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2.醸造設備


殺菌 Sterilization

 ビール造りでの殺菌の重要性は強調しすぎることは無い。沸騰後にビールが触れるすべてのもの(醗酵器、撹拌スプーン、比重計、温度計他)は殺菌しなければならない。生のビール原料(ワート)はバクテリアの成長の良い媒体である。

 ビール設備を殺菌するのに、塩素は最も一般的な殺菌剤である。塩素を含んだ、家庭の洗濯用無臭漂白剤が使用できる。1ガロン(3.7853リットル)の水に大さじ(1/2オンス、19CC)2杯を溶き、塩素蒸発を防ぐために栓をする。使用するには、殺菌するものを薄めた溶剤ですすぎ、それから、水ですすいで漂白の痕跡を洗い流す。

 希釈した無臭漂白剤は定期的にプラスチック醗酵器の黄ばみを取るのにも最適である。1カップの無臭漂白剤を5ガロンのタンクに入れ、水を満たして一晩放置する。


秤 Scales 

 ホップを計るには小さな台所用秤が必要。モルトエキスや穀物砂糖を計るには何ポンドも計れるやや大きな秤が必要。


鍋 The Brewing kettle 

 少なくとも3ガロン入り(5ガロンが理想)の鍋がモルトとホップを煮るのに必要。厄介な突沸を避け、より激しくきれいに沸騰させるためには湯の量が多い方がよい。鍋はステンレスかホーローでなければならない。アルミニウム製はワート(生のビール原料)の酸のため味を落とす可能性が有る。緊急時にはアルミ鍋を使っても良いが、ビール造りのために買ってはならない。ビール作りのために新たに鍋を購入する場合、少なくとも5ガロンの容量の物を選ぶべき。


撹拌スプーン Stirring Spoon 

 沸騰鍋と醗酵器をかき混ぜるために大きな撹拌スプーンが必要。ステンレスかプラスチックのスプーンの方が美的な木のものより良い。木は多孔性のため殺菌が難しい。


漉し袋 Straining Bags 

 家庭醸造用品店で売っている小さな木綿の「ホップバッグ」は、少量の穀物を浸したり、ホップをワートで煮出したりするのに便利だ。ペレット状のホップを使う場合はワートを冷ましている間に底に沈むため、ワートを鍋から醗酵器に移すときに漉し器を使う必要が無い。しかし、まるごとのホップをワートで煮込む場合は、醗酵器に移す時ザルや漉し袋が必要となる。


醗酵器 Fermenters 

 モルトとホップを沸騰させた後完成したワートが醗酵器に注ぎ込まれ、そこでイーストが加えられて、生の糖液のワートがアルコール分のあるビールになる。醗酵器は簡単に洗浄や殺菌ができなければならない。また醗酵でできる二酸化炭素を逃がし、外気中のバクテリアの侵入を防ぐため、エアロックがついて気密でなければならない。醗酵器は普通6、7ガロンの容量である(5ガロンのビールと醗酵でできる泡立ちの分)。

 最も一般的に売られている醗酵器は単なる6ガロン以上のバケツに取り外せる気密蓋とエアロックの付いたものである。底の方に小さなバルブが付いていて、サイフォンを使わずに簡単にビールを移せるようになっている物もある。もしバルブ付きの醗酵器を使うならば、ビールを駄目にするバクテリアがバルブの内部の窪みに隠れているので、毎回作った後にバルブを完全に洗浄殺菌すること。

 6ガロンから7.5ガロンのガラス瓶(カーボーイとよばれる)でゴム栓とエアロックの付いた物が醗酵器として良く使われる。ガラスは多孔質でなく透明であるという利点が有り、醗酵器表面を完全に殺菌でき、醗酵過程をよく見ることができる。ガラスの場合サイフォンを使ってビールを出さなければならなく、持ち運びや洗浄に都合が悪いため、より重労働になる。自家醸造用品店では、ガラスカーボーイの肩の中側の洗いにくい部分のために考えられたL形のブラシを売っている。ガラスカーボーイの変形として、ブローオフ(吹きだし)醗酵器がある。5ガロンのガラス瓶で、内径1インチのビニルホースが首から下がって殺菌液の入った小さなバケツに入りエアロックの働きをしている。5ガロンの容量しかなく上の空間が無いため、醗酵の過程でできた泡の行き場がなく、1インチのチューブから殺菌液の中に吹き出してしまう。ブローオフ(吹きだし)醗酵器の背景は、イーストの入った醗酵泡を取り除くことによって、ビールをきれいな風味にすることである。実際には異なった醗酵器による風味の違いはほとんど知覚できない。警告:ブローオフ(吹きだし)醗酵器は危険であるため推奨できない、もしホースが詰まったらガラスのりゅう散弾爆発が起こり人体に害をなす可能性が有る。

