特集シリーズ                   

         
   9タイプの性格を「家族名で表す」


           
人類は9人家族

  一緒に暮らす家族でさえも、その気質(性格)を知らない人たち
が、一杯にいます。それどころか、自分の性格を人に説明できないと
か、自分のタイプが分からず、何年も見つけられない人もいるようで
す。
 今回、紹介するものは、「性格の本質性」というものに着目すれば、
簡単に性格が分かるため、ぜひとも知って欲しいと公表したものです。


1 イメージの中にある「おばあさん」 
                
 
さて、ワーク・ショップで、ある質問をしました。「あなたにとっ
て“おばあさん”とはどんなイメージのある人のことですか?」 

 ある参加者は「おばあさんって、のんびりして静かで、暖かい人柄
の人を指していると思います」 
ある人は「おばあさんは、少しボケ
ており、孫の相手をしている」と言います。

 別の人は「私のおばあさんは、きつくて怒ってばかりいる人です」
と実在の人を取り上げました。しかし、実在のおばあさんは、それこ
そ十人十色です。ですから、実在ではなく、イメージの中にある“お
ばあさん像”を語ってくださいと再度、質問をしました。

 すると、
「揺りイスに座って、一日中、編み物をしている人・縁側
で日向ぼっこをしている人・少し反応が遅い・欲がない・落ち着いて
いる・余生が平安で、何事も起きないことを願っている・あまり外に
出かけない・保守的・義理や礼節や決まりなど、言われなくとも知っ
ていて、よく守る
・誰にでもいい顔をする・家族の誰からも嫌われにくい・受容力があ
る・温和で誠実・争いを嫌がる・変化がなく、つつがないことを願う
・新しいことを覚えにくい・物忘れが多く、何事も忘れやすい・緊急
のときには役に立たない・家族の団欒にはいつも加わる・あまり遊ば
ない・小さい児を可愛がる・腰を上げるのが遅くて重い・毎日、同じ
食事を出しても文句を言わない・計算高いところがない・やさしい・
機転が利かない・機敏ではない・自己表現力が足らない・言葉巧みで
ない・不器用・甘えない・一緒にいると心が休まる・受け身で消極的
・無理をしない・早寝して、夜更かしができない・根気がある・辛抱
強い・あきらめが早い・野心的ではない・自己管理が甘く苦手……等
々」


 
多くの人たちが、思いつくままにおばあさんのイメージを口にしま
す。それを書き留めていくと、以上のようになります。



2 共通のイメージ

 
さて、ここに上げたものは、全て【タイプ9】に当てはまってしま
います。あなたの持
っているイメージと、他の人が持つおばあさんの
イメージが異なることはよくあります。しかし、多くの人が語るおば
あさんのイメージの中で、共通のものを取り出すと、それが【タイプ
9】の基本的な性格になるのです。

 なお、「揺りイスに座って、一日中、編み物をしている」とは、単
に比喩的な表現であり、のんびりと穏やかな生活をしたがる傾向のこ
とです。あるいは、「一日中、同じ作業にたずさわれるほど、根気が
よい」「変化のない作業でも苦にならない」ことを表わしています。

 ところで、もし、あなたの身近にタイプ9の人がいたなら、まさに
上記のような“おばあさん”のイメージだと実感するでしょう。

 たとえば、実在の父親がタイプ9だとします。すると、あまり父ら
しくなく、のんびりと寛容で、機敏ではなく、無理をせず、争いを嫌
がる性格だと知っていることでしょう。保守的で、誰にでもいい顔を
する人で、近所の人や職場では、人柄の良い人で通っていることが多
いのです。しかし、職場では腰が重くて、なかなか動き出さないので、
上司からのおぼえが悪い人かもしれません。逆に、その素直さや穏や
かさで、上司からの受けがいいかもしれません。

