1998年1月前半のコーカイ日誌


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●老後の楽しみ。(98/1/15)
 Tさんは会社の先輩。来月で60才になり定年を迎えることになっています。人生の大先輩に対して失礼かも知れませんが、僕はTさんのことがとっても好きで、勝手に友達だと思っています。彼の良いところは、とにかくしっかり遊んでいる不良老年なところです。サンタクロースのような白いヒゲを生やしているので、一見おじいさんのように見えたりもしますが、中身は60才とは思えないほど若々しくできています。トラッド系のファッション、クルマとバイクが好きで、スキーだテニスだとスポーツを愛していて、さらに女の子好きでパーティなんかも良くやっているようです。とにかくいろいろと盛んに遊んでいて、「この人は人生を楽しむのが上手なんだな」というのが感じられる人です。
 そのTさんと先日お茶を飲みながら雑談していた時のこと。「最近テニスの調子が悪くてさ」と言うので子細に聞いたら「老眼が進んでボールが見えない」んだそうです。身体は若いうちから鍛えておけば60才過ぎてもテニスをする体力は維持できるそうですが、目は鍛えようがないから困るんだとか。「それとさ、やっぱり年寄りはテニスクラブでも誰も相手してくれなくなるんだよ」。Tさんはまだそんなことは少ないらしいのですが、70才くらいになるとさすがにみんな敬遠するんだそうです。可哀想だけど、まあその避ける気持ちもわからないではないですよね。誰だって年寄り相手に気をつかいながらテニスしたくはありません。しみじみ老後の楽しみにテニスというのも難しいな、と思ってしまいました。先週のテニスの時にA藤ちゃんに「クリタさん、いつまでこのテニスサークルやるの?よぼよぼになってもやるの?」と言われ、「バカ、そんなことわかるか」と笑っていたのですが、そりゃできることなら60才過ぎても続けたいと思っていますよ。でも実際にはなかなか難しいものなんでしょうね。いつかTさんが言うように僕にもテニスができなくなる日が来るわけです。
 もう10年くらい前に、会社の先輩Uさんがシルバービジネスについて海外研修をしてきた後、しみじみ語っていたことですが、老後を豊かに過ごすために必要な三大要素は「健康とお金と趣味」なんだそうです。まあこれに「友達」というのも付け加えて四大要素としてもいいのかも知れません。で、この場合の趣味というのは、最低20年は続けていないと、老後の楽しみになるような趣味に育たないそうで、定年間近になって慌てて促成栽培で趣味を見つけようとしてもダメなんだそうです。もっとも健康もお金も友達もそれは同じなんですけどね。思い立ってすぐに何とかなるものではありません。そう考えるとテニス以外に僕も何か趣味をそろそろ見つけないとなぁ、って言ったら「それ以上楽しみ増やしてどうすんの」と妻に怒られましたけど。
●『きらきらひかる』。(98/1/14)
 先日の新ドラマ予想でうっかり見落とし(書き落とし?)ていたドラマがありました。郷田マモラ原作の同名マンガをドラマ化した『きらきらひかる』です。監察医という特殊な世界をテーマにしたヒューマンタッチの職業ドラマですが、まずキャストが良いです。深津絵里、鈴木京香、松雪泰子、小林聡美の四大女優競演。これだけでも見応えがある上に、内容的にも良く練られていて、第1回を見た限りでは、マンガが原作とは感じられないほど、うまくドラマとして消化できていたと思います。1話完結型のようですが、初回の犯人役東幹久も見事なハマリ役。「パンツの後も残らないくらいキレイに日焼けサロンで焼いているような男」。こんな奴、アズミキしかいないでしょ。水酸化ナトリウムが化成ソーダのことだともわからないようなボケた新人女医(いくら視聴者に説明するためとは言え、本当にそんなこともわからないような医者がいるのかね)も、深津絵里なら無理がないし、女達の間に挟まれながら淡々と仕事をする柳葉敏郎もいい味を出しています。惜しむらくはタイトルですかね。主人公の役名が「ひかる」だからこのタイトルなのですが、『きらきらひかる』と言うと、筒井道隆と豊川悦司がホモカップルを演じる映画がありましたから、どうしてもその印象が強いです。それでなくてもこのタイトルではキレイ過ぎてドラマの内容とちょっとそぐわないかな、という感じですしね。でもまあ『ニュースの女』とともに、この冬期待のドラマには違いありません。
