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3.材料


穀物 Grain 

 全てのビールと認められるものは大麦モルトか小麦モルトが元になっている。大麦や小麦は発芽するまで湿らせておき、それから炉で乾かす。カラメル風味やローストしたモルトの風味の暗い色のビールを作るときは、大麦モルトを暗い色の度合によって炉で加熱する。

 大麦モルト穀粒を醸造に使う前に粉砕したり挽いたりしなければならない。障害物のような殻を取り除いて内部の甘いモルトの味を醸造水に溶かし出す事ができるようにである。大麦モルト穀粒は自家醸造用品店で既に粉砕した状態で売っていることもある。また、挽臼、転がし緬棒、混合器等を使って殻を砕く事ができる。穀粒を粉砕して粉末にすることは避けるべきである。その結果生じる湿った粉で、漉すことが難しくなるから。

 最も明るい色の穀粒、大麦ペールモルトは軽く炉で加熱しただけ(乾かす程度)で、マッシュした時最も多くの糖分混合物を作り出す。マッシュして澱粉から醗酵可能の糖分に変えたとしても、あらかじめマッシュしたエキス状態のものを使用しても、大麦ペールモルトは、明色暗色全ての種類のビールの醗酵可能糖分を供給する、基本材料である。大麦ペールモルトと近い関係にあるのは、醗酵せずにこくを作り出すデキストリンを高い比率で含むデキストリンモルトと、僅かに高い温度でローストされて金色と軽いナット風味を加えるウィーン・ミュンヒェンモルトがある。

 大麦モルト同様、小麦モルトも軽く加熱し、フィートビールの製造に使用する。小麦モルトは、大麦モルトのきりりとした風味に比べ、ビールにより柔らかな、パンに似た特長を与える。

 クリスタルモルトは、醸造業者の間ではカラメルモルトとして知られているが、大麦モルトを高温にさらしこんがり焼けたトーストの様に大麦を焦がしたものである。大麦ペールモルトと異なり、クリスタルモルトの澱粉の大部分は、特別の熱処理によって醗酵可能な糖分に変わる。クリスタルモルトは、実際には釜のなかでたっぷりの水で150から170°F(66から77℃)で2時間弱マッシュして、シチュー状態でモルトの澱粉がカラメル状の糖分になる。クリスタルモルトは熱処理で暗色の度合を変える事ができる。自家醸造用品店では普通の琥珀色タイプと同くらい明るい色の物も入手できる。クリスタルモルトの澱粉は既に風味豊かなカラメル糖に変化しているので、モルトエキスで醸造する人がマッシュをせずにモルトエキスの風味を調整する場合に、とても有益な補助品である。

 チョコレートモルトは420V(215℃)でチョコレート色になるまでローストした大麦ペールモルトである。クリスタルモルトと異なり、チョコレートモルトはシチュー化してないので醗酵可能糖分を含んでない。チョコレートモルトは水に浸すとローストしたモルトの風味を出すため、モルトエキスで醸造する人にはとても有益な補助品である。

 ブラックパテントモルトはチョコレートと同様だが、エスプレッソコーヒーの様に真っ黒くなるまで450V(232℃)でローストする。暗い色にローストされたチョコレート同様、ブラックパテントも水につけると、黒い色と甘いロースト風味を出す。

 ロースト大麦はブラックパテントモルトと同じ様に熱処理されるが、大麦ペールモルトを使うかわりに発芽してない大麦から作る。大麦モルトでないため、ロースト大麦はブラックパテントに比べて辛口で鋭い味を持ち、辛口スタウトを作る上でとても有益である。

 軽くローストしたモルトと異なり、チョコレート、ブラックパテント、ロースト大麦は完成ビールの表面張力を増す(「減らす」?)成分を出すため、泡もちが良くなる。


モルトエキス Malt Extract 

 醗酵のためにエキスを作るには、粉砕した大麦ペールモルトを(時にはフィートビールの為に粉砕した小麦モルトも混ぜ)水でお粥の様な濃度に溶いて150〜155V(65〜68℃)で1、2時間、マッシュと呼ばれる工程で酵素の働きによりモルトの中の澱粉を醗酵可能の糖分に転換する。マッシュが終わったら、スパージングと呼ばれる工程で糖分のモルトエキスをお湯で穀物殻からすすぎ取らなければならない。抽出された甘い液体はホップと共に沸騰され、醸造者の間でワートと呼ばれる醗酵前のビール原料となる。自家醸造者のいくらかはビールの色とモルト風味の完全制御を追及して、自分のモルトを自分でマッシュするが、大部分の自家醸造者はモルトエキスを使ってマッシュの長い工程を迂回する。