 暑い時期や、軽い風味のデリケートなビールを作るときは、生のビール原料を一次醗酵器のイースト沈澱物から分離するために、ビールを醗酵器から二次醗酵器に移すことが有利である。イースト沈澱物を一次醗酵器に残すことで、醗酵終了後にイースト風の苦い悪味をビールに残す事を防げる。二次醗酵器は普通エアロック付きの5ガロンのガラス瓶であるが、エアロック付きの清潔な殺菌された醗酵器ならなんでも使用できる。

   

  ブローオフ醗酵器          二次醗酵器

  


プライミング容器 Priming Container 

 ビールが醗酵を終えて瓶詰の段階で、少量の醗酵用の糖分を瓶詰の直前に加えて、イーストが瓶内の炭酸ガスをつくる為の餌とする。プライミング容器は食品用の5、6ガロンの容器で、瓶詰前に一次又は二次醗酵器からビールを移して、ヘドロ状のイースト沈澱物を巻き上げることなくプライミングシュガーをかき混ぜることができる。プライミング容器には瓶詰用のバルブがついていてサイフォンなしで瓶詰できる物もある。

 
移し換え用チューブ Transfer Tubing 

 空気にさらされるのを防ぐため(酸化や風味低下の原因となる)、ビールは瓶詰前に決して飛沫をあげてはならない。移し換え用チューブは(サイフォンにも使う)3/8インチ(約9.5mm)の内径で、透明ビニルの様に、簡単に洗浄できるものでなければならない。サイフォンの時、醗酵器の底のイースト沈澱物を吸い上げることを常に避けなければならない。そのため、ホースの先を少なくとも1.5インチ(約38mm)醗酵器の底から離しておく。自家醸造用品店では沈澱物を避けるために作られたサイフォンチューブを用意している。また、排出バルブ付きの醗酵器やプライミング容器を使えばサイフォンを使わなくてすむ。


温度計 Thermometer 

 水に浸ける事のできる温度計が、イーストを加える時期を決めたり、醸造場所の温度をみたりするのに便利である。旧式の酪農タイプのようにバルブが露出したものや、防水プローブの電子式のものが最適である。


比重計 The Hydrometer 

 醗酵前のワートは醗酵したビールより、重く高密度である。モルトの糖分はそれからできるアルコールより重いからである。比重計は細い目盛部のある重り付きのガラスの浮で、ビールが水に比べてどれだけ重いかを測定する。ビールに浮かんだ軸が密度を表示する。密度が高ければ、比重計がより浮き、読み値が高くなる。イーストが生のビール原料の糖混合物を消化し、アルコールと炭酸ガスに換え、ビールの重さは実際に減少し、全ての糖分が消費され尽くして、醗酵が停止する。

 ある範囲で校正された比重計が米国カナダ、英国の自家ビール醸造で、最初の比重と、いつビール醗酵が終了するか、いつ瓶詰するかを知るのに使われる。ある範囲での校正目盛で醗酵の進展が計れる。つまり、醗酵が進むと密度が下がる。簡単にするために、しばしば始めの二つの数字が省略される(1.040を40と)。

 開始と終了の密度は使われるモルトとイースト、穀物、糖の質と量によって異なる。オールモルトビールの最終密度(1.008〜1.026)は砂糖を使ったビールの密度(1.000〜1.007)より高い。モルトは醗酵しない成分を含み、それが醗酵後にも残り、ビールの重みを増す。