●「モラル安」の時代。(98/1/13)
 先日撮影の時に雑談していて、モデルの女の子がお金を拾った話をしていました。彼女はまだ大学生なのですが、キャンパスを友達と歩いていて、財布を拾ったんだそうです。中には現金の他に学生証やら運転免許証やらクレジットカードなどが入っていて、友達と相談の結果、大学の学生課に届けたということです。僕をはじめ聞いているカメラマンなどのスタッフは、そりゃ当然のことだな、と思って聞いていたのですが、彼女いわく「私たちに拾われてこの子ラッキーだったよね、って話していたんです。だって男の子に拾われていたら、当然(お金を)抜かれて捨てられているところだから」。おいおい、そりゃマジかよ。泥棒だよ、それは。お金がハダカで落ちていたならまだしも、財布ごと拾って落とし主もわかっているのに、それをネコババして捨てるかね、と僕らオトナは思わず目が点(古い表現だな)になりました。でも彼女によれば「そんなもん」らしいんです。
 彼女の周りのモラル感覚をして、すぐに「最近の若い奴はこれだから」と言うつもりはありません。若い人にもちゃんとした人もいますし、年寄りだってひどいのはいます。それに若者のモラルが全般に下がっているとしても、それは最近の社会全体のモラルの平均値が下がってきているせいだとも思います。モラルの価値が下落する一方の「モラル安」の時代なのです。ただ、若い人には「恥ずかしい」という感覚がますます薄くなってきているような気がします。福岡ダイエーホークスの小久保と渡辺に有罪判決が下されました。これも法律以前にモラルの問題です。脱税は法律的にも悪いことには違いありませんが、それ以上に義務を放棄した格好悪いことなんです。何が「悪い」ことで、何が「恥ずかしい」ことか、くらいはわかっていてくれないと困ります。
●ウィンター・ボールゲーム。(98/1/12)
 ウィンタースポーツと言えば、スキーやスケートが代表格ですが、それ以外にも駅伝やマラソン、そしてサッカー、ラグビー、バスケットなどの球技も大きな大会が目白押しで、それらのスポーツのファンにとっても楽しい季節です。サッカーはJリーグができる前は天皇杯の元日決戦がなによりもビッグイベントでしたが、最近はちょっと影が薄くなりました。しかし高校サッカーは相変わらずの盛り上がりを見せています。今年は雪の中、東福岡が見事なサッカーを見せて高校3冠を達成しました。高校バスケでも、常勝能代工が圧倒的な力を見せつけました。その後の全日本バスケでも能代工は大学チームを破りましたが、実業団チームには力負けしてしまいました。しかし、エース田臥はまだ2年生。今後が楽しみです。その全日本バスケでは、女子決勝でジャパンエナジーが劇的な3Pシュートで逆転優勝。ドラマでした。優勝したジャパンエナジーのエース萩原美樹子は、今年もWNBAで去年以上の活躍を見せてくれることでしょう。
 で、盛り上がらないのはラグビーです。かつてのラグビーブームは過ぎ去り、平尾や大八木と言ったスタープレーヤーも引退。大学時代から名前が売れていた現役の元木や吉田、堀越、永友らも、何となく精彩を欠いています。社会人と大学のレベルの差は広がる一方で、とうとう今年から日本選手権の方式も変わりました。社会人大会で優勝した東芝府中も、まだ日本一ではありません。負けたサントリーにも、いや、学生の決勝で負けた明治大学にもチャンスがあるのですから、ちょっと妙です。サッカーと違い、ラグビーのW杯予選は全然マスコミでも話題になりません。
