幹事クリタのコーカイ日誌2020

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12月31日 ● 変わろうとする紅白歌合戦。

 2020年の紅白歌合戦はかなり変革がありました。恐らく見ていた人は多かれ少なかれ「今年はいつもと違うな」と感じたことでしょう。それは単純に無観客だったということだけではなく、昭和的な演出から離れてようやく令和に近づいたということです。これまでの田舎のおじいちゃんおばあちゃんにもわかってもらえるようなベタベタな紅白をやめたと言っても良いでしょう。

 例えば必ずこれまであった大御所演歌歌手のバックでアイドルが下手なダンスを踊るとか、旬のお笑い芸人を呼んで寒いコントをさせるとか、場面転換の繋ぎに妙な企画を挟むということがほとんどなくなりました。もちろんまだフワちゃんが出てきたり、相変わらず三山ひろしがケン玉のギネスに挑戦したりはしていましたが、減らせるだけ減らしたという印象でした。

 そして中途半端なメドレーも減りました。一時期は紅白スペシャルメドレーばかりで、昔のヒット曲を矢継ぎ早に歌わされる歌手ばかりでしたが、今年は昔のヒット曲であってもちゃんとしっかり歌わせていたので、聴く方も落ち着いて聴くことができました。これらの変革のお陰で、全体に本格的な音楽番組らしい落ち着きがありました。紅白というよりは「SONGS」のスペシャル的な色合いが濃かったのは大泉洋が司会をしていたからというだけではないでしょう。

 その司会者も落ち着いていて良かったです。まず総合司会の内村光良が昨年までのようにバタバタと合間のコントや欅坂46との共演までこなすような忙しさではなく、まるでミュージックステーションのタモリくらいに動かずに、大泉に突っ込む役どころでいたのが全体の進行を落ち着かせていました。また大泉の話術の達者さもこれまでのジャニーズの司会者とは雲泥の差がありましたし、何より二階堂ふみの堂々たる進行ぶりが素晴らしかったです。二階堂がいたお陰で桑子真帆アナは完全に不要でした。

 そして一番紅白として変革が感じられたのは、紅白歌合戦をやめようとしていることでした。つまり男女対抗の歌合戦というコンセプト自体から脱却しようとしていることです。今どき男性と女性にチームを分けて対抗戦をするという発想自体が時代遅れなのは言うまでもありません。LGBT的にはアウトでしょう。それにNHKも気づいているのか、今回は男女の対抗戦色をかなり希薄にしていました。せっかく呼んだ審査員たちにほとんど触れなかったのもそのせいかなと思いましたし、恒例の「白組も負けていませんよ」的な司会者の煽り発言もありませんでした。むしろ大泉洋は途中で紅組を応援していたりしています。

 そうした変革しようとする姿勢のお陰で今回の紅白は本当に違和感が少ない見どころの多い音楽要素が高い紅白でした。もちろんベタベタで昭和的な紅白が好きな人もいるでしょうから、全ての人に好評だったとは思いませんが、時代は変わり続けていくものですから、恐らく紅白においても今後はどんどん昭和は遠くなっていくことだろうと予想しています。こういう紅白が続くなら次回からも無観客でも良いのではないかと思います。


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