 忙しい職場で働いているタイプ9は、機敏さを要求されます。です
から、そんなところに十年も勤めていると、ボウッとしたり、腰が重
くなるとは考えられません。テキパキと仕事を処理しているはずです。
そして、たぶん、帰宅してから、ホッとして、そこで始めてのんびり
できます。腰を下ろしてテレビの前に座ると二度と立ち上がらないの
かもしれません。また、興味深いことですが、まさに夜更かしが苦手
で、若者でも夜9時に就寝している人もよく見かけます。

 
タイプ9は「おばあさんタイプ」ですが、性や年齢、置かれた環境
や立場、その他、諸々の違いがありますから、一口におばあさんとい
っても多様で、とても語り尽くせません。しかしながら、ここに上げ
た「おばあさん」としての本質は、タイプ9という気質に生まれた人
ならば、共通にあります。


3 イメージの中にある本質性
    
 
ここでも、「おじいさん」のイメージを多くの人に聞きます。個々
人が持つイメージは
違いますが、共通のイメージを取り上げると、以
下のようになります。


「無口で頑固そう・冷静・落ち着いている・蓄えられた知恵を、緊急
の時に役立てられる・知恵者・家族の団欒に加わらない・隠居部屋で、
自分のしたいことだけをしている・書斎で読書三昧・必要なことだけ
を簡潔に言う・冷たく人を突き放して見る・人づきあいをしたがらな
い・交流したがらず、群れない・情報収集だけに没頭する。例えば、
新聞を切り抜き、すぐに取り出せるように番号をふり整理する・書籍
や辞書類を欲しがる・事実を知ることが大切・腰が重たい・不安感が
少ない・重厚・石のように冷たく硬い意志がある・自分自身のことは
全く語らない・家族の誰とも近い関係にならない・自立的で、依存心
がない・自分の病気や体力だけはしっかりと気をくばり、健康維持に
努める・自己管理ができる・散歩を好み、散歩しながら情報収集をす
る・早起き・先々を見通し、計画性がある・論理的で理知的・熱や暖
かみがなく、どこか枯れて淡々としている・秘密主義的・濃厚な関係
を嫌い避ける・客観的なことばかり言う・なかなか参加者にならず、
ほとんど傍観者・前線から引退した人・ご隠居さん・疑り深く、なか
なか信用しない・すぐに物事に飛びつかない・流言飛語に惑わされな
い・遊ばない・自分を飾らない・率直・大胆なとこもある・正直だが
冷淡・熟慮する・大所高所から、人々や社会を見ている・非協調的で
マイペース・無表情で愛想がない・人を褒めない・気が利かない・敏
捷ではない……等々」


 こうして、おじいさんのイメージの共通部分を取り上げると、それ
がタイプ5の基本的な性格とピタリと符号します。あなたの周りにも、
きっといるはずです。 「盆栽を終日いじっている」というイメージ
もあるようです。が、「盆栽」とは単に象徴的なイメージです。実際
に盆栽をいじっているかもしれません。例えば、気長に取り組むこと
や、すぐに役に立たないことを執拗にしていると考えてください。そ
して、ここでも興味深いのは、実際のタイプ5も、早寝早起をする人が
多いという傾向はあるのです。なお、タイプ5は、目立たないように
していますから、あまり見つかりにくいタイプです。         


4 9つのタイプの本質性 
 
              
 
さて、エニアグラム図形では、一番上にいるタイプ9は、全ての根
源にある性質で、「原型タイプ」とも言います。人類はたった一人の
女性からはじまったのですから、タイプ9が真上に位置する意味が、
納得できるのではないでしょうか。従って、「おばあさん」という呼
称は、比喩的というだけでなく、性格全体をうまく言い当てているシ
ンボル的な呼び方とも言えるでしょう。