 サッカーよりもラグビーの方がルールが難しいからダメなのでしょうか?でもその代わりにラグビーの方がはるかに複雑な戦略性を持っています。奥行きの深さではサッカー以上だと思います。ヨーロッパ(特にイギリス)でサッカーを楽しむのは主に労働者階級です。逆にラグビーはオックスブリッジが中心です。その貴族性がダメなのでしょうか?いやいや、貴族好きの日本人は嫌いじゃないはずです。僕は広報の仕方ひとつで、もっとラグビーは人気が上がると思います。スタープレーヤー不足とは言え、せっかく良い素材はいるんだから、幅広くファンに楽しんでもらえるようにラグビー協会は努力と工夫をして欲しいですね。
●テニスはじめ。(98/1/11)
 今年のATCテニスはじめをしました。男性は8人も揃う盛況だったのですが、残念ながら女性はわずか3人。スキーや旅行(それもヨーロッパ)に行っているメンバーから、おじいちゃんが亡くなってお葬式という子まで、各人いろいろ事情はありますが、やはりテニスはじめに3人しかいないというのは寂しいです。まあ来週になれば、どーんとみんな揃いそうですから、あまり心配はしていませんが。
 で、テニスはじめということで、今年のATCの目標を考えてみたのですが、まず今の雰囲気のまま楽しく明るく仲良くテニスを楽しむこと、これは基本ですね。さらに今年は思い切って年間40回の練習日を目指します。去年新記録の35回を達成しましたが、さらに今年は5回上積み。これ以上のメンバーの拡大は考えていませんが、他サークルとの交流試合は去年以上に積極的に行いたいと思います。飲み会ももっと回数を増やしてメンバーの親睦を深め、さらに合宿はいよいよこの秋に2泊3日の沖縄合宿に向けて始動します。うーん、この時代に見事なまでのバブル的右肩上がり的目標だなぁ。でも「テニスが上手になる」って目標はどこに行ったんだろう?
女ばかりになって人類は滅ぶ。(98/1/10)
 かつて官能小説の大家川上宗薫は、男には「色好き」と「女好き」がいる、ということを言っています(なんでそんなことを知ってるんだ、という突っ込みはやめよう)。「色好き」とは好色な男。Hするのは好きだけど女は嫌い。Hだけしたら後は背を向けて寝てしまうか、さっさと服を着て部屋を出ていくタイプ。酒を飲んだりゴルフをしたりして遊ぶ時は、いつも男ばかりでつるんでいて、「男の付き合い」が大好き。女と話すことなんかない、と考えるのが「色好き」。逆に「女好き」は、Hはどっちでもいいけど、とにかくいつも周りに女をはべらせて、ちゃらちゃらしているタイプ。むさ苦しい男といるよりも、綺麗な女と遊ぶのが好きで、女の子受けする話題や趣味も豊富。フェミニストとも女たらしとも言われる。男ばかりでつるんで何が楽しいと思うのが「女好き」。
 川上宗薫先生がこの話を書いた頃(恐らく20年以上前)は、男の多数派は「色好き」だったと思います。今でも40代以上にはこの手の「色好き」「女嫌い」が結構たくさんいて、会社帰りに男同士で酒を飲みに行っては、くだを巻いていますよね。外国人から「精神的ホモ」と言われるような連中です。ところが世代が下がるに連れて、「色好き」と「女好き」のシェアに変化が生じてきたような気がします。僕らの世代なら、まだ「色好き」がややリードかな、という感じですが、20代になるとすっかり「女好き」が逆転したような印象を受けます。それも、昔の「女好き」は、女を口説く男としての「女好き」でしたが、最近の場合は、ただ女の子と一緒にいたいだけの、女同士のような「女好き」ですね。女の子たちに聞いても「最近の男の子は優しいけど頼りない」「あんまり男って感じがしない」なんてことをよく言っています。実際、若い男の子は優しげで頼りなげで、色は白く毛は薄く筋肉は細く、というタイプが多いですよ。男なのになんか女性的なのです。
