幹事クリタのコーカイ日誌2018

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8月1日 ● 今さらながら「羊と鋼の森」。

 今さらですが2016年の本屋大賞を受賞した宮下奈都「羊と鋼の森」を読みました。タイトルだけで、何となくSFっぽいのかな、中二病こじらせたような話かなと食わず嫌いをしていたのですが、映画化された際にピアノの調律師の話だと知って、ピアノを習っている身なので急に興味を持ちました。

 本屋大賞なのでもっとエンターテイメントなのかと勝手に思っていたのですが、読み始めてすぐに「あれ?」となりました。かなり純文学に近いテイストだったからです。調律師を目指す主人公と、彼を取り巻く先輩の調律師たち、そして双子のピアノを弾く少女。

 大きなドラマがあるわけではなく、むしろそれぞれの登場人物たちの小さなエピソードが丹念に描かれていき、それらが複層的に組み合わさっていき、ひとつの物語になっていく様子は、まさにピアノの多くの音が組み合わさって共鳴して壮大な曲になっていくようでした。

 調律師の世界を題材にした「お仕事小説」なのですが、青春小説でもあります。また主人公の内面の成長を丁寧に描く心理的な小説でもあります。今さらでしたが読んで良かったです。


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