幹事クリタのコーカイ日誌2020

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12月1日 ● 水島新司の引退。

 漫画家水島新司が引退を発表しました。漫画家はスポーツ選手と違ってあまり大々的に引退発表はしません。現役のまま死ぬか、売れなくなって描く場がなくなるかが大半でしょう。そういう意味では堂々の引退宣言ができる水島新司はさすが日本を代表する漫画家のひとりだと思います。

 81歳の水島新司のデビューは1958年。僕が生まれる前から描いている数少ない現役漫画家です。最初の大ヒット作は1970年に少年サンデーで連載が始まった「男どアホウ甲子園」。すでに小学4年生になっていた僕は連載当初から読んでいました。さらに1972年から月刊少年マガジンで「野球狂の詩」、少年チャンピオンで「ドカベン」、1973年からビッグコミックオリジナルで「あぶさん」と代表作になる作品を立て続けにスタートします。

 中学生から高校生の頃の僕は水島作品に夢中で、この3作をずっと追い続けていました。それまでの根性と魔球ばかりの野球漫画にはなかったリアルで頭脳的な駆け引きや戦術、野球選手も知らないような細かいルールの説明など、野球に対する造詣が水島漫画群で一気に深まりました。水島自身は野村克也から薫陶を受けたのだと思いますが、日本中の子どもたちが水島新司によって野球に詳しくなった時代です。1970年代は野球も野球漫画も黄金時代でした。

 個人的な水島作品のトップ3は1位「野球狂の詩」、2位「あぶさん」、3位「ドカベン」です。いずれも甲乙つけ難い傑作ではあるのですが、連載が短いほど作品の平均値は高いと思っています。長期連載になればなるほどマンネリになってしまうのは仕方ないところです。なので「ドカベン」も続編を含まず最初の48巻だけに限れば1位です。「大甲子園」はまだしもプロ野球編以降は正直言って蛇足でした。ファンから望まれていたので描き続けたのだろうとは思いますが。

 今でも野球漫画は「グラゼニ」「ダイヤのA」「MAJOR 2nd」などの人気作品が連載されていますが、いずれも水島新司の影響を感じます。実に偉大な作家だったと思います。


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