 この変化について、今までは社会の潮流が女性的な文化に変わってきたからとか、母親が家庭において強くなってしまい、父権が喪失してしまったからとか、とにかく文化や社会の変容を理由に語られてきたような気がします。ところがところが。朝日新聞及び「週刊朝日」によると、人類が生み出した環境ホルモンと呼ばれる様々な物質の影響で、若い男の子の精液がどんどん薄くなってきているというではありませんか。それも日本だけではなく世界的に。つまり、生物学的にどんどん人類は女性化への道を進んでいたのです。フランスでの調査によると、1945年生まれの男性と1962年生まれの男性とでは、精子の数が半分にまで減っているそうです。50代と30代で半分では、20代・10代と比べたらどんなに減っていることか。最近の男の子が元気がないわけですね。女の子が晩婚になるのも分かります。中年男と若い女の子や主婦が不倫に走る理由も。種を維持しようとする女の本能が、より元気な男たちを求めていたのです。このまま急速に男性が衰えていけば、数十年で人類は存続の危機を迎えてしまうでしょう。人類は試験管からしか生まれてこなくなるかも知れません。精液は政府によって完全管理され、Hできる男性は生殖行為のみを義務づけられることになるかも。まあ、そうなったらそうなったで仕方ないですけどね。その時は僕も人類のためにガンガン励むつもりですから(笑)。
●懐かしいクルマ。(98/1/9)
 愛知県長久手町にトヨタ自動車が趣味で(?)運営している自動車の博物館「トヨタ博物館」があります。平成元年、トヨタが創立50周年を記念して作った、恐らくその規模と質で日本一の自動車博物館です。僕はできた当初に行ったきりだったのですが、先日取材で再び訪れて、改めてその充実ぶりに感動して帰ってきました。で、その時取材に応じてくれた広報担当者の話がまた面白かったのです。なんでもこれを作った豊田英二会長の意向は、とにかくむやみと客を呼ぶな、ということだったというのです。いろいろと宣伝して入場者を増やしても仕方ない、それより自動車が本当に好きな人だけに、ゆっくりと好きなクルマをきちんと見て貰えるような環境を作れ、ということだそうです。そのために広くて綺麗な館内にクルマとクルマの間隔をゆったりと空けて、そのクルマを前後左右からちゃんと見られるように展示。クルマは全て完全にレストアし、走れる状態のものだけを並べる。いくら人気があっても、クラシックカーとして意味のないクルマは展示しない。そして、入場料もあえてちょっと高めの1000円(大人)に設定し、広報宣伝費もゼロ(!)なんだそうです。全て「余計な客」を呼び込まないための措置ということですが、広報宣伝費ゼロ、客を呼ぶな(それでも年間20万人弱の入場者があるそうですが)というのは、その話をしてくれた広報マンにとっては辛いところでしょうね。客を呼んでナンボ、というのが彼らの仕事ですから。まあこれも理想を追えるトヨタの懐の深さと余裕でしょう。なにせ入場者数から考えても、年間数億円の赤字は出しているだろうと思われますからね。
 ゆったりと古い立派なクルマを見ることができて本当に素晴らしい博物館なのですが、残念なのは1960年代のクルマまでしか展示されていないことですね。ちょうど僕たちが憧れて18才になったら運転したいな、と思っていたクルマや、実際にハンドルを握ったクルマは置いてないのです。例えばセリカやRX-7、ケンメリ以降のスカイライン、ソアラ、シビック、ファミリア、プレリュードなんて1970年代から1980年代にかけてのクルマは、僕たちの青春時代とちょうど重なるんですが、残念ながら1台も見ることができません。外国車でもスーパーカーブームを作ったフェラーリやカウンタック、ロータス、またBMW6シリーズや初代ゴルフなんてあたりも並べて欲しいところです。広報担当者には、とりあえず僕が20代前半に乗っていた初代セリカXXくらいそのうち何とか並べてくださいよ、なんてお願いしてきたんですけど、彼によるとここ20年くらいのクルマはどれも似たようなデザインで、並べても魅力がないそうです。確かに古いクルマは1台1台が実に個性的ですが、でもそれをトヨタマンが言うか、って話ですけどね。日本車のデザインを全部金太郎飴にしたのはトヨタですからねぇ。
恒例冬の新ドラマ予想。(98/1/8)