 5ガロンのビールを作るのに5時間を費やしての観察を楽しめない醸造者への便宜のため、できたてのマッシュされたワートの水分を蒸発して作ったシロップモルトエキスや乾燥モルトエキスがある。化学添加物がイーストを殺し醗酵を妨害するため、自家醸造用のモルトエキスは保存料無しで作られる。

 殆どのモルトエキスはホップ無しであるが、ホップの風味をつけたものもある。単にホップエキスを加えてホップ風味を付けるのと異なり、ホップ含みモルトエキスの最良のものは濃縮前に本物のホップをワートに加えて沸騰させている。ホップ含みモルトエキスの利点は便利さであり、醸造者はホップを入れる必要がない。欠点は、苦みレベルやホップ種類の調整ができず、醸造者がビールの最終的な風味のコントロールができないことである。

 モルトエキスは普通、液体モルトエキスの形で缶やポーチ、おけに入って売られている。シロップモルトエキスはモルトエキスの最も加工されてない形で、非常に淡い色の小麦モルトエキスから、ローストモルトで作るコーヒー色のエキスまでの色々な種類が得られる。シロップモルトエキスは一般には80%の固形分を含み、100%固形分の乾燥モルトエキスに比べて20%薄い。

 乾燥モルトエキスは取り扱いを容易にするため完全に乾燥させたワートである。作るのにより多量のエネルギーが必要なため、粘つく粉末の方がシロップモルトより高価である。しかし計量が楽なので、しばしばシロップモルトの補足として使われる。


糖分と添加物 Sugar and Adjuncts 

 モルト100%ビールでは、コーンシュガーやケーンシュガーは瓶詰の時にイーストに飼料を与え炭酸ガスを作らせるためにのみ使用する。コーンシュガーは安価なビールキットではしばしばモルトエキスと共に使って、モルトを水増してアルコール度数を強めるのに使われる。しかし、その結果シュガービールはモルトの風味がシュガーの醗酵によるサイダー(リンゴ酒)風味によって歪められる。もしワート中に20%(1ポンドのシュガーと4ポンドのモルトエキス)以上のコーンシュガーがあると、このことが顕著になる。ビールは50%以上のシュガーを含んだワートからも醸造できるが、醗酵の結果による風味から言えば、ビールというよりもハードサイダーと呼んだ方がより正確であろう。

 コーンシュガーは、デキストロースとしても知られるが、100%のグルコース(ブドウ糖)であり、すばやく醗酵しビールに残す味が最も少ないため、自家醸造に於て最も良く使われるシュガーである。家庭用のケーンシュガーも使う事ができるが、これにはフラクトース(果糖)を含み、醗酵する前にイーストによって破壊されてしまうため醗酵しにくい。この破壊過程で完成ビールに辛い鋭い風味を残しがちである。そのため、殆どの自家醸造者は少し高価だが醗酵しやすいコーンシュガーから離れられない。

 米エキスや米シロップはモルトエキスと同様、米からマッシュされる。これは、醗酵できる糖分の含有料が殆どのモルトエキスと同じ(マルトース麦芽糖45から55%)という利点がある。つまりモルトエキス同様、コーンシュガーのように完全に醗酵してサイダー風味を残すという事がない。モルトエキスで自家醸造する人にとって、米シロップは、米添加の軽いビールを作るのに、米を調理した入りマッシュしたりする必要がないので、便利である。米シロップは非常に軽い、きれのある風味を出す。米シロップはモルトエキス同様、やや高価な(計量し易い)乾燥品としても入手できる。

 ブラウンシュガーや糖蜜も少量使って強い暗色のビールにユニークな風味を付ける場合がある。プライミングの時にコーンシュガーの代わりに使って試してみると良い。

 ラクトース(乳糖)は醗酵しない牛乳糖分である。完成ビールに甘味を残したい場合に僅かに使用する。少量の(5ガロンに対し4オンス)ラクトースで風味が僅かに甘くなり、少しこくが加わる。英国風のスタウトや甘いボックビールを醸造する場合はかなり多く加える。ラクトースは粉末をワート沸騰の最後の数分間に加えたり、または水を加え加熱してシロップにしたものを瓶詰前に添加したりする。ラクトース入りのビールは牛乳アレルギーの人に与えてはならない。

