幹事クリタのコーカイ日誌2022

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3月26日 ● 暇つぶしの暇がない。

 僕は子どもの頃から何もすることがない暇な時間が苦手で持て余してしまうタイプでした。かと言って昭和40年代に小学生が家にいてできる暇つぶしはそれほど多くありません。テレビは一家に一台ですから自由に見られませんし、家にある「世界の文学全集」という子ども向けの本は読み尽くし、仕方なく新聞を毎日1面からラテ面まで1時間以上かけて読み切り、父親の持っていたサラリーマン小説や歴史小説の文庫本、果ては地図帳を眺め百科事典を読み漁っていました。星の観察日記をつけたり、新聞に載っている将棋の棋譜を並べてみたり、大相撲の星取表を独自で作ったりしていたのも小学校高学年の頃の暇つぶしでした。

 それを思うと今は暇をつぶす道具が揃いすぎています。ゲームもあるしネットもあります。テレビだけではなく動画だって見放題です。電子書籍で本や雑誌もいくらでも手に入ります。それなのに在宅とは言え曲がりなりにも仕事をして、テニスをしてサックスを吹きピアノを弾き歌を歌い、クイズ番組を見てドラマを見てネットを見てブログを書いていたら24時間あっても全然足りません。気づけば録画したwowowの映画は見ないままHDDに山のようにたまっています。毎週買ってくるマンガ雑誌も読み切れません。野球や相撲の中継をゆっくり見ている時間もありません。

 今は暇つぶしのコンテンツが多すぎて、それを早送りで消化しているような毎日です。なにかおかしいです。かつてレンタルビデオを借りてきて映画を見ていた頃は「次は何を見ようかな」と探す余裕がありました。今は「次はアレを見なくては」と追われています。またドラクエを毎日何時間もやって寝不足にはなっていましたが、ゲームする時間がもったいないとは感じていませんでした。今はゲームに1時間消費してしまうと「時間は有限なのにもったいないことをした」と思ってしまいます。あんなにゲーマーだった自分はどこに消えたのか我ながら不思議です。

 こうなった原因のひとつはネットの普及によって好きなコンテンツが簡単に手に入るようになったせいです。もうひとつは自分がこの10数年でどんどん習い事を増やしていってしまったせいです。アラフィフになってコンテンツを消費するだけの人生では飽き足らなくなったからですが、テニス、サックス、ピアノ、ボーカルと習っているのに、相変わらずコンテンツの消費も好きで減らそうとしないのですから時間が足りなくなるに決まっています。

 この2年間の在宅勤務のお陰で何とか仕事と趣味を回せていますが、もしまた毎日出勤することになったらパンクしてしまいます。多分その時は仕事を辞めるかも知れません。暇つぶしのために仕事を辞めるなんて、明治の高等遊民みたいです。悪くありません。



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