 ようやくお正月編成も終わり通常営業を開始したテレビ界ですが、ここで恒例の新ドラマ予想といきましょう。はっきり言って今クールは閑散期というか端境期というか、少なくともキャスティング的にはあまり見るべきものがありません。視聴率が取れるような俳優陣はほとんどお休みです。SMAPは一人もドラマ出演なしだし、KinKi Kidsも反町くんも竹野内くんも織田裕二も唐沢寿明も田村正和も豊川悦司も江口洋介も出ません。常磐貴子も山口智子も松たか子も中山美穂も和久井映見もW浅野も、とにかく視聴率が取れそうな人はみーんなお休み。多分4月からのドラマにどっと出演するのでしょう。その代わり、今クールはこれからの俳優を起用した思い切ったキャスティング、そしてキャストに頼らないしっかりしたドラマ作りをしてきそうな感じですから、そういう意味ではかえって視聴率は上がらなくとも意外な拾いもののドラマがありそうな気がします。
 ではまず各局の黄金枠から。フジの月9は『DAYS』。脚本が『ふたりっ子』の大石静、主演に長瀬智也、中谷美紀、菅野美穂、金子賢、小橋賢児と若手期待俳優が揃っています。地方出身の若者青春ドラマということで、地味ながらそこそこの視聴率は取るでしょうが、それ以上に若手俳優陣の競演が見物の『白線流し』系ドラマです。TBS金曜10時は『聖者の行進』。ご存知、野島伸司ドラマです。またまた知的障害者の青春ドラマ、酒井法子も出るということで、野島ワールドが炸裂しそうな気配です。出演も酒井の他に、いしだ壱成、広末涼子、雛形あきこ、安藤政信、松本恵ときっちり伸び盛りの若手を押さえ、脇にも段田安則、水沢アキ、斉藤洋介、デビッド伊東と目配りができています。キャスト的には最も面白そうなブランド型ドラマです。日テレの人気枠土曜9時は『三姉妹探偵団』。赤川次郎原作で鈴木蘭々、吉川ひなの、野村佑香というキャスティング。こちらはアイドルおたくの心もくすぐることでしょう。
 ただ、以上の各局看板ドラマがみな若手中心で、視聴率は取るでしょうが30代としては今ひとつ食指が動かないので、もう少し大人向けドラマがないかということで探すと、フジとTBSが激突する木曜10時の2本がありました。フジは『甘い結婚』(木梨憲武、財前直美、高島礼子)、TBSは『スウィートシーズン』(松嶋菜々子、椎名桔平、とよた真帆)。タイトルまで似ていますが、どちらもちょっと売りがないドラマですね。木梨や松嶋を主演に据える根性(?)は認めますが。『失楽園』やストーカーものなど危ないキワモノドラマが多い日テレ月曜10時は『冷たい月』。中森明菜が永作博美に復讐するということですから、これまたかなりのキワモノ系と思われます。明菜と永作、まさにどっちもどっちのキレてる演技派ですからねぇ。
 で、結局今回のイチオシドラマは、もう第1回がオンエアされたフジ水曜9時の『ニュースの女』です。脚本が田淵久美子、主演が今クール唯一視聴率が取れる大物女優鈴木保奈美。他に長塚京三、藤原紀香、野村宏伸、吹越満、小野武彦、伊藤俊人、奥貫薫、あめくみちこ、西村雅彦(最初だけかも知れないけど)と玄人受けする渋い配役ですが、ここにジャニーズJr.の一番星滝沢秀明クンが絡むのがオイシイところです。第1回を見た限りでは、テンポの良い演出と保奈美・長塚・滝沢の掛け合いが面白く、コメディとして期待できそうでした。滝沢クンは岡本健一・稲垣吾郎のラインの母性本能をくすぐるいかにもジャニーズ系。オバサン及びその予備軍必見でしょう(笑)。
マンガとSF。(98/1/7)
 いささか旧聞になるのですが、エーアイ出版から昨年12月10日に発売された「WWWイエローページvol.4」で、僕の書いている「マンガ時評」が紹介されました。ご存知の人もいるかとは思いますが、月2回くらいの割合で僕が好き勝手にマンガの感想を書いているページです。「マンガのページ、読んでますよ」と知り合いから言われることも多いので、多分このホームページ中でも人気コンテンツなのでしょう。それにこのページの読者になってくれる人は、当たり前のことながら熱心なマンガ好きが多くて、僕よりも詳しい人もたくさんいるので、そういう人からメールを貰ったりすると、なかなか参考にもなります。ただ、今回のムック自体の反応はそれほどでもないようで、すでに発売から1ヶ月近く経っていますが、このムックを見て読みにきたという人はあまり多くありません。紹介文自体も地味な誉め方(?)ですし、まあそんなもんかな、とは思っていますけどね。嬉しいのは、インターネットの世界では、マンガというものが文学とほとんど同等の扱いを受けていることです。旧来の文化的尺度ではない物差しがインターネット界にあるのは良いことです。