 なお、以下に「お父さん」から始めて、最後に「末っ子」のタイプ
4まで、残り7つのタイプを、一括して紹介します。
 

       
9つのタイプの性格を「家族名で表す」

タイプ8お父さん気質

タイプ3次男気質

タイプ7長男気質

タイプ2お母さん気質

タイプ6次女気質

タイプ1長女気質

タイプ5おじいさん気質

タイプ9おばあさん気質

タイプ4末っ子気質


5 その他のタイプの気質

タイプ8「お父さん気質」 
                          

 
お父さんは、一族や家族を外敵から守ることが、第一に求められ
ています。そのために強くならねばと、自分を鍛え上げます。とて
もタフで、日頃から用心深く、周囲をよく観察しており、相手は敵
なのか味方なのか、はっきりと識別しようとします。
 そして、味方を守り、敵を敗退させねばなりません。ですから、
家族の安全を確保するために、先頭に立って戦い、勇敢で、闘争心
と責任感があります。また、どうしても負けられない立場にありま
すから、必ず勝てる戦法を探さねばなりません。従って、勝つため
には手段を選ばず、敵の弱点を知りたがり、効果的に敗退させられ
る方法を探します。

 お父さんは、日頃から強さを表わすために、威嚇的な言動を取り、
大きな力強い声を出して、余裕綽々とした立ち居振る舞いをします。
また、いつも身構えて、スキを見せず、いつでも戦いに応じられる
ように、警戒を怠りません。

 また、一族や家族を増やすために、子どもを多く持ちたがり、配
偶者に高い関心を示します。そして、より多くの人間を指導する人
間になりたがり、権力欲が強く、負けず嫌いで野心的です。従って、
他人から指図されることを極端に嫌がり、自立的で、容易に頭を下
げません。いつも優位性を保っているため、近寄りがたい雰囲気が
あります。最も欲望が強く、自分の欲しいものは確実に手に入れよ
うとします。

 信じられるのは自分だけで、自分に疑念は起きません。そして、
自分に従う人間には甘く、逆らう人間には手厳しく、自信家で傲慢
で、人をアゴでこき使います。また、危機時には、とくに決断力と
実行力が表面に出て来ます。生まれついての闘士で、人とぶつかり
やすく、敏捷で大胆、ち密さと慎重さとクールさを併せ持つ肝っ玉
の座っているタイプです。なお、バイタリティがあり、一晩や1週
間くらいは、平気で寝ないでいられるほどで、もっともパワフルで
す。

        
☆タイプ2「おかあさん気質」 
                        

 
おかあさんは、一族や家族を養い育てる役目があります。そのた
めに、自分のことは二
の次になりやすく、家族のために良かれと思
うことを、積極的にやります。病気や怪我をしている成員には、声
をかけて世話し、あるいはお節介を焼きます。人の必要を満たすこ
とが喜びになります。とくに、子どもを育てる意識が高く、一人前
の成員にしようと、躾たがり教育熱心です。
 そして、辛そうにしている人はほっておけず、暖かいもてなしを
して、仲間や家族たちが、互いに助け合うようにと力説します。信
じ合い助け合ってこそ、家族は繁栄するのです。
 従って、そのためには、まず自分から積極的に行動を起こす必要
があります。自己犠牲を厭わず、攻撃的なきつい性格でなくてはお
母さん役はやれません。そして、ボランティア精神を生まれながら
に持つタイプです。

 おかあさんが自分の心配ばかりしていては、家族を養育すること
はできませんから、自分の心配をあまりしません。ですから、不安
感が少なく、人間が好きで、明るく楽天的です。また、前向きにな
りやすくエネルギッシュな働き者です。自分の間違いに気づきにく
く、自己中心的になり、他の人は間違いだらけで、何もできない世
話のかかる人たちばかりだと思い込んでいます。自分がいないと、
家族はでたらめになり、生活がメチャメチャになると思いこみ、他
人を叱責したり、注意を与えています。
 日頃から好奇心が強く、新しい事物や習慣を取り入れ、器用に活
用します。衣食住を整えたがり、家族に豊かな暮らしをさせようと、
さまざまな分野に参加します。ですから、自信家で、指導力があり、
情熱的です。

