幹事クリタのコーカイ日誌2019

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10月25日 ● 身の丈に合った受験。

 文科相に起用された時からその資質を疑問に思っていましたが、本当に文科相に相応しくない発言をしてくれました。羽生田文科相は、2020年度から採用される大学入学共通テストに英検やTOEFL、ケンブリッジ英検といった民間の資格・検定試験を活用する政策において、地方在住者や貧困層が不利益を生じる問題に対して「身の丈に合わせて」受験をしろと言ったのです。なんという発言でしょう。教育の機会均等という理念とは全く逆のことを言い放つ文科相って、公選法違反で辞任した経産相よりも資質としてヤバいと思うのですが。

 民間試験は受験料が高額でかつ都市部に受験会場が偏っています。都市部の富裕層の子弟ならば何回も受験してウォーミングアップもできますが、地方在住者や貧困層の子弟ではそんなことはおいそれとできません。そういう受験生たちが不利にならないようにやり方を考えるのが文科省の仕事のはずなのに、むしろ切り捨てにかかるというのは国を亡ぼす論理です。都市部のお坊ちゃま優遇というのは、お坊ちゃま政権の安倍内閣ならではの発想で、従来の農村部に強かった自民党からは出てこなかったことでしょう。

 家庭の経済力の差によって受験に有利不利ができることは昔から同じです。僕も家庭が貧乏だったせいで大学受験は「現役、地元、国立大」(浪人、下宿、私立NG)という縛りを親から受けました。仕方なく確実に合格できそうな地元の国立大一本の受験をし、私立大を受けることもありませんでした。高校の親友は裕福な家の次男坊で、腕試しの慶応を受けて合格して入学金を払い込み、滑り止めの早稲田も合格してやっぱり入学金を払い込み、結局京大に合格し進学したので、早慶に払い込んだ学費は全て無駄にしました。この時ほど家庭の経済力の差が子どもの人生にとってどれだけ選択肢を増やすことができるのかを痛感したことはありませんでした。

 政治の役割とはそういう恵まれない環境で育った子どもたちを掬いあげて、その能力を開花させることでしょう。階層の固定化を促進するような教育政策は明らかに間違っています。安倍政権を支持できない大きな理由のひとつです。


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