 ところで星新一。先日亡くなったという報道を目にして、ちょっとショックでした。中学時代、自分で文庫本を買い始めた頃よく買っていた作家の1人が星新一でした。田舎の学校だったせいもあって、読書が好きな少年なんて数少なかったのですが、星新一だけは例外的に人気があり、友達と話題にすることも多かったと思います。乾いた文体とクールで短い寓話。子どもたちにとってSFへの入り口としての星新一は実に最適な入門書でした。僕も星新一がいなかったら、その後小松左京や筒井康隆を読むこともなかったでしょう。ここ数年は「書きたいことは書いた」とかで、ほとんど作品は発表していなかったようでしたが、それだけ充実した作家人生だったのだと思います。残念なのは、その偉大さに比べて文壇での評価が低いこと。SFというジャンルは時として文学よりもマンガに近い評価のされ方をしているようですが、その人気や影響力を考えたら、SFもマンガも、もっと高い扱いを受けるべき存在だと思います。小松左京が文化勲章を受ける日は来るのでしょうか。
●和服もいいと思うんだけど。(98/1/6)
 ほとんどの会社が5日から仕事始めだったことと思います。でもその割には晴れ着姿の女性を見かけませんでした。ちょっと前までは、仕事始めの日に華やかな振り袖を着て街を歩くOLの姿は、ある種お正月の風物詩のようなものでしたが、最近はみんな普通の洋服姿ですね。そりゃ理屈では仕事始めだからって、会社に振り袖で行くのはおかしいと思いますよ。そのために朝早くから美容院に行って髪をセットして着付けをしてもらわなければならないし、混んだ電車にも乗れない、会社に行ったって仕事する格好じゃないから、笑っているくらいしかできないし。お金がかかって面倒で、若い女性が避ける気持ちもわかります。同様に初詣に行ってもやはり最近晴れ着の女性は昔よりは少ないですしね。もっとも、これはその後の「○はじめ」が大変だから、ということもあるかも知れませんけど(笑)。
 こうして女性が和服を着る機会が減っていくのは、ちょっと寂しい気持ちもしますが、時代の流れですから仕方ないことなのでしょう。逆に考えれば、この先ますます和服姿の女性は貴重になります。外国人が日本に来て「Oh、キモノ!ビューティフル!!」なんて言っているのと同じような感想を、21世紀には日本の男どもが抱くようになるのかも知れません。そうなると「あっ、殿、お戯れを」「良いではないか良いではないか」「い、いけません、あーれー」クルクルクルクル・・・なんてことは、ますます夢のようなプレイになりますね。うーん、やっぱり今のうちにやっておかねば(笑)。
●お笑い芸人の影が薄い正月番組。(98/1/5)
 例年お正月のおせち番組と言えば、日頃はご無沙汰しているような古典的お笑い芸人が登場して、年に一度のご挨拶、というか、虫干しという感じでしたが、今年は随分そういう人たちの影が薄かったような気がします。ひと昔前なら、ポール牧、海老一染乃助・染太郎、レッツゴー三匹、チャンバラトリオ、かしまし娘、牧伸二、ゼンジー北京などといった、ふるーい芸人さんたちのオンパレードだったものですが、今年はさんまや紳助という売れっ子を除けば、比較的新しいお笑い芸人さえあまり姿を見ませんでした。代わりにやたら目についたのが、SMAP(特に中居と香取)をはじめとする「ジャニーズ芸人」や、飯島愛、遠藤久美子、鈴木沙理奈といったボケのできる綺麗どころ。T.M.REVOLUTIONも含めて、これはルックスの良いアイドル系お笑いタレントが急激に増殖しているということです。