 デキストリン粉末は94から98%の醗酵しないデキストリン(米やコーンから抽出される)を含み、沸騰しているワートの中に混ぜ込んで、ビールの粘度と見かけの滑らかさ増す。デキストリンは醗酵しない化合物で、醗酵終了後にもそのまま残る。1から6オンスのデキストリン粉末をワートに加え沸騰させ(べとべとの粉末は熔けにくい)、完成ビールの厚みと豊かさを増す。しかし、熟成時に澄ます事が難しくなる。


ホップ Hops 

   

  whole Hops          Pellet Hops

 17世紀にホップが一般的な地位を占める前は、ビールは今日の基準からすると、甘くて温和で、爽やかなホップの苦みの跡形もない、気の抜けた飲物だったに違いない。ホップは、もともとそのアルファ(α)酸で細菌を防止する為に加えられたが、すぐに醸造に欠かせない物になった。多分、その複雑な爽やかな苦みが甘いモルトを完全に補って完璧にするものであったからであろう。

 ホップのアルファ酸はビールに苦みを与え、さらにワートに保護手段を与える。つまり、アルファ酸は細菌の成長を遅延し、イーストにはほとんど影響を与えない。アルファ酸はまた、1オンス当たりのホップの苦み値を計る目安となる。アルファ酸が多ければ、苦みは高い。しかし、種類の違うホップは、異なって感じられる苦みを持っている事を気に留めておくべきである。例えば、5%アルファ酸のケントゴールディングはスパイシィな木の香りの苦みを含むが、同じアルファ酸のカスケードは花のように甘い苦みを持っている。

 ホップは、含まれているアルファ酸の量と芳香オイルの質によって、風味付けと香り付けとに大まかに分けられる。ハレトウやテットナンガーの様に優れた芳香で知られるホップは、苦いアルファ酸の量は少ないが、洗練された優美な揮発(芳香)オイルを含んでいる。クラスターやブリオンの様な、伝統的な苦み付けホップは、苦みの酸を高いレベルで持っているが、芳香オイルは粗野な香りしか持っていない。

 ホップを選ぶときは、抽出できる苦みと、香りの両方を考慮する。殆どの醸造者は、料理人がスパイスを選ぶように、一緒に使うと良くなるホップを選んで、一つのビールに一種類以上のホップを使う。ホップの香りは見本の匂いで容易に決める事ができる、もしビールの香りが創造できたらそのホップを使えば良い。香りと異なり、ホップの色々な苦みは、生のサンプルから決めることは少し難しい。もし経験が乏しければ、香りを手がかりとして使う。つまり、ハレトウの様にスパイシーな香りの物は、花のような香りのカスケードの穏やかで甘くフルーティな苦みに比べ、よりスパイシーな苦みを持つ。

 ホップの植物でビール醸造に使われる部分は雌花の花弁だけである。ホップは、Canavis Sativa(インド大麻の一種)に非常に近い種類で、雌の花弁の中にルプリン(穏やかな鎮静剤)を含んでいる.殆どの自家醸造ビールは、平均的市販ビールよりもホップ比が高い。また、飲者をより寛がせるため、アルコール含有量も同様である。

 ホップは2つのタイプで入手できる、そのまま(whole)と、ペレット状と。そのままのホップは、ペレットよりも一般に入手できるものの種類は少ないが、全く加工されていないため、好む醸造者も多い。そのままのホップの花弁にはワート沸騰中に蛋白質を凝固させる作用がある。水浸しの花弁にはモルトの蛋白質を泡立てて打ちのめす広い表面積がある。

 ペレットホップはホールホップを圧縮して押し出してウサギの餌に似た形にしたものである。人工的な結合剤や他の添加物はペレットホップを作るときに使っていない。ペレット状のホップは、圧縮された形のため敏感なホップオイルが空気と接触するのを妨げるので、ホールホップよりも保存期間が長い。さらにペレットホップは分量を計りやすく、ワートが冷えたときに凝固した蛋白質と共にトラブとなって沈殿するためホールホップの様に漉す必要がない。

 新鮮なきちんと保存されたホップのみを使用するのが大切である。理想的には、冷蔵し、少なくとも空気遮断袋に入れておくべきである。(もし袋を嗅いでホップの匂いがしなければ、空気遮断袋である)。新鮮なホップは豊かな芳香とかすかな湿り気をもち、乾燥して脆くなってないことが新鮮さの証拠となる。一方、保存が悪く劣化したものは、かすかな黴び臭い匂いがして、非常に乾燥している。

