
めて来ること、そして、悪をこらしめたり脅威に立ち向かって、勝
利を得たときほど充実感を得ることはないでしょう。

 タイプ8にとって、自分の思いは相手に通じず、相手が自分の保
護を拒み、自分の指示に従わないとなるとイライラとして気持ちが
落ちつきません。相手に不信を抱き疑い、小さな言動でも何かと気
にして粘着的になって行きます。しかし、力で言うことを聞かせよ
うとすると、相手は逃げるかもしれず、我慢したり抑制したりしま
す。しかし、ある時は威圧的になってしまい、相手に拒絶されたり、
裏切られることがあります。しかし、それでもその人物をあきらめ
きれず、切り捨てることも忘れることもできません。
 そして、ウツウツとして気持ちの整理がつかず理性でコントロー
ルできない状態におちいります。従って、愛するあまり相手を傷つ
けるような事態にいたることがあり、複雑な対応をし複雑な思いを
抱くことがあると言えるでしょう。それゆえいわば《パートナー・
コンプレックス》と表現することもできます。
                 
     
【タイプ2】は、子どもに対して意識が向いています。

「子どもに向く」とは自分の実子だけでなく子ども集団や教育問題、
子どもをとりまく環境など、すべて子どもに関することに意識上で
も無意識下でも向いていることを指します。

 タイプ2は実の子どもとの関係が自分の思い通りに進んでいれば、
非常に満足感を覚えます。しかし、子どもが自分の意のままにならず、
「順調に生育しない・勉強に励まない・従順ではない」などがあると
心の奥深くにまで葛藤が起こり、過保護や過干渉となります。そして
子どもが自分の期待を裏切ると憎しみを抱いたり悶々とする傾向があ
ります。
 タイプ2はそっ先して善いことを行えばより善い社会になると思い
込んでいます。それゆえ、子どもたちを次代を担う立派な善い人間に
育て上げる義務と責任があると思っています。教育に熱心となり、子
どもの養育全般に、広く深く関わる傾向があります。また、他人から
子どもが攻撃されると怒りは大きく、自分の力以上のものを出して、
交戦して行きます。

 なお、タイプ2は危険をかえりみず自己犠牲もいとわず、人々を
窮地から救い出したときほど充実感を得られることはないでしょう。

 タイプ2にとって子どもはいつも自分の思い通りに成長していず、
子どもが自分のしつけや教育を拒否したり反抗しだすとイライラと
して気持ちが落ちつきません。また、全ては子どものためにしてい
に過ぎないことが子どもに通じないことがあり、威圧したり説教した
り妥協したりなどさまざまに対応して行きます。しかし、思い通りに
行かず、あきらめることも、切り捨てることもできず心の中で葛藤が
起き、理性でコントロールできません。
 そして、ウツウツとしてもっと厳しく指導すべきだったのか、それ
ともやさしく譲歩すべきだったかと思い悩みます。
 そして、子どものためだと自分に言い聞かせ子どもを囲い込んだ
りつき放すこともあります。従って、子どもを愛するあまり傷つける
ような事態にいたるなど、複雑な対応をし複雑な思いを抱くことがあ
ると言えるでしょう。それゆえ、いわば《子どもコンプレックス》と
表現することもできます。                        

                                                                                                      
【タイプ5】は、世界に起きるすべての事象に対して
      意識が向いています。

  「世界事象に向く」とは人間を除いた世界の中で起きる、さまざま
な事象全般に関することに意識上でも無意識下でも向いていることを
指します。

 タイプ5は世界の成り立ちや、現在の社会環境や自然環境など、あ
らゆ事象に関心を持ち、世界のゆくすえを見極めたがり、広く世界全
般に関心を向けています。また、観察を深めながら、事象の奥に隠さ
れたものを洞察して、真実を探り出そうとします。が、世界の全てを
知るなどできることではありません。

 タイプ5は、事実を正確に、より詳しくより多く知れば、先々のこ
とを少しは見極めることができると思い込んでいます。従って、情報
獲得のために、新聞や辞書やその他、あらゆる情報をくまなく見て、
情報収集のためだけに時間を費やしたがります。
 それゆえ、知っても無駄だと思うことは、極力排除して、物事を正
確に理解できない人物は相手にせず、いろいろな雑事には関わり合い
たがりません。

 しかし、社会や人々と関わって生きている以上、自分だけの時間を
持つことは難しく、いつも何事かが起きて時間を取られてしまいます。
従って、自分の思考したいことに集中できず世界を見極めることもで
きないまま、むなしく時間だけが経過して、いらだつ傾向があります。