 以前のバラドルブームは、まだ一部の食い詰めた女性アイドルが仕方なくボケをやっていた感じがしました。今でも森口博子や山瀬まみはそういうカタチでテレビに存在していますが、最近は積極的にボケることでアピールしているというか、ボケられなければアイドルとして成り立たないと思わせるくらいに時代は変わってきています。これでは面白くない生ぬるいお笑い芸人や、時代感覚についていけない古いお笑い芸人の出番はありません。逆に猿岩石のように笑わせるのが下手なお笑い芸人として、歌手に転身するような手口さえ開拓されてしまいました。昔は厳然としてあったお笑いとアイドルの高い垣根が、今やクロスオーバーして境目すらよくわからなくなってきたことを、如実に物語っていたお正月のテレビ界だったと思います。
●ノー天気さが良い『ビーチボーイズ スペシャル』。(98/1/4)
 去年の夏の月9ドラマとしてヒットした『ビーチボーイズ』のスペシャルが放送されました。サイパンロケをするという話をドラマが終了する頃には聞いていましたから、だいたい予想はついていたのですが、思ったとおりのノー天気さで、それがいかにもこのドラマらしく楽しめました。本編放送時からすでに「内容がない」だの「キャストだけのドラマ」だの言われていた作品だけに、スペシャルともなれば一層その傾向が強まるのは目に見えていました。しかし夏のドラマはそれくらいお気楽でいいんじゃないの、と僕は思っていましたから、このスペシャルも全然OKでしたね。そもそもテレビドラマごときに、そう多くを望んではいけませんよ。取り柄がひとつふたつあればいいじゃない。
 それに、もともと僕は南の島のお気楽さが大好きな人間で、旅行に行くならとにかく南。ドラマの中で「南の島にはパラダイスがあるとでも思ってるんじゃないの」と桐島かれんが厳しいことを言っていましたが、実際、僕はパラダイスがあると思っているタイプです。恐らく僕と似たような感覚の人は、きっとこのドラマのお気楽さを心地よいと思えるんじゃないかなぁ。ドラマを見ていて、やっぱり今年の春にはどこか南の島にいくぞ、と思ってしまいました。
●本の福袋はどうだろう。(98/1/3)
 お正月の風物詩のひとつに「福袋」があります。例えば1万円の福袋なら中身は3万円相当!って言いながらデパートなんかで売っているあれです。僕はどうも馴染めなくて買ったことがないんですが、好きな人は好きですよねぇ。新年のお楽しみというか、一種の夢を買うようなものなんでしょうが、その割には現実的な女性(特にオバサン)が好きというのがわかりません。だっていくら高い服とか入っていたって、サイズが合わなければどうしようもないし、それにサイズが合っても趣味の合わないものならやっぱりいらないでしょう。服って、自分でじっくりあれやこれやと迷いながら選んで買うものであって、博打するように買うものじゃないでしょう。それに、デパートの言う3万円相当って、実は1万円の値をつけたって売れないような商品を福袋に押し込んでいるだけですよ。射幸心を煽るひどい抱き合わせ商法だと思いますが、そのえげつない商売の割にはなぜか好意的にマスコミも紹介するし、どうも不思議です。
 これが服のような趣味姓の強いものじゃなくて、いくらあっても困らないような実用的なものが入っているなら僕も買いたいですよ。例えば1万円の福袋で中身が3万円分のテニスボールなら絶対欲しいです。カメラのフィルムとかビデオテープとか、消耗品でブランドによる差があまりないものならいいんですけどね。ティッシュとか乾電池とかサランラップとかならさらにお得ですねぇ。そうだ、返本しなければならないような売れない本の福袋ってどうでしょう?あまり宣伝とかできなくて売れないけど良い本ってたくさんあると思います。どうせ出版社で裁断してしまうんだったら、いっそ福袋にして売ってしまうというのも面白いと思うんですけど。暇つぶしに読んでみたら面白い本って結構ありそうなんだけどなぁ。再販制度とかいろいろ問題はあるとは思うけど、どこかの出版社がやってみてくれないかな。
●お正月広告雑感。(98/1/2)
 元日からお正月広告がテレビ・新聞でたくさん登場しました。最近不景気で商品広告はたくさん流れても、なかなか企業姿勢を伝えようとする企業のメッセージ広告は少なくなってしまったのですが、さすがに正月くらいはということで、多くの企業がいろいろなメッセージを伝えようとしています。
