毎年恒例となっていたAKB48の選抜総選挙が今年は中止するという発表がありました。理由は公表されてはいませんがNGT48の事件が引き金になっていることは間違いないのではないかと思います。やはりあれだけの事件をうやむやにしようとした運営側の体質は批判されて当然ですし、事件の真相も解明されていないのに、そんな中で総選挙などやっても叩かれることは目に見えています。

　ただ理由はそれだけではないでしょう。背景にはタレントパワーが落ち続けていることがあります。未だにシングルを出せばミリオンを記録するとは言え、もはやそれが握手会で作られた空疎な数字であることもバレているわけですし、今のグループの顔である指原も４月で卒業します。このタイミングで10年続いたAKB48グループを象徴するようなイベントを中止するわけですから、世間の目ははっきりとそれをAKB48の「落日」と感じることでしょう。

　さらに2013年からNHKのBSプレミアムで放送されてきた冠番組『AKB48 SHOW!』は今月いっぱいで終了することがすでにアナウンスされています。また2010年から続けてきたオールナイトニッポンも同じく今月末で終了し乃木坂46に交代します。残るは2008年から続いている『AKBINGO!』ですが、こちらもネット局が減り続けていて、いつ終了するかわかりません。かつてトップだった広告出演女王の座もとっくに乃木坂46に奪われてしまいました。

　そう、今はすっかり「坂道」の時代なのです。業界的にもまた秋元康的にもAKBが乃木坂になって何も困りません。芸能ビジネス、アイドルビジネスとしてはAKB48は賞味期限切れということで処理されていくのです。南沙織、天地真理の時代からアイドル好きとしてウォッチしてきた身としては、これも時代の流れだと理解していますが、総体としてのグループはそうであっても、中のメンバーは変わっているのですから、いま在籍している当人たちにとってはやり切れない思いがあるでしょう。グループアイドルは苦労するのもオリジナルメンバーですが、利益を享受するのもやはりオリジナルメンバーなのです。