 なお、タイプ5は誰も知らない事実を発見したり解明して、社会や
人々に貢献できたときほど充実感を得られることはないでしょう。   
               
 タイプ5にとって、自分の知っている事実、自分の考え方は自明の
理なのに、人々はそれを理解しようとしません。また、人々は、資源
やエネルギーの無駄になる不合理なことばかりしており、当たり前の
自分の主張が理解できない人たちが多いと見ます。そして、間違いだ
らけの論理が、大手を振るって横行しているのに、誰も気づかず、意
にも解さず、直そうともしないので、イライラとして気持ちが落ち着
きません。

 また、世界を知ろうとするごとに自分の無知さに腹を立て、何か
ら手をつけたらよいのか、的を絞れず、目標を設定することもまま
なりません。そして、知識を得てもいつも満足感を得ることはなく、
考え方を整理できずに理性でコントロールできないことがあります。

 このように、タイプ5は事実を正確に知ること世界の全てを把握
したがるために不可能なことに挑戦していると分かっていても、そ
うせずにはいられません。従って、とかく複雑な対応をして複雑な
思いを抱くことがあると言えます。それゆえ、いわば《世界事象コ
ンプレックス》と表現することもできます。

                                        
【タイプ3】は、主に女集団に対して意識が向いています。  

「主に女集団に向く」とは人々より少しでも目立ち、有能であると
認められると、多くの人々から愛されるかもしれないので愛される
対象としての女集団に対して、意識上でも無意識下でも向いている
ことを指します。
 従って、男のタイプ3は女たちに囲まれて注目されることを望み、
女のタイプ3は、同性たちにとり囲まれたがる傾向があります。
 タイプ3にとって、世界は否定的でそのような世界では少しでも
自分が有能であると認められていると相手から警戒されて、敵にま
わすと怖い相手だと、避けられるかもしれません。それゆえ、目立
っていたり脚光を浴びていると、有能そうに見えるので、派手で華
やかで、カッコウよいものに憧れます。一芸に秀でていたり、その
場を仕切ると目立つので、自分をアッピールしようと、さまざまに
工夫します。
 また、性的なアッピールをして、男らしい凛々しさを、女らしい
楚々とした美しさを演出します。しかし、自分より秀でた人は多く
なかなか自分のカッコ良さが認められず、女性に騒がれたり愛され
る対象者にはなれません。

 なお、タイプ3は、多くの人々から自分の有能さが認められ注目
を一身に集めて、華やかなスポットライトを浴びている時ほど充実
感を得ることはないでしょう。

 タイプ3は多くの女性たちに支持されて愛されたいと愛されるた
めのさまざまな要素を取り入れ、自分を磨きます。従って、見かけ
だけでも有能そうに見せる必要があり、いつも失敗しないように用
心深く、慎重な言動をして注意を怠りません。
 しかし、女たちの注目を浴びることができないと、女たちを嫌悪
したり、憎み出して攻撃的にもなりますが、それでも思い切ること
ができずに求めていきます。
 いつもは慎重なのに派手なことに挑戦し、アドバルーンを上げて、
周囲の女たちの視線を引きつけようとします。しかし、それでも誰
も振り返らず、誉めてくれる人がいないとなるとイライラとして気
持ちが落ちつきません。
 そして、さまざまに複雑な手段をろうして自分のカッコ良さを披
露しますが、女たちは気づかず人々は注目してくれないので、さら
に複雑な対応をして複雑な思いを抱くことがあると言えます。それ
ゆえ、いわば《主に女集団コンプレックス》と表現することもでき
ます。


【タイプ6】は、主に男集団に対して意識が向いています。                                                                                  

「主に男集団に向く」とは力のある男たちにとり囲まれて強い絆を
築いていると自分の身の安全が確保できるので、その対象者として
の男集団に対して意識上でも無意識下でも向いていることを指しま
す。

 タイプ6は考え過ぎたり深読みをするので、不安にさいなまれや
すく、力強い男たちに囲まれて、その一員として、深く結びついて
いると気持ちが安定します。それゆえ、男らしい力のある重要メン
バーになりたがり、女らしいおもいやりのある賢いメンバーになり
たがります。また、男のタイプ6は同性の友だちがいつも必要で行
動をともにしたがります。女のタイプ6は男の世界にいたがる傾向
があり、キャリアウーマンになっていることもよくあります。

