幹事クリタのコーカイ日誌1999

 
 5月13日 ● ハゲにつける薬。

 世の男性の外見的コンプレックスと言えば「チビ・デブ・ハゲ」。中でもハゲの人気の薄さは髪の薄さに比例するとかで、頭髪に不自由な男性はみなひどく気にしているようです。

 会社の同僚コピーライターのMっちゃんもそのひとり。一見したところそれとはわかりにくいのですが、しげしげと見れば「あ、かなり危ないな」という印象です。本人も十分に自覚していて、西に効く養毛剤があると聞けば駆けつけて購入し、東に頭髪に良いシャンプーがあれば頼んで貰ってくる、というほどの気の遣いようです。

 そんなMっちゃんが待ちに待った発毛剤(養毛ではなく発毛と言えるとこがすでに凄い、らしい)が、いよいよ日本で発売されることになりました。大正製薬から来月初めに発売される「リアップ」がそれです。

 この薬はすでに1988年にアメリカを皮切りに世界85ヶ国で販売されているのですが、日本ではようやく登場です。もちろんMっちゃんはこの薬について以前から知っていて、僕たちも彼から「すごい薬なんだよ、ハゲのバイアグラなんだから」と興奮して何度も話を聞かされていたくらいです。

 この「リアップ」、なんと60ミリリットルで5500円もします。まるで香水並みの価格です。興味のない僕たちには「そんなに高いの?」ですが、Mっちゃんによればその程度の投資でハゲが直るのなら安いもんだそうです。まあその効果のほどはMっちゃんが人体実験してくれるのでじっくり結果を待ちたいと思いますが、大正製薬にしてみれば大儲けでしょうね。なにせ500万人500億円のマーケットが一斉に動き出すわけですから。

 でもね、僕が思うにハゲが人気がないのは「ハゲだから」じゃないと思うんですよ。「ハゲを気にして隠そうと不自然なことをするから」だと思います。そのいじましさはチビやデブにはありません。Mっちゃんにもさんざんそのあたりを言ったのですが「クリタさんにはわからないよ、ハゲの気持ちは」と言われてしまいました。そりゃわかんないんだけどさ。

 そうそう、この薬について書いた朝日新聞はハゲという言葉は1回も使っていませんでした。代わりに「壮年性脱毛症」なんだって。でも病気じゃないんだからいい加減「○○症」と言うのもやめにしませんか?それもまたハゲのいじましさに見えてしまいます。


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