幹事クリタのコーカイ日誌2019

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6月1日 ● 錦織の勝利と大坂の敗戦。

 全仏オープン、錦織は3回戦を4時間26分の大熱戦の末に勝利しました。大坂の3回戦は1時間17分であっさりストレート負け。どちらも相手は格下で、普通にやれば楽勝できそうな相手ですが、くっきりと明暗を分けてしまいました。

 錦織の相手はセルビアの第31シードのラスロ・ジェレ。6-4、6(6)-7、6-3、4-6、8-6というスコアでしたが、特に危うかったのは最終セット。立ち上がりから連続ブレークを許してしまい0-3。大ピンチです。錦織の調子がそれほど悪いというわけではなく、ジェレがゾーンに入っていたという感じで、完全にジェレのペースで試合が進んでいました。

 見ている方だけではなく錦織本人も「無理かも」と思うほどジェレは絶好調でしたが、それでもいつかチャンスが来ると錦織は耐えて戦いました。錦織はフルセットにもつれた試合で131勝45敗、74.4%の勝率。これはオープン化以降歴代1位の勝率だそうです。接戦に強い錦織はこれまでも何度もこうした修羅場をくぐり抜けてきました。だからこそ自分を信じられたのでしょう。

 技術的に言えば、最近ずっと悩んでいた錦織のフォアが復活していたのが大きかったと思います。錦織の「必殺技」と言えばバックのダウンザラインと思いがちですが、本当はフォアの威力と展開力です。それがあるからこそバックハンドでの一撃が効果的なわけで、その生命線のフォアがこの試合、特に最終セットの競り合いの中で完全に復活していました。これは4回戦以降を戦っていく上でも大きな自信につながることでしょう。

 経験と実績に裏打ちされたメンタルの強さで見事な逆転劇を飾った錦織に対して、経験不足とメンタル不足を露呈したのが大坂でした。カテリーナ・シニアコバ(チェコ)に4-6 2-6のストレート負け。それも終盤になればなるほど内容は悪くなっていきました。一発狙いの強引なテニスで大量のエースと、それをはるかに凌ぐ量のアンフォースドエラー。もともとメンタルが課題である大坂の悪いところが全て出た試合になりました。

 確かに相手のシニアコバの粘り強さは称賛に値します。どれだけ大坂に打たれても懸命に走って返してきます。それもなるべく大坂の打ちにくい低いボールを返していって大坂のミスを誘っていました。対大坂戦略がしっかりできていたという印象です。裏返せば大坂は研究されて受け身に回り墓穴を掘るという実に頭の悪い試合をしてしまったわけで、これはやはりコーチを代えたことによる悪影響ではないかと言われても仕方ありません。

 テニスは圧倒的なパワーとスピードがあれば勝てそうに見えて、実際にはこうしてメンタルとタクティクスの方が勝利には重要だったりする奥深いスポーツです。大坂はもっと成長してまたロランギャロスに帰ってきてもらいたいと思います。


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