 なお、タイプ6は人々に求められて重要な地位につき重責を果た
したときほど充実感を得ることはないでしょう。

 タイプ6は自分が役に立つ誠実な人間であると認められると重要
メンバーになれると思い込んでいます。それゆえ、賢く仕事をこな
し、うまい会話をして人々を引きつけ、気くばりと思いやりを示し
ます。
 また、仲間から疎外されることを恐れて何も言えず、逆に相手の
意のままでいると弱い人間だと見られるかもしれず、イライラとし
て気持ちが落ちつきません。やさしく接していこうとして、いじわ
るをして、自分の思いとうらはらな言動をすることがあります。
 また、男の仲間と助け合いながら学び、協力して仕事に尽力して
いるのに、誤解されたり信用されないなど、自分の努力が正当に評
価されていないように見えます。

 そして、自分がさまざまに苦労しているのに、その思いは届かず、
仲間たちは自分の価値を認めてくれないので、悩みいらつきます。
 そして、地位をばん回しようとさまざまに策を練り、さらに複雑
な対応をして複雑な思いを抱くことがあると言えます。それゆえ、
いわば《主に男集団コンプレックス》と表現することもできます。             

                                        
【タイプ9】は、主に所属するべき
      人間集団に対して意識が向いています。                                                                                       

「主に人間集団に向く」とは人々と安定した関係を持ち、穏やかに
調和していたいので、自分の所属する人間集団に対して、意識上で
も無意識下でも向いていることを指します。それゆえ、所属するべ
き仲間集団がないと苦しく、所属していても穏やかに調和していな
いとなると気持ちが落ち着きません。
 タイプ9は、すぐに集団の輪の中に入れない用心深さがあり、人
見知りをして新しい環境に慣れにくい傾向があります。

 なお、タイプ9は周囲にいる人々と友好的な雰囲気で、適度の刺
激と活気ある世界に身を置いてのびのびと自然体でいられるときほ
ど充実感を得ることはないでしょう。  

 タイプ9は人々の和を乱さないで友好的な関係を保てば穏やかな
毎日を過ごせると思い込んでいます。それゆえ、少しの葛藤や争い
でも避けて見ないようにして、表面的であろうとも、とにかく平和
であれば、多くの問題は時間が解決してくれるだろうと考えます。

 そして、自己主張を控えて相手に同調していれば、敵対的な関係に
ならないで済むので誰に対しても受容的になり、自分が嫌っている人
にも嫌われないように対応します。
 また、おとなしく従順であると見られて、自分の存在が無視される
と苛立ちますが、それでも、自分を強く押し出すことができず言いた
いことを控えてしまい、人柄のよい誠実な人間に思われるように行動
する傾向があります。
 また、人々から疎外されることを恐れてさまざまに気を使い、悩み
疲れはててしまうのに、孤独を恐れて、自分を疎外する人間集団から
さえも抜け出せない傾向があります。
 このように、無視されて腹を立てているにも関わらず仲間集団から
抜けられず、複雑な対応をし複雑な思いを抱くことがあると言えます。
それゆえ、いわば《主に人間集団コンプレックス》と表現することも
できます。                     
            
                          
【タイプ7】は、主に母親に対して意識が向いています。     【タイプ7】は、母親に対して意識が向いています。
                                                                                
「母に向く」とは自分を生んだ母親に対して、そのままの自分を無条
件に愛して欲しいと根源的に願っているので意識上でも無意識下でも
向いていることを指します。

 タイプ7にとって世界は脅威と暗闇が迫ってくる恐ろしいところな
ので母に保護されて、毎日を陽気に楽しく過ごしていれば、暗いこと
や恐いことを見ないでおられます。
 しかし、母親に笑いかけ、明るく愛らしい子だと、受け入れてほし
いと願うのに母親は自分にかまけてくれません。母親の視線を自分に
向けさせ、かまってもらうために、あれこれと何かと物を欲しがりね
だりますが、母親はなかなか自分の望み通りのものをくれません。
 つまり、タイプ7は心の中で母親の存在が大きく占めていますが、
母親に意識を向けながらも母親の意識が自分に向くことを願い、さま
ざまな働きかけをしています。

 なお、タイプ7は自分の計画通りに事が進み人々の喝采をあびて、
明るく楽しい一時を作り出したときほど充実感を得ることはないでし
ょう。

  タイプ7は明るく楽しいことだけを追いかけて辛くて苦しいことは
極力さけて、とにかく逃げ出せば我が身は安全だと思い込んでいます。
それゆえ、長時間、同じところにいることはなく常に次なる場や次な
る楽しい体験を求めます。また、明日の天気は今日と同じように晴れ
ているとは限らないので、今日のうちに楽しいことをしたがり、すぐ
に駆け出していくので、衝動性が高い傾向があります。