 買ったホップのアルファ酸の含有量が重要である。アルファ酸の含有量は同じ種類でも年によって20%も変化することがある。実際は、袋にアルファ酸のパーセンテージが記入されてる。もし記入が無かったらアルファ酸値を自家醸造用品供給者に尋ると、見つけ出してくれるでしょう。

 家に持って帰ったら、密封した空気遮断袋かガラス瓶に入れ、冷蔵しなさい。

 ブリオンBullionは伝統的な粗い風味のホップで、強い濃い色のエールやスタウトに最適である。ブリューワーズゴールドBrewers Goldは非常に近い種類だが殆ど作られてない。ブリオンのアルファ酸は平均7.5%である。

 カスケードCascadeは非常に一般的な芳香用のホップで、苦みレベルが低く、花のような芳香性の香りを持つ。カスケードは花のような特長を持つホップの好見本である。アルファ酸は平均4.5%。

 チヌークChinookはアルファ酸の多い新種で、素敵な燻煙臭をもつ。エール醸造には優れている。アルファ酸平均11%。

 クラスターClusterは米国の多くの商用ビールで使われているが、平均的な苦さと幾分粗野な香りを持つ。見苦しくない風味のホップであるが、良いビールの仕上げにはあまり使われない。アルファ酸平均5%。

 イーストケントゴールディングEast Kent Goldingは、豊かなスパイシーな特長をエールに与える、勝る物の無い一級の英国の芳香ホップである。高価であるが、ユニークな洗練された特長はその価値がある。アルファ酸平均5%。

 ファグルスFugglesは英国と米国で幅広く栽培され、穏やかな木のような風味と、澄んだ豊かな苦みを持つ。英国のファグルスはアルファ酸が少し高く(4.5%)、オレゴン産のすこしマイルドなもの(アルファ酸平均4%)よりも少し明確な香りを持つ。

 ハレトウhallertauはヨーロッパの一級の芳香用ホップで、世界の最良のラガーの多くで使われる。ハレトウは洗練されたスパイシーな芳香と、マイルドなこくのある苦みを持つ。アルファ酸含有量は平均4%であるが、収穫毎にかなり異なる。

 マウントフッドMount Hoodは米国で育てられた新しい芳香ホップで、スパイシーなハレトウと花のようなカスケードの中間のユニークな特長を持つ。ラガーとエールのフィニッシングホップとして優れている。このホップは限定生産であるため、アルファ酸は3.5%から6%までバラついている。

 ノーザンブリューワーNorthan Brewerは常緑樹やミントを偲ばせる風味の、木のようなユニークな特徴をもつ。積極的なホップで、スチームビールや強いエールに伝統的に使われる。アルファ酸は平均7%。

 ペーレPerleは新しい変種で、ノーザンブリューワーとカスケードの中間の風味を持つ。ペーレはノーザンブリューワーよりも少し洗練された風味とより花のような芳香を持つ。アルファ酸平均値7%。

 ザーツSaazはチェコスロバキアからのスパイシーなピルスナー用のホップとして有名で、ピルスナーウルケルの製造に使われている。ラガー用の素晴らしいホップで、豊かなスパイシーな風味と芳香を持っている。アルファ酸は平均5%。

 スティリアンStyrianはザーツとファグルスの中間で、洗練された滑らかな風味を持っている。過小評価されているが、ラガーとエール用の優れたホップである。アルファ酸平均6%。

 テットナンガーTettnangerは軟らかい敏感なホップで、軽いビールのモルトと小麦の風味と素晴らしく調和する。フィートビールやライトラガー用に優れている。アルファ酸平均4.0%。

 ウィラメットWillametteはファッグルスの新変種で、滑らかな軟らかい風味と甘いと言って良いほどの穏やかな芳香を持っている。アルファ酸平均4.0%


香辛料 Spices 

 自家醸造者がシナモン、ショウガ、ナツメグ、クローブなどのスパイスを加えて休日ビールにユニークな風味を付けることが徐々に増えている。スパイスは沸騰が終わって火を消してから加えて、ワートが冷える間浸けておかなければならない。簡単にスパイス風味をつけすぎてしまうので、最初にスパイスを試すときは、5ガロンに1/4オンス以下にする。


