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5.ビールのスタイル


 ビールには3つの基本的なスタイルがある。エールは、上面醗酵イーストを使って暖かな温度で醸造する。ラガーは、下面醗酵イーストを使って涼しい温度で醸造し、冷蔵して熟成する。スチームスタイルビールは、暖かなエール醸造温度で醸造したラガーである。使うイーストの種類よりも、醸造と熟成の方法の方がより影響を与えることを心すべきである。例えば、スチームスタイルビールは下面醗酵のラガーイーストを使うが醗酵と熟成をエールの温度で行うため、ラガーよりエールに近い味である。

 エールは、より許容的な上面醗酵エールイーストで醸造し、ラガーより強い風味がある。スチームスタイルビール同様、エールは、醗酵と熟成が室温で行われるため(理想的には60〜65V)、ビール醸造初心者にとって易しい。

 スチームスタイルビールはエール醗酵温度で醸造したラガービールである。1990年代に冷蔵庫が無いのにラガーを作ろうとした東部の醸造業者によってサンフランシスコで発明された。暖かな温度で醸造したラガーイーストによる風味と伝統的な高いホップ割合とが分かち合う、元気な風味を持つ。スチームという言葉は商業的なビール醸造で使う場合は、今はサンフランシスコのアンカービール会社の商標になっている。

 スチームスタイル同様、ラガービールは下面醗酵のラガ―イーストで醸造する。ラガーは、低温で醗酵し冷蔵庫で少なくとも1カ月以上熟成することにより、エールやスチームより滑らかで、より頑固でない風味を持つ。ラガーは自家醸造で最も難しいビールである。なぜなら、醗酵温度は70V以下でなければならず、栓打ちしてから少なくとも4週間の冷蔵庫での熟成が滑らかで円熟したラガーの風味のためには必要であるから。


温度 Temperature 

 醸造するビールがエールか、スチームか、ラガーかは、醗酵と熟成の温度による。エールは最も許容的で55〜80Vの温度範囲で醸造できる。スチームは55〜75V、ラガーは50〜70Vである。最適温度はエールとスチームでは安定した60〜65V、ラガーでは安定した55〜60Vである。

 最適温度より高めの場合はより強い風味になる。高めの温度で早く醗酵するためイーストが風味の劣る混合物(より強い、荒っぽい風味)を過剰に生成するためである。醗酵温度は安定しているべきである。屋外や暖房の無い小屋などで醗酵させてはならない。一日の温度変化が12V(約7℃)以上だとイーストにショックを与え、渋い風味を発してしまう。

 暑い気候では、醗酵器を水の入ったたらいに入れ、吸収性の濡れタオルで包んで、3〜5V冷やすことができる。同時に大きな温度変化に対しての保護にもなる。濡れタオルからの水の蒸発がビールを冷やす。究極の温度管理法として、自家醸造用品店では冷蔵庫安定器を売っている。これは古い冷蔵庫を醗酵と熟成のための恒温環境に利用するためのものである。


熟成 Aging 

 人生と同様、ビールもその最盛期に達する前に成熟期間を経る。エールとスチームビールは室内の暗い場所で、理想的には55〜65V(12.8〜18.3℃)の一定した温度で、熟成しなければならない。醗酵開始密度が1.055以下のエールとスチームビールは瓶詰め後2週間でとても良いビールになり、3〜4週間で最高の風味に達する。高い密度の、より強いビールは少なくとも3週間熟成しなければならない。

 真のラガービールは冷蔵して熟成される。室温熟成のラガーはスチームビールである。真のラガーを作るためには、瓶詰し、6日間醗酵温度で保管して炭酸ガス化を促進し、それから、ビールがきらめくほど透き通るまで、通常飲む前に4〜7週間、冷蔵する。

 最良のビールを作るためは、種類によった熟成をする。ラガーは冷蔵で、エールとスチームは室温で。ビールは全て、ホップ化合物の光に対する反応を防ぐため(スカンク風味を生じる)、暗い場所で熟成しなければならない。また熟成温度は、冷たかろうが室温であろうが、一定でなければならない。  

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