 また、好奇心が強く新しい刺激を求めてさまよいますが、新しいゲ
ームもすぐにあきて、楽しかったつきあいも重たく自分を縛るものに
なります。そして、母親も自分をふり返ってくれないとなると刺激的
な体験や刹那的な快楽を求めます。また、求めても得られない母の愛
に絶望して、その母を憎み避けますが、それでも思い切ることができ
ず、イライラとして気持ちが落ち着きません。
 さらに、他の楽しみを考え出し、次々と買い物をしたり人々の間を
忙しく動き回りますが、かえって空しさが増すことになります。また
母親に代わる人を求めますが、母の代りにはならず、とかく複雑な対
応をし複雑な思いを抱くことがあると言えます。それゆえ、いわば
《母親コンプレックス》と表現することもできます。            
                    


【タイプ1】は、父親に対して意識が向いています。 

「父に向く」とは父の指示に従い、何事も間違いなく正確にこなして、
その努力を父親に認めてもらうことを願っているので、意識上でも無
意識下でも向いていることを指します。
 それゆえ、常に勤勉で正直となり、何事にも努力し続けなければな
らず、父を意識して、父にほめられることを願う傾向があります。し
かし、現実の父は、自分の求めている人とは異なり、高潔な人格者と
は言えず、尊敬したくともできず、導かれたいと思っても、素直に従
うことはできません。

 なお、タイプ1は順序通りに正確に一点の狂いもなく、難しい大
仕事をやりとげた時ほど充実感を得ることはないでしょう。

 タイプ1は、自分の求める理想の父親を持ち、その人に導かれて、
言いつけ通りに完璧にやり遂げたなら、自分の価値は認められ、人々
に信用されて、受け入れられると思い込んでいます。従って、誰に言
われなくとも勉学に励み、仕事をマニュアル通りに陰日向なくこなし
規則正しい清潔な生活をして、誰からも非難されないように気をつけ
ています。
 そして、父以外にも、父的な権威者を捜し求め、その人に導かれて
行きたがりますが、なかなかふさわしい人に出会うことができません。

 また、自分の不完全さや未熟さを嘆き、怠けたり休むことができず、
努力がまだまだ足りないからだと、自分を追いつめていく傾向があり
ます。そして、自分のいたらなさを感じて、さらに間違いなくやろう
として緊張し、かえって間違いをつくり出すので疲れ果ててしまうと
言えます。
 また、完全にできないので、父にみとがめられたのではないかと、
イライラとして気持ちが落ちつかず、挽回しようと焦りだし、何事に
も強迫的になって行き理性でコントロールできません。このように
とかく父に対して複雑な対応をして複雑な思いを抱くことがあると言
え、それゆえ、いわば《父親コンプレックス》と表現することもで
きます。
                         
 
                                       
【タイプ4】は、母親に対して意識が向いています。                                                                               

「母親に向く」とは、母の庇護下にいれば安心なので、いつも母親
の動静に関心が向けられて、その姿を見失わないようにしています。
また、母親の願うような子どもになれば、母親が自分を守ってくれる
ので、意識上でも無意識下でも向いていることを指します。

 タイプ4にとって、自分の存在は可でも不可でもなく、社会の中で
の自分の位置や役割がなかなか見い出せません。そして、自分の感情
の中におぼれさまよい、虚しさだけが、自分に襲いかかる恐怖感を抱
く傾向があると言えます。

 なお、タイプ4は自分らしい創造的な世界をつくり出し、母親や人
々に受け入れ理解されて、深く共感しあうことができた時ほど充実感
を得ることはないでしょう。    

 タイプ4にとって、母親は絶対権力者であり、あるいは閻魔大王で
もあるため、母親にOKと言われなくては、自分の存在はOKとはな
りません。従って、母親の価値観や生き方を理解して、期待通りの良
い子にならなければ自分の存在は危ういと言えます。ですから、母親
に自分の本当の気持ちを正直に言えずに、母に対して「ウソをつく子」
になることもあります。さらに、母親に対してウソをつくだけでなく、
周囲にいる人々にさえ、ウソを突き通して、礼儀正しい模範的な子ど
も、理想的な人間を演じていく傾向もあります。

