幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 6月24日 ● エゴイストほど上手くなる。

 ウィンブルドンテニスを毎晩遅くまで見ていると寝不足で困りますが、それでも見ずにはいられません。第1シードのヒンギスが16才になったばかりのドキックにあっさりと負けたのには驚きました。なにせわずか54分、2ゲームしか取れなかったのですから、スコアが逆かと思うような惨敗です。

 ヒンギスの敗因は全仏のショックが残っていたとか、芝への対応が遅れたとかいろいろ考えられますが、まあ彼女のことですからきっと立ち直って全米オープンに臨むことでしょう。それよりも楽しみなのは女王に完勝したドキックの方です。

 オーストラリアの新鋭ドキックは本戦にストレートインもできないほど下位ランキングの選手ですが、実はジュニアチャンピオンとして知られている英才です。この4月に16才になったばかりで今が伸び盛り。来年あたりは楽しみな存在になるだろうとテニス雑誌でも取り上げられていました。

 そんな豊かな才能がいきなり大舞台で花を開いたわけです。この勝利はドキックに大きな自信を与えることでしょう。ヒンギスがウィンブルドンを制した2年前、彼女はやはり16才でした。ドキックがヒンギス戦で得たものを生かせば、今大会の台風の目になる可能性は十分だと思います。

 負けたと言えば、日本の3選手、鈴木貴男、杉山愛、佐伯美穂も負けてしまいました。中でも杉山愛は、2回戦5-2でセットポイントを握りながら逆転されて、そのまま一気にストレート負け。実力的には決して劣っていないだけに、メンタル面での不安定さが目立つ結果となりました。本人もインタビューで「何度同じことをやればいいのか」と言っていましたが、メンタル面での失敗ほど克服するのが難しいことはないと思います。負けて覚えるよりも、勝って自信を身につけるべき試合でしたね。

 それに比べて佐伯美穂の場合は1回戦を突破しただけでも自信につながるでしょうし、2回戦も善戦しました。最近伸び悩んでいた彼女がこれで一気に壁を突き破るようなことになれば、大きな1勝と1敗だと思います。

 勝ってばかりでは自信過剰になって反省しないし、負けてばかりでは反省ばかりで前向きな強さがなかなか身に付きません。僕たちのテニスも、いつもは負けることが多いけど、たまには勝つこともあって嬉しい、というレベルが一番伸びるような気がします。

 もっともそんな自分にとっては最適な条件は、相手がこちらの下手を我慢してくれなければ成り立ちません。テニスが上達するためには、パートナーのボランティア精神にすがって練習するしかないわけです。だからテニスはエゴイストほど上手くなります。ああそうか、だから僕はちっとも上手くならないのか。優しいからなぁ(笑)。

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