幹事クリタのコーカイ日誌2023

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12月18日 ● 最終回『どうする家康』。

 昨日の放送で今年の大河ドラマ『どうする家康』が終わりました。ラストに家康が寂しく死ぬバッドエンドかと思わせておいて、なんと岡崎時代の回想に一気にワープ。これまで2回ほど言いかけてやめていた「鯉の話」で締めくくりました。このあたりのドラマ作りの手際の良さは、さすが古沢良太です。小ネタの仕込み方も面白いし、三谷幸喜や宮藤官九郎の影響もあるのかも知れませんが、コメディタッチの作品を書かせたらこの3人が現代のスリートップであることは間違いないでしょう。

 映画は黒澤とか小津とか、スピルバーグとかヒッチコックのように監督の名で語られますが、テレビドラマは山田太一とか倉本聰とか向田邦子のように脚本家で語られます。ドラマの骨格は脚本家が作っています。そういう点では『どうする家康』のプラス面もマイナス面も古沢良太のせいでした。

 ドラマとしての工夫や押し引き、セリフ回しの面白さや伏線の回収の仕方あたりは、いかにも古沢らしいケレン味があって楽しかったのですが、反面これもいかにも古沢ドラマらしい人生や社会に対する現代的な価値観の主張もあり、それを歴史上の人物に語らせたことが、大河ドラマという枠にはそぐわなかった気がします。特に今回のある意味では一番核心である築山殿の描き方はさすがに納得できませんでした。

 また演出の粗さが目立ちました。脚本でどこまで指示が書かれていたのかわかりませんが、CGを多用した合戦や建築物の書割感、役者の演技や所作も歴史ドラマらしい重みがなく、地理的な誤りなども含めて、全体に作り込みが足りていない感が多々ありました。それが予算のせいなのか時間のせいなのかわかりませんが、過去の大河ドラマに比べて戦国時代らしい空気感が足りていなかったのはかなり残念でした。

 視聴率は大河ドラマ歴代ワースト2位だということですが、そもそも世帯視聴率自体がずっと右肩下がりなので、一概にそれを理由に過去の作品と比べてダメだったと切り捨てることはできないと思います。またワースト1位の『いだてん』もクドカンがかなりチャレンジした脚本で面白いところもたくさんありましたが、大河受けしない現代ドラマだった点が響いたと思います。僕の中では歴代視聴率のワーストランキングに入っている『いだてん』『どうする家康』『平清盛』の全てちゃんと最終回まで見たので個人的にはそれぞれ見所があったと思っています。

 まあ上記いずれの作品も目立つ欠点ははっきりしているので、それが受け入れらなかったのだろうというのも想像がつきますが、個人的には『花燃ゆ』や『江』よりは面白かったですから、まあこれはこれで良かったのかなと思っています。むしろ来年の方がつまらなくなりそうで心配です。



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