 タイプ4は母親の姿が見えないと泣きだし、母親が病気になると不
安となり、母親と一心同体のような状態にいます。あるいは、母親に
少し指示されるだけでも、命令されたかのように感じて、絶対に命令
通りにしなければならないと思い込みます。また、母親から些細な間
違いを指摘されただけでも、心に深い傷を負うため、母親に反発した
り、嫌悪する傾向もあります。

 しかし、嫌悪すべき母親であるにも関わらず、心の奥では、母親を
慕い追い求めているので母親を切り捨てたり離れることができません。
 母親が自分を拒否すると、さらに母親に理解されたい、母親に守っ
て欲しいと願う思いが強くなります。また、母親から縛られず、自由
に生きたいと願いつつも、母親の姿を捜して行くため、とかく複雑な
思いになりやすく、イライラとして気持ちが落ち着きません。そして、
他に意識を向けて行こうとしますが、いつも母親の動静が気になり、
母親に対して複雑な思いが深まって行きます。それゆえ、いわば《母
親コンプレックス》と表現することもできます。 
                                       

   補足として   
                                        
 さて、「究極のエニアグラム」では、タイプ4のことを「人間一般
コンプレックス」と書いています。出版時に、タイプ4を「母親コン
プレックス」と訂正した方が良いと結論を出しましたが、とき既に遅
く、出版時には変更できませんでした。

 ここにお詫びしつつ、正しい解析として紹介いたします。また、タ
イプ7は、母親に意識が向き、母親からも自分に意識を向けて欲しい
と何らかのアクションをします。しかし、タイプ4は母親に意識が向
いていますが、母親から意識を向けられたいという思いが少なく、ア
クションをしない傾向があります。この両者は、よく似ていますが、
違っているところも多いので、間違えないようにしてください。また
前述の著書にあるタイプ4の「人間一般コンプレックス」については
間違いではなく、確かに、その傾向があります。それを次に紹介して
いますから、どうかご了承ください。

                 

    九つのタイプとコンプレックス

 人間はコンプレックスを生まれながら持っています。誰もがコンプ
レックスを持っていますが、先のところで紹介したコンプレックス以
外に、もう一つの、広い意味でのコンプレックスを持っています。
 従って、誰もが二つのコンプレックスを持っていると考えます。ま
た、それ以外にも、個人的な経験から「学歴コンプレックス」を持つ
人がいるでしょう。ある人は「容姿コンプレックス」とか、別の人は
「短足コンプレックス」があるのかもしれません。
 ただ、「コンプレックス」という言葉の使われ方は、あまり厳密に
使われていません。そのため、誤解したり悪く取ったり、中傷する時
に使うなどがあります。

 エニアグラム性格学では誰もが平等に複雑な思いを抱く対象者がい
ると分析しているだけです。ですから、お互いのコンプレックスを理
解して、互いを受け入れていく方法を捜して行くために役立つものと
してご紹介しています。他人を非難したり陥れたり、相手を傷つける
ために悪用しないで、どうか十二分に注意して取り扱って欲しいと願
っています。
                            
                                        
 
                                                               

【タイプ8・3・7】は、
  母性と女性に対して複雑な思いを抱く傾向があります。

 母なるもの、女性性、女一般などに対して、とかく意識が向きやす
く過剰反応するタイプです。この三つのタイプは、母親に愛されたが
り、自分だけ愛されて、やさしく扱って欲しいという思いが根底にあ
ります。しかし、母親はいつも自分の期待通りの愛情を与えてくれま
せん。従って、母親に対して欲求不満があり、満たされぬ思いをいつ
も抱えて、イライラとして気持ちが落ち着きにくい傾向があります。
 さらに、女性性に厳しく、女性を慕い追い求めているのに、憎んだ
りさげすむなど、女一般に注文が多くなり、とかく複雑な思いにから
れやすく、複雑な対応をする傾向があります。それゆえ、「母性と女
性コンプレックス」と呼ぶことができます。

☆「人生の根源にある目的は、愛を獲得すること!」
     「子どもの頃、お母さんっ子になりやすい」


【タイプ2・6・1】は、
  父性と男性に対して複雑な思いを抱く傾向があります。

 父なるもの、男性性、男一般などに対して、とかく意識が向きやす
く過剰反応するタイプです。この三つのタイプは父親に生き方を示し
て欲しい、父親に指導されたいという思いが根底にあります。しかし、
父親に自分の価値や努力を認められたいのに、父親はいつも自分の期
待通りに、自分を評価してくれません。従って、父親に対して欲求不
満があり、満たされぬ思いをいつも抱えて、イライラとして気持ちが
落ち着きにくい傾向があります。
 さらに、男性性に厳しく、男性を信頼して追い求めているのに反発
したり誹謗するなど、男一般に注文が多くなり、とかく複雑な思いに
かられやすく、複雑な対応をする傾向があります。それゆえ、「父性
と男性コンプレックス」と呼ぶこともできます。


