幹事クリタのコーカイ日誌2019

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11月8日 ● DH制導入でセ・リーグは強くなるか。

 日本シリーズでソフトバンクに4タテを喰らい惨敗を喫した巨人の原監督が敗戦の責任をDH制になすりつけています。実にみっともない話です。単にセ・リーグのレベルが低いから代表同士の戦いでも叩きのめされただけだということはファンならずとも理解しているのに、当事者がそんな認識ではいつまで経ってもパ・リーグには勝てないでしょう。

 パ・リーグにDH制が導入されたのははるか昔、1975年のことです。それから2004年までの30年間、日本シリーズの対戦成績は15勝15敗とセパ互角でした。完全にひと世代分の対戦を経て互角だったのですから、DH制がパ・リーグを強くしたわけでもないし、パ・リーグが有利な制度でもないことは明らかでしょう。もしDH制がシステムとして有利なら、もっと早くからセ・リーグの各チームは異議を唱えていたと思います。

 パ・リーグがセ・リーグに優越してきたのは2005年以降のことで、この15年間で日本シリーズ12勝3敗とパが大きく勝ち越しています。また同じ時期に交流戦ではさらに差が大きく開き15年間で14回パ・リーグが勝ち越していて、セ・リーグは常にパ・リーグに後塵を拝し続けています。しかもセ・リーグはDH制を採用しないホームゲームですら負け越しているのですから、これは明らかに実力で劣っている証拠です。

 メジャーリーグにいく選手もパ・リーグの選手が多く、野茂、イチローをはじめ松坂や城島、ダルビッシュや岩隈、田中、大谷が抜けても、やっぱりパ・リーグが強いのですから、これは近年のパ・リーグの野球が優れていること、そして選手の育成力に段違いの差があることをセ・リーグは認めないといけません。そこを認めないままにDH制というシステムの問題に矮小化していては、いつまで経ってもセ・リーグは強くなれないことでしょう。

 セ・リーグにDH制を導入したところで、金にあかせて戦力をかき集められる巨人が短期的に他のセ・リーグの球団より少々強くなるだけです。それでは巨人はいつまで経っても選手を育てられるようになりませんから、長期的な展望がありません。金もあって選手も育てられるソフトバンクにどうしたところで勝てないことでしょう。

 むしろセ・リーグの希望は自前の選手を育てている広島、DeNA、ヤクルトにこそあります。パ・リーグのチームが強くなったのは有力な選手がメジャーリーグに行く上に、FA制度で巨人に引き抜かれるようになったからです。対策として有望な選手を獲得するスカウト力と、それを育てる育成力を磨いてきたからこそ。セで同じ憂き目にあっている広島が昨年までリーグ3連覇できたのも同様です。

 一番ダメなのが中日でしょう。補強に金をかけるわけでもないし、かと言って育成する力もない。あるのは安い使える外国人選手を連れてくる手腕だけでしたが、それも肝心の森SDが抜けた来年以降はどうなることやら。唯一の希望は根尾と石川を引き当てた与田監督の抽選力だけです。


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