幹事クリタのコーカイ日誌2026 |
| 4月20日 ● ワクワクがない『豊臣兄弟!』。 大河ドラマ『豊臣兄弟!』も序盤を終って中盤に入ってきました。金ヶ崎から姉川の合戦という展開は、「太閤記」ではお馴染みの場面です。金ヶ崎で秀吉が殿軍を務めたのは史実として有名ですが、それに協力した家康や光秀の描き方は、これまでの大河ドラマでもいろいろと違いがあります。もちろん『どうする家康』では家康が秀吉より頑張ったし、『麒麟がくる』では光秀が頑張りました。今回はもちろん豊臣兄弟が頑張るわけですが、いずれにしても「見慣れた」シーンであることには変わりがありません。 史実があまりわかっていない尾張の国内での出来事なら、ある程度は脚色もしやすいし、目新しい描き方もできたのですが、ここらあたりになってくると話が有名過ぎて、そうそう驚くような超展開には持っていけません。この後は比叡山焼き討ちがあるわけですが、何をどうしたところで坊主だけではなく女子供まで殺しまくったことには変わりがないので、陰鬱な展開になることでしょう。浅井長政は滅ぼされますが、市は助けられて勝家と結婚しますし、今後は義昭と信長の対立が激しくなり織田包囲網ができます。武田の進軍により三方ヶ原、長篠の戦いも描かれるわけですが、そうなっていくことがわかっているので、ドキドキもワクワクもしません。この「知ってるし」という壁を乗り越えるのは制作側は大変だと思います。 しかも姉川の合戦は「なんて合戦シーンがしょぼいんだ」という落胆しか感じません。知っている話でも「見せ方」が魅力的なら楽しめるのに、大人数の大合戦だというのに、小競り合いのような人数でごちゃごちゃやっているだけでした。織田家の重臣である秀吉が馬にも乗らずに最前線で刀を振り回すはずもないし、なぜか藤堂高虎がひとり出てきて秀吉に襲い掛かるとか、コントなのかなと思ってしまいました。「軽い」と言われる今年の大河ですが、特に合戦が安っぽくて予算がないのが見え見えなのが悲しいです。最近の研究では姉川の合戦は人数が集まっていたものの小競り合いで終わったという説もあるらしく、思い切ってそれを取り入れたのならわかりますが、しょぼい合戦の後にこれまでの言い伝え通り姉川が血で赤く染まって「ここは地獄じゃ」とか、どうもコントっぽさが抜けません。 予算が乏しいなら思い切って合戦はナレーションで済ませて、人間ドラマに振り切ってしまえば良いのに、それをするにも登場人物が少なすぎます。徳川家には家康と数正の2人しかいないようで、家康の振り切った腹黒キャラは面白いですが、有名な徳川家臣団が出てくる気配がありません。そもそも織田家の家臣団も数も少ない上に、セリフもわずかでキャラクターが描き切れていません。セリフがそれなりにあるのは勝家と利家だけですが、どちらも深みがありません。これも予算がないせいなのかどうかわかりませんが、やはり有名武将がたくさんいる戦国時代を描くならもっと群像劇にして欲しいです。 過去の大河ドラマを振り返っても、『どうする家康』は史実を無視し現代的な価値観を盛り込んだ古沢良太の脚本はいただけませんでしたが、少なくとも家康と家臣たちのキャラクターは生き生きとよく描かれていました。『麒麟がくる』は主役の光秀以外に、スポットを当てた道三、信長、家康、義昭などが生い立ちや人間性までしっかり描かれていてベテラン池端俊策の重厚な脚本に唸らされました。『真田丸』はまさに大河ドラマらしい群像劇で、多くの登場人物たちの個性がきちんと描き分けられていて、三谷幸喜の面目躍如というところでした。今作の八津弘幸は過去作から考えるとストーリー展開の面白さに力を発揮するタイプのように感じられるので、先がわかっている大河ドラマにはもしかしたら不向きなのかもなと思います。 |