☆「人生の根源にある目的は努力を評価され認められること!」
     「子どもの頃、お父さんっ子になりやすい」

【タイプ5・9・4】は、
  人間性と人間集団対して複雑な思いを抱く傾向があります

 人間なるもの、人間性、人間一般などに対して、とかく意識が向き
やすく過剰反応するタイプです。この三つのタイプは人間たちと理解
し合い、周囲の人間たちに受け入れられて親密な良い関係になりたい
という思いが、根底にあります。しかし、人間たちはいつも自分の期
待通りに、自分を理解したり受け入れてくれません。従って、人間一
般に対して欲求不満があり、満たされぬ思いをいつも抱えて、イライ
ラとして気持ちが落ち着きにくい傾向があります。
 さらに、人間性に厳しく、人間に期待したり追い求めているのに、
非難したり罵倒するなど人間一般に注文が多くなり、とかく複雑な思
いにかられやすく複雑な対応をする傾向があります。それゆえ、「人
間性と人間集団コンプレックス」と呼ぶこともできます。

☆「人生の根源にある目的は、世界を知り自分を知り、
      人々と理解し合うこと!」
                      
 「子どもの頃、タイプ4はお母さんッ子になりやすいが、
おばあさんっ子や、おじいさんっ子にもなりやすい。」


タイプ4は、最も甘えン坊で寂しがりであるためか、甘えられる対象を
探し求める傾向があり、上記のようになりやすい。しかし、タイプ5と
9は、人を慕うとか甘えるところは少なく、特定の人と親密になること
はあまり無く、一般的的なイメージにあるような「○○っ子」にはなり
にくい人たちです。その本質(おじいさん気質タイプ5・おばあさん気
質タイプ9)からして、祖父母という存在に近いためか、比較的、祖父
母に親しみやすく、他の年寄りたちにも違和感なく近づきやすい傾向が
あります。

 この考え方については、以下のところに詳しく書いてますから併せて
お読みくださることを願っています。

http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/active/page15/15-201~/15-215.htm

http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/active/page15/15-1~/15-29.htm
      
http://www.mirai.ne.jp/~ryutou-m/eneagram/active/page15/15-1~/15-38.htm




※「おかあさんッ子」になるのはうまつれに内包している「因子」

各タイプの意識の向ける対象は、生まれ持った「因子」と考えてください。「
因子」があっても、「発現」しない場合があります。たとえば、「お母さんッ子」
になるとしても、全てのタイプ8374の人たちがそうなるとは決まっていません。
それは生まれ持った「因子」みたいなものです。仮に、実母が子を可愛がら
ないと、タイプ4は、おかあさんっ子には見えず、母親に意識が向いているの
か分かりにくいでしょう。

 タイプ5にとって、仮に祖父がタイプ7w6で、年寄りなのにいつまでも遊び
たがりで、元気活発で子どもっぽくて、子どもに無関心でよく動き回る人であ
ったとします。そうなると、おじいさんらしくありませんから、タイプ5の幼児は
おじいさんと親しみにくく、おじいさんッ子になりにくいと考えられます。その子
の父親がタイプ5であれば、父親のほうが「おじいさんらしい」ので、おとうさ
んっ子になってしまうかもしれません。

 これは、どのタイプにも言えることです。つまり、そのようになる「因子」は
あっても、「発現」しないのです。ガン体質を遺伝的に親から継承しても、ガ
ンが発現しない人がいるのと同じです。

 また、ここでの「向く対象」とは慕うとか、甘えられる対象ということではあり
ません。「存在が大きい」という意味です。たとえば、本質的には母親に向く
タイプ7であっても、父親が横暴でいつも叱られてばかりならぱ、父親とのこ
とばかり考えてしまうものです。逆に、母親が子どもに無関心で、父親に大変
に可愛がられたならば、このタイプ7の人は、「おとうさんっ子」となり、さなが
ら、父親に意識を向けているように見えます。

 表面的に見ていると、大変な間違いをおかすことになります。Q&A室などで
は幾つもの事例を出して説明していますから、併せてお読み願いたいと切に
希望します。