  そして、お父さんが不在の時は、家族を守らねばならない立場に
います。小熊のいる母熊ほど恐ろしいものはないと言われるように、
危機時には冷静で勇敢となり、自分の持てる以上の力を出して応戦
します。このタイプもエネルギーがあり、すぐにリラックスして、
エネルギーを充電するのがうまく、場合によっては、無理をしたり、
無謀になることもあります。

☆タイプ1「長女気質」  
                          

 
長女は初めての子どもです。長女は、父親を強く意識して、父親
の指導を受け入れて、
父には従順です。また、母親を助けて、家族
のためによく働きます。ですから、両親の言いつけをよく守り、決
まりを守って、弟や妹の面倒を見ることも厭いません。家に居るこ
とが大好きで、いつも家族と行動をともにしたがります。また、父
親に言われたことを、几帳面に、そのまま守って、確実に最後まで
やり遂げます。
 長女は優秀な人間になれば、父親に認められます。自分のするこ
とが社会に役立てられると、多くの人から信頼されると考えます。
ですから、向上心があり、遊びたがらず、義務感や責任感がありま
す。また、落ち着いて、迷いが少なく、言われたことに疑念を持た
ないので、意志の強いしっかり者に見えます。
 また、意味のないことに関心を持たず、無駄だと思われることに
時間を割かず、目の前にある用件を、正確に完璧に遂行しようとし
ます。
 そして、清潔な家に保ち、家事を手伝い、規則正しい毎日を送り
たがります。ですから、毎日、自分のすべきことがあり、いつも体
を動かしており、怠けることを知りません。従って、緊張しやすく、
リラックスべたで、礼儀正しく、恥ずかしい行為をしないように、
自戒しています。
また、律儀で正直者で、ウソが言えず、誤魔化し
などもしません。いつも通りの生活を守り、生まれながらの勤勉家
です。

☆タイプ7「長男気質」 
                           

 
長男は、一家の将来を担っている人間ですから、特別な待遇を受
けるべき存在です。で
すから、自分だけは特別待遇されるべきだと
主張しているかのごとく、長男は自分勝手で、楽しいことだけを追
います。
 母親の手厚い世話を受けたがり、何かと物をねだって、母親の注
意がいつも自分に注がれるようにします。病気になったり行方不明
になったり、いたずらしたりと、世話のかかることばかり、次々と
巻き起こします。また、母親がいないと寂しく、いつも母親を独占
しようとします。 

 長男は、家族のみんなに注目されたがり、明るい笑顔と、面白い
会話で引きつけます。そして、よく気がついて、心配したり、なぐ
さめの言葉をかけます。あるいは、楽しい話題を提供して、元気づ
け、励ますなどもよくします。

 また、生まれながらの遊び上手で、楽しみつくそうとするため、
好奇心が強く、新しいもの、面白くて物珍しいものを、すぐに見つ
けて追いかけます。従って、辛抱強さや責任感に欠け、苦痛や辛い
ことを直視できず、いち早く逃げ出します。

 また、ドライで割り切りがよく、物事に執着しません。身のこな
しが軽く、いつでもスタンバイ状態にいて、落ち着きがありません。
 しかし、記憶力が高く、頭の回転も早く、広く情報を収集します。
従って、変わり身が早く、軽快で、危うい! と気配を感じただけ
で姿をくらまします。最も機敏で、危険をいち早く感知して、家族
に知らせる役目をします。つまり、生まれながらの警鐘係、または
見張り番です。


☆タイプ6「次女気質」 
                           

 
次女は、堅実なしっかり者の長女が既に存在しているため、別の
方法で家族の中での
自分の役割を探します。つまり、愛らしさ、気
遣いのこまやかさ、やさしい思いやりを示します。

