幹事クリタのコーカイ日誌2019

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11月15日 ● 『まだ結婚できない男』不振の要因。

 13年ぶりに帰ってきたドラマ『まだ結婚できない男』。前作は阿部寛の代表作と言ってもいいくらい面白い人気ドラマだっただけに、今回の復活は相当期待が高かったと思います。それだけに視聴率が上がらない現状はスタッフもキャストももどかしい思いをしているかも知れません。

 ただ視聴率が上がらないからすなわちつまらないドラマとも限りません。例えばNHK大河ドラマ『いだてん』は大河ドラマ史上最低視聴率をたたき出していますが、じゃあつまらないかと言われたら全然そんなことはありません。クドカンらしいテンポの速さ、時制の反復横跳び的な展開、小ネタも織り込んでいますし、面白いだけではない社会批評もあります。単純に大河ドラマらしくないから従来の大河ファンがついてきていないだけでしょう。

 そもそもテレビドラマの視聴率自体が大きく下がっています。録画して見ている人も多いですし、テレビそのものもネット動画に侵食されてしまって見られていないのですから、昔の20%は今の10%くらいと考えても良いかも知れません。特に若い世代はテレビを見ていないのですから、13年前と視聴率だけを比べてどうこう言うのは間違っています。

 ただ、ヒロインが夏川結衣ではなくなったのだけはやはり失敗だったと思います。このドラマは主人公の阿部寛の遠慮のない暴言に対する夏川の突っ込みがあって成立していました。2人の掛け合いが一番の見どころだったのに、その相方を失ってしまって、別の相方を用意されてもやはり乗り切れません。阿部寛が乗っていないだけではなく、見ている視聴者もついつい夏川の方が良かったなと感じて乗れないのです。

 吉田羊が「悪い」わけではないのですが「違う」のです。こればかりは吉田に気の毒ですがどうしようもありません。彼女も損な役を引き受けたものです。このまま低視聴率で終わったら、戦犯は吉田ということになりそうです。ちなみに前作の高島礼子、国仲涼子から今回は稲森いずみ、深川麻衣になっていますが、こちらも前作を上回っている感じはしません。良くも悪くもなく印象が薄いので、余計に吉田が悪目立ちしている気はします。

 あと阿部寛演じる主人公桑野の人間的な成長ぶりも、ドラマをつまらなくしているかも知れません。アクの強さが以前ほどではなくなり、コミュニケーション能力も高くなっているし、昔ほど人を抉るような悪態をつくわけでもありません。さすがに13年経てば少しはまともになるんだなと感じさせますが、それだけにエッジが効いていないのです。まあコンプライアンスがうるさくなり、すぐに炎上する時代ですから、あまりエッジの効いたキャラクターは難しいですけどね。


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