 テレビCMで好感が持てたのは、キリンビールのラガー。110年目のキリンラガーということで、20世紀を物語る多くの写真で振り返りながら、普通の人たちと一緒に歩んできたキリンラガーを主張しています。偉い人だけで歴史は作られているわけではない、という単純ながら力強いメッセージが気持ち良いです。
 新聞広告では、相変わらずうまいなぁ、と唸らせられたのが黒ネコヤマト。不在票にネコの耳のカタチの切り込みを入れて、目の不自由な人にもわかるようにしました、というお話ですが、具体的な事実をきちんと伝えながら企業姿勢を語るヤマト運輸の正月広告は例年「お上手」という印象です。
 出版社も正月新聞広告は定番ですが、今年のイチオシは新潮文庫の「YONDA?」ですかね。パンダを出してのダジャレではありますが、本を読まなくなった世間に対してのメッセージはありました。家電業界は全般に冴えないというか、未来が見えてこない印象でしたが、これはやはり家電不況の影響でしょうか。自動車業界では、日産がまたもやイチローを全面に登場させていますが、もうちょっと飽きたというか、今さらな感じが拭えません。なにせ何を言ってもクルマという事実がついてこないですからね。トヨタはハイブリッドカー「プリウス」がありますから、やはり説得力が違います。手塚先生にもちょっと驚きました。全日空も出稿量は多く目立っていますが、「ALL FOR YOU」とか言われてもね、具体的にはなにって感じです。フジカラーの七福神シリーズは今年もなかなか面白いCMですが、フジカラーと並んでお正月CMの定番だった三田工業はすっかり見なくなってしまいました。阿川泰子さん、お元気でしょうかねぇ。
●あけましておめでとうございます。(98/1/1)
 ホームページをオープンして2回目のお正月です。ご愛読していただいている皆さん(でなくても、たまたま読んだ方も)本年もよろしくお願いします。ところでやはり元日の話題と言えばNHK紅白歌合戦の感想ですね。今年は赤組に初出場組が多くてフレッシュな感じがしたのですが、結果は司会者中居くんの奮闘のせいか白組の完勝。その中居くんですが、あまりにもそつなくこなし過ぎて面白くなかったですね。唯一藤あや子に対して「変な色気」と言ったくらいでした(確かに「歌うフェロモン」という感じでしたけどね、藤あや子)。『うたばん』までいかなくとも、もう少し受け狙いの暴投があっても良かったと思います。
 それにしても現役ばりばりで売れている歌手たちが、シンプルなステージで歌っていたのに対し、名前だけで出ている歌手たちを盛り上げるための演出が、ますます過激にかつ珍妙になっていて、そう言う意味ではNHK的感覚のズレを楽しめる面白い紅白でした。美川憲一と小林幸子の衣装合戦は、相変わらずながらちょっと見飽きた感じでしたが、細かいくすぐり、例えば鳥羽一郎のバックコーラスでシャ乱QたいせーがしていたSHAZNAのヘアウィッグなんて大笑いでしたし、河村隆一の歌の前に細川たかしと前川清がしていた妙な化粧のギャグなど、さすがNHKという「さむさ」でした。反町隆史の歌の後にせっかく竹野内豊が出てくれても誰も構わないし、豪華ゲストを使いっぱなしフォローなし、というあたりも紅白ならではです。で、個人的には97年紅白のMVPは「オーロラ輝子」でしたね。あの貧乏くさい演出も、美川憲一や小林幸子があって余計引き立ったし、そもそも役名で紅白出場したのは後にも先にも彼女一人でしょう。サザンやとんねるずがこれまでもかなり紅白自体をパロったりしてきましたが、ある意味、一番紅白をバカにしたのは河合美智子だと言えるような気もします。本人にその気があったかどうかは別にして。


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おっと、忘れるところだった

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