幹事クリタのコーカイ日誌2023

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1月9日 ● 脱大河の『どうする家康』。

 今年の大河ドラマ『どうする家康』。脚本が『コンフィデンスマンJP』『リーガル・ハイ』の古沢良太だけに、今までの大河ドラマにはないテイストになるのではないかと予想していましたが、思っていた以上に軽いノリのドラマになっていました。これは賛否両論あるだろうなと見始めてすぐに感じましたが、実際にネットでレビューなどを見ると、好評もあり悪評もありでした。

 良い点から言えば、歴史に詳しくなくてもわかりやすいというところが一番でしょう。話を省略してわかりやすくしています。いきなり初回で桶狭間の戦いで今川義元が死んでしまいます。通常徳川家康を描くなら岡崎での誕生から今川の人質として駿府に送られる途中で織田に奪われて、しばらくは尾張で過ごし信長と出会い、改めて今川に送られて太原雪斎に学び、という少年時代をすっ飛ばしたりはしないでしょう。そういう細々した幼少期を子役を使って丁寧に描くことで主人公の人間性を深堀りしていくのが従来の大河の手法ですから、敢えてそうした展開にしなかったのではないかと思います。

 脚本がそうである以上、演出もかなりわかりやすくフランクで現代的です。3年前の『麒麟がくる』の重厚な戦国時代の描き方に比べると、台詞や所作ひとつとっても「細かいことは気にしない」ノリなので、『麒麟がくる』も担当した時代考証の小和田哲男の意見はあまり取り入れられてはいないのかも知れません。まるで民放の深夜ドラマかと思うほどですから、かなり気軽に見ていられます。

 逆に悪い点は以上の良い点の裏返しです。脚本も演出も深みがなく、大雑把かつ好い加減に思えるので、歴史好き、大河好きからしたら粗が目立って仕方ありません。昨年の『鎌倉殿の13人』のように、史実をわかっていてその上で遊びを入れていますよ、という感じではないので、「粗」として受け取ってしまうのでしょう。同じ系統の大河ドラマには『江』や『花燃ゆ』がありましたが、どちらも酷い出来でした。ただ今回は敢えて狙ってやっている感じがあるので、出来の悪い大河ドラマではなく、大河ドラマ的ではない大河ドラマを作ろうとしているのかなと思います。

 わかりやすくて面白ければ良い、重厚さも深さも必要ないという脱大河ドラマ。まだ初回が終わっただけですから、賛否を判断するには早計なので引き続き見続けていこうとは思っています。



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