準々決勝に大坂が進出した時に、すでに決勝まで駆け上がることは予想していました。それほど今大会で大坂なおみは急成長し、一気に女子テニスツアーの主役へと変身しています。準決勝のキーズ戦、これまで一度も勝てなかった相手とは思えないほどに大坂はキーズを上回ってきました。

　もちろん13回もブレイクポイントを握られてしまった通り、キーズは強敵ではありました。しかし、そのブレイクポイントを全てセーブしたのですから、大坂が完全にキーズを凌駕していることも間違いないでしょう。今や大坂はトップ5に入るくらいの実力者です。

　決勝の相手は予想通りセレナ・ウィリアムズです。いま女子テニス界は女王不在です。前の絶対女王だったセレナが後継者不在のために、仕方なく女王の座に君臨していますが、実際に彼女はツアーにフルに参戦しているわけでもありません。36歳で母にもなったセレナは次の女王の誕生を誰よりも待ち望んでいるはずです。

　大坂は新女王に相応しいポテンシャルを持っています。足りなかったのは戦略、精神的な成熟、そして経験です。今大会で一気にその不足分を補っているわけで、その仕上げとして決勝戦で前の女王との対戦という大一番が用意されました。まさに王座交代の最高の舞台です。