 そして、力強い父の庇護の下にいれば安全ですから、父親を慕い
ます。父親に指導されて、男性たちの補佐役をして、社会や人々の
ために、役に立つ人間になろうとします。 
 次女は、家族がどこで何をしているのか、よく把握しており、全
員から嫌われないように、相手に合わせながら、自分の成すべきこ
とを探します。ですから、ある次女は聞き上手で、相手の話をじっ
くりと聞いて、労りの言葉をかけたり、そっと慰めます。ある次女
は話上手で、落ち込んでいる人を元気づけ、楽しい会話に引き込み
ます。従って、生まれながらに交流上手で、補佐役や秘書役なども
うまくできるタイプです。

 しかし、家族の輪の中で、安全を確保しますから、一人っきりに
はなれず、心配性です。けっして一人だけにはなれず、孤独を極度
に恐れて、常に誰かと一緒にいたがります。従って、家族が集い大
勢いると幸せで、家族から嫌われたり、無視されると、いじけたり、
スネたり、場合によっては、かなり攻撃的になります。しかし、不
満があっても何も言えず、くすぶり続けることもあり、自分より弱
い人間をいじめたり、物に八つ当たりすることもあります。そして、
危機が近づくと、パニックに陥り、ありとあらゆる策を練って、周
囲を混乱させ、惑わせます。次女は、いつも家族と運命共同体的な
ところにいて、ともに泣き、ともに喜び、家族の絆を強める働きを
します。


☆タイプ3「次男気質」 
                           

 
次男は、快活で派手な長男が既に存在しているため、別の方法で、
家族から注目を受け
たり目立たなければ、自分の存在が霞んでしま
います。
長男が楽しませたり、いたずらをして注目されることがあるとする
と、次男は家族から賞賛されるような有能さや、カッコ良さをアッ
ピールします。従って、生まれながらの野心家で、見栄っ張りにも
なり、積極性があります。

 また、母親に可愛がられ、振り向いて欲しいので、甘えたり、や
さしい気遣いや細やかな配慮をします。なお、母親だけでなく、女
性たちにも振り向いて欲しいと願い、女性の輪の中に入りたがりま
す。

 次男は家族をよく観察しており、その中で、如何にして自分の有
能さを発揮できるのか、チャンスを探しており、慎重です。従って、
日頃から情報収集をして、ここぞという見極めがうまく、フットラ
イトを浴びる日を夢見て、自分を磨きます。また、人気者になると
うれしくて、意欲は増し、活発で元気になります。
 しかし、自分の努力にも関わらず、なかなか注目されないので、
ひがむことがあり、うまく自分をアッピールできない悩みがありま
す。
また、兄や姉たちに挟まれているため、積極的に自分を売り込
まないと、忘れ去られたり、置き去りにされる恐れがあります。従
って、自慢したり、場合によっては、アッと驚かせる必要がありま
す。しかし、あまり目立ち過ぎて、兄姉たちからねたまれて、攻撃
される恐れもあります。また、失敗して笑われたくないので、大胆
になりにくく、よくよく計算して準備を怠らず、間違わないように
しています。また、出過ぎないように、協調的で、みんなの動向を
よく観察して、愛される対象になれるよう、さまざまな工夫をした
り、努力をしています。 
     


☆タイプ4「末っ子気質」 
                          

 
末っ子は、最後に生まれた子どもです。家族のそれぞれは自分の
居場所や役割を見つけ
て、生きていくための基本方針を持っていま
す。しかし、末っ子には、残されている役割や、本来の居場所がな
いように感じます。自分だけ家族の員数に入っていないかもしれな
いとか、拒絶されていると感じやすく、疎外感を抱きがちです。で
すから、自分の存在がOKではないと感じて、自分の殻にこもるこ
とがあります。  

