ついに今日で58歳になりました。思えば遠くまで来たものです。自分の年齢に実感が追いつかないというのは誰しも感じたことがあるでしょうが、それにしてもあと２年で還暦とは。自分の中ではまだせいぜい40代、それも前半というくらいの感覚なので、ズレがどんどん広がっています。

　いまはFacebookがあるお陰で知人友人からSNSを通じてお祝いを伝えてもらえます。と言っても初老の平凡な男にそんなにたくさんのメッセージが集まるわけでもありませんが、少ないながらも気持ちを伝えてもらえるだけでありがたいし嬉しいものです。

　僕の誕生日が一番華やかだったのは30代でした。自分自身が積極的に動いていたこともありますが、何より1990年代、バブルの残り香が濃厚にありましたから、アニバーサリーとかイベントがみんなが大好きな時代でした。パーティを開いてくれる人、参加してくれる人もたくさんいて、プレゼントもいっぱい貰い、誕生日からバレンタインデーが続くこの時期は毎年フワフワと忙しかった記憶があります。

　逆に僕が一番寂しかった誕生日のことはよく覚えています。大学３年生、21歳の誕生日でした。誰ひとりとして誕生日を祝ってくれる人はおらず、辛うじて母親だけが覚えていてくれて少し豪勢な夕食を用意してくれました。当時はSNSはおろかメールも携帯電話もない時代ですから、メッセージを伝えるには直接会うか、家に電話をかけてくるか、郵便の３択しかありません。高価な英会話教材のカセットを僕に売りつけた会社がバースデーカードを送ってきたのが唯一で、それだけだったことが余計に寂しさを強調しました。

　自分で自分の誕生日を祝うしかない時も人生にはあります。21歳の誕生日のようなことが、またこの先にもあるかも知れません。多分、あります。だからこそ「生きてるだけで丸儲け」という至言を胸に焦らず腐らず前向きに新しい１年を頑張りたいと思います。