幹事クリタのコーカイ日誌2023

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7月7日 ● ジャニーズ性加害と山下達郎。

 音楽プロデューサーで作曲家の松尾潔が、性加害問題で揺れるジャニーズ事務所の件に言及したところ、所属事務所から契約を打ち切られた件は、山下達郎・竹内まりや夫妻に批判が及んで大事になってきています。松尾はジャニー喜多川をことさらに非難したり、ジャニーズ事務所を貶めたわけではなく、いたって冷静に、子供たちに性暴力やいじめ、虐待の被害を受けた時に、現状を見て訴えることを諦めたりしないよう呼びかけていました。子どもたちを守るために大人としての真っ当な意見です。

 ところが所属しているスマイルカンパニーは、事務所がジャニーズ事務所と深い関係であることから松尾との契約を解除することを伝え、さらに松尾をスマイルカンパニーに誘った山下達郎もこの処分について賛成していると言ったそうです。松尾がそれをツイッターで明かしたことで、大きな騒ぎになりました。松尾はレコード大賞なども受賞している大物プロデューサーです。彼にとっては事務所と契約が切れることよりも、尊敬している先輩の山下がジャニーズ側に立って松尾を切ったことがショックだったのでしょう。

 当然のことながら、山下を批判する声がネットに溢れています。いくらビジネス的にジャニーズに依存している事務所だとは言え、松尾の正論を問題視していきなり契約解除というのはやり過ぎです。また仮に事務所が松尾を切ろうとしても、山下ならそれを止めるだろうと松尾だって思っていたことでしょう。世間のイメージでも山下はそういうタイプの筋を通す人物でした。まさか義理人情で少年への性加害から目を背けるような人間だとは、イメージダウンも甚だしいです。

 難しいのはこの件で山下達郎や竹内まりやの楽曲までボイコットするというような話があることです。先日広末涼子の不倫問題で、広末出演作品まで配信中止になるのはおかしいと書きました。作品に罪はないと。その理屈でいけば山下や竹内の作品にも罪はありません。もちろん映画やドラマは俳優ひとりのものではなく、多くの俳優やスタッフで作り上げたものですから、個人名義で発表している楽曲とは関わり方が全然違いますが、とは言え、クリエーターと制作物は分けて考えるべきという意味ではどちらも同じ話です。

 もちろん個人がそれぞれにその作品をどう受け止めるかは自由ですから、クリエーターが嫌いだから作品も嫌いになったとしても自由です。ただ個人が自分の意思で作品に触れないようにすることと、作品自体を社会的に封印してしまうというのは別次元の話です。そもそも今回の性加害はジャニーズ事務所が発端なんですから、山下や竹内の作品をボイコットする前に、ボイコットする相手が違うのではないかと強く思います。



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