 また、末っ子も、母親にかまって欲しいと願いますが、兄弟たち
に先を越されて、母親を独占することができません。母親の姿を見
失わないように、注意しつつも、空想に浸り、いろいろなお話を作
り出して、一人遊びします。従って、現実から逃避しやすく、現実
的な処理能力が低くなりがちです。また、自分は無能であるとか、
特別におかしな人間であるとか、存在する価値のない人間ではない
かと、自問答して、自分を追い詰めることがあります。

 
なお、生まれながらの芸術家・研究者タイプですから、イメージ
力や直感力があり、誰も思いつかない創作品を作り出し、あるいは、
大発見をするかもしれません。また、創作したお話や音楽などで、
家族を慰めたり、癒すことがあります。しかし、思い詰めやすく、
破滅的になりやすいので、かなり無謀になることがあります。シャ
イで怖がりにも関わらず、大胆で一筋になりやすいので、家族を驚
かせるかもしれません。

 末っ子は、懸命になりやすく、生きる意味を考え、さまざまなこ
とに疑問を感じます。自分なりの回答を得たいと、真剣になりがち
で、その必死な思いが、偉大な仕事として、結実することがありま
す。そして、よく眠り、夜更かしも多く、不規則な生活をしやすく、
健康指向が少ないためか、
病弱になりがちな傾向はあります。しか
し、家族の輪の中にあり、よく理解されて自由でいられると、元気
一杯にもなります。 

 
         


6 人類は9人家族

 
ところで、タイプ9とタイプ8がぶつかり合うと、負けるのは初
めから決まっていると
分かるでしょう。なぜなら、タイプ8の本質
性は“お父さん”で、タイプ9のそれは“おばあさん”だからです。
しかし、予想に反して、負けると思った「おばあさん」が、人生の
勝利者になることがあります。
 なぜなら、人生は一回戦ではありません。何回戦かは分かりませ
んが、長い戦いですから、きついばかりで、人をアゴでこき使うタ
イプ8には、誰もが嫌気が指すでしょう。そんな人をボスにするよ
りは、温厚なタイプ9の方がよいと、大勢の人たちから選出された
り、求められるかもしれません。

 
 
また、タイプ4は「末っ子タイプ」ですが、その末っ子が、力強
いお父さんタイ
プよりも、歴史に名を残し、偉大な仕事をなし遂げ
ています。ですから、あるタイプに生まれると、運命的に導かれや
すい方向性があるとしても、それで全てが決まるのではありません。
 どんな性格にも長所と短所が備わっていますから、力強さが必要
な場合は、タイプ8の長所は活かされます。しかし、創造力が必要
な場合は、タイプ4が能力を発揮して、タイプ8の出番がありませ
ん。

 例えば、タイプ6の細やかな心遣いが、家族の結束を固めるかも
しれません。あるいは、オアシスのような持ち味のあるタイプ9が
いるので、家族の気持ちが安定して、落ち着くのかもしれません。

 タイプ7が、楽しく面白いことを巻き起こすので、家族の気持ち
がリフレッシュされます。タイプ3が家族を意欲的にさせ、元気づ
けてくれます。タイプ1が間違いを排して、注意を促してくれるの
で、安心できます。タイプ5が日頃から情報を蓄えているので、困
った時には問題解決のための知恵を拝借できます。そして、傷つき
病に倒れた時は、タイプ2が懸命に看護してくれるでしょう。
 

 9つのタイプの本質性を、「家族名」で表示すると、理解しやす
いと分かって来たのではありませんか。人類は9人の家族で構成さ
れているのです。また、性格とは、「役割」であり、あるいは「棲
み分け」であると発見できたと思います。

 エニアグラムは、家族の一人ひとりが、それぞれに自分らしく生
きて、それぞれの取り柄や長所を活かしながら、助け合うことが大
切だと、示唆しているのではないでしょうか。家族は手をつなぎ合
って、輪になっていると、エニアグラム図から読み取って欲しいと
願っています。