オークチップ Oak Chips 

 インディアペールエールで最も確かな事は、甘いモルトにスパイシーなバランスを与えるホップの風味と相まって、オークがビールに豊かな複雑さを与えていることだ。オークの特徴を出すためには、5ガロンのビールに1から4オンスのオークチップを使う。オークチップはワインビール材料店で入手できる。オークチップは野菜調理器で20分間蒸して殺菌しなければならない。そして、二次醗酵器のビールに加える。約八日間でオークチップがそこに沈んだら、ビールを瓶詰してよい。イーストの中に浸けた後では殺菌は難しいので、オークチップは再使用できない。


イースト(酵母) Yeast 

 下等なイースト無しでは、アルコール飲料は存在できなかったであろう。イーストは、ビールの中の糖化合物を食べてアルコール、二酸化炭素、風味混合物に変える菌である。勿論のことであるが、ビールのどの一適も醗酵時にイーストの細胞を通り抜けるため、イーストはビールの風味に非常な影響力を持っている。使っているイーストの種類と純度が、出来上がるビールの風味にかなり影響する。種類によって風味が甘口から辛口、スパイシーからマイルドまで違い、最終比重が変わるためにビールのこくに影響する。ほんのわずかなバクテリヤや野生イースト(時々自家醸造用の乾燥イーストに混ざっている)が混ざっても、イースト味や酸っぱいサイダー味が加わってしまうので、イーストの純度が最も重要である。イーストは液状と乾燥状で入手できる。液状イーストは敏感で扱いにくく高価であるが、しばしば乾燥イーストよりも純粋であり、多くの種類が入手でき、ビール風味をより制御できる。液状イーストはたいてい自己培養パックで売られ、醸造の1、2日前には培養しなければならない。液状イーストは非常に傷みやすいため、使用前は常に冷蔵庫で保管しなければならない。

 乾燥イーストは自家醸造では最も一般的な物である。乾燥イーストは使用前に15分で準備でき、面倒な液状イーストよりコストがかからない。さらに使いやすさに加えて、非常に頑丈であるという利点がある。傷みやすい液状イーストに比べて高温でも低温でも耐えられるため、冷蔵する必要がない。

 自家醸造の業界が改良した種類の乾燥ビールイーストをますます売り出しているのに、そのいくつかはパンイースト工場で早く安く作るので結果として工場環境から避けられないようなバクテリアや野生イーストに汚染されている。幸い、新しく改良された少し高価な乾燥イーストが入手でき、それは値段相応の価値が有る。イーストは、ビールが古すぎたり加熱殺菌したりしてない限り、イースト沈殿物のある市販瓶ビールから培養することもできる。自家醸造用品店で良質な乾燥イーストや液状イーストを推奨してもらうことがよい。イーストに少し余分に費用を掛けることで出来上りのビールの風味劣化を防げることを忘れないように。

 イーストの種類は大きく分けて、上面醗酵と下面醗酵の2つの基本的なタイプになる。上面醗酵のビールイーストはエールイーストとも言われ、その働きはビールの表面で行われ、浮き上がる傾向にある。これはエール、スタウトやポーター、フィートビールを作るのに使われている。エールのイーストは60〜65V(15〜18℃)で最もよく働く。ラガーやスチームビールを作るには、下面醗酵のラガーイーストを使い、醗酵器の床面で醗酵し、やや低めの醗酵温度55〜60V(13〜15℃)を好む。

 醗酵開始比重が1.080を越えるような、濃いバーレーワインビールの醗酵にはアルコール耐性のシャンパンイーストがしばしば使われる。そんな強いビールではエールやラガーのイーストではアルコールに酔っぱらってしまって醗酵が止まってしまうためである。シャンパンイーストはワインの様な特徴を出し、60〜65V(15〜18℃)で最もよく働く。


醸造用水 Brewing Water 

 ビール醸造に使われる水は、中性の味で、過剰な塩素や臭気の無いものでなければならない。水の不味さはそのまま完成ビールに受け継がれてしまう。過剰な塩素(臭いを感じるようなら過剰である)は醗酵前に45分間沸騰させて取り除くことができる。地元の水道水が汚染しているようなら瓶詰め水を使うべきである。

 北アメリカの殆どの水道水は70〜200PPMの硬度である。理想的には醸造用の水は少なくとも硬度200PPMは必要である。硬度が高い水は沸騰しているワートの中の蛋白質の凝固とその結果起こる沈殿を助長する。茶さじ1杯の食用石膏を5ガロンの水に添加することで硬度を165PPm上げる事ができる。もし水が非常に硬度が高いと確認できないならば、添加した方が良い。水道会社に水の硬度のPPm値を尋ねるか、硬度テスト用紙で調べると良い。

 

  煮込み            醗酵         プライミング      瓶詰

 

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