 値を読むためには、まず比重計を殺菌し、醗酵器のなかに入れ、軸を回して、くっついている泡を取り除く。正しい読み値はビールの水面が示す点である。ビールが細いガラスにまとわりついて盛り上がっている部分でみた低い値ではない。

 実質上、比重計は60V±5V(15.6℃±2.8℃)で正確になるように校正されている。ビールは暖まると少し軽くなるため、70V(21.1℃)では測定値は1度低くなる。80V(26.7℃)では比重計は2度低くなる。90V(32.2℃)では読み値から正しい値を得るために4.5度加えなくてはならない。例えば80Vで比重計の値が1.038ならば、正しく温度補正された値は1.040である。

 比重計はビール醸造中に2度使う。最初の密度を求める、これはビールのアルコール度数能力の良い指標である。また、醗酵終了時に、ビールが最終密度に達し、瓶に詰めても安全かを知る為に使う。

 最初の密度を求めるには、醗酵前のビール(ワート)が冷めて、まだイーストを加える前に計る。2度目の密度は、少なくとも七日たってビールの醗酵が終了し、エアロックの泡が立たなくなってから、最終密度に達しているかを調べるために計る。レシピが実験的で最終密度がわからない場合は、三日おきに2回計ってビールが醗酵を終了した事を(比重が下がるのが終わった事を)確かめなければならない。もし地下室でビール瓶が時限爆弾の様に爆発する恐怖を考えたくないのなら、比重計の値低下が停止したのを確かめてから瓶詰めするべきである。

   

  初期比重          最終比重


瓶 Bottles 

 5ガロンのバッチに対し、ネジ栓でない、殺菌済みの12オンス詰めの瓶48本相当が必要である。瓶はビールや炭酸用の丈夫なもので、瓶詰後の炭酸を保てるものでなければならない。熟成中のビールを光による劣化から防ぐため、暗褐色や緑色の瓶が良い。ねじ栓瓶は、ガラスが薄く蓋閉めが難しいため、使わない。

 回収式の「バーボトル(ロングネックと呼ばれる)」が自家醸造に最適である。ほとんどの輸入ビールの瓶は適している。再封入できる陶器の栓のついた少し大きめの瓶は、特に良い。それで栓打の手間が省ける。自家醸造用品店では陶器蓋の瓶の交換用パッキンを売っている。

 北アメリカのシャンペン瓶も栓が打てて、非常に丈夫で、素晴らしいビール瓶となる。また25オンスサイズの為、瓶詰の手間を50%減らせる。


瓶の準備 Bottle Preparation 

 ビール瓶は清潔にしなければならない。瓶の内面の汚れを防ぐ最も良い方法は、ビールが空になったらすぐに水ですすぐことである。自家醸造ビールでは特に大切である。なぜなら、すすいでしまわないと、イースト沈澱物は頑固なカビの餌になってしまう。

 汚いビール瓶を完全に洗浄するために(また、ラベルを削らずに剥がすために)TSP(Tri-Sodium-Phospherリン酸三ナトリウム)と薄めた洗濯用無臭漂白剤との溶液に瓶を浸けておく。TSPは金物屋や塗料店で売っている普通の住宅用洗剤である。作業用の溶液を作るには、大さじすりきり3杯を1ガロンの水に溶き、さらに大さじ1杯の洗濯用無臭漂白剤を加える。このTSP/漂白剤溶液を作ったら、ビール瓶を48時間この中に浸けて、固まった沈澱物とラベルを取る。ビールを詰める前に、水で溶剤の痕跡を洗い流す。TSPは有害だから箱の注意書きに従い、混ぜるときは手袋と保護用の眼鏡を着用する。一旦TSPで瓶を洗浄したら、空になった直後にすすぎ、瓶詰の直前に希薄漂白剤溶液で殺菌する(そのあと水で痕跡を流す)事で何回もきれいなまま使える。自家醸造用品店では瓶洗浄、保管器具を売っている。


栓打ち器 Bottle Capper 

 上質な栓打ち器は快適な瓶詰の必需品である。良質の2重レバーか卓上形の栓打ち器を入手しなさい。おそまつな栓打ち器では瓶詰が辛くなる。栓を打つとき力を入れすぎないこと。良質の栓打ち器でも誤使用で瓶を破壊する。  

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